国民保護法制とテロ対策 現在のテロ対策は有効か? 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
この分野に興味を持つようになったきっかけ ・10年前の地下鉄サリン事件や新宿駅青酸ガス事件に自分や身近な人が巻き込まれ、それ以降テロ対策に興味を抱くようになり、 ・麻生幾著「宣戦布告」「極秘捜査」を読み、日本の危機管理体制に疑問を持つようになった。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
今回選んだ記事 ①対テロ国民保護始動(朝日2005年10月20日) ②国民保護計画中央省庁の対応決定(2005年朝日10月28日) ③国民保護法対テロ訓練、公開で差 国の「非公開」に揺れる(朝日2005年10月30日) 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
記事の要約 ①10月20日に治安出動を想定した陸自と警察の共同訓練が実施された。国民保護法に基づき工作員が侵入したとの設定。陸自と警察が工作員の発見と制圧を行うというもの。陸自車両が白バイに先導されて公道を走行。 また政府は28日に全都道府県参加の図上演習を行う予定。11月27日には内閣官房、福井県の主導で原発へのテロ対処訓練を行うことを計画。 事情が地域によって大きく異なるので政府の計画そのままでは使いづらいものがある。 ②政府は10月28日の閣議で、中央省庁を含む「指定行政機関」28団体の対応策を定めた国民保護計画を決定。計画は住民の避難や救援、国民生活の安定を目指すもの。省庁はそれぞれ「国民保護対策本部」を設置し、事態にあたることになる。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
政府は演習前に内閣官房を通じて、「安全保障に関わる情報が含まれる」として参加する機関に詳しい情報の公開をしないように求めた。 ③国民保護法に基づく図上演習が28日行われたが、省庁の中で演習の様子を公開したのは消防庁が朝と昼の計20分間だけ。演習の想定の対象となった、埼玉、富山、鳥取、佐賀の四県では公開の時間や質に差が出た。 政府は演習前に内閣官房を通じて、「安全保障に関わる情報が含まれる」として参加する機関に詳しい情報の公開をしないように求めた。 佐賀県は10分間だけ。 富山県は当初20分間だった公開時間を40分に延長。 埼玉県は終日公開。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
(武力攻撃事態法、自衛隊法等一部改正法、安全保障会議設置法一部改正法) 国民保護法制とは 有事関連三法 (武力攻撃事態法、自衛隊法等一部改正法、安全保障会議設置法一部改正法) 米軍行動関連措置法 海上輸送規制法 特定公共施設利用法 国民保護法 自衛隊法一部改正法 捕虜取り扱い法 国際人道法違反処罰法 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
今回の訓練の意味 ・数十年ぶりに防衛庁と警察庁の間で治安出動に関する取り決めが改定されたこと。(警察と自衛隊で共同の作戦本部の立ち上げ) ・治安出動であるため、武器の使用が自衛隊法ではなく警職法に基づいて行われた。また防衛出動ではなく治安出動であるので自衛隊にフルに権限が与えられていない。 ・訓練の想定に疑問あり。 ・警察と防衛庁の間で権限や任務、運用について違いが多い。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
私一人で協力するかどうかの判断はできない。 治安出動段階での問題点 不審者の 取り締まりに協力を 私一人で協力するかどうかの判断はできない。 隊長を通して下さい。 それにあまり権限も無い。 ・自衛隊はあくまでもチームプレイ。上からの命令を基礎として動くのに対して、警察は1人1人がある程度の自立性を持って動くことになる。 ・治安出動、警護出動の段階では自衛隊員には不審者検束の強力な権限が与えられている訳ではなく、警察の補助力。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
隣町にて工作員発見一緒に来て下さい! そこは県外なので 進出できません ・自衛隊と警察では(地理的な)担任範囲が違うので、自衛隊の動きに警察がついていけないという事態も。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
・治安出動段階では武器の使用は警職法が適用される。 隊長!工作員です!撃っていいですか? こっちから手を出さなければやられない 駄目だ。警察比例の原則がある! ・治安出動段階では武器の使用は警職法が適用される。 ・上のような問題が発生するのは警察官の武器使用は相手と同等のものに限られる警察比例の原則があるから。 ・つまり、治安出動の段階では相手を圧倒する強力な火器で制圧することは法律上は不可能。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
警察と自衛隊の無線が違い過ぎて連絡取りにくい・・ 警察の使ってる地図はよくわからん・・・ 3丁目の商店の南ってどこだよ? 警察と自衛隊の無線が違い過ぎて連絡取りにくい・・ 3丁目の商店の南に不審者です。無線通じ無いんですが ・警察と自衛隊ではそもそも使っている地図、無線が違い過ぎ意思の疎通が困難な面がある。 ・また地元との接し方が普段から違い上のように警察の感覚と自衛隊の感覚が食い違い部隊の動きを妨げることにも。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
共同の作戦本部の立ち上げについて 警職法 自衛隊の司令部 警察の司令部 法律以外に両者の間を取りもつものが存在しなかった。 以前は・・・ 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
これで司令部を一本化し、共通の司令部で互いの部隊を動かすことになった。 治安出動の想定を暴動鎮圧から本格的なテロ対策へ 今回からは 警職法 共同司令部 自衛隊の部隊 警察の部隊 これで司令部を一本化し、共通の司令部で互いの部隊を動かすことになった。 治安出動の想定を暴動鎮圧から本格的なテロ対策へ 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
11月27日の訓練 ・国民保護法下住民ら初訓練 福井原発テロ想定(朝日2005年11月28日1面、2面) 記事の要約 ・国民保護法下住民ら初訓練 福井原発テロ想定(朝日2005年11月28日1面、2面) 記事の要約 他国からの武力攻撃や大規模テロから住民を守る方法を定めた国民保護法に基づく初めての実働訓練が、27日福井県で実施された。国籍不明のテロリストが関西電力美浜原発を迫撃砲で攻撃し、放射能漏れの危険性が高まったという想定。地元住民、警察、国、県、自衛隊、民間企業の1300人が参加。住民約70人が同法で協力を義務付けられた民間企業のバスや海上保安庁の巡視船で避難。自衛隊は県からの保護派遣要請を受けて、軽装甲機動車6台と24人が出動。避難を誘導した。 自衛隊の治安出動は今回は無し。警察が警備や交通規制に当たった。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
今回の訓練の問題点 ・住民の間にこの訓練の意義が浸透していない。「現実味がない」 今回の訓練の問題点 ・住民の間にこの訓練の意義が浸透していない。「現実味がない」 ・実働訓練とはいうものの訓練の中身に関しては、可能な限り有事色を薄めたものになり公開の避難救援活動を訓練の中心にして形式的なものになってしまった。 ・今回は治安出動ではないので自衛隊はテロ制圧の表に出てこれず。あくまでの避難誘導の時の「盾」に過ぎず。 ・観光客対策は今回の訓練には入っていない。 ・そもそも訓練が行われた場所の地理的な特性から今回のような訓練は実際の場面では役立たない可能性も。 ・指定された民間機関に準備が進んでおらず、行動計画が出来上がっていなかった。 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
・そもそも自衛隊員は避難誘導の護衛ではなくあくまで敵を攻撃し斃すのが役目。つまり今回の避難誘導の護衛というのは誤った使い方。 ・武器使用の基準が不明確(自衛隊員は基本的に武器の使用ができない。ただ回りに警察官がいない場合に限って自己と自己の管理下にある人を守るためだけには使える。) ・そもそも自衛隊員は避難誘導の護衛ではなくあくまで敵を攻撃し斃すのが役目。つまり今回の避難誘導の護衛というのは誤った使い方。 ・警察が警備を行うとなっているが、果たして自衛隊を保護派遣要請という形で出動させている段階で迫撃砲まで装備したテロリストの排除、一帯の安全の確保までできるか? 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
誰がどうやってテロリストを制圧するのか? 現地対策本部 警察(警備、交通規制) 県 自衛隊(避難誘導) 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
有事法制成立前と後 前 テロ発生 閣議 自衛隊に治安 出動命令 一義的には災害対処 法規で対応 (主に警察) 防衛出動命令 閣議&安全保障会議 (警察力のみでは無理) いよいよ だめだ! 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
後 テロ発生 有事関連法の適用 閣議 防衛出動命令 自衛隊 治安出動 長官命令 いよいよ だめだ! 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚
この問題を研究するには この問題が問題として認識されて議論されるようになった経緯 問題として認識されてからの法律や行政機関の動きの追跡 単に法律の解釈の問題にならないように気をつけること これを法律の問題の解釈だけではなく、どのような政策として捉えるか 問題が問題だけに詳細が資料として公表されないものが多い 2018/11/8 上沼ゼミⅠ平塚