楕円フロー測定で探る RHICからLHCまでのQGP物質

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Presentation transcript:

楕円フロー測定で探る RHICからLHCまでのQGP物質 筑波大学 下村 真弥 Heavy Ion Cafe @ 東京大学 2008/08/02

Outline v2 楕円型フロー (Elliptic Flow) 実験結果@RHIC 理論との比較 まとめ LHCでv2を測る楽しみ

v2は、生成される粒子の方位角方向の異方性(Azimuthal anisotropy)の強度をあらわしている??? ビーム軸 x z 反応平面 非中心衝突 Y 生成粒子と反応平面の為す角度Φ x (反応平面) Y φ の分布をフーリエ展開 ex. Φ-Ψの分布 = dN/d(-Ψ) = N (1 + 2v2cos(2(-Ψ)))

v2は、生成される粒子の方位角方向の異方性(Azimuthal anisotropy)の強度をあらわしている??? ビーム軸 x z 反応平面 非中心衝突 Y 生成粒子と反応平面の為す角度Φ x (反応平面) Y φ の分布をフーリエ展開 = ex. Φ-Ψの分布 dN/d(-Ψ) = N (1 + 2v2cos(2(-Ψ))) 粒子の収量が、(x方向)>(y方向)なら、v2>0 v2 ・・・ 生成粒子の反応平面に対しての楕円率

楕円型フロー(Elliptic Flow)ってなに? ??? 衝突関与部の初期の幾何学的な異方性が運動量空間における方位角異方性となって検出されている。→ 衝突で生成された物質の性質を反映している測定量 ??? フロー ・・・ 粒子の集団運動 楕円型 ・・・ x方向とy方向に流れるフローの量が違う。 粒子の平均自由行程(λ)が衝突関与部の半径Rより十分大きければ、相互作用せず、粒子は等方的に広がる。(圧力勾配もうまれない) λ >> R ; 等方的(Isotropic) λ << R ; 異方的(anisotropic) Y X Y X R.P.

もし平均自由行程(λ)が衝突関与部の半径Rより十分小さければ・・・ ビーム軸 x z 反応平面 非中心衝突 Y 圧力勾配 小 圧力勾配 大 粒子放出 大 粒子放出 小 原子核の 非中心衝突では、衝突部の初期の形はアーモンド形(幾何学的異方性をもつ) QGP中でのパートンの平均自由行程λが衝突関与部の半径Rに比べて十分に小さいと、系が局所的熱平衡に達して圧力勾配をうむ 粒子の運動量空間での方位角異方性 λ>> R ; isotropic  自由ガスのように振舞う λ<< R ; anisotropic 流体のように振舞う mb (バーン) = 10e -31 m^2 fm (フェムト)= 10e-15 m 1 fm^2 = 10e-30 m^2 = 10 mb   λ ~0.6fm << R ~ 6 fm QGP物質の相互作用  圧力勾配  楕円型フロー  v2が有限  v2測定は、衝突関与部の初期の幾何学的な異方性が運動量空間における方位角異方性となって検出されている。→ 衝突で生成された物質の性質を反映している測定量 v2は衝突関与部の楕円率と1対1対応と考えられていた。

衝突後の時間発展の描像 相互作用があればv2は、発達する可能性がある。 v2が増える。 V2は、いつ作られたのか? 熱的凍結 化学的凍結 ハドロン化 QGP パートン熱平衡 衝突 Parameter Bunch /ring = 60 Bunch space = 213 No. particle / bunch = 109 Luminosity = 2 × 1026 cm-2 sec-1 Peak luminosity: ~ 3x1027 cm-2s-1 Collision ; 106 ns 相互作用があればv2は、発達する可能性がある。 V2は、いつ作られたのか?

実験結果と、そこからわかったこと v2というものは、絶対値ではなく比をみているということを常に気にとめてみてください。 pT dependence species dependence Energy dependence Size dependence v2というものは、絶対値ではなく比をみているということを常に気にとめてみてください。

v2; Phys.Rev.Lett.91 182301 (2003) PHENIX Elliptic flow @ Low pT 金+金、√s =200GeV RHIC実験では様々な粒子のv2が   測定され、有限な値を示している! 運動量が1.5 GeV/c以下では   質量が軽い粒子ほどv2が大きく   なることが観測されている。 v2(π)>v2(K)>v2(p)  => 流体力学モデルで説明。 非常に早い時間での熱平衡を仮定     τ0 = 0.6 fm/c  => 系が熱平衡状態になっていることを示唆     強く相互作用する物質の存在 meson(π,K)とbaryon(p)のv2の振る舞いが mid pTで異なる Hydro;Phys. Rev. C 67 (03) 044903 v2; Phys.Rev.Lett.91 182301 (2003) PHENIX ε0 = 23.0 GeV/fm3 nB = 0.25 fm-3 τ0 = 0.6 fm/c εf = 0.14 GeV/fm3 Tf = 170 MeV 潜熱 = 1.15 GeV/fm3 EOS --- (E,p,nB)

PRC48(1993)2462 M.Konno’s D-thesis 補足 PRC48(1993)2462 M.Konno’s D-thesis mT scaling からのずれを説明 spectra :横運動量分布も、流体力学を使ったモデル(Blast-wave Fit)で説明できている。 π/K/pの質量の違いからくる radial flowの効果を含むモデルによって、実験結果が再現でき、p+p実験との差も説明できている。 ハドロン化後のradial flowが存在 Low pT では、流体的振る舞い

クォークレベルでflowが決まっていることを示唆している。 Elliptic flow @ Mid pT v2: Au+Au, √s = 200GeV , MB KET = mT-m0 PRL 98, 162301 Mid pT (~1.5GeV/c<pT <~4.0GeV/c) 流体力学モデルで説明できない。 meson(π,K)とbaryon(p)でv2の振る舞いが異なり、クォーク数でスケールする。 クォーク数でスケールするとv2は同じカーブを描く (universal v2の存在) KET scaling で、質量の効果を取り除くと低いpT領域から一致する。 v2の横運動エネルギー依存が粒子種によらずに一致する。(なぜか?) Φメソンもクォーク数でスケールする。 u,d,sクォークに比べて重いcクォークも、u,d,sクォークと同程度にflowしているという解析結果もある。(Shingo’s D-thesis) Recombination の描像と一致する。 クォークレベルでflowが決まっていることを示唆している。

補足  のv2は、バリオンの v2 よりメソンの v2に近い。 QM06, A. Taranenko STAR preliminary 200 GeV Au+Au SQM06, M. Oldenburg  のv2は、バリオンの v2 よりメソンの v2に近い。 s-クォークもクォークレベルでフローがあり、u/dと同程度にフローしている。

Quark Number Scaling Hadron QGP Recombination model baryon meson Recombination model ハドロン化のメカニズムの一つで、近くにある同じぐらいの運動量を持つクォークがくっついてハドロンをつくるというモデル qq => Meson (π,K) qqq => Baryon (p) Universalなパートン分布w(pT)を仮定  p/π ratio をよく再現している。 パートン分布 v2がパートンレベルで決まっていれば以下の式が成り立つ recombination v2 (200GeV Au+Au ) のbaryonとMesonの違いを再現している。 fragmentation w(pT)

v2:これまでの結果@High pT 金+金、200GeVの結果より High pT pTの高い粒子は、初期衝突で作られる高いpTを持つパートンが破砕して作るジェットに含まれている。 ジェットは反応平面に関係なく、ランダムにできるはずなので、ジェットからできる高いpTの粒子のv2は、ゼロになるはず??? ゼロにならない。 パートンが高密度物質中でエネルギー損失をし、その量が進む長さによるので、衝突関与部の幾何学的異方性によるため、有限なv2がうまれる。 QGP生成を示唆してる。 粒子放出 小 長軸方向 エネルギー損失 大 短軸方向 エネルギー損失 小 粒子放出 大

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET scaling AuAu 200 AuAu 62 (CuCu, AuAu) エネルギー 粒子種 Centrality nq+KET scaling AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること 調べること

物質が熱平衡状態に達していることを示唆 Energy dependence 詳しく見るために 中心衝突度(Npart) 別にみる サイズの小さいCu+Cuで比較する π/K/p 粒子識別を行う next section 比較:  √s = 62.4 と 200 GeV Au+Au Cu+Cu 黒 200GeV 赤 62.4GeV 2.0-4.0 GeV/c 1.0-2.0 GeV/c 0.2-1.0 GeV/c 黒 200GeV 赤 62.4GeV 1.0-2.0 GeV/c 0.2-1.0 GeV/c √s=200GeV と 62GeV の v2 が一致 物質が熱平衡状態に達していることを示唆

Energy dependence √s=17GeV (SPS) では、50%に減少している。 PRL 94, 232302 FOPI : Phys. Lett. B612, 713 (2005). E895 : Phys. Rev. Lett. 83, 1295 (1999) CERES : Nucl. Phys. A698, 253c (2002). NA49 : Phys. Rev. C68, 034903 (2003) STAR : Nucl. Phys. A715, 45c, (2003). PHENIX : Preliminary. PHOBOS : nucl-ex/0610037 (2006) Hadron cascade underestimate the magnitude of v2 at RHIC Due to the small transverse pressure in early times √s=17GeV (SPS) では、50%に減少している。 RHICエネルギーまでは、エネルギーを上げるとv2は上がる傾向にあった。 √s >62.4 GeV では、衝突に持ち込むエネルギーが変わってもv2は同じ。  RHICのエネルギーでは、物質が熱平衡状態に達していることを示唆

Energy dependence (補足) - π/K/p 粒子識別を行う - pT dependence をみる open: negative close: positive Produced by Mean pT Au+Au v2 vs. pT p K π Mean pT : Obtained by fitting PHENIX preliminary results 62.4 GeV と 200 GeV での<pT>も、π/K/pとも誤差の範囲内で一致している。 v2 は、どのpT領域でも一致しているといえる。 RHICエネルギー以上の衝突では、完全な熱平衡に達してQGP状態を作るため系全体が理想流体的振る舞いをするため、初期の幾何学的な楕円率が同じならば、in-planeとout-of-planeでの圧力比が一定となり、 v2の値が同じになると考えられる。

System Size Dependence Eccentricity Scaling System Size を変化させるもの 衝突原子核種 (Au+Au ,Cu+Cu) 衝突中心度 (centrality)

反応関与部の楕円率 (説明) Eccentricity = Participant Eccentricity がより実験室の状態に近い。

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET 変化なし scaling AuAu 200 (CuCu, AuAu) Centrality エネルギー 粒子種 nq+KET scaling 変化なし AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること わかったこと 調べること

System size dependence サイズの違うシステムのv2をそのeccentricity (楕円率) で規格化して比較する。 v2/ε vs. Npart v2/ε(Au+Au) = v2/ε(Cu+Cu) となっている!! 0.2<pT<1.0 [GeV/c] v2 vs. Npart NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。

補足 standard と participant eccentricity の比較。 Statistical errors only Au+Au 200 GeV Cu+Cu 200 GeV PRL: nucl-ex/0610037 PRC C72, 051901R (2005) PHOBOS Collaboration PRL: nucl-ex/0610037 standard と participant eccentricity の比較。 standard は、実験でのeccentricity の揺らぎを考慮していない。揺らぎの効果は、システムが小さいところで、より影響が大きい。

System size dependence サイズの違うシステムのv2をそのeccentricity (楕円率) で規格化して比較する。 v2 vs. Npart 1.0<pT<2.0 [GeV/c] v2/ε vs. Npart NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。 v2/ε(Au+Au) = v2/ε(Cu+Cu) となっている!!

System size dependence サイズの違うシステムのv2をそのeccentricity (楕円率) で規格化して比較する。 v2 vs. Npart 2.0<pT<4.0 [GeV/c] v2/ε vs. Npart NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。 v2/ε(Au+Au) = v2/ε(Cu+Cu) となっている!! しかし、v2/εは、Npartに依存して変化しており、一定値をとらない。 v2は、Npartが同じならεで規格化できるが、εの値だけでは、決まらない。 

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET 変化なし scaling AuAu 200 (CuCu, AuAu) エネルギー 粒子種 Centrality scaling 変化なし nq+KET eccentricity AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること わかったこと 調べること

System size dependence 横軸Npart → Npart1/3 にすると・・・ 0.2<pT<1.0 [GeV/c] v2/εvs. Npart1/3 v2 vs. Npart v2/ε vs. Npart NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。 Line は、 y = ax による それぞれのシステムに対するFit. v2をeccentricityで規格化した値はNpartの1/3乗に比例して大きくなっている pTによってその傾きは違う。(Systemにはよらず、ほぼ一定。)

System size dependence 横軸Npart → Npart1/3 にすると・・・ 1.0<pT<2.0 [GeV/c] v2 vs. Npart v2/ε vs. Npart v2/εvs. Npart1/3 NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。 Line は、 y = ax による それぞれのシステムに対するFit. v2をeccentricityで規格化した値はNpartの1/3乗に比例して大きくなっている pTによってその傾きは違う。(Systemにはよらず、ほぼ一定。)

System size dependence 横軸Npart → Npart1/3 にすると・・・ 2.0<pT<4.0 [GeV/c] v2/εvs. Npart1/3 v2 vs. Npart v2/ε vs. Npart NpartとNcollの説明が必要 もしv2が反応関与部のεからくる圧力勾配のみで決まっているとしたら、v2/εは、どのようなサイズの衝突でも一定の値をとるはず。 Line は、 y = ax による それぞれのシステムに対するFit. v2をeccentricityで規格化した値はNpartの1/3乗に比例して大きくなっている pTによってその傾きは違う。(Systemにはよらず、ほぼ一定。)

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET 変化なし scaling AuAu 200 (CuCu, AuAu) エネルギー 粒子種 Centrality scaling 変化なし nq+KET eccentricity Npart1/3 AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること わかったこと 調べること

まとめ(1) v2A/eA = v2B/eB v2C ≠ v2D 衝突関与部のNpartが同じなら、衝突時の幾何学的な楕円率でv2はスケールする。 測定結果 v2B 測定結果 v2A Npart が同じ もしv2が初期の幾何学的な楕円率のみによって決まっているのならば、v2/εはNpartによらず同じになるはずだが、そうはなっていない。 A B v2A/eA = v2B/eB 楕円率 eA 楕円率 eB このことから、v2を説明するには、初期の幾何学的な楕円率のみでは決まらない+αの要素が必要で、その要素は、Npartに依存していることがわかる。 測定結果 v2C 楕円率が同じ 測定結果 v2D C D v2C ≠ v2D

v2C /NpartC1/3= v2D/NpartD1/3 まとめ (2) 衝突関与部の楕円率が同じなら、(衝突関与粒子)1/3でv2はスケールする。 測定結果 v2C εだけでなく、反応関与部の長さ(Npart1/3)で規格化すると、v2が一定になる。 楕円率が同じ 測定結果 v2D v2C ≠ v2D ビーム軸方向の厚みが増え、衝突に持ち込まれる衝突関与部の楕円の単位面積当たりのエネルギーが増えるためか? C D v2C /NpartC1/3= v2D/NpartD1/3 v2(200GeV) = v2(62.4GeV) 関与粒子数 NpartC 関与粒子数 NpartD であることより、衝突に持ち込まれる単位体積当りのエネルギーが増えても、v2は変化しないことがわかっている。 測定結果 v2F 測定結果 v2E Npartが同じ F E 衝突関与部のNpartの1/3乗(長さ)にv2がfreeze-outするまでの時間が比例していて、その時間に比例してv2が発展しているのではないか。 X X v2E = v2F √s = 62GeV √s = 200GeV

Universal v2 Quark number + KET scaling Universal Scaling

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET 変化なし scaling AuAu 200 (CuCu, AuAu) エネルギー 粒子種 Centrality scaling 変化なし nq+KET eccentricity Npart1/3 AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること わかったこと 調べること 次回お見せします

Quark number + KET scaling (AuAu 62.4GeV) Centrality 10-40 % PHENIX: Error bars include both statistical and systematic errors. STAR: Error bars include statistical errors. Yellow band indicates systematic errors. Star results : Phys. Rev. C 75 v2 vs. pT v2/nq vs. pT/nq v2/nq vs. KET/nq 62.4 GeVでもquark number scaling + KETが成り立っている 粒子種によらず、v2(pT) /nquark vs. KET/nquark がuniversal な曲線を描く。

Scaling まとめ 衝突エネルギー  変化なし 反応関与部の楕円率  eccentricity scaling 衝突エネルギー   変化なし 反応関与部の楕円率  eccentricity scaling 粒子種       nq +KET scaling 反応関与粒子数     Npart1/3 scaling

比較表 エネルギー Size System Centrality 粒子種 nq+KET 変化なし scaling AuAu 200 (CuCu, AuAu) エネルギー 粒子種 Centrality scaling 変化なし nq+KET eccentricity Npart1/3 AuAu 200 AuAu 62 CuCu 200 CuCu 62 今までにわかっていること わかったこと 調べること 次回お見せします

v2(KET/nq)/nq/epar/Npart1/3 は、中心衝突度によらず一定 Universal Scaling Au+Au 200GeV π quark number + KET scaling. + eccentricity scaling + Npart1/3 scaling v2(KET/nq)/nq/epar/Npart1/3 は、中心衝突度によらず一定

v2(KET/nq)/nq/epar/Npart1/3 Universal Scaling Different System (Au+Au, Cu+Cu) Different Energy (200GeV ~ 62.4GeV) Different Centrality (0-50%) Different particles (π/ K /p ・・・) v2(KET/nq)/nq/epar/Npart1/3 Universal Curve !!

Centrality Dependence of Differential v2 QGP fluid+hadron gas with Glauber I.C. 理論との比較 Centrality Dependence of Differential v2 平野さん達の計算結果との比較 PHENIX PHENIX Pions, AuAu 200 GeV

Hybrid Model at Work at sqrt(sNN)=62.4 GeV QGP fluid+hadron gas with Glauber I.C. 理論との比較 Hybrid Model at Work at sqrt(sNN)=62.4 GeV 平野さん達の計算結果との比較 PHENIX PHENIX Pions, AuAu 62.4 GeV

Differential v2 in Au+Au and Cu+Cu Collisions QGP fluid+hadron gas with Glauber I.C. Differential v2 in Au+Au and Cu+Cu Collisions Au+Au Cu+Cu Same Npart, different eccentricity Au+Au Cu+Cu Same eccentricity, different Npart

v2生成・発展のまとめ 原子核衝突 熱平衡状態 ハドロン化 フリーズアウト 測定 Low ~ mid pT 時間 t 衝突関与部の幾何学的異方性εが決定 熱平衡状態 εから圧力勾配が決定 v2が有限の時間、発展 quark の種類にはよらないで発展 系の膨張 この発展時間が系の大きさ(長さ)に依存して長くなり、それに比例してv2が大きくなる。 ハドロン化 質量に依存したradial flowが発展 フリーズアウト 変化しない 測定

フリーズアウトまでの時間 vs. Npart シンプルなモデルで、フリーズアウトまでの時間を計算。 仮定している 金野氏のD論より

フリーズアウトまでの時間 vs. Npart1/3 仮定している。 金野氏のD論より 金野氏のD論より フリーズアウトまでの時間は、Npart1/3に対して線形に大きくなっている。 ケミカルフリーズアウトの時間はほぼ比例していると言える。(b1 ~ 0)

High pT charged hadron v2 + Npart1/3 scaling v2 vs. pT eccentricity scaling Low and Mid pT (~4GeV/c)では、charged hadronもスケーリングが成り立っている。 High pTでは、スケーリングが成り立っていないようにも見えるが、誤差が大きすぎてはっきりいえない。 Jet quenching 効果によるv2 にこのスケーリング則が成り立つかどうかは、結論付けられない。さらに高統計のデータ(ex.Run7)で解析する必要がある。

Scaling (他) SPS から RHICまで直線 中心衝突で理想流体を仮定したhydro limitに到達している QM2006, S. A. Voloshin QM2006, R. Nouicer Systematic error on dN/dy ~ 10 %, similar on v2 and S SPS から RHICまで直線 中心衝突で理想流体を仮定したhydro limitに到達している

Quark number + KET scaling (PbPb 17.2GeV) v2 of p, π, Λ - C. Alt et al (NA49 collaboration) nucl-ex/0606026 submitted to PRL v2 of K0 (preliminary) - G. Stefanek for NA49 collaboration (nucl-ex/0611003) Pb+Pb at 158A GeV, NA49 Taken from A. Tranenko’s talk at QM 2006 SPSでは、成り立っていないようにみえる - QGPが生成されていないので、クォークレベルでのv2が存在しないのか。 エラーが大きすぎて結論づけられない。

Conclusion √s = 62.4 ~ 200GeV では、v2(pT) は同じ。 種類の違う粒子のv2(pT) は、quark number + KET scaling でスケールする。ハドロン化した後のクロスセクションが小さい粒子もスケールするので、v2は、パートンレベル(QGP中)で決まっている。 AuAuとCuCuのv2(Npart) は、participant eccentricity でスケールすると、一致する。 v2(pT) /εpar は、Npart1/3 に比例している。 v2(KET/nq)/nq/epar/Npart1/3 は、 Universal Curveを示す。 v2 は、初期の幾何学的な異方性だけでなく、それとフリーズアウトまでの時間とで、きまっている。 流体力学モデルの時間発展をおうことが重要。 QGP fluid + Hadron Gas の理論計算値とよくあう。 (AuAu 62-200GeV)

Rapidity dependence ラピディティー方向のv2を説明するには、QGP流体だけでなくハドロン化した後の散乱が重要になる。 Although the mass ordering is rather well reproduced by hydro-dynamic picture, later hadronic re-scattering during the collision seems to be important to reproduce h dependence of v2 as well as for pT dependence of v2 and pT distributions. ラピディティー方向のv2を説明するには、QGP流体だけでなくハドロン化した後の散乱が重要になる。

LHCでv2を測る楽しみ(1) ☆上がるか下がるか、予測してみよう! ハイドロリミットに近いとすると、v2は、変わらない? 大きくエネルギーがあがると、衝突初期のエネルギー密度が上がるので、平均自由行程が長くなり(相互作用がちいさくなって)、v2は下がる?仮にその状態が存在したとしても時間が短く、あまり影響しない? 流体でなくなる可能性は? そもそも物質の状態方程式が変わるかもしれないので、そうなると、圧力勾配がv2に変換される変換率が変わるので、v2は変化する?相互作用がより強くなり、v2は上がる?

LHCでv2を測る楽しみ(2) ☆新しくわかることは、なにか。 エネルギー密度があがり、charm、bottom,や j/ψなどの重い粒子がRHICに比べて多くできるので、それらのv2を測定し、recombination modelがなりたてば、クォークは同じようにフローしていることがわかる。 LHCのエネルギーでは、ジェットが増えるので、ジェット抑制によるv2について、調べられる。 - V2が流体起源かジェット起源かを識別することがますます重要。 ジェットフラグメントからくるフォトンはv2をもっている。衝突で飛び出すプロンプトフォトンは、ランダムなので、v2を作らない。高いptでは、フォトンとハドロンのv2を比較することにより、ジェットについて調べることができる。 今までの規則が成り立つかどうかを調べることも重要。

Elliptic flow: v2 vs h 19.6 - 200 GeV v2 : ~ 7.5% x z Elliptic flow: v2 vs h これまでの測定から推測すると、LHCでのmid rapidity でのv2は増える? W. Busza, LHC Workshop, May/2007 19.6 - 200 GeV v2 : ~ 7.5%

Back Up

シミュレーション結果 v2/ vs. Npart1/3 平野さんの計算結果 Fitting lines :点線 v2/ = a*Npart1/3 (切片= 0)           実線 v2/ = a*Npart1/3 + b (切片= フリーパラメータ) Npart1/3乗に比例しているとはいえない。 シミュレーションと実験結果は、ほぼ一致しているのに、なぜか?

Multi-strange hadrons QM06, A. Taranenko  meson v2 is more consistent with meson v2 than baryon v2 Show sizable v2 Collectivity at pre-hadronic stage, s-quark flow STAR preliminary 200 GeV Au+Au SQM06, M. Oldenburg

Direct photon analysis Hadron decay  Inclusive photon hard scatter Jet Brems. Jet Fragment sQGP v2 = 0 v2 < 0 v2 > 0 v2 ≥ 0 hard scatter Jet Brems. Jet Fragment sQQP photons from jet annihilation compton scattering v2 > 0 Bremsstrahlung (energy loss) v2 < 0 8

Direct photon analysis Direct photon v2 at 200GeV Au+Au (Run4) Above to 4GeV/c, equal to 0 ? In 3 to 4 GeV/c region is Non-zero v2 ?? Centrality dependence ???

4-1. Direct photon analysis ~v2~ Hadron decay  Inclusive photon hard scatter Jet Brems. Jet Fragment sQGP The v2 is sensitive to the initial geometric overlap zone and pressure gradient. Therefore, direct photon v2 is considered to depend on the production processes of photons. 8

Reaction Plane  wi*sin(2i) tan2  RP =  wi*cos(2i) η 実験的にimpact parameterを決めることができないので粒子のφを用いて反応平面を決定  *v2はその分解能で補正する。 tan2  RP =  wi*cos(2i) R.P. particles R.P. BBC Central arm beam 0-5% 5-10% 10-20% ΦR.P (rad);South η η ΦR.P.(rad) ; North 南北にある二つのBBCで測定 (0<φ<360,|η|~3-4) 別々に決めた反応面に相関 →測定できている。

Resolution Calculation of Reaction Plane A,B : reaction plane determined for each sub sample. BBC North + South combined √(2*<cos(2*(ΨS –ΨN))>) =1/correction factor

Npart1/3 scaling 補足 金+金、√s = 200GeV 抑制 RAA --- p+pの重ね合わせで規格化した値。抑制がなければ、1になる。 スペクトラ解析からわかる抑制の強さは、systemによらず、Npartが同じなら同じぐらいの値を示す。(Au+AuとCu+Cuの比較)Npartで規格化すると一致する。 *PRL 91 072303 (2003)

Comparison between Au+Au and Cu+Cu Both behave same at mid central.

Centrality dependence Au+Au, 200GeV, PID by EMC Apply quark number and KET scaling. Centrality dependent.

Centrality dependence Au+Au, 200GeV, PID by EMC Apply quark number + KET scaling and eccentricity scaling. Still centrality dependent remains. Larger v2 at central collision.

Centrality dependence Au+Au, 200GeV, PID by EMC Apply quark number + KET scaling, eccentricity scaling and Npart1/3 scaling. Almost consistent within errors at low KET.

Quark number + KET scaling (AuAu 200GeV) 中心衝突度によらず成り立っている。