脚本:楠見 監督:梶原 キャスト:ヒーロー:坂田 ヒロイン:工藤 盛り上げ担当:栗田: 血糖値調節物語 ~怪獣グルカゴンが学んだこと~ 脚本:楠見 監督:梶原 キャスト:ヒーロー:坂田 ヒロイン:工藤 盛り上げ担当:栗田:
あぁ、今日も仕事大変だぁ。
疲れたし、おなかすいたわ。
Let’s have dinner!
そこで、ご飯を食べることにしました。
おいし♪
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ こうして、血中の血糖値があがりました。
体内には、私たちの知らざる世界があった・・・ ~これは、私たちの体内世界のお話~
この世界にはどんな者も皆仕事をもっていました。 皆の食事を運ぶ者、食べカスや残飯を捨てる者、違う世界の情報を収集する者、皆に仕事の命令を出す者。 ありとあらゆる者が、ありとあらゆる仕事を毎日、休みなく行っていました。
グルカゴンの仕事は世界に「トウ」というものを増やすことでした。 彼の下で働くグリコーゲンは働き者で、グルカゴンは彼を信頼し、いつも2人でいい仕事をしていました。 先祖代代この仕事をしてきたが、最近彼は自分の仕事に疑問をもち始めていました。 怪獣のくせに中間管理職で、いつも誰かに気を使っていなければならなかったし、「糖」を増やす仕事をもつ者は、世界にはたくさんいたのです。
場所はうつって、小さな国スイゾにある小さな小さな島のお話。 そこにはα地区とβ地区があります。 α地区には怪獣グルカゴン、β地区には戦士インスリンが住んでいました。
血糖値を上げるホルモン ☆グルカゴン ☆アドレナリン ☆成長ホルモン ☆コルチゾール
何より彼を疲れさせたのは、同じ島の中で「糖」を減らす仕事をする者がいたことでした。 彼の名を「インスリン」といいました。
インスリンはグルカゴンのすぐそばで仕事をしていました。 でも、彼らが言葉を交わすことはほとんどありませんでした。 皆がインスリンをちやほやし、また敬ったりしているのを見るたびに、自分の仕事など全く意味を持たない気がしていました。
最近自分がまだ小さかった頃のことを良く思い出しました。 父の仕事場に連れて行ってもらったとき、 「インスリンと我々グルカゴンは同じ運命をたどっている。どちらか一方が仕事を怠けても、世界は回らないし、どちらか一方が働きすぎたても世界の調和が乱れてしまう」 と聞かされました。 でも、グルカゴンにはその意味がわかりませんでした。
この世界には「トウ」を増やす仕事を持つものはたくさんいたからでした。 そんな時「僕はこの世界でいらない存在なのではないか」とまで考えてしまうのでした。
血中に糖を流したい グルカゴンのやりたいこと 血糖値を上げる ←促進 ←抑制 グリゴーゲン→グルコース ○○○→グルコース(糖新生) グルコース→消費(解糖系)
解糖系↓ グルカゴン グルコース グルコース-6-リン酸 フルクトース-6-リン酸 フルクトース-1.6-二リン酸 ホスホエノールピルビン酸 グルコキナーゼ グルコース-6-リン酸 フルクトース-6-リン酸 ホスホフルクトキナーゼ フルクトース-1.6-二リン酸 グルカゴン ホスホエノールピルビン酸 ピルビン酸キナーゼ ピルビン酸 リンゴ酸 オキサロ酢酸 ピルビン酸 オキサロ酢酸 ミトコンドリア
グリコーゲン分解↑ グルカゴン グルコース グルコース 1-リン酸 グルコース-6-リン酸 UTP グリコーゲン ホスホリラーゼ UDPG グリコーゲン(n) グリコーゲンシンターゼ グリコーゲン(n+1)
糖新生↑ グルカゴン グルコース グルコース-6-リン酸 フルクトース-6-リン酸 フルクトース-1.6-二リン酸 ホスホエノールピルビン酸 ホスファターゼ グルコース-6-リン酸 フルクトース-6-リン酸 フルクトース-1.6-二リン酸 グルカゴン ホスホエノールピルビン酸 ホスホエノール ピルビン酸 カルボキシラーゼ ピルビン酸 リンゴ酸 オキサロ酢酸 ピルビン酸 オキサロ酢酸 ピルビン酸カルボキシラーゼ
その日、いつものように仕事に出掛けようと家をでると空が曇っていました。 グルカゴンは嫌な予感がしました。 テレビのニュースでは最近の異常気象の話題で持ちきりだったし、仕事の量が減っていたのも気になっていました。 何より気がかりなのは昨日、帰りにすれちがったインスリンの顔色が、悪いように見えたからです。
予感は的中しました。 職場につくと顔を真っ青にした上司が走ってきたのです。 息を整える間もなく彼はいいました。 「大変だっ、インスリンが倒れた!!」
「あんたが糖を作りすぎるからインスリンがこんなになっちゃったんじゃない!」 周りを見ると、皆がそういう目で自分を見ていました。
「僕は、僕は・・・」 今や世界は異常気象でみんなろくに仕事もできない状態になっていました。 うつむいていた頭をあげると、ゆっくりと立ち上がったインスリンが目の前に立っていました。
「いこう・・・グルカゴン。・・・し、仕事の時間だよ」 「だめよ、また僕が仕事をしたら、糖があがるじゃないか! 僕は・・・
この世界を 救いたいんだよ、 インスリン」
インスリンが顔をほんの少しだけ動かして、笑いました。 「お前、かっこいいよ」 そういうとインスリンはグルカゴンの肩を借りて歩き出しました。 「さぁ、僕たちにできることをしよう。」
インスリンとは 膵臓に存在するランゲルハンス島β細胞から分泌 グルコースの細胞内取り込みを促進 グリコーゲン合成を促進 糖新生を抑制 血糖値を下げるホルモンはインスリンのみ
インスリン分泌のメカニズム 血中グルコース アミノ酸 グルカゴン この3つの濃度が上昇すると インスリン分泌が促進される
ATP感受性K+チャネル Ca2+ ATP GLUT2 Ca2+チャネル
インスリン受容体はインターホン!? えー! IRS-1 トランス ロケーション GLUT4含有小胞 グルコース PI3-キナーゼ チロシンリン酸化 IRS-1 PI3-キナーゼ PKB インスリン インスリン受容体 GLUT4含有小胞 トランス ロケーション グルコース GLUT4
ではここでクイズ GLUT4の働きによって、グルコースの細胞内への取り込みは何倍になるでしょう ①2倍 ②5倍 ③15倍 正解は・・・ ③15倍 実は10~20倍
インスリンもグルカゴンも、世界を動かすのには必要なんだ。 どちらがいなくなってしまっても駄目なんだ。 カゼや糖尿病になっても、この世界が動かなくなってしまっても、 この世界の誰のせいでもないことだってあるんだってことを・・・
私のせい・・・? え・・・?
そうですよ! ※食べ過ぎは いけません。
まとめ インスリンとグルカゴンは反対の働きをするけれど、切っても切れない関係にあります。 彼らが正常な働きをし続けられるかどうかは私たち次第です。 きちんとした食生活をし、アルコールの摂取しすぎにも気をつけましょう。
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