The seminar of policy science 『子どもが減って何が悪いか!』 ◆第一章◆ 男女共同参画は少子化を防げるか 関根 恵 Presenter 2005.5.24 2018/11/7 政策科学ゼミ
「男女共同参画社会が実現すれば、少子化を防げる」 国際比較 国内比較 個票分析 リサーチ・リテラシーの観点から検討 。 2018/11/7 政策科学ゼミ
男女共同参画社会が形成されれば、少子化は止まる 国際比較 ① 「男女の就業機会の均等な国ほど、出生率も高い」(八代尚宏氏) 「男女が平等に能力開発される国になれば、出生率も上がる」 GDI(ジェンダー開発指数):基本的の能力の達成度を測定する際、 女性と男性の間でみられる達成度の 不平等に注目したもの。 GDI数値が高い 男女が公平である。 男女共同参画社会が形成されれば、少子化は止まる 2018/11/7 政策科学ゼミ
相関が高くなるサンプルを恣意的に選んだ! 問題点 ・サンプル16カ国の選択根拠が不明確。 OECD加盟国29カ国で、相関係数を算出 r=ー0.021≒0 → 相関関係ない 相関が高くなるサンプルを恣意的に選んだ! 2018/11/7 政策科学ゼミ
国際比較 ② 「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) サンプル選択の基準が明確 OECDのうち1998年の国民一人当たりGDPが 1万ドル以上の23カ国 しかし、 問題点あり! 2018/11/7 政策科学ゼミ
国際比較の問題点 ① 特定の国家を偶像崇拝視しやすい。 ② お国事情の違いを無視した論法に陥りやすい。 国内データを用いて、 ① 特定の国家を偶像崇拝視しやすい。 ② お国事情の違いを無視した論法に陥りやすい。 国内データを用いて、 要因を探ったほうが良いのでは?! 2018/11/7 政策科学ゼミ
“人口と経済の相互依存関係について” (山口三十四) 国内比較 “人口と経済の相互依存関係について” (山口三十四) →1900~1970 時系列データ使用 出生率 一人当たりの所得 女性の労働力率 乳幼児死亡率 教育水準 農業シェア 実質賃金率 年齢構成 医療水準 2018/11/7 政策科学ゼミ
山口氏の分析 UP UP Down 女性が職場に出ると、出生率が下がる。 出生率 農業シェア 男性の教育水準 女性の労働力率 2018/11/7 政策科学ゼミ
《重回帰分析》 時系列分析 一時点の地域別データを 用いた分析 従属変数の分布に対して、どういう変数が、 女性が働いている家計と 働いていない家計の 出生率の違いについて 分析不可能 時系列分析 一時点の地域別データを 用いた分析 《重回帰分析》 従属変数の分布に対して、どういう変数が、 どの程度影響を与えているのかを、実証的に分析 2018/11/7 政策科学ゼミ
原田氏と高田氏による重回帰分析 Down 女性賃金UP 住宅費UP 教育費UP 出生率 従属変数 県別の合計特殊出生率 独立変数 家計所得 (説明されるべき変数) 女性賃金UP 住宅費UP 教育費UP 出生率 Down 県別の合計特殊出生率 独立変数 (出生率を上下させる要因) 家計所得 女性賃金 住宅価格 大学進学率 2018/11/7 政策科学ゼミ
児童手当を増加 → 出生率の回復は、ほんのわずか 注目すべき点 児童手当を増加 → 出生率の回復は、ほんのわずか 児童手当を5000円増 → 出生率わずか0.01上昇 児童手当で出生率を回復させるには、 莫大な財政負担が必要になる。 2018/11/7 政策科学ゼミ
子育て支援支出が大きい国ほど出生率も高い 児童手当で出生率を回復させるのは困難 【国内比較 原田氏&高田氏の分析より】 子育て支援支出が大きい国ほど出生率も高い 【国際比較② 原田氏の分析より】 児童手当は出生率回復効果なし。 保育サービスは出生率回復効果がある。 2018/11/7 政策科学ゼミ
「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) 国際比較 ② 「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) 子育て支援支出 児童手当は出生率回復効果なし。 保育サービスは出生率回復効果がある。 サンプル選択の基準が明確 国際比較と 国内比較の 矛盾 ①保育サービスへの助成金など「保育関連支出」 ②児童手当など各種「家族給付関連支出」 ② 2018/11/7 政策科学ゼミ
重回帰分析における注意点 単なる擬似相関?! 子供が多く生まれる 既婚女性の労働力率が 社会だから、女性も働かざる 高いから、出生率も高い 「独立変数が従属変数に影響を与える」 この因果関係は 分析者が自ら設定した 子供が多く生まれる 社会だから、女性も働かざる を得ない 既婚女性の労働力率が 高いから、出生率も高い 2018/11/7 政策科学ゼミ
擬似相関 相関関係 女性の労働力率 出生率 因果関係 第3の要因 【都市化】 2018/11/7 政策科学ゼミ
女性労働力率を低下させ、出生率も低下させている。 都市化 都市化…第三次産業従事者比率 女性労働力率を低下させ、出生率も低下させている。 都市化の影響を取り除く ↓ 女性労働力と出生率の間に相関関係はない 2018/11/7 政策科学ゼミ
出生率と相関する変数 出生率 相関関係 住宅面積 持ち家比率 老人ホーム率 自殺者数 因果関係 世帯平均構成人員 二変数の連関を 思いつく ↓ 因果関係の成立を 勘違いする 2018/11/7 政策科学ゼミ
実証分析の限界① 個人の主観ゼロ 客観的で実証的な学問 人口学・経済学 分析者の恣意が入り込む 政策提言 どう解釈するか? どう利用するか? 個人の主観ゼロ 客観的で実証的な学問 人口学・経済学 どう解釈するか? どう利用するか? 分析者の恣意が入り込む 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ
実証分析の限界① 実証分析 都合の良い事実 都合の悪い事実 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ
実証分析の限界 ② 実証分析 政策提言 《過去志向》 既存の社会構造の中から変数探索 《未来志向》 既存の社会構造の変革、 《過去志向》 既存の社会構造の中から変数探索 実証分析 《未来志向》 既存の社会構造の変革、 あるべき未来予想図を提示 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ
実証分析の限界 ② 政策提言 《未来》 実証分析 《過去》 未来 過去の中に未来を探る → 限界がある 2018/11/7 政策科学ゼミ
出生率の高い県 出生率の低い県 出生率を高める要因を 持っている地域 出生率の低下(都市化)が 急速には進んでいない地域 沖縄・島根 宮崎・福島 出生率の低い県 東京・京都・大阪 神奈川・千葉 www.kikkoman.co.jp/ manns/manns-letter/ www8.ocn.ne.jp/.../ tusin/topic/sundytalk.htm 出生率を高める要因を 持っている地域 出生率の低下(都市化)が 急速には進んでいない地域 出生率の低下(都市化)が 急速に進んでいる地域 2018/11/7 政策科学ゼミ
《政策提言・未来》 《実証分析・過去》 日本を農村にしよう! 出生率を高める要因を 持っている地域である 《未来》 要因 過去に戻る政策しか 生まれない 2018/11/7 政策科学ゼミ
次章では… 個票調査に基づき、 既婚女性が産む子供の数を増減させる 社会的要因について 以上 2018/11/7 政策科学ゼミ