シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成

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実習の前に … 黒田研の実習では、ファイルをダウンロードしても らうことが多くあります。 まずは、下記のホームページを開いてください。 tokyo.ac.jp/class/Summer/2013 → 直打ち または ① Google で「東京大学黒田研究室」検索.
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2019/4/22 Warm-up ※Warm-up 1~3には、小学校外国語活動「アルファベットを探そう」(H26年度、神埼小学校におけるSTの授業実践)で、5年生が撮影した写真を使用しています(授業者より使用許諾済)。
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シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 2019/1/3 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象  Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

生化学反応の特性 1.時定数 時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害 プローブは外乱 何かを壊さないと中身は見れない t 2019/1/3 time A AB t 1.時定数   時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害  プローブは外乱  何かを壊さないと中身は見れない Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

生化学反応の特性 1.時定数 時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害 プローブは外乱 何かを壊さないと中身は見れない t 2019/1/3 time A AB t 1.時定数   時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害  プローブは外乱  何かを壊さないと中身は見れない Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

その時その時でいつも同じ。履歴を引きずらない 2. Circuit Engineering Genetic Circuits 2019/1/3 準備体操 生化学反応の基本的なふるまい 1次反応; 例;タンパク質などの分解,放射性同位元素の崩壊 x 分解 t ただし、t = 0のとき、x=A0 Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。 x(t) ポイント Memoryless property その時その時でいつも同じ。履歴を引きずらない t

逐次1次反応;leaky integrator(漏れ積分器) 2. Circuit Engineering Genetic Circuits 2019/1/3 準備体操 生化学反応の基本的なふるまい 逐次1次反応;leaky integrator(漏れ積分器) 1次反応に外部入力(ステップ刺激)を加える Integrator (積分器) Leak (漏れ) t x 分解 t I x(t) Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。 I ただし、t = 0のとき、x = 0 空気抵抗を考えた場合の自由落下の式と同じ。 穴のあいたバケツに水を一定速度で入れるのとも同じ。 t t

生化学反応は漏れ積分で近似できる time A AB t 6

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 7

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 8

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 9

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 k=0.01(遅い) k=1 k=100(早い) 10

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 k=0.01(遅い) 1 k=1 k=100(早い) 0.63 0.01 11

レポーター遺伝子システムによるプロモーター活性測定 k=0.01(遅い) 1 k=1 k=100(早い) 0.63 0.01 - 信号強度と波形のトレードオフ - ルシフェラーゼの分解速度を上げると、ルシフェラーゼの量の時間パターンとプロモーター活性の時間パターンとの類似度は上がる。 一方、ルシフェラーゼの量は逆に減少するため信号強度は下がる。 12

生化学反応の特性 1.時定数 時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害 プローブは外乱 何かを壊さないと中身は見れない t 2019/1/3 time A AB t 1.時定数   時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害  プローブは外乱  何かを壊さないと中身は見れない Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

Ca 2+プローブ cameleon Ca指示薬 Kd(nM) kf(1/M/sec) kb(1/sec) Cameleon3.60 215 Cameleon Nano (Kd=15nM)) Cameleon3.6 (Kd=215nM) Ca指示薬 Kd(nM) kf(1/M/sec) kb(1/sec) Cameleon3.60 215 1.33*10^6 0.33 Cameleon-Nano15 15 2.36*10^7

生化学反応の感受性 (検出限界の問題) EC50=215nM EC50=15nM Cameleon 3.6 Cameleon Nano15 時間波形 Dose response 定量性が保たれている 定量性が失われている 感度が高い EC50=215nM EC50=15nM

Cameleon Nano(Kd=15nM)) ⇒プローブを使う際にはKd付近の物を使用する。 細胞性粘菌の生活環 Cameleon Nano(Kd=15nM)) Cameleon3.6(Kd=215nM) カルシウム濃度<<100nM 感度 ○ 感度 △ 定量性 △ 定量性 ○ ⇒プローブを使う際にはKd付近の物を使用する。

生化学反応の特性 1.時定数 時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害 プローブは外乱 何かを壊さないと中身は見れない t 2019/1/3 time A AB t 1.時定数   時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害  プローブは外乱  何かを壊さないと中身は見れない Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

プローブは細胞内分子とCa2+結合において拮抗する プローブがないときとあるときでは、 Ca2+のターゲットの量が異なる Z(Protein) AZ(complex) A (Ca2+) AB(complex) B(Probe) プローブがないときとあるときでは、 Ca2+のターゲットの量が異なる

Ca2+プローブの問題点 - Ca2+量が限られている場合- stimuli プローブ濃度が高すぎる場合 ⇒細胞内応答が阻害される (200μM) プローブ濃度が適正な場合 ⇒細胞内カルシウムの変動が見える (20μM) プローブ濃度が低い時 ⇒プローブの応答が小さい (2μM)

生化学反応の特性 1.時定数:低周波通過フィルタ 時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害 プローブは外乱 2019/1/3 time A AB t 1.時定数:低周波通過フィルタ   時間おくれ、波形がなまる 2.感受性と定量性 3.拮抗阻害  プローブは外乱  何かを壊さないと中身は見れない Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

おまけ:漏れ積分器=低周波通過フィルタ t w 生化学反応そのものが低周波フィルタ If A << Kd Matlab demo Low-pass A AB t time time If A << Kd A AB time tims A AB w wc = 1/t time time 21

漏れ積分器=低周波通過フィルタ t w 生化学反応そのものが低周波フィルタ If A << Kd Matlab demo Low-pass A AB t time time If A << Kd A AB time tims A AB w wc = 1/t time time 22

かいつまんで説明すると、、、 低周波フィルタ decoupling 一過性:高周波成分が多い 持続性; 低周波成分が多い pEGFR time 低周波フィルタ 高周波↓ 低周波↑ pS6 time What is the cause of decoupling effect? Here is the answer. The transient pEGFR have rich high frequency waves. In contrast, sustained pEGFR have rich low-frequency waves. We found the Akt pathway has low-pass filter characteristics and high-frequency waves were filtered out. So, only low-freqeuncy waves were efficiently transferred. This is the reason why weak sustained pEGFR more efficiently induce pS6 than strong transient pEGFR. The frequency waves in pEGFR and low-pass filter characteristics of the Akt pathway cause the decoupling effect. We will explain it in detail. decoupling 23

薬は毒にもなる? EGFR inhibitorは下流のactivatorに! 2019/1/3 薬は毒にもなる? EGFR inhibitorは下流のactivatorに! Fujita, K.A. et al, Science signaling, in press EGFR Inhibitor (Lapatinib) pAkt time 低周波フィルタ pS6 time Activator The low-pass filer characteristics raises an interesting question. If EGFR inhibitor reduces amplitude of pEGFR, but prolongs it; which means EGFR inhibitor converts transient pEGFR to weak but sustained pEGFR, pS6 should be enhanced, rather than inhibited. This means the possibility that EGFR inhibitor can be a downstream inhibitor. We tested this possibility by experiments and simulation, and this answer was YES! In the presence of intermediate dose of EGFR inhibitor, EGF induced stronger pS6 than in the absence of the inhibitor. We confirmed that excess amount of the EGFR inhibitor surely inhibited pS6. This result indicates that an EGFR inhibitor can be a potential downstream activator by decoupling signal intensity between pEGFR and pS6. 24

周波数応答関数、ボード線図 時間波形 周波数応答関数、ボード線図 振幅スペクトル サイン波の和 刺激 応答 = ・・・ + + ・・・ + 2019/1/3 周波数応答関数、ボード線図 時間波形 周波数応答関数、ボード線図 振幅スペクトル サイン波の和 刺激 応答 = ・・・ + + ・・・ + + ・・・ = = ・・・ + + ・・・ + + ・・・ = ・一次反応の刺激にサイン波を使うと同じ周期のサイン波の反応を示す。  → 刺激と反応の振幅比(ゲイン) = 伝達効率 If you divide the output spectra by input spectra, we can obtain frequency-dependent transfer efficay, which is an apparent transfer function of a linear and time invariant system. ゲイン = 下流の振幅 上流の振幅

周波数応答解析 Akt pathwayは低周波フィルタ pEGFR 時間波形 スペクトル 周波数依存性 ゲイン 低周波フィルタ pAkt カットオフ周波数 (時定数の逆数) pS6 We examined the frequency-dependent response. Consider typical transient and sustained time course. Here are the amplitude spectra of the time courses.X-axis is frequency; high and low-frequency. The transient pAkt have more high frequency waves, and the sustained pAkt have more low-frequency waves. For both transient and sustained pS6 compared to those of pAkt, high-frequencey waves are reduced and low-frequency waves are enhanced. When amplitude spectra of pS6 were divided by those of pAkt, we obtained frequency-dependent gain. The frequency-dependent gain remains constant at low frequency and begins to attenuate with high frequency. This indicates that the Akt pathway serves as low-pass filter. Although I do not show data, similar low-pass filter characteristics were seen regardless of the stimulation patterns of EGF. The frequency above which signal attenuates is the cutoff frequency, an inverse of the time constant. Time constant of pAkt to pS6 is about 30 minutes. 26

上流の持続時間vs経路の時定数 カップリングvデカップリング 2019/1/3 上流の持続時間vs経路の時定数 カップリングvデカップリング 上流分子 Time ローパスフィルタ 速い時定数 ローパスフィルタ 遅い時定数 持続時間 > 時定数 → 効率よい→Coupling 持続時間 < 時定数 → 効率よくない→Decoupling 刺激に対して様々な経路が協調して働く Akt経路は受容体とAkt,下流のS6などからなる経路で、翻訳制御と細胞成長に関与する Aktの活性化が赤線のように強いときと青線のように弱いときがあるとする 下流のS6の活性化について、左下のように強い信号が伝わって弱い信号は伝わらないというのが普通だが、今回は右下のように強い信号が伝わらず弱い信号が伝わるという不思議な現象をみつけたので、これについて話す Matlab demo 下流分子 Time Time Coupling Decoupling 27 27