微粒子合成化学・講義 http://res.tagen.tohoku.ac.jp/mura/kogi/ E-mail: mura@tagen.tohoku.ac.jp 村松淳司.

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微粒子合成化学・講義 http://res.tagen.tohoku.ac.jp/mura/kogi/ E-mail: mura@tagen.tohoku.ac.jp 村松淳司

成績点数のつけ方 各小テスト 100点満点 基礎点=(全小テスト点数÷100×出席回数)×8 特別加算 点数=(出席回数-9)×2 各小テスト 100点満点 遅刻は1分×10点で減点 基礎点=(全小テスト点数÷100×出席回数)×8 村松以外の講義,講演会(6/30)出席と,公欠は100点とする 特別加算  点数=(出席回数-9)×2 講義出席回数が10回以上には特別加算する 講演会の出席と公欠は含めない 遅刻・早退は含めない たとえば,14回出席で全部100点,遅刻なしの場合は,122点となるが,100点以上は,100点に切り捨てる

今後の予定 07/19 火 第10回 吸着現象と触媒 07/26 火 第11回 触媒の働き 08/02 火 第12回 活性化エネルギー 07/19 火 第10回 吸着現象と触媒 07/26 火 第11回 触媒の働き 08/02 火 第12回 活性化エネルギー 08/09 火 第13回 環境触媒

自動車触媒

排ガス規制 -ガソリン車

排ガス規制 -ディーゼル大型

自動車触媒

Rh は少量で三成分の浄化に高活性を示す  Pt, Pd を比較すると、Pd の方が浄化特性に優れている   ⇒ しかしながら、旧来、Pd より Pt の方を Rh と組合せて用いてきた N.E.ケムキャットのサイトから: http://www.ne-chemcat.co.jp/business/auto/threeway.html

NOxの還元には,当然還元領域(酸素の少ない領域)が好都合 酸化反応であるHC,COの燃焼にとっては,不都合で除去率が低くなる HC,COの酸化にとって好都合の酸素の多い領域では,NOxの除去がうまくできない 理論空燃比14.6の前後(僅かに開いた窓:ウインドウと呼ばれる)では,NOx,HC,COすべてが,約90%の除去率で浄化される 空燃比

助触媒: 触媒主成分に少量加えることで、活性、選択性あるいは 寿命を向上させる作用を持つ 助触媒: 触媒主成分に少量加えることで、活性、選択性あるいは       寿命を向上させる作用を持つ - 酸素が多いと酸素を吸蔵      ⇒ 排ガス中の酸素が減る - 酸素が少ないと酸素を放出      ⇒ 排ガス中の酸素が増える N.E.ケムキャットのサイトから: http://www.ne-chemcat.co.jp/business/auto/threeway.html

Pt粒子

三元触媒システム トヨタ自動車 1977 当時、世界一厳しい53年排出ガス規制に対応するため同時に酸化・還元処理する三元触媒装置。1977年、EFI方式のM-EU型エンジンに採用されクラウンに搭載された量産システムとしては世界初。 三元触媒式の排出ガス浄化装置は、電子燃料噴射(EFI)エンジンに装備され、CO、HC、NOxの3成分を一つの触媒で同時に酸化・還元処理する。そのためには、燃料噴射量を空気量に応じて常に理論空燃比(重量比で14.7)に制御する必要があり、三元触媒に入る排出ガス中の酸素量をO2センサーで検知し、酸素量に応じた燃料噴射量をコンピュータによって算出、制御する。 当時の三元触媒は白金ロジウム系を使用したペレット タイプで、直径2~4mmの粒状のセラミックスの表面に活性成分が担持され、1gあたりの表面積は50~150にm^2達した。多数の粒状セラミックスは金属ケース(触媒コンバーター)に収められ、エキゾーストマニホールドとマフラーの中間の排気管に装備された。

物理化学 次は,速度論 平衡論=DLVO理論 速度論=触媒反応

粒子径による粒子の分類 微粒子 コロイド分散系 超微粒子 ナノ粒子 光学顕微鏡 電子顕微鏡 1m 10cm 1cm 1mm サブミクロン粒子 100nm 10nm 1nm 1Å 光学顕微鏡 電子顕微鏡 ソフトボール 硬貨 パチンコ玉 小麦粉 花粉 タバコの煙 ウィルス セロハン孔径 微粒子 超微粒子 クラスター サブミクロン粒子 コロイド分散系 ナノ粒子

粒子径による粒子の分類 微粒子 コロイド分散系 超微粒子 ナノ粒子 光学顕微鏡 電子顕微鏡 100μm 1m 10cm 1cm 10μm ソフトボール 10cm 硬貨 微粒子 1cm パチンコ玉 10μm 光学顕微鏡 1mm 小麦粉 1μm サブミクロン粒子 コロイド分散系 100μm 10μm 花粉 1μm 100nm タバコの煙 電子顕微鏡 100nm ウィルス 超微粒子 10nm 10nm ナノ粒子 セロハン孔径 1nm 1Å 1nm クラスター

ナノ粒子 10-9 m = 1 nm 10億分の1mの世界 原子が数~十数個集まった素材 バルクとは異なる物性が期待される バルク原子数と表面原子数に差がなく、結合不飽和な原子が多く存在する

表面構造と触媒機能

表面構造と触媒機能

比表面積の計算

触媒 工業触媒 触媒設計 活性、選択性、寿命、作業性 表面制御 バルク制御 金属触媒→金属種、価数、組成、粒径など 担体効果、アンサンブル効果、リガンド効果

活性 活性点1つあたりのturnover frequency 触媒材料全体としての活性 触媒全体の活性は全表面積に依存 1サイトあたりの表面反応速度 触媒材料全体としての活性 触媒全体の活性は全表面積に依存 しかし、構造に強く依存する場合もある(後述)

寿命 触媒寿命 同じ活性選択性を持続する 工業的には数ヶ月から1年の寿命が必要 失活 主にシンタリングや触媒物質自身の変化

選択性 特定の反応速度だけを変化させる COの水素化反応 反応条件にも左右される Cu: CO + 2H2 → CH3OH Ni: CO + 3H2 → CH4 + H2O Co, Fe: 6CO + 9H2 → C6H6 + 6H2O Rh: 2CO + 2H2 → CH3COOH Rh: 2CO + 4H2 → C2H5OH + H2O 反応条件にも左右される

酸化状態の制御の例 Mo/SiO2触媒 COの水素化反応→炭化水素、アルコール合成 Mo(金属状態)→低級炭化水素を生成 Mo金属上でCOは解離し、アルコールは生成しない Mo(4+)→低活性で極僅かにメタノールを生成 Mo(4+)上ではCOは非解離吸着し、-CO部分を保持 Mo(金属)とMo(4+)→混合アルコールを生成 解離したCOから炭素鎖を伸ばす-CH2が生成 末端に-COが付加し、水素化されてアルコールに

サイズ制御 比表面積を大きくし全体の触媒活性を増大 TOF (Turnover Frequency)がサイズに依存 量子効果

半径が小さくなるほど、比表面積は大きくなる!

触媒設計 表面情報の正確な把握 精密な表面機能制御 局所構造制御と評価が重要

触媒の分類 均一系触媒 不均一系触媒 反応物、生成物と同じ相 例: 酢酸合成のロジウム触媒 相が違うもの 例: 固体触媒 例: 酢酸合成のロジウム触媒 液相均一系 触媒も液体 不均一系触媒 相が違うもの 例: 固体触媒 担持触媒、無担持触媒

担持金属触媒 担体物質上に、触媒金属が担持されている 担体は粉体か、塊状態である 触媒金属 担体

担持金属触媒 担体 触媒金属 金属酸化物が多い 細孔が発達しているものが多い 機械的強度に優れている 担体上に担持、分散 数nm程度の大きさが理想とされる 実際は5~50nm程度の場合が多い

担体: 比表面積が大きい

担体の例: 活性炭 ヤシガラ活性炭   石炭系活性炭 木炭系活性炭

活性炭

木炭の表面

担持金属触媒 担体 触媒金属 金属酸化物が多い 細孔が発達しているものが多い 機械的強度に優れている 担体上に担持、分散 数nm程度の大きさが理想とされる 実際は5~50nm程度の場合が多い

担持金属触媒調製法

表面構造と触媒機能

表面構造と触媒機能

構造敏感・構造鈍感 構造鈍感 構造敏感 表面積が大きくなる効果のみ現れる 触媒活性は粒径に依存 粒径が小さいほど大きい 粒径が大きいほど大きい ある粒径で最大となる

構造敏感・構造鈍感

構造敏感・構造鈍感

構造敏感・構造鈍感

構造敏感・構造鈍感

吸着と触媒反応

吸着が始まり 物理吸着 弱い吸着: 必ず自然界にある 化学吸着 強い吸着: 化学結合を伴う

Table 化学吸着と物理吸着 吸着特性 化学吸着 物理吸着 吸着力 化学結合 ファン・デル・ワールス力 吸着場所 選択性あり 選択性なし 吸着層の構造 単分子層 多分子層も可能 吸着熱 10~100kcal/mol 数kcal/mol 活性化エネルギー 大きい 小さい 吸着速度 遅い 速い 吸着・脱離 可逆または非可逆 可逆 代表的な吸着の型 ラングミュア型 BET型  

物理吸着

物理吸着

物理吸着

                                                                                             

物理吸着                                                                                            

化学吸着

化学吸着 解離吸着 Ex. CO + M(吸着サイト) → C-M + O-M 非解離吸着 Ex. CO + M(吸着サイト) → CO-M

吸着等温線

吸着等温式 Langmuir Henry Freundlich Frumkin-Temkin p: 吸着平衡圧 v: 吸着量 b: 飽和吸着量 θ= v / b θ << 1のときに相当

吸着等温式 Langmuir Henry Freundlich Frumkin-Temkin ほとんどの化学吸着が該当する 吸着熱は吸着量に無関係であるのが理論であるが、必ずしも理論には合わない場合がある Henry 直線的に吸着量が増加する式だが実際にはLangmuir型の一部とされている場合が多い Freundlich 吸着熱は ln v(吸着量)と直線関係にある 中間部分はLangmuir型に近いので見極めが難しい Frumkin-Temkin 金属鉄上へのアンモニアや窒素吸着で提出された特殊なケース 吸着熱は吸着量とともに直線的に減少する

化学吸着 ・Langmuir式(理論式) (1) kf,kb,吸着および脱着反応速度定数 (2) qm,飽和吸着量  平衡状態においてdq/dt = 0なので (3) KA,吸着定数

化学吸着 ・Freundlich式(実験式) (4) k,n,フロインドリッヒ定数;CA,吸着質の平衡濃度 (※吸着質(adsorbate):吸着される物質のこと)