(安全衛生活動についての基礎研修) 安全配慮義務とは? (安全衛生活動についての基礎研修) 安全配慮義務とは?
安全配慮義務違反事例 広告代理店の営業、企画立案業務に従事していた新入 社員Aは、長時間の残業が続く環境の中で心身ともに 疲労困憊状態になり、それが誘因となって翌年8月頃 うつ病になり、同月27日、うつ病によるうつ状態が深まっ て、衝動的、突発的に自殺に至った(平成3年)。 上司も 状況を認識しながら負担軽減措置をとらなかった。 東京地裁 東京高裁 最高裁 約1億2600万円 約8900万円
最高裁判決(平成12.3.24) 自殺と業務の因果関係を認めた 雇い主である広告代理店B社の過失を認めた 二審・東京高裁判決の過失相殺を否定し、 賠償額を減額すべきではないと判示 同年6月高裁での和解成立(1億6800万円) 「会社は業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう、注意する義務がある。」
事業者の安全配慮義務に関する最高裁判決 1.過重労働など業務によって生じた健康障害に 関しては最終的に責任がある。 関しては最終的に責任がある。 2.管理監督者は事業者に代わって、部課の業務や 健康状態を把握し、必要な配慮を行う、すなわち 安全配慮義務を代行する立場にある。 3.管理監督者は心の不健康状態にある労働者に 対して、業務によって症状が増悪しないように 配慮する必要がある。 * 安全配慮義務違反事例:電通事件
●民法上での責任 (債務不履行による損害賠償) ※いわゆる安全配慮義務違反 第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。 (使用者等の責任) 第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
労働は契約
労働契約の原則 使用者 労働者 賃金 労働力
原則以外の契約 使用者 労働者 労働条件(遵法・各種規程)の提示 労働条件(遵法・各種規程)に従った労働力の提供
使用者の債務 使用者 労働者 労働条件(遵法・各種規程)の提示 労働条件(遵法・各種規程)に従った労働力の提供 (債務債権者) 債務不履行 労働条件(遵法・各種規程)の提示 労働中の 事故・ケガ 労働条件(遵法・各種規程)に従った労働力の提供
管理監督者が実施すべき事項 ●設備の安全化(本質安全) ●作業、行動の安全化 ●ヒューマンエラーの予防と対処 ●職場巡視による問題点・課題把握 ●部下の健康管理 ●各安衛管理者(総括・安全・衛生)との連携 ●派遣社員への安全衛生配慮 ●派遣、請負会社への安全衛生指導
安全配慮を不履行すれば 労働災害全般で管理監督 の個人責任も問われる!
労働者の意識教育も債務不履行の防止には不可欠 いくら設備・環境面で安全措置をとっても携わる人間が不安全を起こし債務不履行のきっかけとなります。 安全な作業を心がける意識教育も債務の一つです。
(事業者等の責務) 第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。 第四条 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。 労働安全衛生法抜粋
使用者・労働者相互に安全に働いて生産を確保しようという労働意識の定着が安全配慮義務履行に必要です。
不安全・不健康がもたらす企業リスクの構造 意思伝達不足によるやりがい低下 不安全行動 ストレス過多 消極的な 業務取り組み 人間関係の悪化 時間がない 忙しい 悪循環の繰り返し・・ ヒューマンエラーからくる 労働災害の増加 品質の低下 精神的疾病者の増加 生産性の低下 休業率の増加 医療費の増加
事故がなく、 安心して働ける職場を!