Nuclear Power Dept. Tohoku Electric Power Co.

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Nuclear Power Dept. Tohoku Electric Power Co. Measures for Reduction of Radiation Exposure at Higashidori Nuclear Power Station 東北電力 原子力部の伊藤と申します。 本日は,第1回定期検査時における作業者の総被ばく線量を0.14人・Svと低線量を達成した東通原子力発電所の「被ばく低減対策」について,水化学が果たした役割を主体にご紹介いたします。 Nuclear Power Dept. Tohoku Electric Power Co. 1

Tohoku Electric Power Company Nuclear Power Plants Onagawa NPS Higashidori NPS Tokyo Electricity Supply area Onagawa MWe Type Commercial Operation Unit-1(O-1) 524 BWR4 1984 Unit-2(O-2) 825 BWR5 1995 Unit-3(O-3) 825 BWR5 2002 1984年に営業運転を開始した女川原子力発電所1号機が当社として初めての原子力発電所です。 東通原子力発電所は,当社の4番目の原子炉として,2005年12月8日青森県初の原子力発電所として営業運転を開始した,電気出力110万KwのBWRタイプ5のプラントであります。 Higashidori MWe Type Commercial Operation Unit-1(A-1) 1100 BWR5 2005

Exposure reduction measures at Higashidori Nuclear Power Station Remote handling and automation Shortening of working hours Improvement of equipment Reliability improvement Labor-saving in maintenance and checking 保守・点検作業の省力化 Operational improvement 作業性の改善 ◎ Adoption of hollow fiber membrane filters for condensate cleanup system Crud reduction Adoption of weather resistant steel and low-alloy steel for turbine system Exposure reduction Enhanced measures of storage during construction and commissioning Oxygen injection into feed water system Reduction in radiation levels Adoption of low-cobalt stainless steel Cobalt reduction Alternative to stellite ◎ Adoption of low-cobalt Inconel Material surface treatment Electropolishing 東通原子力発電所は,設計,製作,据付,試運転,運転と一貫して「被ばく低減対策」に取り組みました。ここに主な施策について示します。 被ばく低減対策は,大別しますと「作業者の作業時間を短縮すること」と「プラントそのものの放射線レベルを低減させる」ことが重要となります。 日本の原子力発電所では、「作業時間の短縮」として,機器の遠隔・自動化や信頼性向上,保守点検作業の省力化や作業性の改善などをはかり,着実にその成果をあげております。 もう一方の,「放射線レベルを低減する」ための施策についても,これまで多くの取組みがなされ,その成果を挙げているところですが,東通原子力発電所は,クラッド低減対策として「クリーンプラント活動」を,水質管理として「極低鉄高ニッケル運転」を,材料表面処理として実プラントで初めて給水加熱器伝熱管に酸化処理を施すなど,これまでにも増して「被ばく低減」を意識したプラント作りをました。 ◎ Pre-filming of feedwater heater tubes Water chemistry control Operation at extremely low iron concentration Anti-adhesion Reduction of CUW pump temperature Radiation shielding Installation of permanent shielding 3

Radiation sources that control plant doses Replacement-type sources Radioactive ions in reactor water are incorporated in the oxidized film (oxidized scale) generated on hot portions of the reactor piping system. ・PLR/ CUW piping and components Oxidized film Base metal Reactor water Ion Crud Replacement-type sources Reactor water Crud Base metal Radioactive crud in reactor water is deposited at horizontal portions and other portions where water flow is stagnant or slow. ・CRD flanges ・Filters ・Low-temperature pipe sections, such as   those in the RHR system ・Horizontal portions of PLR/CUW  piping ・Nozzle sleeves 原子力発電所の作業者の被ばくに影響を与える線源としては,図に示すように,置換性線源と沈積性線源があります。 発電所の運転時間の経過とともに,原子炉内には,放射性腐食生成物が生成されます。この放射性腐食生成物は,原子炉再循環系などの炉外の機器・配管へ付着することで,作業環境の線量を上げ,それら機器・配管の点検作業に携わる作業者の被ばく線量に影響を与えます。 放射性腐食生成物の代表的なものとしては,プラント構成機器・配管等の材料から溶出する金属元素である,Cr,Mn,Fe,Co等があります。 従って,まずは,この放射性腐食生成物,特にクラッドの低減をはかることが何より重要となります。 Deposition-type sources 4

Measures to reduce crud (Clean plant action No. 1) ① Improvement of work environment ② Protection ③ Maintenance of inner surface cleanliness 当社は、女川原子力発電所1号機から、クラッド低減対策として,設計から建設・試運転まで一貫した「クリーンプラント活動」を組織的に行っており、東通においても同様に実施しました。 この活動は,建設作業に従事する作業者の方にも,その後のプラント運転に従事する作業者の被ばく低減を強く意識して頂き,建設・試運転を通し,系統構成機器や配管等の内外面の保管管理を徹底し,清浄度の維持をはかることで,運転後のこれら機器・配管からの腐食生成物の発生を抑制するというものです。 写真は,クリーンプラント活動の一風景で,建屋出入口に設置した,エアガン,ジェットスプレーの様子ですが,これは建設作業に従事する作業者の靴底や車両からの,泥・埃を取り除くというものです。また,定期的に建設中建屋内の清掃を実施したり,適宜パトロールを実施するなど,作業環境の整備意識を高めるとともに,機器・配管の据付にあたっては,養生管理を徹底し,異物混入防止に努めました。 Thorough storage management and maintenance of cleanliness on inner/outer surfaces of system piping and equipment Prevention of carried-in dust by installing air guns and jet sprays at doorways 5

Measures to reduce crud (Clean plant action No. 2) Thorough storage management ★ During system test 系統試験時 Purity control of test water Primary system cleanup operation During start-up test ★ Condensate/feedwater purification operation ★ Condensate/feedwater swing operation Reduction of carried-in crud ★ Cleanup of hot well Cleanup of residual heat removal system クリーンプラント活動は,機器・配管などの据付後,系統試験・起動試験と移って行きますが,この時点から水化学が関わりを持ってきます。 系統の試験用水の純度管理をはじめ,起動試験においては,系統内の浄化のための浄化運転の実施,各試験ステップ間に発生するプラント停止時の保管管理の徹底など,適切な施策を実施しクラッド低減効果の検証を行います。 Control of water treatment system Suppression of reactor water activity concentration First cycle 6

Measures to reduce crud (Amount of crud generated in start-up test) Higashidori unit 1 Performance of existing plants for reference Target value Observed Other BWR units Onagawa units 2 and 3 Amount of crud generated in condensedwater (in kg as Fe) 340 340 255 255 220 220 ~ ~ 270 270 230 230 ~ ~ 320 320 Amount of carried-in crud In feedwater (in kg as Fe) クリーンプラント活動の成果は,クラッド低減対策の検証として,先行プラント実績等を参考に,あらかじめ目標値を定め取り組んでおります。 検証は,表に示すように,復水クラッド発生量と給水持込クラッド量について行いました。 復水クラッド発生量としては,起動試験中のホットウェル清掃で発生する堆積クラッドと復水ろ過装置のクラッド除去量を,給水持込クラッド量としては,起動試験中に給水から原子炉へ持ち込まれたクラッド量となります。 どちらも当初目標値を満足することができ,建設,試運転を通し,クリーンプラント活動を展開したことで,クラッド低減に向けた系統保管管理は十分な成果を挙げたものと評価しております。 2.7 2.7 2.7 2.7 2.3 2.3 ~ ~ 2 2 . . 5 5 2.6 2.6 ~ ~ 3.3 3.3 7

Water chemistry control (operation with extremely-low iron and high nickel concentrations) ニッケル鉄比制御 極低鉄運転 Control of nickel/iron ratio Operation with extremely low iron concentration Fe 配管 ①フェライト化 Ni,Co ③ Co-60 溶出 ②放射化 , 蓄積 配管 Ni,Co ①モノオキサイド化 ③ Co-60 蓄積 せず、即溶出 ②放射化 Fe 燃料表面 での挙動 Behavior on fuel surface (1) Ferritizing (1) Mono-oxidization (2)Activation and accumulation (2) Activation (3) Elution of Co-60 (3) Immediate elution of Co- 60 without accumulation Piping Piping 疎な NiFe 2 O 4 Co-60 取り込まれる 密な NiFe 2 O 4 Co-60 取り込まれない 配管への 放射能付着 Adhesion of radioactive material to piping Dense NiFe2O4 Sparse NiFe2O4 次に水質管理によるプラント放射線レベルの低減ですが,クリーンプラント活動が沈積性線源となるクラッド低減に主体を置いているのに対し,水質管理は置換性線源の抑制を目的に実施されます。 この置換性線源をコントロールする手法として,当社のプラントで実施されている水質管理の概念は,この図に示しますとおり,二通りあります。 ひとつは,給水から原子炉へ持込まれる鉄クラッド量とニッケルイオン量をコントロールすることで,原子炉水放射能濃度を低減させ,炉外配管への付着量を抑制する,鉄ニッケル制御。 もうひとつは,給水から原子炉へ持込まれる鉄クラッド量を低く抑えることで,炉内に高ニッケル状態をつくり,このニッケルを用いて炉外配管へ緻密な酸化皮膜を形成させることで,皮膜内への付着量を抑制する極低鉄高ニッケル運転という手法です。 東通においては,極低鉄高ニッケル運転を採用しました。 以降は,女川2,3号機のデータと比較しながらご説明いたします。 Incorporated クロムリッチ Cr-rich Non incorporated 8

Water chemistry control (Progress of feed water iron concentration and reactor water nickel concentration) Crud iron concentration [ppb] Nickel ion concentration [ppb] このグラフは,給水中の鉄クラッド濃度と炉水中のニッケル濃度をトレンドしたものです。 赤が東通を示し,青が女川2号を,緑が女川3号を示しています。 起動試験以降は極低鉄といわれる領域である0.1ppb以下を維持できているとともに,炉水中のニッケル濃度は,当初若干低めに推移しましたが,第2サイクル以降は数ppbを維持できており,炉内は高ニッケル状態となっております。 9

Material surface treatment Pre-filming of feedwater heater tubes Specifications of second high-pressure feedwater heater Material SUS304TB-S equivalent Second high-pressure feedwater heater Reactor vessel Outer diameter x thickness 15.88 15.88 × × 1.0mm 1.0mm Turbine Average effective length 15214mm 15214mm Total number of heat transfer tubes Condenser 2780 2780 First high-pressure feedwater heater Heat transfer area 2110m / unit 2 Low-pressure feedwater heater (first to fourth) 【Steam oxidation treatment】 次に,近年営業運転したプラントの課題として,原子炉水中のCrイオンが顕著に上昇する事象が見受けられております。 通常,給水系から原子炉へ持込まれるCrイオンは,給水加熱器伝熱管が主な発生源となっておりますが,持込まれたCrイオンは,炉内環境を酸化性雰囲気にすることから,燃料被覆管表面酸化皮膜に安定的に取り込まれている放射性腐食生成物の溶出を促進し,その結果炉水中放射能濃度上昇を招くことが危惧されております。 これに対し,東通では実プラントで初めて,給水加熱器の最終段にあたる第2給水加熱器伝熱管に酸化処理を施し,給水から持込まれるCr抑制をはかりました。 表面酸化処理は,高圧第2給水加熱器(A),(B)伝熱管総数2780本に,最終熱処理時において水素雰囲気に水を添加した雰囲気にて酸化皮膜を形成させるという方法で実施しております。 Reactor recirculation pump Thermal treatment of heat transfer tubes is performed in a “hydrogen + steam” atmosphere. (conventionally, performed in a hydrogen atmosphere) 復水 脱塩 装置 復水 ろ過 装置 復水 Condensate demineralizer Condensate filtration unit 脱塩 【 【Purpose】 Filtration demineralizer of reactor water cleanup system 装置 Suppression of ion elution 10

Material surface treatment (Progress of Cr ion concentration in feedwater)  Concentration [ppb] 図に,給水中のCrイオン濃度の推移を示しております。給水加熱器伝熱管への酸化処理の目的であります,Crイオン溶出抑制効果を検証しています。 4000時間以降先行プラントと比較して濃度は低めに推移しており,給水加熱器伝熱管への酸化処理によるCr抑制効果はあったものと評価しています。 東通原子力発電所の第1サイクル中における給水から原子炉に持ち込まれたCrイオンの総量は,女川2,3号の約2/5となっており,酸化処理による抑制効果は大きいものと評価しております。 Effective full power hours (until the end of the first cycle) 11

Material surface treatment (Progress of Co-60 activity concentration in reactor water)  Activity concentration [Bq/cm3] 次に,Crイオンの持込が抑制された効果として,炉水中の放射能濃度の上昇が抑制されているかを検証しました。 図は第1サイクルにおける炉水中の代表的核種であるCo-60イオン濃度の推移を示します。 特に運転サイクル初期は、顕著に効果が見受けられます。 Effective full power hours (until the end of the first cycle) 12

Material surface treatment (Progress of Co ion concentration in reactor water)  Cobalt ion concentration [ppb] 次に,この図は,同様に炉水中の金属Coイオン濃度の推移を示しています。酸化処理を施すことでCo溶出は女川2、3号の約1/2以上の抑制効果が確認されています。 Effective full power hours 13

Effect of radiation exposure reduction measures (No. 1) Dose rate on PLR piping  Dose rate on PLR piping (mSv/hr) Chemical decontamination performed Domestic BWRs 東通において実施した被ばく低減対策の効果を,先に述べたプラント線量を左右する置換性線源と沈積性線源について評価しました。 水質管理として極低鉄高ニッケル運転を行い,かつ給水加熱器伝熱管に酸化処理を施す相乗効果によって,炉外機器・配管への放射性核種の取込み抑制がはかられることから,置換性線源すなわちプラント線量レベルは低く抑えられることとなります。 これは,置換性線源評価の代表的な部位として,格納容器内雰囲気線量を支配する,原子炉再循環系配管の線量率を測定した結果です。 東通原子力発電所の第1回定検時の測定結果は0.06mSv/hと当初の目標値を下回るとともに,第2回定検時においても0.16mSv/hと低いレベルを維持することができています。 Number of periodic inspections 14

O-3 First measurement A-1 First measurement Effect of radiation exposure reduction measures (No. 2) (Air dose rate in reactor containment vessel) Geometrically averaged dose rate: 0.03 mSv/h n=48 Area dose rate: 0.04 mSv Geometrically averaged dose rate: 0.01 mSv/h n=48 これら,沈積性線源および置換性線源を低く抑えることができた東通原子力発電所における,原子炉停止4日後の,原子炉格納容器内空間線量率を図に示します。 比較評価は,女川3号機で行いました。図は,格納容器内の原子炉再循環ポンプモータフロアの空間線量率を示しており,赤色側に移行するほど線量率が高いことを示しています。 原子炉格納容器内における作業は,定検時総被ばく線量の約6割を占めることから,クラッド低減対策,水質管理,材料表面処理等の相乗効果によって,沈積性および置換性線源を抑制でき,結果作業者の定検時総被ばく線量を低く抑えることができたものであります。 Area dose rate: 0.01 mSv O-3 First measurement A-1 First measurement Four days after reactor shutdown On the floor of recirculation pump motor 15

Summary Surface oxidation of feedwater heater tubes was effective in suppressing carried-in Cr ions. Suppression of carried-in Cr ions was effective in suppressing the increase of Co-60 activity concentration in the reactor water. Dose rate on PLR piping was suppressed successfully. Air dose rate in the dry well was suppressed successfully. Total radiation exposure during periodic inspection was reduced successfully. 東通原子力発電所の被ばく低減対策をまとめると 実プラントで初めて行った給水加熱器伝熱管の表面酸化処理により、Crイオンの原子炉内への持ち込みが抑制され原子炉水中のCo-60放射能濃度の上昇を抑制できた。 これにより、PLR配管線量率の上昇を抑制し、格納容器内の線量率を低減し、定期検査時の被ばく線量を低減することができました。 16

東北地方は、豊かな清流に恵まれています。 私たちは、この自然を、この清流を大切にしてきました。

私たちは、この自然環境を守ることと同じように、原子力発電所のクリーンプラント活動に取り組み、原子炉の水質管理を行ってきました。

これらの取り組みの成果として、当社の原子力発電所の被ばく線量は、

Collective Dose in BWR (2005-2007 Average) 2005年から2007年の原子炉1基あたりの3年平均線量で 女川が0.58mSv、東通が0.10mSvという低い実績となっております。 今後も適切な水質管理を行うことにより被ばく線量の低いプラントを維持していきたいと思います。 ご静聴ありがとうございました。