* 兵庫県企画県民部 兵庫県立大学政策科学研究所 芦 谷 恒 憲

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* 兵庫県企画県民部 兵庫県立大学政策科学研究所 芦 谷 恒 憲 07/16/96 平成23年兵庫県産業連関表の 概要と利用 兵庫県企画県民部 兵庫県立大学政策科学研究所    芦 谷 恒 憲 *

報告のあらまし 1 平成23年兵庫県産業連関表の概要 2 経済波及効果分析の考え方 3 産業連関分析ワークシートの概要 1 平成23年兵庫県産業連関表の概要 2 経済波及効果分析の考え方 3 産業連関分析ワークシートの概要 4 産業連関表利用に向けて

産業連関表作表状況 基本表は5年に1回作成、H23年表は「経済センサス-活動調査」利用のため1年繰り下げ

最近の兵庫県経済の推移 H20年金融危機から回復、H23年東日本大震災発生時停滞 (資料)全国:内閣府「国民経済計算」、 兵庫県統計課「県民経済計算」

平成23年産業連関表の基本的構造 1 対象期間 1年間(平成23年1月~12月) 2 地域的範囲 地域内(行政区域等)  平成23年産業連関表の基本的構造 1 対象期間 1年間(平成23年1月~12月) 2 地域的範囲 地域内(行政区域等) 3 記録の時点 発生主義  粗付加価値部門と最終需要部門の2面等価 4 表の形式   地域内生産品と移輸入品を一括して扱う  「競争移輸入型表」 5 部門分類 基本分類、統合分類

平成23年兵庫県産業連関表の概略

産業連関表の仕組み 1 投入 縦(列)方向:各部門の費用構成 2 産出 横(行)方向:各商品需要別販売額 1 投入 縦(列)方向:各部門の費用構成 2 産出  横(行)方向:各商品需要別販売額 3 中間取引 生産活動に必要な原材料、燃料、サービス等の取引 4 中間投入 生産活動に投入された原燃料等 5 中間需要 中間投入計=中間需要計 6 最終需要 県内最終需要+移輸出

平成23年表作表部門 統合大分類(39部門表)で報告書作成

平成23年表(3部門表)の概要

産業連関表主要項目 県内生産額35兆8,407億円(H17年比▲1.4%) 粗付加価値額17兆6,543億円(同▲4.8%) 10

県内生産額産業別構成比の推移 経済のサービス化(サービス業比率上昇)   県内生産額産業別構成比の推移   経済のサービス化(サービス業比率上昇) 第3次産業 H12年52.4%→H23年54.9%

投入側の構成比の推移 財貨・サービスの投入(財貨比率上昇)   投入側の構成比の推移   財貨・サービスの投入(財貨比率上昇) 財貨投入   H12年26.6%→H23年28.2% サービス投入 同  20.2%→同  22.5%

産出側構成比の推移 中間需要比上昇、最終需要比低下   産出側構成比の推移   中間需要比上昇、最終需要比低下 中間需要 H12年33.7%→H23年35.1% 最終需要  同  66.3%→ 同 64.9%

投入係数 金額ベースの生産原単位 投入係数とは、産業連関表の縦の費用に着 目し、「ある産業で生産物1単位生産するのに  投入係数 金額ベースの生産原単位  投入係数とは、産業連関表の縦の費用に着 目し、「ある産業で生産物1単位生産するのに 必要な諸部門からの原材料の投入量」

逆行列係数 生産波及を見る係数 「直接・間接を含め最終的に各産業の生産額が どれくらいになるかを示したもの」 逆行列係数 生産波及を見る係数    ある産業に最終需要が1単位増加したとき、 「直接・間接を含め最終的に各産業の生産額が どれくらいになるかを示したもの」

生産波及の推移(逆行列係数)   単位当たりの最終需要に対する全産業平均 の生産波及(1.304)の大きさは上昇

雇用表(平成23年表)の作成 付帯表 取引基本表の情報を補い、分析の領域を広げるために作成 1 雇用表の構成 従業者総数=個人業主 付帯表 取引基本表の情報を補い、分析の領域を広げるために作成 1 雇用表の構成 従業者総数=個人業主   +家族従業者+有給役員・雇用者 2 雇用表例 

2 経済波及効果分析の考え方 1 最終需要額の仮定(風が吹いたら) 2 直接効果・第1次間接効果の推計(①が儲かる) 2 経済波及効果分析の考え方 1 最終需要額の仮定(風が吹いたら) 2 直接効果・第1次間接効果の推計(①が儲かる)  →原材料からの波及(①第1次間接効果) 3 第2次間接効果の推計(②が儲かる)  →消費からの波及(②第2次間接効果) 4 経済効果のまとめ   総合効果    =直接効果+第1次間接効果+第2次間接効果

事例1 建設部門の経済波及効果 (基本的仮定) 分析利用編16-25ページ 事例1 建設部門の経済波及効果 (基本的仮定) 分析利用編16-25ページ ・工事請負費としてすべて建設部門で支出 ・建設業の平均的な投入構造(建設業投入係数) ・建設工事の原材料による波及効果、建設工事の付加価値による波及効果に分けて推計 ・就業者数、雇用者数は生産額に比例して増加 ・付加価値について雇用者の一定割合が最終需要(消費)にまわる

産業連関分析1 最終需要額の推計 各部門原材料額=最終需要額×投入係数 産業連関分析1 最終需要額の推計 各部門原材料額=最終需要額×投入係数 

産業連関分析2 県内最終需要増加 県内需要額推計(需要増加額×県内自給率) 産業連関分析2 県内最終需要増加 県内需要額推計(需要増加額×県内自給率)

県内自給率・移輸入率係数(平成23年)

産業連関分析3 第1次間接効果(原材料から生産波及額) 生産誘発額=逆行列係数×県内需要額

産業連関分析4  直接効果+第1次間接効果

産業連関分析5 雇用者所得誘発額 (生産誘発額×雇用者所得率)

付加価値率・雇用者所得率表(平成23年)

産業連関分析6 民間消費需要増加額 (雇用者所得額×平均消費性向) 産業連関分析6 民間消費需要増加額 (雇用者所得額×平均消費性向) 平均消費性向:消費者の所得全体に対する消費支出の割合(資料:総務省「家計調査」

産業連関分析7 部門別需要額推計 消費需要増加額×民間消費支出係数 産業連関分析7 部門別需要額推計 消費需要増加額×民間消費支出係数

産業連関分析8 県内需要増加額(需要増加額×県内自給率) 産業連関分析8 県内需要増加額(需要増加額×県内自給率)

産業連関分析9 第2次間接効果(所得→消費から波及額) 生産誘発額=逆行列係数×県内需要額

産業連関分析10 総合効果 (直接効果+第1次間接効果+第2次間接効果) 産業連関分析10 総合効果 (直接効果+第1次間接効果+第2次間接効果)

産業連関分析11 付加価値誘発額推計 (総合効果×粗付加価値率) 産業連関分析11 付加価値誘発額推計 (総合効果×粗付加価値率)

産業連関分析12 就業者誘発数推計 (総合効果×就業者係数) 生産誘発額を就業者に換算 産業連関分析12 就業者誘発数推計 (総合効果×就業者係数)  生産誘発額を就業者に換算

産業連関分析13 雇用者誘発数の推計 (総合効果×雇用係数) 生産誘発額を雇用者に換算 産業連関分析13 雇用者誘発数の推計  (総合効果×雇用係数)   生産誘発額を雇用者に換算

平成23年就業者・雇用者係数表

3 産業連関分析ワークシートの概要 http://web.pref.hyogo.jp/kk11/ac08_2_000000016.html  1産業部門ごとの経済波及効果推計  2イベント開催による訪問者消費がもたらす経済波及効果  3企業の立地及び設備投資がもたらす経済波及効果  4建設投資(工事種類別)がもたらす経済波及効果  5高齢者福祉施設建設及び運営がもたらす経済波及効果  6製造業部門の増産がもたらす経済波及効果  7輸出増加がもたらす経済波及効果  8生産増加が環境にもたらす効果  9価格変化がもたらす効果  10 部門別経済波及が税収にもたらす効果  

事例2 イベント開催による経済波及効果 分析利用編28~32ページ 事例2 イベント開催による経済波及効果 分析利用編28~32ページ 100万人訪問者(宿泊40万人、日帰り60万人)が見込まれるイベントを新たに開催したとき、県内の経済波及効果はどの程度か 当初需要額147億円、経済波及効果215億円

事例2 イベント開催による訪問者の消費がもたらす経済波及効果 県内イベントが開催された場合の経済効果 ・宿泊費:1人当たり平均宿泊額×宿泊者数 ・交通費:1人当たり平均交通費×参加者(宿泊者、日帰り者) ・土産代:1人当たり平均土産代×参加者(宿泊者・日帰り者、総額を部門別に配分) ・飲食・レジャー費等:1人当たり平均その他費用×参加者(宿泊者・日帰り者)

最終需要額推計1 観光消費額推計 1人当たり消費額(宿泊客・日帰客×平均単価) 最終需要額推計1 観光消費額推計 1人当たり消費額(宿泊客・日帰客×平均単価)

最終需要額推計2 最終需要額を部門に配分

事例3 企業の立地及び設備投資の経済波及効果 分析利用編33~36ページ 事例3 企業の立地及び設備投資の経済波及効果 分析利用編33~36ページ 電気機械部門生産事業所が、総額100億円(施設建設額70億円、設備投資額30億円)の新工場を内に立地したときの経済波及効果は 当初需要額100億円、経済波及効果162億円

事例3 企業の立地及び設備投資がもたらす経済波及効果 ・工場の建築による経済波及効果   土地購入費を除く建築総額を算定 ・工場の設備投資による経済波及効果  部門別需要増加額   =設備投資額×比率(固定資本マトリックス)  県内需要増加額   =部門別別最終需要額×県内自給率

事例4 建設投資がもたらす経済波及効果 分析利用編37~38ページ 事例4 建設投資がもたらす経済波及効果 分析利用編37~38ページ  RC量産住宅(鉄筋コンクリート造りプレハブ住宅)の建設投資(100億円)の経済波及効果は 当初需要額100億円、経済波及効果151億円

事例4 建設投資(工事種類別)がもたらす経済波及効果 土木、建築工事による公共投資が行われる場合、県内で誘発される経済波及効果 工事種類別に最終需要額(国土交通省「建設部門分析用産業連関表」)投入係数により推計 ・建築:住宅建築、非住宅建築 ・土木:公共工事(農林関係、その他)、      その他土木

事例5 高齢者福祉施設建設・運営の経済波及効果 分析利用編39~43ページ 新たに高齢者福祉施設が建設(10億円) 1年間の施設運営(5億円)の県内経済波及効果 当初需要額15億円、経済波及効果24億円

事例5 高齢者福祉施設建設及び運営がもたらす経済波及効果 高齢者福祉施設を建設し、運営する場合の県内経済波及効果 1 施設建設に係る経済波及効果 2 施設運営に係る経済波及効果  詳細分析:事業計画書、決算書等がある場合  簡易分析:事業計画書、決算書等がない場合

事例6 電気機械部門の増産の経済波及効果 分析利用編44ページ 事例6 電気機械部門の増産の経済波及効果 分析利用編44ページ 電気機械部門が100億円増産した場合の県内他部門への経済波及効果の推計 当初需要額100億円、経済波及効果130億円

事例6 電気機械部門の増産がもたらす経済波及効果 分析利用編44ページ  最終需要の変化ではなく、生産額が変化 ・前提条件   対象生産部門投入係数が基準年と同じ  生産誘発額   =対象の生産部門を除外(外生化)した逆行列係数×生産増加額  (対象部門の列部門の逆行列係数)/(同部門の行及び列の交点の逆行列係数)

事例7 輸出増加がもたらす経済波及効果 分析利用編45~47ページ 輸出が60億円増加した場合の経済波及効果は 当初需要額60億円、経済波及効果99億円

事例7 輸出増加がもたらす経済波及効果 ・特定の産業ではなく最終需要項目の輸出額全体が増加した場合の経済波及効果を推計 経済効果による雇用者所得増から新たに発生した消費額の経済波及効果   (直接効果+第1次間接効果)   需要増加額×最終需要項目別生産誘発係数

事例8 生産増加が環境にもたらす効果 分析利用編48~51ページ 事例8 生産増加が環境にもたらす効果    分析利用編48~51ページ 県内工場(はん用機械部門)の需要(100億円)が増加した場合、経済波及効果・環境効果は 生産増加に伴うエネルギー消費量、CO2発生量推計 当初需要額100億円、経済波及効果156億円  エネルギー消費量258百万GJ  CO2発生量20千kt-CO2

事例9 価格変化がもたらす効果 分析利用編52ページ 電力・ガス・熱供給部門 の価格が10%上昇した 場合、県内他部門への 価格影響  変化率16.5%  うち電力・ガス・熱供給  部門60.5%

事例9 価格変化がもたらす効果 価格変化は粗付加価値率の変化で測定 価格波及効果はコスト側から規定される価格波及効果のみ推計  価格波及効果はコスト側から規定される価格波及効果のみ推計  価格変動は100%商品価格へ転嫁  初期産業部門の価格変化を外生扱いとし、当部門の部分を付加価値部門で扱う  価格変化     =産業部門別価格変化率×逆行列係数

事例10 部門別経済波及が税収にもたらす効果 分析利用編53~55ページ 事例10 部門別経済波及が税収にもたらす効果 分析利用編53~55ページ 建設の県内需要(1億円)が増加した場合、県内の経済波及効果及び税収効果 当初需要額1億円、経済波及効果1.57億円 税収効果0.13億円

事例10 部門別経済波及が税収にもたらす効果 ・税収所得 実効税率を県民経済計算から推計 富等に課される直接税(法人・個人)  実効税率を県民経済計算から推計   富等に課される直接税(法人・個人)   生産・輸入品に課される間接税 ・税収=粗付加価値誘発額×実効税率

事例10 部門別経済波及が税収にもたらす効果(実効税率推計) ・間接税=付加価値誘発額×実行税率(間接税収入/県内総生産) ・個人分直接税=雇用者所得誘発額×実効税率(個人分直接税収入/雇用者報酬) 個人事業税=営業余剰×実効税率(個人事業税収入実績額/個人企業所得) ・法人分直接税=営業余剰×実効税率(法人分直接税収入/法人分営業余剰)

その他経済波及効果分析事例 1 生産・最終需要誘発効果分析例 ・工場建設・稼働(製造業生産増)による経済波及効果 1 生産・最終需要誘発効果分析例 ・工場建設・稼働(製造業生産増)による経済波及効果 ・医療介護部門(公共サービス増)における生産需要増効果 ・公的支出増(建設業生産増)効果 2 産業連関構造変化に伴う経済的影響分析例 ・全産業の域外依存率の低下に伴う影響分析 ・域内小売店等の消費機会向上による影響分析 ・地産地消の推進(域内自給率向上)による影響分析 58

4 産業連関表の活用に向けて 産業連関表利用データ概要 4 産業連関表の活用に向けて 産業連関表利用データ概要 兵庫県(県政情報・統計)→統計 経済統計(産業連関表)  平成23年表報告書(概要・統計表編)    統計表(取引基本表、投入係数表、逆行列係数、雇用表、その他分析係数表)  平成23年表報告書(分析利用編)  産業連関分析ワークシート(10事例)  各年産業連関表(昭和30年表~平成17年表)

産業連関表関連データ 1 平成23年兵庫県産業連関表・産業連関分析ワークシート(兵庫県産業連関表HP URL) http://web.pref.hyogo.jp/kk11/ac08_2_000000020.html 2 平成23年市町産業連関表・産業連関分析ワークシート(兵庫県・兵庫県立大学政策科学研究所)  兵庫県立大学政策科学研究所 URL http://ips-u-hyogo.jp/project/category/areaindex/ 3 平成23年全国産業連関表(総務省e-stat)http://www.e-tat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?gaid   =GL02100102&tocd=00200603