サービスレベルに基づく クラウドシステムのマネジメント方法

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サービスレベルに基づく クラウドシステムのマネジメント方法 湯浦研究室所属 7013-0008 井ノ口 紗佑里

目次 研究背景 研究目的 適用事例 システムモデルの作成 業務要件のSLO抽出方法 サービスマネジメント手順 評価 結論 今後の展望

IT投資コスト -開発費と保守運用費の推移 08年の保守運用費(青)を100とした場合の保守運用費と開発費(赤)の推移 開発費よりも 保守運用費に重点を置いている 図 売上高別 08年の保守運用費(青)を100とした場合の保守運用費と開発費(赤)の推移 (出典:経済産業省「IT動向調査」)

クラウドの普及 【クラウドとは?】 【メリット】 インターネットを介して利用するため、利用者にとってサービスの品質が見えにくい ネットワークを介して、コンピューティングリソースの集積に、様々なデバイスからどこからでも簡便に、必要に応じてアクセスすることの可能とするモデルである 【メリット】 構築期間の短縮 必要分の利用が可能なオンデマンドサービス 初期投資の軽減 災害時のリスクの軽減 など インターネットを介して利用するため、利用者にとってサービスの品質が見えにくい サービス品質の「見える化」が重要

従来のサービスマネジメント –ITILとSLA 【ITILv3】 ※ITIL® (Information Technology Infrastructure Library) ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワーク サービスデザインでは、利用者と合意したSLA(Service Level Agreement)に基づく可用性管理、キャパシティ管理、ITサービス財務管理、ITサービス継続性管理、情報セキュリティ管理、サプライヤ管理などでITサービスを設計 サービスレベル目標(SLO:Service Level Objective)に関して企業の状況に応じて定義されることが多い

従来のサービスマネジメント –SLAガイドライン 【民間向けITシステムのSLAガイドライン】 電子情報技術産業協会(JEITA)が2004年に初版を発行 SLA導入にあたり、SLAの考え方からSLAの合意契約まで標準的なプロセスと基準を紹介した手引書である サービスレベル項目は技術要件のSLO項目を中心とした約480項目 民間向けITシステムのSLAガイドライン 第四版

①業務要件を含めたサービスレベル項目でサービス品質の「見える化」 本研究の目的 クラウドにおいてサービス品質が見えにくい 従来のSLAガイドラインでは技術要件のサービスレベル項目が中心 ①業務要件を含めたサービスレベル項目でサービス品質の「見える化」 ② ① SLA SLO 技術要件 業務要件 利用者 サービサー ②活用する上での手順書の提案

適用評価 –技術要件SLOを用いた適用評価 株式会社 TOKAIコミュニケーションズ との共同研究 「SLAガイドライン」と「SLAガイドライン-SaaS追補版」を利用 ある程度標準化されたガイドラインに基づいてSLO項目表を作成 サービスレベル項目約85項目 運用されている既存サービス「CPS」を評価 Step1 SLO項目表の作成 Step3 SLOの項目毎にレベル値の判定入力 Step4 レビュー

該当サービスレベル値に色付けを行ったSLO項目表(イメージ) 適用評価の効果 該当サービスレベル値に色付けを行ったSLO項目表(イメージ) SLO項目評価に基づくレーダーチャート (イメージ) クラウドサービスの品質の 「見える化」を実現

業務要件SLO項目の抽出 –対象範囲 業務及びシステムは製造業の総勘定元帳の管理を中心とした財務会計及び必要に応じて会計関連業務システムを対象 法規に準拠 企業間で業務の差異が少ない 対象分野の会計業務の業務要件SLO    項目の抽出方法 Step1 システムモデルの作成 業務プロセスの分類・詳細化 Step2 データの体系化 データの洗い出し・関係づけ Step3 SLOの設定 効率性、機能性・利用性、業務サービス

システムモデルの作成 –業務分類 対象業務分野を大分類に区分 業務内容から中分類に分類 (43項目) 中分類から小分類に分類 (81項目) システムモデルの作成 –業務分類 経済産業省「経理・財務サービス スキルスタンダード」を基に独自の視点を盛り込みシステムモデルを作成 Step1 対象業務分野を大分類に区分 業務分野を9つの範囲に分類する Step2 業務内容から中分類に分類 (43項目) 会社機能の業務手順の区分に分類 Step3 中分類から小分類に分類 (81項目) 会社機能の業務手順毎に、経理・財務機能に注目して詳細化を行う Step4 小分類における業務フロー図の作成 業務因子(確認や承認など)単位で小分類の業務手順のフロー図を作成 Step5 小小分類の抽出 (280項目) データの参照を行う、またはデータの作成を行う業務因子を抽出する

システムモデルの作成 –業務フロー図

システムモデルの作成 –データの体系化 会計システムにおいて参照/作成するデータの整理・体系化 業務に使用する業務データの洗い出し システムモデルの作成 –データの体系化 会計システムにおいて参照/作成するデータの整理・体系化 業務に使用する業務データの洗い出し 台帳/元帳単位でデータの整理   (データ種別、格納データ) プロセスと台帳/元帳との   データ関連付け

業務要件SLO抽出 –抽出方法 【信頼性】 【保守性】 技術要件に 【移植性】 対応 【ISO9126の品質モデル】 【保守性】  技術要件に 【移植性】  対応 パフォーマンス指標 【正確性】 【スピード】 【リスク】 システムの活動 業務要件 SLO ・業務プロセスに基づく効率性の要件の設定 ・機能性及び利用性に関する要件の設定 ・業務サービスの品質に関するサービスレベルの設定 人の活動

業務要件SLO抽出 –性能要件 【業務プロセスに基づく効率性の要件の設定】 【設定の例】 小小分類毎に4つの処理系(対話型・一覧出力・帳票出力・バッチ)の定義 小小分類毎に3つ応答時間(即時・短時間・長時間)に分類 【設定の例】

業務要件SLO抽出 –ソフトウェア品質 【機能性及び利用性に関する要件の設定】 【設定の例】 小分類毎に設定を行う 販売プロセスでは31項目を抽出 【設定の例】

業務要件SLO抽出 –業務サービス品質 【業務サービスの品質に関するサービスレベルの設定】 【設定の例】 小分類毎に設定 【業務サービスの品質に関するサービスレベルの設定】  小分類毎に設定 販売プロセスにおいて40項目を抽出 【設定の例】

⑥システム運用の実施とSLA項目の監視と見直し サービスマネジメント手順 –全体手順 技術要件 ③SLAの 設定 ①概念理解 ②ヒアリング ④顧客への説明 ⑤技術者への説明 ⑥システム運用の実施とSLA項目の監視と見直し 業務要件 ③SLAの 設定 SLAの 概念理解 業務理解 担当者の 確認 管理体制の 担当者 範囲の 網羅性の 確認 顧客担当者に要件のヒアリング 責任者・ 担当者へのSLA項目設定内容の説明 SLAと費用の調整 技術者へのSLA項目の説明 顧客要件との合致の確認 SLA項目の監視 顧客要件と合致しないSLA項目の把握 SLO項目及びレベル値の再検討 顧客要件を基にSLO項目の選択かつレベル値の選択 PDCAサイクルの定義

サービスマネジメント手順 –体制の定義 【ステークホルダーの分類】 9つのステークホルダー分類 サービスマネジメント手順 –体制の定義 【ステークホルダーの分類】 9つのステークホルダー分類 顧客・サービサー双方で責任者(サービスレベル管理者)に統括される構成 ※【顧客】サービスを利用する側   【サービサー】サービスを提供する側の企業

サービスマネジメント手順 –体制の定義 【授受される書類の定義】 分類 区分 マネジメント基本書類 顧客書類 サービサー書類 サービスマネジメント手順 –体制の定義 【授受される書類の定義】 分類 マネジメント基本書類 顧客書類 サービサー書類 区分 既存(顧客企業/サービサー企業) 作成

サービスマネジメント手順 –手順書

サービスマネジメント手順とSLAガイドラインの比較

評価 【企業の方からの外部評価】 株式会社 TOKAIコミュニケーションズの技術者の方 評価  【企業の方からの外部評価】 株式会社 TOKAIコミュニケーションズの技術者の方 グローバル企業の会計システムに携わる米国公認会計士の方

評価 –業務要件SLO抽出

評価 –サービスマネジメント手順

結論 業務要件に関するSLOの洗い出し PDCAサイクルを用いたマネジメント手順の提案 業務プロセスやデータの体系付け、整理を行うことで、性能要件や留意事項の把握ができるようになった 販売プロセスのみの範囲ではあるものの、ISO9126の品質モデルに従って、一通りの業務要件に関するSLOを洗い出せた PDCAサイクルを用いたマネジメント手順の提案 SLAの設定だけではなく、それを中心とした顧客とサービサーでのやり取りや授受される書類を明示した JEITAで提唱されているSLAガイドラインのものをより詳細化し、書類の体系を明確化できた

今後の展望 現在SLO項目を財務会計システム全体に広げ、各方面とのレビューを進めていきたい 会計士の方やJEITAの方々などの専門家の意見や、実務サイドの方々の意見を取り入れる 業務要件SLOが業務品質を図る一つの指標になるように、さらに視点や測定方法、対象範囲などの比較検討を進めて内容を精査していく サービスマネジメント手順も実務サイドの担当者の方々の意見を基に内容の詳細化を行い、実際のクラウドサービスで適用評価とその事例の公開をし、クラウドにおけるサービスマネジメント手順として広げていきたい

ご清聴ありがとうございました