Torsade de pointes arrhythmias

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Presentation transcript:

Torsade de pointes arrhythmias QT延長を伴う多形性心室性頻拍

プレゼンの流れ 1.Case history の説明 2.心電図・不整脈の説明 3.薬物治療について 4.治療の批判

1.Case history 65歳の女性のcase この症例は65歳の女性が心筋梗塞後に不整脈をおこし、心肺停止に至ったものである。

患者:65歳 女性 主訴:動悸 既往歴:急性下壁心筋梗塞 患者:65歳 女性 主訴:動悸 既往歴:急性下壁心筋梗塞 ある65歳の女性が急性下壁心筋梗塞をおこしてから数カ月たった後、動悸を訴えて病院にやってきた。

薬暦:アスピリン 325 mg/day ヒドロクロロチアジド 50 mg/day 心電図:頻度の高い心室性期外収縮 彼女の治療はアスピリンを一日325mgとヒドロクロロチアジドを一日50mg投与していただけだった。 心電図を見ると頻繁に心室性期外収縮をおこしていたため、医師はソタロール80mgを一日3錠処方した。 Q.なぜヒドロクロロチアジドを用いたのか? A.古い薬なので、安いため使いやすい。一応昔のデータで副作用さえ気をつければ延命効果があると知られている。ACE inhibitor のような新しい薬は高いため使いにくい。 ヒドロクロロチアジドの副作用として、Na+やCl-の他にK+の排泄も促進し、低K血症を引き起こす。低K血症はトルサードの危険因子のひとつなのでヒドロクロロチアジドのほかにK+の補給やカリウム保持性利尿薬(スピロノラクトンやアミロライド)を併用するのが適当だったと考えられる。 処方:ソタロール 80 mg × 3錠 /day

回旋枝 後下行枝 下壁心筋梗塞とは心臓のどこが梗塞をおこしているのか? 心臓は後壁を下にして寝た格好をしているので、心臓の下壁とは後壁のことになる。この図は心臓の後壁を背中側からみたもので、冠動脈の走行をあらわしている。心臓の後壁を養っているのは右冠状動脈から後面へ回ってきた後下行枝(後室間溝)と、左冠状動脈から後面へ回ってきた回旋枝で、この二つの冠動脈が梗塞をおこすと心臓の後壁の血流が途絶え、心筋梗塞になる。つまり下壁心筋梗塞とは左回旋枝および後下行枝の梗塞である。

数日後再び来院 主訴:めまい 心電図:4連発の心室性頻拍 処方:ソタロール 160 mg × 2錠 /day 数日たって、彼女は今度はめまいを訴えて再び病院にやってきた。 心電図を見ると4連発の心室性頻拍をおこしていた。 医師は彼女の不整脈をコントロールするには薬物の量が十分でなかったのだと判断し、ソタロールの量を160mg一日2錠に増やした。 Q:sotalolを増投与する前に、その増投与が誤りであると判断するために、この担当医はどうすればよかったのか? A:心電図から4連発の心室性頻拍だけでなく、わずかであってもQT間隔の延長を疑う配慮が欲しかった。さらに、低カリウム血症はTorsade de pointesの危険因子であるから、ヒドロクロロチアジドの作用によって血中カリウム濃度が低下していないか調べる必要もあった。 処方:ソタロール 160 mg × 2錠 /day

数日後 痙攣を伴う意識喪失のため、救急外来へ 昏迷以外の理学所見は認められない 彼女はそのあと数日間は気分が良かったが、突然痙攣を伴う意識喪失で倒れた。救急車でERに運ばれ、そこで検査を受けたが、昏迷が見られるほかは理学所見は正常だった。 質問 なぜ痙攣や失神をおこしたのか 答え 重篤な不整脈によって心拍出量が減少し、脳が虚血状態に陥いったことが原因として考えられる 昏迷以外の理学所見は認められない

心電図:洞調律 50/min 陳旧性下壁心筋梗塞 QT間隔 0.72 sec. 処置:経過観察と心電図モニタリング

1時間後 多形性心室性頻拍を伴う心肺停止 処置:直流電気徐細動 一時間もしない内に彼女は多形性心室性頻拍を伴う心肺停止をおこした。 医師はただちに心肺蘇生のため直流電気徐細動をおこなった。

2.心電図・不整脈の説明

異所性自動能による心室性期外収縮 心室性期外収縮 Premature Ventricular Contraction 心室性期外収縮は発生の原因により、興奮生成異常と、リエントリーを代表とする興奮伝導異常に分けられる。この症例の場合は興奮生成異常が関わっているようである。興奮生成異常のうち、期外収縮を引き起こすものとして、異所性自動能がある。正常であればSAnodeをペースメーカーとして心臓は拍動するが、これがSAnode以外の部位から興奮が発生することを異所性自動能と言う。これには、心室のEADによるトリガーなどがある。 Q.心筋梗塞後の期外収縮について A,不整脈が起こる原因は2つある。EADなどのような興奮生成異常と、リエントリーのような興奮伝達異常である。EADはAPDが長いときに起こりやすくリエントリーはAPDが短いときに起こりやすい。 心筋梗塞直後におこる不整脈は主に心筋障害によるリエントリーによるものであるが、長い間にはEADをbaseにするようなlongQTと局所のリエントリーが起こりやすい。この患者の場合、不整脈がおこったのは梗塞の数ヶ月後であった事と、ソタロールによってさらに悪化してしまったことから、興奮生成異常のEADによるものであったと考えられる。リエントリーの場合、APDを延長するソタロールは有効である。

心室性期外収縮診断のポイント 心室性期外収縮 PVC その心拍のみ先行RR間隔が短い 幅広い異常な形をしたQRS波 先行するP波がない 心室性期外収縮の診断のポイントについて。 心電図において、幅広いQRS、P波の消失が見られる。これは次のように説明できる。心室のどこかに期外収縮の原因となる異所性興奮源(前のスライド)があるが、これらの多くはHIS束を興奮させないため心房に伝わらず、P波が消失する。また、この興奮は正常のルートとは異なり伝導に時間がかかるため、QRSが広くなる。

4連発の心室性頻拍 この心室性期外収縮が続くと、このような心室頻拍が起こってしまう。 QRS波が幅広く、R波が大きい

心筋梗塞による心電図変化-1 梗塞発作 正常 ST上昇 Qの出現 心筋障害を反映 心筋壊死を反映

心筋梗塞による心電図変化-2 安定期 Tの陰性化 冠性Tの出現 その後、梗塞に陥った心筋の瘢痕化のため、T波が逆になった冠性Tが出現する。この冠性Tは、数ヶ月から数年にわたって残るため、これがこの症例における陳旧性心筋梗塞として見られたのだと考えられる。 Tの陰性化 冠性Tの出現 安定期

正常心電図 QT波の延長 QT間隔の延長

QT間隔の延長の定義 QTC=QT/√RR>0.46sec. ( QTC とは心拍数により補正したQT間隔) この患者の場合、心電図上のQT間隔は0.72sec.で 脈拍数が50beat/min なので、 QTC=0.72/√60/50=0.65 QT間隔延長の定義として、心電図上のQT間隔を心拍数で補正したQTcを用いる。このQTcは心電図上における、QT間隔/√RR間隔という式で表され、この値が0.46秒より大きい場合をQT間隔の延長とする。この患者の場合、心電図上のQTかんかくが0.72秒で、心拍数が1分間に50であるため、QTcは0,65秒となり、明らかにQT間隔が延長していると言える。このQT間隔の延長が次に説明するtorsade de dointesの大きな原因となる。 よって、この患者はQT間隔が延長しているといえる。

Torsade de pointes にはさまれたQT波延長を伴う患者の心電図 Polymorphic ventricular tachycardia (torsade de pointes) これはトルサードを表している心電図である。トルサードにおいては心室頻拍とQT延長が同時に見られるのが大きな特徴である。 トルサードの心室頻拍はただの心室頻拍ではなく、QRS波が基線を軸としてねじれ回転するように周期的に変化する。なぜQRS波の振幅がだんだん大きくなったり、小さくなったりと周期的に変化するか?これは心起電力の変化のためではなく、心室波の電気軸が時間とともにねじれるからである(電基軸=心室筋が興奮した際に発生する起電力が示すベクトル) 。トルサードではこのベクトルの大きさは変わらないのに、ベクトルがあたかも時計の針のようにぐるぐると周ってしまうため、心電図上では振幅の周期的な変化として記録されてしまう。心電図とは一個所の電極ではなく、数箇所の電極を用いてさまざまな方向から、このベクトルを記録したものであるので、このトルサードの心電図において、振幅が小さくなっているところがあるが、同時記録した他の電極による誘導を見ると、ちゃんと大きい振幅の心室波が記録されている。 Prolonged QT interval 初めに、多形性心室性頻拍が見られ、その後自発的な休止がある。 そこには、QT波が延長したnormal single beat (NSB)が見られ,すぐに torsade型の心室性頻拍が続いている。

QT延長症候群 先天性QT延長症候群 遺伝子異常による心筋細胞イオンチャネルの異常 続発性QT延長症候群   遺伝子異常による心筋細胞イオンチャネルの異常     ①第3染色体のSCN5A遺伝子→Naチャネルをコード     ②第7染色体のHERG遺伝子→遅延整流性Kチャネルをコード   続発性QT延長症候群   誘因:薬剤(抗不整脈、抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗生物質etc)       電解質異常(特に低カリウム)       徐脈  なぜQT延長が起こるか? QT時間とは電気的心室収縮時間のことで、心室筋の活動電位の持続時間(APD)を反映している。心電図QT時間の延長を特徴とするQT延長症候群は、その発生形態から大きく先天性と続発性にわけることができる。QT延長は遺伝子異常、薬剤、電解質異常などさまざまなものが引き起こしているように見えるが、実は共通のメカニズムで説明される。心室筋が活動電位を発生した際に、本来なら内向きのNa電流が減少したり、外向きの遅延整流性K電流が流れることによって、再分極がおこるわけではあるが、QT延長症候群では内向きのNa電流の減少が起こらなかったり、外向きのK電流が減少するために、再分極がなかなか起こらず、APDが長くなってしまい、その結果QT延長が起こる。 症例に戻ると、この患者は、ソタロールというKチャネル遮断作用を持つ薬剤によってQT延長が誘発されていると考えられる。もちろん活動電位の延長によるQT延長は、ソタロールの抗不整脈作用のものであり、必ずしもトルサードの危険信号とは言えない。しかし本症例のようにソタロールによってトルサードという危険な状態に陥ってしまったのは、この患者が遺伝子異常もしくは低カリウム血症のようなQT延長の素因を持っていたところに、ソタロールでよりQT延長をひどいものにしてしまったからだと考えられる。  

Torsade の危険因子 低カリウム血症 hypokalemia 徐脈 bradycardia 低カリウム血症(=細胞外のカリウム濃度が低い状態)の場合、再分極に重要な外向きのカリウム電流が少なくなる。(このことは電気化学的には矛盾しており、なぜこのようなことが起こるかはまだ明らかにされていない。)外向きのカリウム電流が減少した結果、APDが長くなり、しまいにはトルサードを引きおこす。 徐脈の状態では 早期後脱分極によるトリガー活動が起こりやすくなるため、トルサードのリスクとなると考えられる。また徐脈のときはソタロールのようなAPDを延長させる薬の効果が増すために、トルサードを引き起こしやすくなる。  

早期後脱分極 再分極相が異常に延長すると、その終末部に後脱分極が発生し、これがtriggered activity(撃発活動)を誘発し、トルサードが起こる。 Triggered activity EAD なぜQT延長がトルサードを引き起こすのか? 再分極相が異常に延長すると、その終末部に早期後脱分極(EAD)を引き起こし、これがトリガードアクテイヴィテイを誘発して、トルサードのような頻脈性不整脈を生じる。しかもQT間隔が長いと、期外収縮が出現した場合、心筋の受攻期に重なり(=R on T)、心室頻拍、心室細動などの重篤な心室性不整脈が生じやすくなる。  このような理由から、トルサードは直ちに、適切な治療を行わないと、きわめて容易に心室細動に移行するためとても危険だと言える。   Q.なぜ、longQTが心室細動のような不整脈を引き起こすのか。

電気的徐細動のための電極の位置 前方電極(1)は、第2,第3肋間に当たる胸骨の右上に置く。 トルサードが心室細動に移行した場合どのような治療をすれば、患者を死から救えるか? これは致死的不整脈である心室細動に対する唯一の確実な治療法である電気的徐細動といい、心筋がバラバラに活動している状態に心筋全体を同時に脱分極させることにより、心筋を電気的に同調させ、心筋収縮の同調性を回復させるというものである。(ちなみにこれは昨日テレビの救命病棟24時というドラマで江口洋介演じる天才外科医・進藤が使ってたやつです。みなさんご覧になってたでしょうか?)この方法は心室細動のみならず、心房細動、上室頻拍、心室頻拍を、その原因を問わず、一瞬にして治す方法として有効である。 ここで注意しておきたいことは、電気的徐細動という方法は一次的なものとしては非常に有効であるが、直接その原因を取り除くものではないので、再発予防として薬物治療などで心室細動 の誘発因子を取り除く必要があることだ。 前方電極(1)は、第2,第3肋間に当たる胸骨の右上に置く。 側方電極(2)は、左側壁の中間線上の第5肋間に置く。

3.薬物治療について

Hydrochlorothiazide:チアジド系利尿薬 Aspirin:酸性抗炎症薬 主な作用 1、解熱 2、鎮痛 3、抗炎症作用 4、血小板凝集阻害作用 アスピリンは酸性抗炎症薬のひとつ。 作用機序は、COX(シクロオキシゲナーゼ)の活性部位を変化させることで不可逆的に酵素活性を阻害。 主な作用は、解熱、鎮痛、抗炎症作用、血小板凝集阻害作用があり、この患者ではこの血小板凝集阻害作用を用いて心筋梗塞の再発予防として使われている。 ヒドロクロロチアジドはチアジド系利尿薬のひとつ。 作用機序は、遠位曲尿細管の管腔側のNa-Cl共輸送を抑制することによりNaClの再吸収を抑制し、利尿作用を現す。 利尿によって体内の水分を外に出し、循環血液量を減らして、心臓への負担を少なくするために使われている。 Hydrochlorothiazide:チアジド系利尿薬

再分極を生じる遅延整流K+チャネルを遮断し、T波の 発生を阻害。それにより、心筋細胞の活動電位持続 Sotalol:抗不整脈薬Ⅲ群の薬物 作用機序 再分極を生じる遅延整流K+チャネルを遮断し、T波の 発生を阻害。それにより、心筋細胞の活動電位持続 時間(APD)や不応期が延長され、リエントリーをブロ ックし、抗不整脈作用を示す。 ソタロールは抗不整脈薬Ⅲ群の薬物のひとつ。 作用機序は、再分極を生じる遅延整流Kチャネルを遮断し、T波の発生を阻害。それにより心筋細胞の活動電位持続時間(APD)や不応期が延長され、リエントリーをブロックし、抗不整脈作用を示す。 ソタロールのようなAPDを延長させる薬を過剰に投与すると、副作用としてQTの延長が生じる。 副作用 QT間隔の延長(低カリウム血症で起こりやすい)

4.治療の批判

Inferior myocardial infarction (下壁心筋梗塞)の既往がある 本症例の留意点 Inferior myocardial infarction (下壁心筋梗塞)の既往がある この症例において最も留意すべき点は、過去に下壁心筋梗塞の既往があるということ。これをふまえて検討する。

Aspirin 325mg per day, hydrochlorothiazide 50mg per day を処方していたが・・・ 1~2行目 Aspirin 325mg per day, hydrochlorothiazide 50mg per day を処方していたが・・・ →ACE阻害薬(カプトプリル、エナラプリル等)を用いて   血圧を下げ、remodeling を抑制すべきだった。 1~2行目にあるように、担当医は当初、アスピリンとヒドロクロロチアジドのみを処方しているが、ACE阻害薬であるカプトプリルやエナラプリルなどを用いて血圧を下げ、心筋のremodelingを抑制する必要もあったのではないか。臨床的には、心筋梗塞後できるだけ早い時期に最低6週間投与し続けるのがよいとされている。

心電図が4連発の心室性頻拍を示したときに、医師は sotalolの処方量を増やしたが・・・ 4~6行目 心電図が4連発の心室性頻拍を示したときに、医師は sotalolの処方量を増やしたが・・・ →sotalol 80mg three times per day まではよかった。 心電図が4連発の心室性頻拍を示した段階で、sotalolの 効果によりQT間隔延長が表れていたのではないだろうか。 また、4~6行目にあるように、sotalol80㎎1日3錠投与した数日後に患者がめまいの発作を訴え来院し、心電図が4連発の心室性頻拍を示すのを確認して、担当医は最初のsotalol投与量が不足と判断し、160㎎1日2錠へと用量を増やした。結果的にはこのsotalol増投与が後のTorsade de pointesを招くことになる。前述のように、sotalolにはQT間隔を延長する作用があり、過剰投与によってEADの好発、ひいてはTorsade de pointesを招く両刃の剣であるといえる。 この場合とるべき措置は、心筋梗塞後であることを考慮して、抗不整脈薬Ⅰb群のナトリウムチャネル遮断薬であるメキシレチン、β遮断薬のプロプラノロールを用いるのが好ましいといえる。メキシレチンは経口投与が可能なナトリウムチャネル遮断薬であり、APDを短縮させる作用があるので、この症例における過剰なQT間隔の延長を補正するのに都合がよい。一方、β遮断薬投与によって、心拍数の減少、心拍出量の低下が起こり、臨床的には、心筋梗塞発症後数週間以内に投薬を開始することで死亡率が低下するというデータがある。 ここで再確認すべき点は、初めのsotalol80㎎1日3錠という処方に誤りがあったのではなく、再来院の際にはおそらくsotalo lの作用によってQT間隔の延長が起こっており、その後のsotalol増投与によってTorsade de pointesを導いてしまったことである。仮に、sotalolを増投与せずに、前述のメキシレチンやβ遮断薬を投与していれば未然に防ぐことができたのかもしれない。   →抗不整脈薬Ⅰb群 (Na+チャネル遮断薬)・・・mexiletine 抗不整脈薬Ⅱ 群(β遮断薬)       ・・・propranolol               を用いればよかった。

torsade de pointes を誘発する危険因子として 当てはまらないものを選べ。 ①低カリウム血症 ②徐脈 問題1  torsade de pointes を誘発する危険因子として 当てはまらないものを選べ。  ①低カリウム血症  ②徐脈  ③mexiletine 過剰投与  ④sotalol 過剰投与 〔解答・解説〕 ④ 徐脈に伴うQT間隔の延長、低カリウム血症に伴うカリウムチャネル抑制によってEADが好発し、Torsade de pointesを誘発する恐れがある。また、sotalol は非選択性β遮断薬であり、かつ遅延整流性カリウム電流を抑制してAPDを延長する作用があるため、その過剰な投与はTorsade de pointesを招くことがある。一方、mexiletine は抗不整脈薬Ⅰb群のナトリウムチャネル遮断薬で、APDを短縮させる。  

心筋梗塞回復期患者での心室頻拍が起こる最も考えられ る発生機構は、瘢痕化した心筋梗塞巣近傍でのA{①リエン 問題2  { }の中から、正しいものを選べ。  心筋梗塞回復期患者での心室頻拍が起こる最も考えられ る発生機構は、瘢痕化した心筋梗塞巣近傍でのA{①リエン トリー ②トリガー活動}である。これを防ぐ薬物選択の一つ として、B{③APD ④DAD ⑤EAD}を延長させる抗不整脈 薬が考えられる。しかし、Bの延長に基づくC{⑥PQ ⑦QT  ⑧RT}の延長によってtorsade de pointesを導くことがあり注意 が必要である。この場合は、D{⑨Ⅰa ⑩Ⅰb ⑪Ⅰc}群抗不 整脈薬を用いてBを積極的に短縮させる。 〔解答・解説〕 A-①   B-③   C-⑦   D-⑩ 心筋梗塞後は、瘢痕化した心筋梗塞巣近傍で均一伝導の異常によって旋回路が形成され、一方向性ブロックという現象が生じるため、リエントリーによる不整脈が起こりやすい。これを抑えるために、抗不整脈薬Ⅰa群やⅢ群を用いてAPD を延長させるということがなされるが、過剰投与によるAPD延長に伴ったQT間隔の異常な延長は、EADの発生によってTorsade de pointes を導くことがある。この場合、Ⅰb群の抗不整脈薬を用いてAPDを積極的に短縮させる。