2017年度 立命館大学法学会 後期学術講演会 事前学習会

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「働き方」に関する詳細・お悩みは【相談窓口】へ 改正法の詳細は厚生労働省HP『「働き方改革」の実現に向けて』をご覧ください。
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2017年度 立命館大学法学会 後期学術講演会 事前学習会 2017年度 立命館大学法学会 後期学術講演会 事前学習会 「長時間労働の是正と       労働基準法改正案」 佐藤敬二(法学部教授)

学習会の構成 はじめに 1.「働き方」の現状と改革の必要性 2.現行法制と問題点 3.政府の改革方針 講演会に向けて

はじめに 本日の趣旨 1)12月4日開催・根本教授講演会 2)政府の労働基準法改正案 →国会での一つの重要法案 3)「働き方」の実情と  1)12月4日開催・根本教授講演会  2)政府の労働基準法改正案   →国会での一つの重要法案  3)「働き方」の実情と   法的問題点の事前学習    cf.安倍首相「働き方改革」

1.「働き方」の現状と 改革の必要性 1)電通事件 2)「働き方」の現状 1.雇用 a.失業率、b.雇用保障 c.非正規雇用、d.女性 1.「働き方」の現状と     改革の必要性 1)電通事件 2)「働き方」の現状  1.雇用 a.失業率、b.雇用保障        c.非正規雇用、d.女性  2.労働条件 a.労働時間、b.生産性           c.過労死、d.賃金  3.保育所

2.現行法制と問題点 1)雇用保護 1.現行法:解雇不自由 2.問題点:救済手段 2)非正規雇用 1.現行法:均衡処遇、雇止法理  1.現行法:解雇不自由  2.問題点:救済手段 2)非正規雇用  1.現行法:均衡処遇、雇止法理  2.問題点:同一原則、有期の正当理由 3)労働時間  1.現行法:上限規制、時間管理  2.問題点:残業規制、時間管理の骨抜き 4)保育所

3.政府の改革方針 1)働き方改革実行計画 2)概要 1.同一労働同一賃金原則 2.賃金引上げ 3.時間外労働の上限規制  1.同一労働同一賃金原則  2.賃金引上げ  3.時間外労働の上限規制  4.高度プロフェッショナル制度

3.政府の改革方針・続 *労働時間法制 1)「時間外労働の上限規制」の課題 上限規制の実効性の問題指摘もあるが 仕事量の制限こそ必要  1)「時間外労働の上限規制」の課題   上限規制の実効性の問題指摘もあるが   仕事量の制限こそ必要  2)「高度プロフェッショナル制度」の課題   対象の拡大の問題指摘があるが   White Collarの時間管理方法の作成こそ必要 cf.佐藤敬二『労働法制の改編と私立大学教職員の権利』(2007年)  私のサイトhttp://www.ritsumei.ac.jp/~satokei/sociallaw/   においてあります。

講演会に向けて 積極的な参加をしてもらいたい そのためには質問を用意する

問題点 1.「完全失業」、諸外国の「失業」との定義の違い    →それを根拠に、かつては、日本が完全雇用の国と宣伝された 2.現在は「完全失業」であっても、高位安定

問題点 1.正規雇用の雇用保護も、諸外国より低位。規制緩和の主張にならない。    規制緩和の主張は米国を念頭においているが、米国が異常 2.非正規雇用の雇用保護は、諸外国より大幅に劣位。

問題点 1.正規雇用が非正規雇用に置き換わっている 2.非正規雇用率が急上昇。近いうちに、韓国のように5割を超える可能性も

問題点 1.女性の雇用拡大は、非正規雇用の拡大として展開している。

問題点 1.欧米は1600時間前後、日本は2000時間超で超長時間。   米国は有給休暇をカウントに入れているので除く必要、日本は総務省統計 2.非正規雇用を除くと、正社員はもっと長時間労働となっていると思われる

問題点 1.日本は労働生産性の低い国 2.「Japan」の項目は厚生労働省統計をベースにしているので、  総務省統計をベースにして算定すると、さらに低い国となる。

か 問題点 1.過労死件数の推定は、年間1万人。認定は300人←認定基準(平均人vs個人) 2.申請件数自体が少ない←個人で申請の難しさ(証明等、cf.多くの労災は企業が協力)

問題点 1.過労死報道には波がある。しかし報道がなくとも過労死は継続している。 第一の山は認定基準、第二の山はWhiteCollarExemption、第三の山は電通事件 2.過労死は象徴的出来事であり、労災・メンタルヘルスの問題

問題点 1.日本は順位の下落だけでなく、絶対額が唯一減少。 2.為替変動の理由ではないが、非正規雇用拡大の影響はある。

問題点 1.保育所は既に飽和状態 2.実際の待機児童数は185万人~345万人との推計もある。