電気学会 北海道支部連合大会 放電物理 83 北見工業大学 12 October 2002

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電気学会 北海道支部連合大会 放電物理 83 北見工業大学 12 October 2002 弱電離気体プラズマの解析(L) 直流グロー放電を用いたベンゼンの分解-質量分析による分解生成物の調査- ○澤田 武志   佐藤 孝紀  伊藤 秀範  田頭 博昭 ( 室 蘭 工 業 大 学 )    下妻 光夫 ( 北 海 道 大 学 ) Studies on weakly ionized gas plasma (L) Destruction of benzene using DC glow discharge -Investigation of byproducts of benzene by mass spectroscopy- ○T. Sawada, K. Satoh, H. Itoh and H. Tagashira (Muroran Institute of Technology) M.Shimozuma (Hokkaido University) 1. 背景と目的 2. 実験装置の構成 3. 実験条件 4. 実験結果 5. まとめ

放電プラズマによるベンゼン分解に関する研究 背景と目的 背景 放電プラズマによるベンゼン分解に関する研究 Dennis L McCorkle : 希ガス中の直流グロー放電 [1]     ベンゼンの分解過程の可能性 Robert A. Morris : イオンドリフトチューブの実験 [2]                窒素イオンがベンゼン分解に寄与 Ryo Ono : パルス放電におけるOHラジカルの測定 [3]              OHの密度分布を調査 詳細な分解過程については述べられていない    ベンゼンの分解生成物を調査する これまでの報告 窒素-ベンゼン混合ガス中で直流グロー放電を発生させ, 発光分光分析, 圧力測定等を行ってきたが, 新たに質量分析を加えて調査を行った 質量分析と発光分光分析の同時測定により, H(1amu), NH3(17amu)およびCN(26amu)が共通して観測された 今回の報告 窒素-ベンゼンおよびアルゴン-ベンゼン混合ガス中で質量分析により 分解生成物の調査を行ったので, その結果について報告する [1] J. Phys. D: Appl. Phys. Vol. 32, 1999, pp.46-54 [2] Bulletin of The American Physical Society, Vol.43, No.5, 1998, pp.1412-1413 [3] IEEE Transactions On Industry Applications, Vol.36, No.1, 2000, pp.82-86

実験装置の構成 放電チェンバー (ステンレス製) 内径 : f155mm 高さ : 300mm 電極 (ステンレス製) 直径 : f60mm 平行平板 DC output range : Vmax=±1kV    Imax=±40mA KEPCO BOP 1000M GASTEC社製 測定範囲 : 2.5~120ppm ANELVA製 M-430HG 測定範囲 :     13.2~0.01×10-7Pa ANELVA製 M200QA- M 浜松ホトニクス製 PMA-11 測定波長範囲 : 200~950nm 波長分解能 : <2nm 質量数範囲 : 1~200amu 分解能   : M /ΔM 2M > = ALCATEL製 ATP80 到達圧力 : 5×10-7Pa 排気速度 : N2 80l/sec         He 50l/sec              H2 80l/sec 日本MKS製 622A11TAE 測定範囲 : 1.33×103Pa 分解能  : 1.0×10-4F.s. 精度    : 0.25% ALCATEL製 M2015SD 到達圧力 : 1.0×10-2Pa 排気速度 : 208l/min ALCATEL製 M2005I 到達圧力 : 1.0×10-2Pa 排気速度 : 80l/min Varian HS-2 到達圧力 : 1.3×10-6Pa 排気速度 : 285l/sec エア・ウォーター製 純度 : 99.999% 関東化学製 純度    : 99% 湯煎温度 : 60℃

実験条件 全圧 : p = 8.6Pa, Flow 混合比 : N2 : C6H6 = 9 : 1 , Ar : C6H6 = 9 : 1 電極間隔 : d = 25mm 放電電流 : I = 0.5, 1.0, 1.5mA, 放電OFF 放電電圧 :   N2 - C6H6      V = 712, 854, 982V    Ar - C6H6        V          = 625, 747, 862V 放電時間 : t = 40min 四重極質量分析計の測定条件 イオン化電圧 : EE = 40V

放電前後の質量スペクトル ( p = 8.6Pa, I = 1.0mA, EE = 40V ) N2 - C6H6 C2H4 N2 H2O C2H2 CN H NH3 OH HCN C2H3 C6H6 H2 C4H2~C4H4 N C3H3 CH3 NH CH4 NH2 C2H5 C2H C3H2 C5H3 C2 C5H2 CH * ■ : 放電発生によって減少   ■ : 放電発生によって増加 Ar - C6H6 Ar H H2O C6H6 H2 C3H3 C4H2~C4H4 OH C2H2 C2H C2H3 C3H2 C5H3 CH4 C2H4 C2 C5H2 CH3 CH * ■ : 放電発生によって減少   ■ : 放電発生によって増加

質量スペクトル(N2 - C6H6混合ガス) ( p = 8.6Pa, I = 1.0mA, EE = 40V ) 放電ON C2H4 N2 28(C2H4,N2) H C2H2 CN H2O 1 C2H3 HCN C6H6 H2 NH3 OH N 78(C6H6) C2H5 27(C2H3,HCN) 2 CH3 NH C2H CH4 NH2 26(C2H2,CN) C2 CH 放電ON 29 質量数 1 2 13 24 25 29 78 イオン H H2 CH C2 C2H C2H5 C6H6 17 (NH3 ,OH) 25 質量数 15 16 17 26 27 28 イオン CH3 CH4 C2H2 C2H3 C2H4 NH NH2 NH3 CN HCN OH N2 24 15(CH3,NH) 13 16(CH4,NH2)

質量スペクトル(Ar - C6H6混合ガス) ( p = 8.6Pa, I = 1.0mA, EE = 40V ) 放電ON H H2O C6H6 1 H2 OH C2H2 78(C6H6) CH4 C2H C2H3 2 C2H4 C2 26(C2H2) CH3 CH 質量数 1 2 13 24 25 78 イオン H H2 CH C2 C2H C6H6 放電ON 27(C2H3) 25 質量数 15 16 17 26 27 28 イオン CH3 CH4 OH C2H2 C2H3 C2H4 28(C2H4) 24 15(CH3) 17 窒素-ベンゼン混合ガスにおける質量スペクトル 13 16(CH4) 質量数 15 16 17 26 27 28 イオン CH3 CH4 C2H2 C2H3 C2H4 NH NH2 NH3 CN HCN OH N2

放電電流に対するスペクトル変化 (p = 8.6Pa, I = 0.5, 1.0, 1.5mA, EE=40V) ベンゼン vs 放電電流 放電電流の増加に対して, ・ ベンゼンは直線的に減少する ・ 分解生成物は増加する傾向がある 78(C6H6) 分解生成物 vs 放電電流 1(H) 27(HCN) 25(C2H) 2(H2) 17(NH3) 24(C2) 28(C2H4) 16(CH4,NH2) 13(CH) 26(CN,C2H2) 29(C2H5) 15(CH3,NH) 拡大 拡大

まとめ 窒素-ベンゼン混合ガスおよびアルゴン-ベンゼン混合ガス中で 直流グロー放電を発生させ, 質量分析を行った 窒素-ベンゼン混合ガス   窒素-ベンゼン混合ガス  ・ベンゼンの分解生成物としてH(1), H2(2), CH(13), CH3(15),    CH4(16), C2(24), C2H(25), C2H2(26) およびC2H4(28)が 生成される   ・ ベンゼンの分解生成物とともに副生成物としてNH(15), NH2(16),NH3(17), CN(26), HCN(27)が生成される 放電電流の増加に対して, ベンゼンは直線的に減少する。また, 分解生成物は増加する傾向がある