副鼻腔炎
診断 ★以下の項目にてスコアリング ①Decongestants(鼻炎の薬)を使用しても改善しない ②Colored Nasal Discharge ③Purulent Nasal Secretion on examination ④Abnormal Transillumination(光線透過性の低下) ⑤Maxillary toothache (上顎の痛み) 抗ヒスタミン薬を用いると、鼻粘膜が乾燥して副鼻腔開口部を閉塞させてしまうため、症状増悪することがある。 スコア 陽性率 LR(尤度比) 0 9% 0.1 1 21% 0.5 2 40% 1.1 3 63% 2.6 4 81% 6.4 5 92% ★その他の所見 Positive LR Negative LR 鼻腔内に鼻汁(+) 5.5 0.5 感冒改善後の症状(DoubleSickenimg) 2.1 0.4 膿性鼻汁 1.5 0.3 片側性の顔面痛 1.7 0.4 嗅覚障害 1.4 0.5
所見・検査 ★光線透過性 部屋を暗くして、光源を眼窩周囲に置く。 角度を変えて、前頭洞と上顎洞を診察。 クリアなら、前頭洞に光線が見られ、 また上顎洞の場合は、口腔内に光が漏れる。 所見取るのもプロでないと難しい、 前頭洞の発達には個人差があるので評価しにくい。 さらには蝶形骨洞、篩骨洞を観察できないことから、 プライマリケア医にとってはあまり勧められない。
★Sinus Aspirate Culture 起因菌を見るにはいい検査だが、ルーチンには勧められない。 鼻腔内の鼻汁ではコンタミのため意味がない。 採るなら半月裂孔から無菌的にとる。 但し、脳内に進展するような重症例・合併症例、 院内感染例では行うべきである。
通常の市中感染の急性副鼻腔炎では適応ではない。 レントゲン写真では前頭洞、上顎洞は評価できるが ★レントゲン写真 通常の市中感染の急性副鼻腔炎では適応ではない。 レントゲン写真では前頭洞、上顎洞は評価できるが 蝶形骨洞や篩骨洞の評価、腫瘍やポリープと鑑別できない air-fluid levelと副鼻腔の完全混濁は容易に診断できる。 感度は60~70%と低い。 6mm以上の粘膜肥厚を副鼻腔炎の所見とするが、 特異度は低下する。 上顎洞に理学所見があるならばWatersを撮影してもよい 撮影法 所見の得られる部位 Caldwell (額と鼻尖をフィルムにつける) 前頭洞と篩骨洞 側面 蝶形骨洞 Waters (開口して顎と鼻尖をフィルムにつける) 上顎洞と前頭洞
★CT写真 CTは非常に副鼻腔炎に対して感度が高い検査であるが、 特異度が低い。 約40%の無症状の患者で副鼻腔の異常が指摘される (粘膜肥厚や液貯留) でも蝶形骨洞や篩骨洞などの所見がわかる。 ★エコー 上顎洞の所見が得られる。 上顎洞に垂直にプローブをあて上下に動かす。 上顎洞内に膿汁や滲出液が 貯留していれば 後面の骨を観察する事ができる。 超音波が全く透過しなければ 陰性である。
★画像診断のまとめ 急性副鼻腔炎の場合は基本的に画像診断は必要ない。 またレントゲン写真は基本的にはいらない。 もしやるならCTがいい。 特に難治性症例や重症合併例の場合である。 ★注意 副鼻腔炎を甘く見ないこと! 蝶形骨洞炎、篩骨洞炎は海綿静脈洞血栓症や 眼窩周囲蜂窩織炎、眼窩蜂窩織炎に進行する 恐れがある。 前頭洞炎は、脳膿瘍、髄膜炎に進行する危険がある。
参考文献 1)見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール 2)Williams JW et al. Clinical evaluation for sinusitis. Making the diagnosis by history and physical examination. Ann Intern Med 1992;117:705-710 3)Fagnan LJ. Acute sinusitis : a cost-effective approach to diagnosis and treatment. Am Fam Physician 1998 ; 58(8) : 1795-1802 4)Williams JW. Does this patient have sinusitis? JAMA.1993;270:1242-6