Han Sang Yoo DVM, Ph.D. 国立ソウル大学獣医学部感染症研究室 Seoul 151-742, Korea 韓国における最近の口蹄疫流行に関連する疫学的要因 Epidemiological Factors Related with Recent Foot and Mouth Disease Outbreak in Korea Han Sang Yoo DVM, Ph.D. 国立ソウル大学獣医学部感染症研究室 Seoul 151-742, Korea
FMD? FMD? - Foot and Mouth Disease 口蹄疫 - 伝播が速い? 2010, 11, 29. - 初発(安東市, 慶尚北道) 2011, 1, 24. - 第139件目(釜山広域市金海)
口蹄疫ウイルスの遺伝学的多様性 血清型 - O, A, C, SAT1, SAT2, SAT3, and Asia 1 - 交差免疫がない 血清型 - O, A, C, SAT1, SAT2, SAT3, and Asia 1 - 交差免疫がない 新たな口蹄疫ウイルス変異株の誕生 - RNA 複製の間違い、組換え、および宿主の選択による変異
宿主 家畜および野生の全ての偶蹄類動物 牛、豚、山羊、水牛、鹿、アンテロープ、猪、象、キリン、およびラクダ
伝播 感染動物と感受性動物の直接接触 汚染した資材、手、靴、衣類、車両 残飯給餌、授乳、人工授精 感染性飛沫の吸引 感染動物と感受性動物の直接接触 汚染した資材、手、靴、衣類、車両 残飯給餌、授乳、人工授精 感染性飛沫の吸引 陸上では 60 km、海上で300 km も空気伝播 人間は気道に24-48 時間口蹄疫ウイルスを滞留し得る
ウイルスの感染源 呼気、唾液、糞便、尿、乳汁および精液 - 臨床徴候が現れる4日前からウイルスが排出される 肉および副製品 保菌動物 呼気、唾液、糞便、尿、乳汁および精液 - 臨床徴候が現れる4日前からウイルスが排出される 肉および副製品 保菌動物 - 回復後の動物、あるいは、ワクチン接種後に感染した動物 - 口蹄疫ウイルスは口腔咽頭に28日以上(6ヶ月から3年)生残する - 牛が保菌動物となる割合:15-50%
臨床診断 潜伏期間:2-14 日 罹患率: ほぼ100% 死亡率: - 成獣では低い(1~5%)) - 幼獣では高い(20%以上)
病変 水泡 舌、歯茎、歯肉、頬、口蓋、唇、鼻孔、鼻鏡、蹄環、乳首、乳房、豚の鼻先、および趾間 心筋炎(虎斑心) 水泡 舌、歯茎、歯肉、頬、口蓋、唇、鼻孔、鼻鏡、蹄環、乳首、乳房、豚の鼻先、および趾間 心筋炎(虎斑心) 心筋の変性と壊死により心臓に灰色から黄色の縞模様
牛の臨床徴候 口蹄疫の指標: 病気の進行が速い、徴候と病変が重度である 発熱、無食欲、震顫、泌乳量減少 流涎、跛行、蹴り上げ 口蹄疫の指標: 病気の進行が速い、徴候と病変が重度である 発熱、無食欲、震顫、泌乳量減少 流涎、跛行、蹴り上げ - 口腔と鼻腔の粘膜ならびに趾間と蹄環にできた水泡によって引き起こされる 24時間以内に、水泡が破裂し、糜爛ができる - 水泡は乳房にもできる 8~15日以内に回復
豚の臨床徴候 口蹄疫の増幅動物 - 牛や羊の30-100倍以上のウイルスを産生 - 一日当たり10億感染単位(108ID50)を生産する 口蹄疫の増幅動物 - 牛や羊の30-100倍以上のウイルスを産生 - 一日当たり10億感染単位(108ID50)を生産する 発熱 重度の蹄病変と跛行 脚の加圧点に水泡 鼻端に水泡病変 子豚では高い致命率
診断 採材 - 破裂していないか破裂から時間が経過していない水泡の上皮組織 - 食道・咽頭の拭い液 抗原の検出 - 抗原検出ELISA 採材 - 破裂していないか破裂から時間が経過していない水泡の上皮組織 - 食道・咽頭の拭い液 抗原の検出 - 抗原検出ELISA - ウイルス分離 - RT-PCR - 電子顕微鏡観察 - 簡易キット 血清学的検査 - ウイルス中和試験、 ELISA 法、補体結合試験
以前の口蹄疫発生時の制御戦略 2000. 3 2002. 5 2010. 1 2010. 4 発生状況 - 3.24-4.15 (22 日間) 15 cases (牛のみ) - 3行政区の6ヶ所 - 血清型:O型 - 5.2-6.23 (52日間) 16 cases (1頭の牛と 15頭の豚) 2行政区の4ヶ所 血清型:Asian O1型 -1.2-1.29 (28日間) 6 cases (牛のみ) 1行政区の2ヶ所 血清型:A型 - 4.8-5.6 (29 日間) -11 cases (7頭の牛と4頭の豚) 4行政区の4ヶ所 -血清型:O型 制御方針 淘汰 : 2,216 頭 ワクチン接種 : 1,522,470 頭 淘汰: 160,155頭 -ワクチン接種 せず 淘汰: 5,956頭 淘汰: 49,874頭
2010年11月に口蹄疫発生 ‘10. 11. 23 : 農家による地方獣医当局への最初の報告; 抗体簡易検査キットで陰性と判定 ‘10. 11. 23 : 農家による地方獣医当局への最初の報告; 抗体簡易検査キットで陰性と判定 ‘10. 11. 28 : 農場主は国立獣医学研究・検疫所(NVRQS)に再度報告 ‘10. 11. 29 : NVRQS によって豚において最初の診断 ‘10. 12. 15 : 牛へのワクチン接種を決定; 地域的な包囲ワクチン接種(5地域) ‘10. 12. 25 : 牛におけるワクチン接種開始 ‘11. 1. 10 : 全ての牛と豚へのワクチン接種を決定 ‘11. 2. 28 : 全ての牛と豚への2回目のワクチン接種が完了 ‘11. 3. 10 : 淘汰した動物; 340万頭以上 ワクチン接種した牛と豚; 1300万頭
韓国における口蹄疫発生 ( 2010年11月- ) 韓牛 豚 乳牛 2010.12.31 - 2010. 12. 20 - 最初の発生: 10.11.29 20101 1. 10 - 2010.11.29 - 2010.1. 24 -
疑われる疫学的要因 最初の口蹄疫症例発見の遅れ - 抗体検出簡易キットの使用 - 口蹄疫疑い、水泡形成疾患に対する標準作業手順( SOP )に従わなかった - 車両や人などの移動の制御が遅かった
疑われる疫学的要因 II. 韓国における畜産業のシステム - と畜システム; 家畜飼育地帯と離れている - と畜システム; 家畜飼育地帯と離れている - 飼料配送システム; 大企業が数ヵ所の畜産地域を賄っている - 畜産用資材の流通システム; 精液と薬剤の納入業者、獣医師、指導員 -> 彼らは同じ日に数農場を訪れる
韓牛(韓国の肉用牛)の飼育 (2010. 12) 行政区 牛の頭数 慶尚北道 597,692 全羅南道 500,761 忠清南道 江原道 231,599 行政区 牛の頭数 慶尚北道 597,692 全羅南道 500,761 忠清南道 394,020 全羅北道 332,917 慶尚南道 328,115 京畿道 303,042 江原道 231,599 忠清北道 203,211 済州 30,487 計 2,921,844 忠清北道 203,211 京畿道 303,042 慶尚北道 597,692 忠清南道 394,020 全羅北道 332,917 全羅南道 500,761 慶尚南道 328,115 済州 30,487
韓国における肉牛用と畜場の分布 (2010) 行政区 と畜場の規模 と畜場の数 京畿道 289,389 14 慶尚南道 118,631 10 江原道(9) 35,000 (2010) 京畿道(14) 289,000 行政区 と畜場の規模 と畜場の数 京畿道 289,389 14 慶尚南道 118,631 10 慶尚北道 88,718 11 全羅南道 77,292 忠清北道 54,096 忠清南道 49,640 6 全羅北道 35,997 9 江原道 35,213 済州 3,552 1 計 752,528 81 忠清北道(10) 54,000 忠清南道(6) 50,000 慶尚北道(11) 89,000 全羅北道(9) 36,000 慶尚南道(10) 118,000 全羅南道(11) 77,000 行政区 (と畜場の数) と畜場の規模 済州(1) 3,500
韓国における豚の飼養 (2010. 12) 行政区 豚の頭数 忠清南道 1,900,327 京畿道 1,879,447 慶尚北道 江原道 461 京畿道 1,879 忠清北道 574 行政区 豚の頭数 忠清南道 1,900,327 京畿道 1,879,447 慶尚北道 1,262,197 慶尚南道 1,232,679 全羅北道 1,200,632 全羅南道 868,192 忠清北道 574,050 済州 502,032 江原道 461,076 Total 9,880,632 慶尚北道 1,262 忠清南道 1,900 全羅北道 1,201 全羅南道 868 慶尚南道 1,233 済州 502 (単位: 千頭)
韓国における豚用と畜場の分布 (2010) 行政区 と畜場の規模 と畜場の数 京畿道 3,261,926 15 忠清北道 2,358,969 江原道(8) 744 (2010) 京畿道(15) 3,262 忠清北道(11) 2,359 行政区 と畜場の規模 と畜場の数 京畿道 3,261,926 15 忠清北道 2,358,969 11 慶尚南道 1,977,017 12 忠清南道 1,624,565 8 全羅北道 1,457,021 10 慶尚北道 1,446,917 全羅南道 1,038,332 江原道 743,531 済州 721,101 1 計 14,629,379 88 慶尚北道(11) 1,447 忠清南道(8) 1,625 全羅北道(10) 1,457 慶尚南道(12) 1,977 全羅南道(12) 1,038 行政区 (と畜場の数) と畜場の規模 済州(1) 721
韓国における飼料工場の分布 行政区 飼料工場の数 日産能力 (M/T) 京畿道 17 6,824 全羅北道 15 4,925 忠清南道 11 江原道 3 京畿道 17 忠清北道 5 行政区 飼料工場の数 日産能力 (M/T) 京畿道 17 6,824 全羅北道 15 4,925 忠清南道 11 3,371 慶尚南道 10 3,280 慶尚北道 5 2,070 忠清北道 1,640 全羅南道 4 1,190 江原道 3 900 済州 2 195 計 72 24,395 慶尚北道 5 忠清南道 11 全羅北道 15 全羅南道 4 慶尚南道 10 済州 2
疑われる疫学的要因 III. その他の要因 - 輸送システム - 冬季の気象 - 韓国の農場における生物学的防御システムの不在 - 輸送システム - 冬季の気象 - 韓国の農場における生物学的防御システムの不在 - 感染動物の淘汰の遅れ - ワクチン接種決定の遅れ - 口蹄疫ワクチンの不足 - 飼養地域における韓国の文化 - その他
口蹄疫伝播が疑われる経路 12.14 牛 豚 12.15 12.23 牛の輸送 初発 11.1.1 糞尿の輸送 10.11.29 12.22 12.23 12.15 12.14 牛 豚 12.23 牛の輸送 糞尿の輸送 First outbreak 10.11.28 初発 10.11.29 11.1.1 輸送:飼料、藁 輸送:飼料、藁、動物、その他 11.1.24
Frozen preventive measures 凍結した口蹄疫防疫処置 凍結した漢江 Frozen preventive measures 凍結した防疫処置
疑われる疫学的要因 口蹄疫第一症例発見の遅れ II. 韓国における畜産業のシステム III. その他の要因 Other factors - 簡易抗体検出キットの - 口蹄疫に対する標準作業手順( SOP )に従わなかった II. 韓国における畜産業のシステム - と畜システム - 飼料配送システム - 畜産用資材の流通・配備システム; 精液、薬剤、獣医師、指導員 III. その他の要因 Other factors - 輸送システム - 冬季の気象 - 韓国における生物学的防護システムの不備 - 飼養地域における韓国文化