スパイロメータを用いた COPDスクリーニング

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目的  成人喫煙率は、東京都や長野県で男性喫煙率が30%台と発表されるなど、全体に減少傾向にはあるが、20代女性の喫煙率がこの10年で倍増するなど、若い女性や未成年者の喫煙増加が問題となっている。特に、妊婦の喫煙は、胎児に深刻な影響を与えており、有効な対策が急務である。そこで、洲本市における妊婦喫煙の実態と喫煙の害についての知識の調査を実施することとした。
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スパイロメータを用いた COPDスクリーニング 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック 健診部 吉田悠希子 堀内 純 沼本美由紀 大前利道   大前由美 よろしくお願い致します。 はじめに、抄録と本発表との間に若干の違いがあります事をお詫びいたします。 2018/11/8

はじめに 2001年、日本で行われた大規模な疫学調査(NICEstady) では、潜在的な慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)の患者数は40歳以上の成人の8.5%、約530万人と推定されている。 当院人間ドックの検査項目には肺機能検査がスクリーニングとして組み込まれており、COPDのリスクを早期に発見し、指導・治療へと導ける可能性があると思われる。 当施設の肺機能検査の結果が、生活指導に役立つかどうか検討を行った。 はじめに。 COPDは、初期の症状が慢性的な咳や痰、息切れ、風邪症状に似ていることなどであることから症状を自覚することが少なく受診が遅れ、重症となってから発見されることがしばしばです。人間ドック受診者は、検査項目のひとつに肺機能検査が組み込まれ、その中の1秒率の結果を用いてCOPDを早期に発見し、指導・治療へと導くことができるのではないか。このことより、当施設の人間ドック受診者における肺機能検査の成績、問診表より、その可能性について検討致しました。 2018/11/8

対象 平成17年4月1日から18年3月31日まで 当クリニック健診部に於いて肺機能検査を受診した40歳以上    男性1706名 平均年齢50.6歳    女性1259名 平均年齢49.9歳    総数2965名 平均年齢50.6歳 なお、問診表に気流制限をきたしうる既往がある方は除いた。 対象です。 今回、平成17年4月1日から平成18年3月31日までの期間、肺機能検査を受検された40歳以上、男性1706名、平均年齢50.6歳、 女性1259名 平均年齢49.9歳、総数2965名 平均年齢50,6歳を対象とさせていただきました。 なお、問診票に気流制限をきたしうる疾患の既往があるものは除かせていただきました。 使用機器はスライドのとおりです。 2018/11/8

方法 使用機器 日本光電社 MICROSPIRO HI-710 努力性肺活量(FVC)を立位にて測定 問診表にて呼吸器症状、喫煙歴を聴取 1秒率(G)70%未満を異常とし、「COPD疑い」とした。 使用機器、日本光電社 マイクロスパイロHI-710 努力性肺活量を立位にて測定 事前の問診表にて呼吸器自覚症状を聴取 また、ゲンスラーの1秒率、70%未満を異常としCOPD疑いと致しました。 2018/11/8

肺機能検査の結果 合計 168/2965名(5.7%) 1秒率低下 40代 35/1442名 50代 75/1160名 40代    35/1442名  50代    75/1160名  60代    45/328名   70歳以上 13/35名  合計    168/2965名(5.7%)  2018/11/8

年代別一秒率の低下 2018/11/8 これは全体の喫煙率と一秒率低下の関係です。 喫煙率は各年代20~30%とあまり変わりありませんが、加齢により 1秒率の低下する割合が高くなってきています。 これはCOPDが加齢そのものによる影響で増えることであることがわかります。 2018/11/8

喫煙者 40歳代 428/1442人 50歳代 314/1160人 60歳代 68/328人 70歳以上 10/35人 40歳代  428/1442人 50歳代  314/1160人 60歳代  68/328人   70歳以上  10/35人   合計  820/2965人(27.7%)     当クリニック健診部に於いて対象である肺機能検査を受検された方々の喫煙率です。全体では平均27.7パーセント、年代別では大きな差はみられませんでした。詳細についてはスライドのとおりです。 2018/11/8

1秒率低下群と喫煙の関係 40代 50代 60代 70代 喫煙(+) 50.0 43.3 43.2 41.6 喫煙(-) 56.7 56.8 58.4 〔%〕 2018/11/8

当院での指導文 1秒率低下、喫煙者 「1秒率が低下しています。喫煙指数が高めです。動脈硬化、COPDの誘因となりますので、禁煙をお勧めします。」 1秒率が低下、非喫煙者 「1秒率が低下しています。副流煙、周囲の環境について気をつけてみて下さい。又、何らかの原因が考えられるので、外来でのフォローをお勧めします。」 1秒率が正常、喫煙者 「COPD予備軍の可能性が考えられますので、今後の禁煙をお勧めします。」 1秒率が正常、呼吸器症状のある方 2018/11/8

まとめ 問診票とスパイロメータの結果から4つの指導区分に分けることができた。 健診では、このようにしてピックアップした受診者に対し、報告書にて注意を促すことが可能である。 結語です。 以上の結果をもとに、目的であったCOPD疑いのスクリーニングを行い、受診者に報告書にて注意を促すことが可能であると思われます。 喫煙者については、喫煙によりCOPD予備群または、COPDである可能性を結果のコメントとして載せ、受診者に節煙・または禁煙を促す。 非喫煙者については、周囲の環境での影響について注意を促すよう今後の指導に期待出来ると思われます。 以上、ご清聴ありがとうございました。 2018/11/8

おわりに  健診において、スパイロメータを用いたCOPDスクリーニングが必要であり、生活指導に有用であると考えられる。 2018/11/8