The seminar of policy science

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年金制度 地域文化3回生 渡邉 裕貴. 目次 日本の年金制度の現状 日本の今後 政策提言 シミュレーション 参考文献 論点.
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計量的手法入門 人材開発コース・ワークショップ (IV) 2000 年 6 月 29 日、 7 月 6 ・ 13 日 奥西 好夫
2.一極集中と多極分散. 連携の在り方 都市の発生 分業の発生規模の経済 ・地域特化の経済 ・都市化の経済 集積 大都市の形成.
大きな政府と 女性の社会進出について 平田 彩貴. 他の先進国との比較 ※仕事と家庭の両立度 … OECD が作成した指標で標準化されている指数のこと。 1) 託児所・育児施設の利用率 2) 政府の保証する育児休業 3) 民間の雇い主が自発的に与える育児休業 4) フレックスタイムでの就業の程度 5)
少年犯罪の要因分析 ~抑止に向けて原因と対策を探る~ 大阪大学経済学部 山内直人研究室 豊増 智美 浅井 聡子 馬場 仁美 宮内 麻央.
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
国民所得 エンゲル係数:生活費に占める食事の割 合 所得の増加と逆に動く指数 食費:所得が増加してもそれほど増えな い なぜなら 娯楽費:所得が増加すると増加する このエンゲル係数を国際比較すれば、各国の生活水準を比べることができ る しかし ある国の衣服費だけ上昇したとする 生活費は上昇する、が、食費は上昇しないエンゲル係数は低下する.
地域格差と生産性 ー地域別全要素生産性の計測ー 明治学院大学経済学部 高橋ゼミ 発表者 増田 智也 2007 年度卒業論文発表会.
1 II マクロ経済学のデータ. 2 第5章 国民所得の測定 マクロ経済学とは 国内総生産 = GDP ( Gross Domestic Product ) – 社会の経済的福祉を測定する尺度の1つ ミクロ経済学とマクロ経済学の違いについては、 pp. 40 – 41 も参照.
なぜ貧しい国はなくならないの か 第 1 章 開発経済学とは何か 1. まず定義から始めよう 筆者による定義 「貧しい開発途上国 の貧困削減に貢献する 戦略を研究する学問分 野」 2.
地域社会論 第9回 _2 ⅩⅠ.自立する世帯 12 月 14 日. 1.大きな世帯.
格差 と 幸福度 南山大学 外国語学部 英米学科 前田 拓馬 平岩ゼミ 土田 健太 西村 和摩 長江 友里香.
少子高齢化社会と年金 澤崎 下村 戸田 山川 中京大学総合政策学部 大森ゼミⅱ. 労働力の枯渇 生産年齢人口の減少 参照 平成 25 年度総務省「人口統計」 現状 高齢者を労働力として活躍させよう.
1 市場予測がはずれた理由 京都大学経済学部 塩地洋. 問題意識 ▷中国の自動車市場予測を見てきたが, ほとんど はずれている ・なぜはずれたのか 2.
少子高齢化 高橋香央里 加藤裕子 松本結 海老澤優.
データ分析入門(12) 第12章 単回帰分析 廣野元久.
~国民経済的な視点から見た社会保障~ 2000/6/14 木下 良太
 公的年金・定年  引き上げの是非 小瀬村  柏嶋 阿部  藤田.
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札幌市の少子化  その特徴と背景 札幌市立大学 デザイン学部 教授  原俊彦.
食料自給率 日本の食糧自給率を考える ~自給率が低くて何が悪い~ 南山大学 経済学部           太田代ゼミ.
男性の育児が肥満に与える影響 富山大学 経済学部 経済学科 孫田 篤 専門ゼミ-報告会.
消費税10%導入の是非                    肯定派 大岸・福田・山田.
実証分析の手順 経済データ解析 2011年度.
大阪大学経済学部 本間正明研究室 大西恭輔 川崎雄介 熊代克久 中塚早保 八塚貴久子
子ども手当の是非 ~肯定派~ 上町悠哉 工藤祐之介 蔵内雄大 棚倉彩香.
年金・定年引き上げの是非 否定派 棚倉 彩香 林 和輝 西山 夏穂 水田 大介.
The seminar of policy science
なぜ貧しい国はなくならないのか 第2章 貧困は減っているのか
経済学入門 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年7月26日
わが国の社会福祉現場における 人材確保の動向と今後の展望
女性の就業機会拡大に関する調査報告書 (概要)
Ooshiro.R Sanada.H Nishimura.A Miyamoto.A Wakabayashi.A
家族政策と出生率 -スウェーデンの事例と日本への示唆-
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産める国フランスの子育て事情 ~出生率はなぜ高いのか~
『大阪府人口ビジョン(案)』の概要 ■はじめに ■人口の将来見通し(シミュレーション) ■大阪府の人口の潮流 c ■基本的な視点
連合大阪 政策・男女平等・広報・教育G 永野 有紀
担当者: 河田 正樹 年度 経済統計講義内容 担当者: 河田 正樹
教育情報の多変量解析 データの視覚化 データの分類 2変数群間の関係 その他.
少子高齢化について 商学部 2307068 李海燕.
地方公共財とクラブ財.
GDPに関連した概念.
障害者と貧困: フィリピンの調査事例から 日本貿易振興機構 アジア経済研究所 森 壮也 READ公開講座:障害者の教育と経済活動
第1回家計班 これからの日本の経済成長は 可能であるか
書評 生活保護VSワーキングプア ~若者に広がる貧困~ 大山典宏 PHP新書
マクロ経済学初級I 第4回.
国際経済学10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年1月18日
日中自動車産業と環境問題 第一章 中国自動車企業の発展 01w713 コウシュンエン 第二章 日本自動車メーカーの中国戦略
離婚が出生数に与える影響 -都道府県データを用いた計量分析
男女別大学進学率の 地域別格差の原因と影響
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
相関分析.
バブル崩壊後の日本経済の 貯蓄率低下について
60歳台になった団塊世代の経済行動 長谷川 正 学籍番号 
GDPに反映される教育の成果について 減少していく教育の産出について考える
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経済原論IA 第5回 西村「ミクロ経済学入門」 第5章 消費者需要理論の応用と拡張 京都大学経済学部 依田高典.
人口統計 人口静態統計:人口の規模、構成 人口動態統計:出生・死亡などの人口再生産 人口移動統計:人口の移動 人口の推計:コーホート変動.
平成24年度 臨床研修医 都道府県別採用実績について
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第6章 消費者行動の分析 跡見学園女子大学 山澤成康.
性差と、性別(=ジェンダー)の相違とその調べ方
女性班発表.
税金や社会福祉などによって再分配機能が充実した国の場合、初期所得(税引き前の給与)でのジニ係数と、所得再配分後のジニ係数が異なる。
厚生白書 人口減少社会の到来と少子化への対応 971221 波多野宏美.
第6章 消費者行動の分析 跡見学園女子大学 山澤成康.
3,賃金体系 ▼賃金原資・・・人にかかる費用のうち、賃金にあてる部分の合計
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The seminar of policy science 『子どもが減って何が悪いか!』 ◆第一章◆ 男女共同参画は少子化を防げるか 関根 恵 Presenter 2005.5.24 2018/11/7 政策科学ゼミ

「男女共同参画社会が実現すれば、少子化を防げる」 国際比較 国内比較 個票分析 リサーチ・リテラシーの観点から検討 。 2018/11/7 政策科学ゼミ

男女共同参画社会が形成されれば、少子化は止まる 国際比較 ① 「男女の就業機会の均等な国ほど、出生率も高い」(八代尚宏氏) 「男女が平等に能力開発される国になれば、出生率も上がる」 GDI(ジェンダー開発指数):基本的の能力の達成度を測定する際、             女性と男性の間でみられる達成度の             不平等に注目したもの。 GDI数値が高い   男女が公平である。 男女共同参画社会が形成されれば、少子化は止まる 2018/11/7 政策科学ゼミ

相関が高くなるサンプルを恣意的に選んだ! 問題点 ・サンプル16カ国の選択根拠が不明確。 OECD加盟国29カ国で、相関係数を算出 r=ー0.021≒0 → 相関関係ない 相関が高くなるサンプルを恣意的に選んだ! 2018/11/7 政策科学ゼミ

国際比較 ② 「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) サンプル選択の基準が明確 OECDのうち1998年の国民一人当たりGDPが 1万ドル以上の23カ国 しかし、 問題点あり! 2018/11/7 政策科学ゼミ

国際比較の問題点 ① 特定の国家を偶像崇拝視しやすい。 ② お国事情の違いを無視した論法に陥りやすい。 国内データを用いて、       ① 特定の国家を偶像崇拝視しやすい。       ② お国事情の違いを無視した論法に陥りやすい。 国内データを用いて、 要因を探ったほうが良いのでは?! 2018/11/7 政策科学ゼミ

“人口と経済の相互依存関係について” (山口三十四) 国内比較 “人口と経済の相互依存関係について” (山口三十四) →1900~1970 時系列データ使用 出生率 一人当たりの所得 女性の労働力率 乳幼児死亡率 教育水準 農業シェア 実質賃金率 年齢構成 医療水準 2018/11/7 政策科学ゼミ

山口氏の分析 UP UP Down 女性が職場に出ると、出生率が下がる。 出生率 農業シェア 男性の教育水準 女性の労働力率 2018/11/7 政策科学ゼミ

《重回帰分析》 時系列分析 一時点の地域別データを 用いた分析 従属変数の分布に対して、どういう変数が、 女性が働いている家計と 働いていない家計の 出生率の違いについて 分析不可能 時系列分析 一時点の地域別データを 用いた分析 《重回帰分析》 従属変数の分布に対して、どういう変数が、 どの程度影響を与えているのかを、実証的に分析 2018/11/7 政策科学ゼミ

原田氏と高田氏による重回帰分析 Down 女性賃金UP 住宅費UP 教育費UP 出生率 従属変数 県別の合計特殊出生率 独立変数 家計所得 (説明されるべき変数) 女性賃金UP 住宅費UP 教育費UP 出生率 Down 県別の合計特殊出生率 独立変数 (出生率を上下させる要因) 家計所得 女性賃金 住宅価格 大学進学率 2018/11/7 政策科学ゼミ

児童手当を増加 → 出生率の回復は、ほんのわずか 注目すべき点 児童手当を増加 → 出生率の回復は、ほんのわずか 児童手当を5000円増 → 出生率わずか0.01上昇 児童手当で出生率を回復させるには、 莫大な財政負担が必要になる。 2018/11/7 政策科学ゼミ

子育て支援支出が大きい国ほど出生率も高い 児童手当で出生率を回復させるのは困難 【国内比較 原田氏&高田氏の分析より】 子育て支援支出が大きい国ほど出生率も高い 【国際比較② 原田氏の分析より】 児童手当は出生率回復効果なし。 保育サービスは出生率回復効果がある。 2018/11/7 政策科学ゼミ

「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) 国際比較 ② 「子育て支援支出が大きい国ほど、出生率が高い」(原田泰氏) 子育て支援支出 児童手当は出生率回復効果なし。 保育サービスは出生率回復効果がある。 サンプル選択の基準が明確 国際比較と 国内比較の 矛盾 ①保育サービスへの助成金など「保育関連支出」 ②児童手当など各種「家族給付関連支出」 ② 2018/11/7 政策科学ゼミ

重回帰分析における注意点 単なる擬似相関?! 子供が多く生まれる 既婚女性の労働力率が 社会だから、女性も働かざる 高いから、出生率も高い 「独立変数が従属変数に影響を与える」 この因果関係は 分析者が自ら設定した  子供が多く生まれる 社会だから、女性も働かざる を得ない 既婚女性の労働力率が 高いから、出生率も高い 2018/11/7 政策科学ゼミ

擬似相関 相関関係 女性の労働力率 出生率 因果関係 第3の要因 【都市化】 2018/11/7 政策科学ゼミ

女性労働力率を低下させ、出生率も低下させている。 都市化 都市化…第三次産業従事者比率 女性労働力率を低下させ、出生率も低下させている。 都市化の影響を取り除く ↓ 女性労働力と出生率の間に相関関係はない 2018/11/7 政策科学ゼミ

出生率と相関する変数 出生率 相関関係 住宅面積 持ち家比率 老人ホーム率 自殺者数 因果関係 世帯平均構成人員 二変数の連関を 思いつく ↓ 因果関係の成立を 勘違いする 2018/11/7 政策科学ゼミ

実証分析の限界① 個人の主観ゼロ 客観的で実証的な学問 人口学・経済学 分析者の恣意が入り込む 政策提言 どう解釈するか? どう利用するか?    個人の主観ゼロ    客観的で実証的な学問 人口学・経済学 どう解釈するか? どう利用するか?    分析者の恣意が入り込む 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ

実証分析の限界① 実証分析 都合の良い事実 都合の悪い事実 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ

実証分析の限界 ② 実証分析 政策提言 《過去志向》 既存の社会構造の中から変数探索 《未来志向》 既存の社会構造の変革、        《過去志向》        既存の社会構造の中から変数探索 実証分析        《未来志向》        既存の社会構造の変革、        あるべき未来予想図を提示 政策提言 2018/11/7 政策科学ゼミ

実証分析の限界 ② 政策提言 《未来》 実証分析 《過去》 未来 過去の中に未来を探る → 限界がある 2018/11/7 政策科学ゼミ

出生率の高い県 出生率の低い県 出生率を高める要因を 持っている地域 出生率の低下(都市化)が 急速には進んでいない地域 沖縄・島根 宮崎・福島 出生率の低い県 東京・京都・大阪 神奈川・千葉 www.kikkoman.co.jp/ manns/manns-letter/ www8.ocn.ne.jp/.../ tusin/topic/sundytalk.htm 出生率を高める要因を 持っている地域 出生率の低下(都市化)が 急速には進んでいない地域 出生率の低下(都市化)が 急速に進んでいる地域 2018/11/7 政策科学ゼミ

《政策提言・未来》 《実証分析・過去》 日本を農村にしよう! 出生率を高める要因を 持っている地域である 《未来》 要因 過去に戻る政策しか 生まれない 2018/11/7 政策科学ゼミ

次章では… 個票調査に基づき、 既婚女性が産む子供の数を増減させる 社会的要因について 以上 2018/11/7 政策科学ゼミ