東京大学大学院 宇宙理論研究室 成田 憲保(なりた のりお)

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第 21 章 私たちはひとりぼっち か? 宇宙の生存可能性についての疑 問
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東京大学大学院 宇宙理論研究室 成田 憲保(なりた のりお) 太陽系外惑星の研究@2006 東京大学大学院 宇宙理論研究室 成田 憲保(なりた のりお)

今日の目標 太陽系外惑星研究の現状を知る 将来計画を知る どんな研究があるか 何がわかっていて、何がわかっていないか (世界の中の日本の現状) 将来計画を知る 今やっている研究が何か応用できるかも 到達目標までのステップ

もくじ 系外惑星の発見 視線速度観測からわかったこと 見直された惑星形成理論 原始惑星系円盤観測からわかったこと トランジット分光観測からわかったこと 系外惑星研究の将来

恒星と惑星 <太陽系外惑星> = 太陽系以外の恒星にある惑星 恒星…自分で輝く星(例:太陽・夜空の星) 惑星…自分では輝かず、恒星のまわりを    まわっている星(例:地球・火星) <太陽系外惑星> = 太陽系以外の恒星にある惑星

この人が最初に見つけました 2004年11月 京都にて

太陽系外惑星の発見方法 2つのメジャーな方法 Radial Velocity(視線速度)法 Transit(前面通過)法 152個の惑星系で確認されている Transit(前面通過)法 9個の惑星系で確認されている まずは最初の発見方法から

California & Carnegie Planet Search Team Radial Velocity法 主星の周りを公転する惑星の存在により、主星はその共通重心の周りを楕円運動する。すると、主星の視線速度(Radial Velocity)に周期的なドップラーシフトが現れる。 California & Carnegie Planet Search Team 直接観測量は視線速度の時間変化 フィッティングによって求まる物理量 公転周期 P 質量の下限値 Mp sin i 離心率 e 軌道長半径 a どうやって視線速度を決定するのか?

最大のポイントは恒星とreferenceを同時に取ること Radial Velocity法 最大のポイントは恒星とreferenceを同時に取ること Iodine Absorption Cell Method 恒星の光をヨウ素気体の箱に通す 装置としては楽だが、解析が複雑 恒星のスペクトルは基本的に破壊される Simultaneous Reference Technique Thorium-Argon ランプの光をファイバー分光 装置のコストは高いが、解析は楽 潜在的に高い精度を出すことができる

ヨードセルによる現在の観測精度 1σ~ 3 m/s Radial Velocity法 ヨードセルによる現在の観測精度 1σ~ 3 m/s 鏡 CCD 光 ヨードセル

ヨードセルによる現在の観測精度 1σ~ 3 m/s Radial Velocity法 ヨードセルによる現在の観測精度 1σ~ 3 m/s ヨウ素気体の箱を通して スペクトルに波長のものさし となる吸収線を焼き付ける 青:ヨードセルなし 赤:ヨードセルあり 現在最も多くの系外惑星を発見している、精度が高い検出方法。 日本も含め多くのチームが近傍の恒星をモニターし続けている。

Radial Velocity法 HARPS, SOPHIE による現在の観測精度 1σ~ 1 m/s 星の光のみ 星の光+ThAr A&AS 119, 373, (1996) 星の光+ThAr 星の光とものさしのThArの光を同時に取って並べる かつ、光学系全体を真空容器に入れて、温度変化を抑える

Radial Velocity法のまとめ 現在の観測精度 今後の展望 ではこの観測で何がわかったのか? ~1 m/s → hot Super-Earthまで見つけられる 数多くのチームがこの方法で惑星探しをしている 今後の展望 継続的に探すことで長周期の惑星も見つかる 多くの研究者は2015年までに千個の惑星が見つかると考えている ではこの観測で何がわかったのか?

見つかった惑星系のいろいろな統計を調べてみると… どんな惑星が見つかったのか? 152個の惑星系に176個の惑星が発見されている 見つかった惑星系のいろいろな統計を調べてみると… 太陽系外惑星系は太陽系の存在を 見つめなおす鏡となってくれる

最小質量の分布 重たい惑星の方が見つかりやすいため 木星のような巨大惑星が中心に見つかっている 系外惑星カタログ(C)Jean Schneiderより引用 なぜか木星より重くなると 発見数が減っている 12木星質量 重たい惑星の方が見つかりやすいため 木星のような巨大惑星が中心に見つかっている

1天文単位より近い(周期が短い)ところに惑星が多い 公転軌道の分布(全体) 6天文単位 観測期間によるバイアスもあり、 1天文単位より近い(周期が短い)ところに惑星が多い

公転軌道の分布(内側) 1天文単位 バイアスはほとんどないはずなのに 0.1天文単位より近いところに惑星が多い

太陽系と違ってかなり楕円の公転軌道を持っている 離心率の分布 太陽系と違ってかなり楕円の公転軌道を持っている

木星のような惑星が高い離心率を持って公転している 離心率と公転距離 火星 木星 地球 木星のような惑星が高い離心率を持って公転している

親星の金属量と惑星を持つ確率は強い相関がある 惑星を持つ親星の金属量 金属量の多い 恒星ほど惑星を 持っている 太陽の金属量 親星の金属量と惑星を持つ確率は強い相関がある

惑星がどうやって生まれたのかよくわからない 参考1 3つの太陽を持つ惑星系 HD188753 3つの恒星 12AU 0.04AU このまわりを惑星が 3.3日で公転している (C)NASA / JPL-Caltech 惑星がどうやって生まれたのかよくわからない

参考2 最も地球似(?)の惑星 一年の長さ 1.9日、 平均気温 300度 地球のような惑星はまだ見つかっていない Gliese 876 想像図 (C)Lynette Cook / NASA 一年の長さ 1.9日、 平均気温 300度 地球のような惑星はまだ見つかっていない

主星から近くて大きな惑星が発見されやすい 気づいたことのまとめ 観測のバイアス 主星から近くて大きな惑星が発見されやすい そのバイアスを考慮しても、0.1天文単位以下の軌道に巨大惑星(ホットジュピター)が多く存在する 離心率の高い軌道を持つ惑星系が多い 惑星系の多様性の発見 太陽系は宇宙の中で決して「標準」ではない! 木星よりずっと重たくなると発見数が減っていく 金属量が多いほど恒星は惑星を持ちやすいらしい

浮かび上がった多くの謎 ホットジュピターはどうやってできたのか? 離心率の高い軌道の惑星系の安定性は? 最近はMigration理論(後述)で説明されている でもどうして0.05天文単位付近で止まるのかわからない 離心率の高い軌道の惑星系の安定性は? 地球型惑星は存在できるのか? Brown Dwarf Desert(褐色矮星砂漠)の存在 連星系や惑星系は多く存在するのに、恒星-褐色惑星系が極端に少ないのはなぜ? 金属量と惑星を持つ確率の相関の理由は? 金属量が多いと惑星ができやすい? 惑星が恒星に飲み込まれている?

系外惑星の発見からわかったこと 私たちの太陽系は宇宙の中で 決して「標準」ではなかった この多様な惑星系はどのようにして できたのだろう?

もくじ 系外惑星の発見 視線速度観測からわかったこと 見直された惑星形成理論 原始惑星系円盤観測からわかったこと トランジット分光観測からわかったこと 系外惑星研究の将来

理論のポイントは太陽系とホットジュピターを説明できるかどうか 惑星系はどうできたのか? 現在のシミュレーションの2大勢力 Core Accretion (林モデル) 原始惑星系円盤の中で徐々にダストが集積する 材料物質の量によって内側に地球型、外側に木星型惑星が形成される Gravitational Instability (Cameronモデル) 巨大ガス雲の重力崩壊で木星型惑星が形成される 恒星からの輻射によって内側のガスがはぎとられる 理論のポイントは太陽系とホットジュピターを説明できるかどうか

円盤内部でのダスト衝突・ 合体による微惑星の形成 太陽系の形成 林モデル(京都モデル) flatな原始惑星系円盤内での惑星形成 原始星のまわりにflatな円盤が形成 ↓ 円盤内部でのダスト衝突・        合体による微惑星の形成 原始惑星によるガス・ダスト集積 巨大ガス惑星・地球型惑星の形成 特定領域研究 coverpageより

ホットジュピターはどうできたのか? Migration Theory 遠くでできた後、形成過程で内側へ移動してきた 巨大ガス惑星が主星の近傍に存在している しかし惑星の核となる固体は遠いところでしかできない 遠くでできた後、形成過程で内側へ移動してきた 微惑星と原始惑星系円盤の相互作用から説明 新しい発見から理論の修正・拡張が行われた

現状の問題点 初期条件は正しいか? 微惑星は形成されるか? 惑星落下問題 星雲ガスの散逸問題 原始惑星系星雲の観測が必要 磁場を入れたり輻射を入れたりでシミュレーション 惑星落下問題 止まるメカニズムが明らかでない 恒星との磁場相互作用?? 星雲ガスの散逸問題 いつ原始惑星系星雲は晴れ上がるか明らかでない

じゃあ観測してみよう 原始惑星系円盤の観測 コロナグラフ撮像観測 多波長測光・分光観測 偏光観測 中心星をマスクしてまわりの円盤を撮像する 円盤の形状を調べる 多波長測光・分光観測 いろいろな波長のフラックスを調べる 円盤の温度や組成を調べる 偏光観測 円盤からの反射光の偏光を検出する 円盤のダストのサイズや分布を調べる

AB Aur. の円盤構造の赤外線撮影に成功 (2004) すばる望遠鏡の観測成果 AB Aur. の円盤構造の赤外線撮影に成功 (2004)

β Pic. の円盤中に微惑星リングを検出 (2004) すばる望遠鏡の観測成果 β Pic. の円盤中に微惑星リングを検出 (2004)

すばる望遠鏡の観測成果 β Pic. の微惑星リングの組成分布 (2004)

原始惑星系円盤観測の現状 コロナグラフや補償光学の発達 今後の展望 つい最近になってようやく姿が明らかになってきた 若い星を観測することで惑星形成時の円盤の様子を見ることができる 今後の展望 大型望遠鏡、ハイコントラスト撮像装置などの開発 より恒星に近いところまで、より高い空間分解能で、より暗い天体まで見えるようになる 形成中・直後の惑星の発見が期待されている

もくじ 系外惑星の発見 視線速度観測からわかったこと 見直された惑星形成理論 原始惑星系円盤観測からわかったこと トランジット分光観測からわかったこと 系外惑星研究の将来

Planetary Transit 惑星の軌道が主星の前面を通過する場合、「食」が起こる。その周期的な主星の減光から惑星の存在を検出する方法。 直接観測量は光度の時間変化 フィッティングによって求まる物理量 見かけの大きさ Rp/Rs inclination i  Radial Velocity法と合わせると、惑星の質量、半径、密度などまで求めることができる。惑星の詳細がわかる貴重な観測方法。

視線速度だけではわからない、惑星に関する情報が得られる トランジットのメリット 視線速度だけではわからない、惑星に関する情報が得られる Transmission Spectroscopy 惑星大気元素の探索 実際にハッブル宇宙望遠鏡では発見されている 地上からはまだ見つかっていない Rossiter効果 惑星公転軸と主星自転軸のずれを見る HD209458で微小なずれを検出 6月にTrES-1を観測予定

Transmission Spectroscopy Transitをそれぞれの吸収線で見る 原理的には惑星大気中の元素を検出できる

宇宙からの大気吸収探索 過去のHSTの観測結果 2002年 中性NaのD線で0.02%の吸収量の増加が報告された 2003年 中性水素のLy α線で15%の大きな吸収量の増加 2004年 中性酸素と炭素イオンでも~7%の吸収量の増加 Charbonneau et al. 2002 Vidal-Madjar et al. 2003 Vidal-Madjar et al. 2004  http://www2.iap.fr/exoplanetes/images_hd209458.html

地上からの系外惑星大気の検出はまだなされていない 地上からの大気吸収探索 過去の可視光領域の観測結果 0.3Åの吸収線中心部において Bundy & Marcy (2000) Keck I /HIRES < 3 % Moutou et al. (2001) VLT /UVES 地上からの系外惑星大気の検出はまだなされていない 地上観測の障害 観測機器の安定性(Instrumental profile) 大気分子による吸収(Telluric)

過去の結果との比較 可視領域の吸収線に対して上限をつけているのはBundy & Marcy (2000)のみ 彼らの解析に合わせ0.3Åの幅で積分した結果 我々の結果が地上望遠鏡の最高精度となった

観測風景

Rossiter効果とは? Transitが引き起こす視線速度のずれ 惑星がどのようなalignmentを持って主星の前面を 惑星の公転軌道例 時間 視線速度のずれ Ohta, Taruya & Suto (2005) 惑星がどのようなalignmentを持って主星の前面を 通過するかによってずれのふるまいが決まる

HD209458でのRossiter効果 主星の自転軸と惑星の公転軸のずれの発見 惑星は原始星のまわりをとりまく 原始惑星系円盤の中でできる 惑星の公転軌道例 惑星は原始星のまわりをとりまく 原始惑星系円盤の中でできる 主星の自転と惑星の公転は 軸がよくそろっているはず しかし太陽と木星のそれぞれの軸はなぜか7度ずれている 我々は系外惑星系において初めて、同じようなずれを検出した Winn et al. 2005

観測風景

もくじ 系外惑星の発見 視線速度観測からわかったこと 見直された惑星形成理論 原始惑星系円盤観測からわかったこと トランジット分光観測からわかったこと 系外惑星研究の将来

世界の系外惑星研究の現状 大目標はもうひとつの地球探し まだ始まったばかり 今後の展望 本格的な研究が始まってまだ10年 観測がまだ少なく、わかっていないことが多い どのテーマにも数グループの研究者しかいない 最もホットな天文学のトピックスと言われている 今後の展望 地上望遠鏡の大型化 宇宙望遠鏡の打ち上げ 大目標はもうひとつの地球探し

地球型惑星を探す衛星 2008年6月 打ち上げ予定 (C)NASA Keplerイメージ図 (C)ESA COROTイメージ図 2008年6月 打ち上げ予定 (C)NASA Keplerイメージ図 (C)ESA COROTイメージ図 2006年10月打ち上げ予定

その惑星を調べる衛星 (C)NASA TPF-Cイメージ図 打ち上げ目標 2015年 (C)NASA TPF-Iイメージ図 (C)NASA TPF-Cイメージ図 打ち上げ目標 2015年 (C)NASA TPF-Iイメージ図 打ち上げ目標 2020年

世界では最もホットな天文学のトピックスのはずが… 日本の系外惑星研究の現状 世界では最もホットな天文学のトピックスのはずが… 日本の現状 視線速度観測、惑星形成理論・シミュレーション、原始惑星系円盤観測、トランジット観測が数名ずつの研究者によって行われている(1桁少ない) 衛星開発など宇宙望遠鏡の計画が遅れている 新しい若手研究者の発掘が必要 既成分野からの新規参入が期待されている 日本の系外惑星業界を盛り上げていきたい

夏の学校にて系外惑星セッションを開催します 系外惑星分科会 @天文・天体物理学夏の学校2006 2006年8月2・3日 夏の学校にて系外惑星セッションを開催します

まとめ 研究されていること 将来の展望 視線速度観測 惑星形成理論・シミュレーション 原始惑星系円盤観測 トランジット観測(測光、分光) マイクロレンズ観測(測光) 将来の展望 地球のような惑星を探して研究は続いていく