岡山県瀬戸内市 中島 洋一郎 変光星観測者会議2012 2012年6月23日於岡山理科大学

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岡山県瀬戸内市 中島 洋一郎 変光星観測者会議2012 2012年6月23日於岡山理科大学 せ の    お         お    く 妹尾観測所邑久天文台サーベイ 岡山県瀬戸内市 中島 洋一郎 変光星観測者会議2012 2012年6月23日於岡山理科大学

話の概要 現在のサーベイの状況 MISAOプロジェクト 撮影機材 今までの成果 今後の観測の期待

岡山市在住の大倉信雄さんが自宅の妹尾観測所で2000年2月から冷却CCDカメラでの撮影が始まりました。 撮影画像はMOに書込み、横浜市在住の吉田誠一氏(MISAOプロジェクト)に郵送していました。 2006年11月からは 、妹尾観測所から冷却CCDカメラ、パソコン、望遠鏡を私の自宅にある邑久天文台に移動し、共同で邑久サーベイの撮影を開始しました。

邑久天文台の外観 2008年ドーム内

邑久サーベイ現在の撮影機材 25cmライトシュミット+ST-1001E 1組(1.3x1.3度) 25cmライトシュミット+ST-1001E 1組(1.3x1.3度) キャノンFD500mm F4.5+ST-8 4組(1.1x1.6度) キャノンFD300mm F2.8+ST-8 2組(2.6x1.8度) ST-1001Eを中心に南北に対象に配置 星数の多い天の川を撮影 計7組10度幅で撮影 1.3度の画像1/3東に移動 120秒で1サイクル 1時間に210枚撮影 Dropbox で画像送信

MISAOプロジェクト DSS(Digitized Sky Survey)画像、過去画像と比較できる画像ギャラリー を自動作成 撮影したCCD画像は、MISAOプロジェクトの吉田誠一さんが自作ソフトで新天体を捜索してくれます 同プロジェクトでは1447の新変光星を発表しています 妹尾サーベイでは、提供した9万枚の画像より428の新変光星が発見されています 邑久サーベイでは18万枚の画像より81の新変光星が発見されています 画像からの自動星像検出と、赤経赤緯、光度の自動測定 により、1枚の画像より1万個~2万個の星を検出 明るい新天体候補(15等星まで)を自動捜索 DSS(Digitized Sky Survey)画像、過去画像と比較できる画像ギャラリー を自動作成 詳しくはMISAOプロジェクトホームページ

新天体候補とDSS比較画像ギャラリー

J055035.10+032501.4 05h50m35s.10 +03o25'01".4 Mag:13.70 ホーヘンシュタイナ Hohensteina (788) 光度 13.4等

妹尾サーベイ特筆すべき天体MisV1181 ケフェウス座新星(らしき天体) 大倉信雄さんの2001年9月19日の画像に12.7等で写っていましたが、2001年11月10日には、 14.3等と減光していました。   2003年春の日本天文学会で、   MISAOプロジェクトは天体発   見賞を受賞しました。

妹尾サーベイ特筆すべき天体 2002年発見の新変光星MisV1147 = V730 Cep で、その特徴は、スペクトル型B2の早期型星であるにも関わらず、非常に大きな振幅の減光が観測されたことである 論文 ・PASJ: Publ. Astron. Soc. Japan 56, S183-S192, 2004 March 25 Deep Fading of the New Herbig Be Star MisV1147   ・日本天文学会2004年春季年会 N17c  新しい Herbig Be星 MisV1147 の発見とその特異な変光

邑久サーベイ特筆すべき天体 2008年2月発見のクエーサーQSO 133+476   で、可視光でも18等から14等に増光した、「ブレザー」であることが分かった。 このクエーサーの距離は70億光年を越える(赤方偏移z=0.859)ものが、 14等の明るさに達した事からきわめて光度および増光幅の大きな天体と考えられる   参考文献   CBET 1249: QSO 0133+476 (2008 Feb. 9)

邑久サーベイ特筆すべき天体MisV1443 2011年1月8日に撮影した画像より オリオン座に最大12.8等に達した明るい矮新星を発見   オリオン座に最大12.8等に達した明るい矮新星を発見   参考文献   CBET 2633   VSOLJ ニュース (262) オリオン座に新たな矮新星の発見                                         赤澤秀彦氏(岡山県倉敷市)によるMisV1443の連続測光      

邑久サーベイ特筆すべき天体MisV1446 2012年1月5日撮影した画像よりX線天体のバーストを捉え、14.1等の新天体を発見しました   天文電報中 央 局の新天体の確認ページ(TOCP)に掲載されました。 VSNETの加藤太一氏、 大島 誠人氏によれば、清田誠一郎氏、笠井 潔氏、 など各氏の観測によ り 1月11日から15日の観測で、周期 0.07786 日のスー パーハンプ現象が捉えら れ、  おおぐま座SU星 型の矮新星であることが 確認されました。

今後の観測の期待 多くの方々に支えられ新天体の発見につながりありがとうございました これからも宜しくお願いします 妹尾観測所でもサーベイを再開 晴れていれば天の川を広範囲撮影可能 新天体の確認を海外の観測者やリモート観測 一晩の撮影画像が多くなり、撮影地でのPC処理 MisV の追跡観測(藤原 務氏 岡山市) 今年になって新変光星候補が150以上見つかる 矮新星、激変星の増光を報告 多くの方々に支えられ新天体の発見につながりありがとうございました これからも宜しくお願いします