有機JAS米と特別栽培米に対する消費者評価 2009年2月1日 有機米班 酒井・田中・竹之内・鹿田・有田 (http://www.okayama-kudamono-okoku.com/yuukiasahimai.html)
目次 1・ はじめに 2. 有機農産物と特別栽培農産物 3. アンケートの分析方法と調査概要 4. 結果と考察 5. 結論と今後の課題
1.はじめに
はじめに 消費者は安心して食品を食べることが 出来るようになった 「有機JAS規格」・「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」の制定
2.有機農産物と 特別栽培農産物
有機農産物 有機農産物:化学合成農薬、化学肥料、化学合成 土壌改良材を使わずに3年以上経過し、堆肥など による土作りを行った圃場で収穫された農産物 JAS法の適用を受けたもの→「有機JASマーク」を 付ける
有機農産物の格付数量と国内の 総生産量に対する有機食品の割合 区 分 総生産量 格付数量 有機の割合 野菜 16,265,000 t 36,529 t 0.22% 果樹 3,492,000 t 2,199 t 0.06% 米 8,998,000 t 10,828 t 0.12% 麦 1,104,000 t 721 t 0.07% 大豆 227,000 t 986 t 0.43% 緑茶 94,100 t 1,702 t 1.81% その他の農産物 141,000 t 4,231 t 3.00% 合 計 30,321,000 t 57,195 t 0.19% 注:総生産量は平成19年度食料需給表(概算値)(緑茶の総生産量は農林水産省統計部の公表値) 出典:農林水産省:平成19年度有機農産物等の格付実績(http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku /df/yuuki_kakuduke_19.pdf)
有機農産物の検査認証制度 出典:農林水産省:有機食品の検査認証制度について(http: //www.maff.go.jp/ j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_seido_a. pdf)
特別栽培農産物 特別栽培農産物:節減対象農薬の使用回数、およ び化学肥料の窒素成分量が、その農産物が生産 された地域の慣行レベルと比べて50%以下の水 準で栽培された農産物
特別栽培農産物の定義 節減対象農薬 不使用 5割以下に削減 慣行レベル 化学肥料 (窒素成分) 特別栽培農産物 適用の範囲外 出典:農林水産省:特別栽培農産物に係る表示ガイドラインパンフレット(http://www. maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_pamph_a.pdf)
特別栽培農産物の表示制度 節減対象農薬の使用状況 使用資材名 用途 使用回数 ○○○○○ □□□□□ △△△△△ 殺菌 殺虫 除草 1回 農林水産省新ガイドラインによる表示 特別栽培米 節減対象農薬:○○地域比○割減 化学肥料(窒素成分):○○地域比○削減 栽培責任者:○○○○ 連絡先:℡□□-□□-□□ 確認責任者:△△△△ 住所:○○県○○町◇◇◇ 連絡先:℡□□-□□-▽▽ 精米責任者:◇◇◇◇ 住所:△△県△△町▽▽▽ 連絡先:℡○○-○○-□□ 節減対象農薬の使用状況 節減対象農薬の使用状況 使用資材名 用途 使用回数 ○○○○○ □□□□□ △△△△△ 殺菌 殺虫 除草 1回 2回 出典:農林水産省:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(http:// www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_01.pdf)
3.アンケートの 分析方法と調査概要
CVM CVMとは、非市場財に対するWTP推計のための 直接的なアプローチである。 本研究のアンケート調査では、自由回答形式を用 いた。
CVM(自由回答形式)の メリットとデメリット 金額に関する手がかりを被験者に提供することに よって、WTPがその金額に影響を受けるアンカリ ングバイアスが生じない。 デメリット 無回答、ゼロ回答、外れ値が多く含まれる。
コンジョイント分析 コンジョイント分析とは、さまざまな属性レベルをも つ選択肢間の選考を質問することによって、その 属性に対する効用関数を推定する方法である。
コンジョイント分析のメリットとデメリット 一つの質問でさまざまな財・サービスの価値を個 別に計測することができる。 デメリット 同じような質問を繰り返すことで、被験者に学習 効果を与えたり、逆に疲労効果を与える可能性が ある。 質問が複雑なため、被験者が回答しにくくなる。
アンケート調査概要 日時 2008年11月7日(金) 12時~17時 場所 スター グリーンヒル店 サンプル数 107
アンケート調査の質問 問1 1週間に晩ご飯の主食として米を何回食べるか。 問2 1ヶ月の米の購入量。 問1 1週間に晩ご飯の主食として米を何回食べるか。 問2 1ヶ月の米の購入量。 問3 米の購入に際して気を配る点(3つまで回答)。 問4 有機JAS制度の認知度。 問5 有機JASマークの認知度。 問6 実際に有機JAS米を購入しているか否か。 問7 特別栽培農産物の表示制度の認知度。 問8 実際に特別栽培米を購入しているか否か。 問9 通常米に比べて価格の値上がりがいくらまでならば特別栽培米を買うか。 問10 通常米に比べて価格の値上がりがいくらまでならば有機JAS米を買うか。 問11 産地と品質、栽培方法、価格の異なる米の中でどちらが購入したいか。 問12~15 属性に関する質問。
4.結果と考察
回答者属性
コメの消費
有機JAS米の認知度 有機JASマーク
特別栽培米の認知度 JAS米に比べて、特別栽培米の認知度は低い
CVMによるWTPの分析 特別栽培米より有機JAS米の方がWTPが高い WTPプレミアムの平均値と中央値 562.6円 724.9円 中央値 500円 特別栽培米と有機JAS米に対するWTPプレミアムの分布 特別栽培米より有機JAS米の方がWTPが高い
コンジョイントによるWTPの推定 米の属性に関する効用関数 変数の定義 変数 定義 秋田県産あきたこまち=1、それ以外=0 NIGATA 新潟県産コシヒカリ=1、それ以外=0 MIYAGI 宮城県産ひとめぼれ=1、それ以外=0 TOKUSAI 特別栽培米=1、それ以外=0 JAS 有機JAS米=1、それ以外=0 PRICE 価格
コンジョイントによるWTPの推定 特別栽培米より有機JAS米の方がWTPが高い 効用関数の推定結果 WTPプレミアムの推定値 変数 係数 AKITA -0.3539 -1.984 0.047 NIGATA -0.1567 -1.269 0.204 MIYAGI -0.3446 -2.484 0.013 TOKUSAI 0.3808 3.130 0.002 JAS 0.4874 3.366 0.000 PRICE -0.00038 -4.868 WTPプレミアムの推定値 特別栽培米 有機JAS米 WTP 995.3円 1274.0円 特別栽培米より有機JAS米の方がWTPが高い
5.結論と今後の課題
結論と今後の課題 特別栽培農産物の市場が今後さらに 拡大していくことは十分期待できる 特別栽培農産物の表示制度 の認知度が極めて低い 特別栽培農産物の市場が今後さらに 拡大していくことは十分期待できる ・・・消費者は特別栽培米に対して通常価格よりも 多くの金額を追加的に支払う意思がある 課題 特別栽培農産物の表示制度 の認知度が極めて低い
結論と今後の課題 有機JAS制度の意義を見出すことができる 有機JAS制度の意義を見出すことができる ・消費者は有機JAS米に対して通常価格よりも多くの 金額を追加的に支払う意思があることを示している ・有機JAS米は特別栽培米より高く評価されている 食の安全に対する関心の高まりとともにWTPも変化していくと考えられるのでWTPの分析を継続して行う必要がある。 課題