高知大学 教育学部 技術教育コース 科学技術教育コース 北川 晃 環境の科学・技術 環境技術概論 高知大学 教育学部 技術教育コース 科学技術教育コース 北川 晃
教科書
太陽電池による発電 半導体によるpn接合素子を用いて起電力を発生する. 発電効率~20%程度 天気に左右される
半導体とは 半導体 導体 電気の通りやすさ 絶縁体 禁制帯の大きさにより,電気の通りやすさが変わってくる. 通りやすい 通りにくい 電子は 自由に動ける 電子軌道が 存在しない (バンドギャップ理論) 電子は 詰まっていて 動けない 禁制帯の大きさにより,電気の通りやすさが変わってくる.
半導体とキャリアの注入 真性半導体 P型半導体 N型半導体 不純物を混入(ドープ)して, 自由に動ける荷電粒子 (キャリア)を作る (Ⅳ族元素の共有結合による結晶) 伝導体にほとんど 自由電子が存在しない P型半導体 (Ⅲ族原子を混ぜる) N型半導体 (Ⅴ族原子を混ぜる) ホール(正孔) 自由電子 不純物を混入(ドープ)して, 自由に動ける荷電粒子 (キャリア)を作る
ダイオード P型半導体とN型半導体を接合 + 拡散電流が流れるにつれ,両端に電位差が生ずる 空乏層 (ホールの拡散) (電子の拡散) P型半導体 - N型半導体 (ホールの拡散) (電子の拡散) 拡散電流が流れるにつれ,両端に電位差が生ずる ホールのエネルギー - + 空乏層 電子のエネルギー
バイオマスエネルギー 生物由来の有機エネルギー資源(薪,炭など). 燃やすとCO2を排出するが,その由来は元々光合成により大気から バイオマスエネルギーは 太陽光が起源であり, 再生可能エネルギーに 位置づけられる.
バイオマスの種類 廃棄物系バイオマス 黒液(木材パルプ廃液),古紙,食品廃棄物,建設廃材, バガス(サトウキビの搾りかす),家畜糞尿,下水汚泥,生ゴミ 未利用バイオマス 林地残材(間伐材,被害木など), 農作物非食用部(稲わら,もみがら) 資源作物 ソルガム(モロコシ,コウリャン),ナタネ(アブラナ),遊休地の稲, トウモロコシ,サトウキビ
廃棄物系バイオマス 生活や産業活動によって生じる いわゆる副産物や 廃棄物(一般・産業廃棄物). 廃棄物の処理にコストが かかる 廃棄物の処理にコストが かかる ため,その利用は一石二鳥.
未利用バイオマス 間伐などで切り落とされ, そのまま放置されているもの. 国はこれをかなりの高額で 買い取っている. これまで材木として用いられて いたものも,未利用バイオマス として使われている場合も. 木材利用と競合する.
資源作物 エネルギー源や製品の原料にすることを 目的として栽培される作物. 食用と同種のものが多いが, 食用に供しない作物. 食用と燃料用のトレードオフが懸念されて いる(穀物⇒畜産の飼料も値上がり) アメリカのレースでは 生物由来の燃料を 用いている.
バイオマスのカスケード利用(木材の場合) 最初は木の素材を生かした利用を行い,痛んでくるにつれ合板などとして再生し, 最終的には燃やして熱を利用するといったように,段階的な利用が望ましい.
夜間の電力利用 電力の使用量は昼間>夜間(人間は昼活動する),夜間電力は安い. 火力発電所の出力を調節することは,燃焼制御の面から好ましくないため, 夜だけ発電量を落とすことは難しい. 夜に発電された余剰電力は,二次電池(充電可能な電池),フライホイールの回転, 蓄湯,製氷,調整池の揚水などの形で蓄えられる.
分散型発電 発電所から消費地までの電力伝送に伴う損失が大きい(10%~) 比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置して電力の供給を行う方式. コジェネレーション(熱電併給)形式では,従来捨てていた熱(60%~)を利用.
温度差熱利用,雪氷熱利用 温度差熱利用 雪氷熱利用 地下水,下水の温度は,年間を通して一定. 夏には冷たく,冬には暖かい. 冬の間に雪を貯蔵する. 夏にこれを利用して冷却する. 豪雪地帯では,雪は廃棄物で, 処理にも相応のコストがかかる. 適度な湿度を保つため,農産物を 始めとする食糧庫の冷却に最適
燃料電池 電気化学反応によって燃料の化学エネルギーから発電する電池. 補充可能な負極活物質(水素など)と正極活物質(空気中の酸素等)を 常温または高温環境で供給し反応させ,継続的に電力を取り出せる. 一次電池や二次電池と異なり,燃料を供給し続ければ,永続的に発電できる. りん酸形燃料電池 (PAFC)が実用化されており,発電効率は40%~.
複合サイクル発電 第一段階として燃焼時に発生する燃焼ガスの勢いでガスタービンを回転し, 第二段階としてその高温排ガスの熱で水蒸気を発生させて水蒸気タービンを回す. ガスタービンの排気から熱を回収し,2重に発電を行うため,熱効率が高い. 熱効率が上昇する分,廃棄される熱エネルギーも少ないため, 冷却水量・温排水量が少なくなる. 始動時間が短い. 発電効率は50%を超える.
バイオブリケット ブリケットとは,いわゆる豆炭と呼ばれる,石炭粉などを固めてつくる燃料のこと. バイオブリケットは,原料におがくずや稲わら,砕いたトウモロコシの芯などの 植物性廃棄物(バイオマス)を15~20%混ぜ,脱硫のための消石灰を加えて 高圧で成形した燃料のこと. バイオマスを使っているため,着火温度が石炭より低く,未燃焼炭素が少なくなる. 硫黄分は消石灰と反応として石膏となる.また燃焼灰にはバイオマスからの マグネシウムやカリウムを含み,アルカリ性土壌改良材になる.
レシプロエンジン ピストンの直線運動をクランクを介して回転運動に変え,動力とする機関. ピストンを動かすために, ガソリン混合気(ガソリンエンジン) もしくは空気+軽油(ディーゼル エンジン)の形式がある. 吸気・圧縮・膨張・排気の4行程で 動作するので,4サイクルエンジン と呼ばれる. ピストン二往復(クランク二回転)で 爆発が一回起こる.
ガソリンエンジン ガソリンの燃焼により,水,二酸化炭素,一酸化窒素NO,一酸化炭素CO, 未燃焼の炭化水素HC,水素H2などが発生する. 混合気の空気質量を燃料質量で 割った無次元数を空燃比という. 空燃比がリッチな場合,CO,HCが多い. 空燃比がリーンな場合,燃焼温度が 低くなり,HCが増加する. 理論空燃比ではHCやCOは少ないが, NOが多くなる. CO2発生量も比較的多い.
ディーゼルエンジン 高温高圧になった空気に軽油を噴射して燃焼(希薄燃焼)させるため, 排気ガスにNOが多くなる. アクセルを踏んで燃料を多量に吹き込むと,燃料が空気と十分に混合せず, また高温であるため燃焼前に炭化し,燃焼しにくい黒煙を発生する. この黒煙にはPM2.5(Particle Matter 2.5,粒径が2.5μm以下の微粒子)や 発がん性物質であるベンゾ[a]ピレンやベンゼン,遺伝子に悪影響を及ぼす 3-ニトロベンズアントロンが含まれており, フィルターで除去する必要がある.
ロータリーエンジン レシプロエンジンと異なり,ローターの回転を直接回転運動として動力とする機関. レシプロエンジンと同じ4行程で動作するが,レシプロエンジンが二回転で一回 爆発するのに対し,ロータリーエンジンは 一回転で一度爆発させるので,同じ容量でも 高出力,燃料使用量も多くなる.
確認テスト バイオマスエネルギーとはどのようなものであるか簡単に説明せよ. バイオマスエネルギーの究極的な起源は何であるか. カーボンニュートラルとは何を意味するか. バイオマスエネルギーの具体例を挙げよ. バイオマスのカスケード利用について説明せよ. 燃料電池の特徴について説明せよ. 通常の火力発電と複合サイクル発電の違いを説明せよ. おがくずや麦わらなど(バイオマス)と消石灰を固めた燃料をなんというか. ピストンの直線運動をクランクを介して回転運動に変え,動力とする機関をなんというか. ロータリーエンジンは,9. と比べてどのような特徴があるか.