兵庫県南部地震 ~地震の概要と被害の特徴~ 02T3059H 中村晋也
概要 発生日:1995年 1月17日 発生時:午前5時46分 マグニチュード:7.2 地震の種類:直下型地震 被害者数:50,227人 発生日:1995年 1月17日 発生時:午前5時46分 マグニチュード:7.2 地震の種類:直下型地震 被害者数:50,227人 被害家屋数:460,355棟 出火件数:285件 被害総額:約10兆円
人的被害 死者:6,432人 行方不明者:3人 負傷者:43,792人 家屋被害 全壊:186,175棟 半壊:274,180棟 概要 被害の内訳 人的被害 死者:6,432人 行方不明者:3人 負傷者:43,792人 家屋被害 全壊:186,175棟 半壊:274,180棟 (消防庁・兵庫県 2000/12)
概要 負傷の原因 打撲 骨折等 座滅等 合計 建物の下敷き 24 15 21 60 家具の下敷き 26 17 8 51 重量物の落下 14 2 18 つまずき 5 1 6 転倒・墜落 10 12 その他 16 9 30 小計 87 50 40 177 日本火災学会が震度7区の被災2,800世帯に対して実施した調査結果で、そのうち540世帯で負傷者が発生しており、5世帯に1世帯の割で負傷者が発生している。そのうちの怪我の程度が判明した356人について分析した。上の177名以外は切り傷や火傷などによって負傷した者。
特徴 人的被害 兵庫県南部地震は無風状態の冬の早朝に発生した。都市特有の被害が発生しやすい時間帯でなかったことや無風状態であったにもかかわらず、寝込みを襲われたのと住宅の倒壊・大破が多かったことが重なり、建物や家具による圧死・負傷といった大被害が発生するに至った。 そのため災害救急医療や膨大な避難者の発生が問題となった。 また、倒壊した家屋などの下敷きになった人は、およそ3万5千人に上がると推定されているが、そのうち消防・警察・自衛隊によって救出された人は、7,900名であり、その半数以上はすでに死亡していた。一方、近隣の住民に救出された人は約27,000人であり、生存率は80%を超えていた。木造家屋の倒壊では、初日の六時間が勝負といわれており、隣人住民の救出活動が重要性であることを指摘される結果となった。
道路や公園などが延焼遮断の役割を果たした。 特徴 地震火災 多数の火災が同時に発生 。 電気及びガスに関わる火災が多かった。 大規模な延焼火災が数多く発生。 大規模火災はゆっくり拡大。 耐火造からの出火、延焼が目立った。 飛火、再燃火災が発生した。 様々な消火活動障害が発生した。 消防設備などの損壊が各所で見られた。 広範囲に市民消火活動が展開された。 道路や公園などが延焼遮断の役割を果たした。
一見して明らかな、鉄筋コンクリートの建物の倒壊や崩壊はなかった。 特徴 家屋被害(RC) 一見して明らかな、鉄筋コンクリートの建物の倒壊や崩壊はなかった。 鉄筋コンクリート造りで大きく被災しているものは、ほぼ例外なく、1階部分が壁や柱の少ない店舗や車庫になっている、「ピロティ」形式をとっていた。こうした建物では、1階部分の強度が不十分なために1階の開口部が押し潰され、2階以上が傾いてしまう。
特徴 家屋被害(木造)1 古い木造の家屋は、立地位置によって破壊の程度に差が出ているようであった。 相当に立派な「お屋敷」でも、半壊ないし全壊している例があった。 和瓦はほとんどの家屋で乱れていて、相当数が路上などに落下していた。元々その地域では、地震災害よりも台風を警戒する傾向が強く、重い和瓦が好まれていたが、それが被害を大きくした。特に「お屋敷」や、寺などの門は、建造物の本体に比べて屋根瓦が極端に重たくなるためか、あちこちで倒壊していた。
特徴 家屋被害(木造)2 木造2階建てでは、2階が特定の方向に落ち、1階部分が完全に押しつぶされる 例が随所に見られた。これは水平方向に大きな力がかかったことを意味する。 住宅地では、4メートル程の道路が、倒壊した住宅で塞がれている場所が無数にあった。 プレハブやツーバイフォーと呼ばれる構法の住宅が耐震性を示した。その一方、日本の伝統構法の流れをくむ軸組構法の住宅に大破・倒壊したものが集中した。
特徴 塀、その他 家屋以上に塀の倒壊が目立った。 ブロック塀は一枚の板のように道路に倒れていた。 石垣や石積みの塀も、一部では崩壊していた。 こうした塀の倒壊によって、車庫や路上で押しつぶされた車も相当数あった。 電柱の被害も、無数にあった。 自動販売機のような、相当の重量物の転倒 も目立った。 石碑、石像類も数多く倒れた。
埋立地の高層住宅は、外から明らかな損傷はなかったが、道路舗装などのずれ、歪みなどは随所に認められた。 特徴 埋立地 近年造成された埋立地である芦屋シーサイドタウン一帯では、液状化現象が見られた。特に、公園の中の樹木が植えられたマウンド状の緑地から、砂や粘土が噴出している例が目立った 。 埋立地の高層住宅は、外から明らかな損傷はなかったが、道路舗装などのずれ、歪みなどは随所に認められた。
対策 延焼遮断の役割を持つ公園の設置や隣接建物の間隔など考慮し、計画性を持って街づくりをする。 極力ピロティー式の建物の建設は避ける。やむを得ない時は耐震を良く考慮する。 軸組構法の住宅を建てるときはきちんと耐震する。 家具は倒れても問題ないような配置にしたり、壁に固定したりすること。 塀をつくる際には地震が発生した時のことを考えてつくること。特に道路をふさがないようにすること。 石像なども倒れてこないようにしっかり固定する。 埋立地では液状化対策を怠らないこと。
参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/hyougokennannbujisin.htm http://www.sfc.keio.ac.jp/~t97175to/gprofall/sotsusaku11/node50.html http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/fulltext/95HQ.html