The Value of Information ~情報の価値~

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2011 年 1 月 6 日(木) 王 暁華 経営情報学入門 ― 生産管理 ( 2 ) 2011/1/6 2-1 経営情報学入門-生産管理( 2 )
Advertisements

第17期事業計画書 株式会社 スパン商事 S PAN 第17期事業目標 当期売上目標 270億円 当期利益 2億2,700万円 新規商品開発 インドネシアでの自社工場設置 S PAN.
2008年12月9日 株式会社パックマン.  郵便事業の停滞 ◦ H21 年3月期中間純利益 ▲ 189億円 ( H 20年11月28 日発表)  宅配業者との競合 ◦ 競合する大手3社( Y 社、 S 社、 N 社)とも業績の伸び悩 み ⇒ 貴社の強みを生かし、競合他社との差 別化できる新規事業の開拓が必要.
EDI 接続によるメーカー側 のメリット 2003 年 9 月 4 システム部会 所属企業 : ジョンソン・エンド・ジョンソン株式 会社 仁瓶 太郎.
卸売流通 卸の変化 1. 卸売業とは 生産者や同業者から商品を仕入れ同業 者や小売業者へ販売する業者 消費者は販売の対象としない メーカと小売を結ぶ結節点 集荷分散機能・在庫調整機能を持つ 2.
サプライ・チェイン最適化 ー収益管理を中心としてー 東京海洋大学 久保 幹雄
多々納 裕一 京都大学防災研究所社会システム研究分野
第4章 ABC/ABMと原価情報 原価計算・原価低減の新技法 1.ABCとは何か 2.ABCの有効性 3.ABMとは何か 4.ABMの有効性.
市場機会の発見・評価・選択.
サプライ・チェインの設計と管理 第6章 戦略的提携 pp 音複堂のケーススタディを読んでおくこと!
マーケティング・プログラム: 価格設定戦略
サプライ・チェインの設計と管理 第9章 顧客価値とサプライ・チェイン・マネジメント pp
サプライ・チェイン最適化の最近の動向について
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
設備管理(facility management)
SCMとトヨタ生産方式を比較する 再編 ∞Infinity
穀物はなぜいつも店先にあるのか? ~主要穀物の生産、流通、管理~ 第6班.
初級ミクロ経済学 -生産者行動理論- 2014年10月20日 古川徹也 2014年10月20日 初級ミクロ経済学.
梅沢人間力アカデミー 『ゼミナール 経営学の基礎』 第 6 章
第3章 原価計算制度と原価情報 1.原価計算目的と原価計算制度 2.実際原価計算 3.標準原価計算 4.新しい原価計算
多々納 裕一 京都大学防災研究所社会システム研究分野
ロジスティクス工学 第3章 鞭効果 サプライ・チェインの設計と管理 第4章 情報の価値 バリラ・スパの事例を読んでおくこと!
テスト段階.
2017/3/14 サプライ・チェイン最適化 東京海洋大学 久保 幹雄.
2017/3/14 サプライ・チェイン最適化入門 東京海洋大学 久保 幹雄.
ダブル・ マージナリゼーション.
第2回 バリューチェーン1 【 Value Chain(価値連鎖) 】
データモデリング CRUD分析.
グループ研究1班 第一章 経営戦略とは何か 雨森 彩 大嶋 健夫 小沢 博之.
サプライ・チェイン最適化の最新動向 久保 幹雄 東京商船大学 江東区越中島2ー1ー6 流通情報工学 流通管理工学講座 流通経営工学 助教授
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
TOC(制約条件理論).
経済・経営情報コース コース紹介.
マーケティング計画.
製品ライフサイクルと マーケティング戦略.
SPAN 第17期事業計画書 株式会社 スパン商事.
サプライ・チェインの設計と管理 第8章 製品設計とサプライ・チェイン設計の統合 pp
需要予測システム WebForecastのご紹介
ビールゲーム第二回発表資料 11班.
モデリング&シミュレーション 第二回発表資料
導入段階.
需要パターンを考慮した 発注方式の比較検討
流通に関する意思決定 流通経路と物的流通
Strategic Alliances 戦略的提携
小間田 春彦 高 雷 小林 磨生 小針 由香 小林 亮 毛塚 智彦
ロジスティクス工学 第3章 鞭効果 サプライ・チェインの設計と管理 第4章 情報の価値 バリラ・スパの事例を読んでおくこと!
在庫管理 東京工業大学 曹徳弼 内容 在庫の分類 ABC管理 ロット編成手法 EOQ WW法 新聞売り子問題 発注方式.
付属書Ⅰ.5 ハザード分析と 重要管理点 (HACCP).
ビールゲーム そこにみる、流通のプロセス。 5班.
管理的側面 管理者に必要な経営知識 経営学の基本 ②環境と戦略と競争優位.
VMIによる在庫管理 2006年5月26日(金) 19班 名前:藤田 雄大 学籍番号:1G03H111-4
ブルウィップ効果 Bullwhip Effect
経営システム工学入門実験A ビールゲーム 総評
事業リスク分析をベースとした 意思決定・事業評価手法
ジャストインタイム農業システム (JITAS; Just In Time Agriculture System)
1.目的 サプライチェーンにおいて重要なこと ・商品のコスト ・商品の充填率 需要が予測できれば、 充填率を下げずに在庫が減らせる 在庫
『組織の限界』 第1章 個人的合理性と社会的合理性 前半
「経営システム工学総合実験」 モデリング&シミュレーション 第2回
第8回 生産プロセスの管理.
「経営システム工学入門実験A」 ロジスティクス 第1回
サプライ・チェインの設計と管理 第5章 ロジスティクス戦略 pp 米国出版販売(ベーハン)のケーススタディを読んでおくこと!
メンバー 高野 芳光、高橋 敦史、高橋 裕嗣 高橋 祐帆、高山 陽平、田嶋 麻子
ビールゲームにおける結果と考察 9班:ユベントス.
卒業テーマの発表 在庫量の効率管理    卒業テーマの発表        ------在庫量の効率管理      a6p21502 Huang Ping.
早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科 8班 高木 白川 数藤 鈴木翼 高橋 関 清野 鈴木廉
在庫最適化システム WebInvのご紹介 Log Opt Co., Ltd..
顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動
サプライ・チェイン 在庫最適化システム WebSCMのご紹介
経営システム工学総合実験 23班 研究企画 1G03H136 山本 亮 1G03H137 葉 寛明 1G03H138 横尾 英俊
マーケティング・チャンネル戦略.
Presentation transcript:

The Value of Information ~情報の価値~ 5班 下木有生・穴水孝治・澤田英希

Outline Barilla社のケース(問題編) Bullwhip Effectの説明 Barilla社のケース(解決編)

Barilla Incについて Barillaは世界最大のパスタ製造業者 狙いはヨーロッパ各地への輸出 イタリアのパスタ市場のシェア 35% イタリアのパスタ市場のシェア 35% ヨーロッパのパスタ市場のシェア   22% イタリアのベーカリー市場のシェア  29% 狙いはヨーロッパ各地への輸出 イタリアのパスタ市場はあまり伸びない(みんな食べてる) 安い主食を探している東欧人へ訴求

パスタについて イタリアではパスタは主食 季節に応じたパスタがあるので、総じて需要変動は小さい 製造工程 小麦と水から 生地作り 薄く延ばし 18kg/人・年…他の西洋諸国の3倍以上 季節に応じたパスタがあるので、総じて需要変動は小さい パスタサラダ用は夏。エッグパスタはイースターの頃 製造工程 小麦と水から 生地作り 薄く延ばし た後成形 かまで 焼く 乾燥して 完成

Barillaの商品 Fresh…パスタ(21-day shelf lives) パン (1-day shelf lives) Dry…パスタ・クッキー・ビスケットなど     (18~24months, 10~12months shelf lives) Barillaの売り上げの75% 今回対象にするのはdry productsのdistribution

Dry productsのロジスティクス(1) Bariila Barilla dry product factoreis 65% 35% Barilla central distribution centers Barilla internally owned Regional depots Barilla internally owned Regional depots  約2週間くらい在庫管理 DOはよくスーパーに直接行く Distributor Grand Distributors (GD) Organized Distributors (DO) 70% 30% retailer Chain supermarket Independent supermarket Small independent shops

Dry productsのロジスティクス(2) Factoryからdistributorへのlead time(発注から到着までの時間)は10日程度 Distributor (DO,GD)が週に1度在庫チェックをして発注を決定 ほとんどのdistributorは、在庫が、あらかじめ定めた発注レベルを下回ったら注文をかける方法。    *最新のバーコードシステムを導入しているところは少ない

ロジスティクスの問題点 Bullwhip Effectの発生 1980年代が進むにつれ、distributorからの大きな需要の変動によって、在庫切れ、売れ残りが無視できなくなり、 Barillaの利益を圧迫し始めた。 小売の需要の変動が、Barillaには伝わっておらず、 かつdistributorでも適切な在庫管理がなされていない。そのため需要の変動が増大していく。 Bullwhip Effectの発生

JITDの提案 Distributorが発注した量をBarillaが供給する        Just in Time Distribution (JITD) Distributorの出荷データからBarillaが必要量を判断し、供給する。(No more, no less) そのために、distributorはBarillaに毎日の小売への出荷量を報告する。 本当は小売の販売個数を把握して、投入量を決めるのがよいが、多くの 小売はバーコードシステムを持っていない。 しかしながら多くの反発…

Outline Barilla社のケース(問題編) Bullwhip Effectの説明 Barilla社のケース(解決編)

情報がサプライ・チェインの設計と運営に及ぼす影響 予想される効果  □サプライ・チェインにおける変動の低減に役立つ □販売促進や市場の変化に対応し、供給業者側の予測精度を高めるのに役立つ   □小売業者がよりすばやく、供給問題に対応、適応できる

Bullwhip effect① Bullwhip effect:サプライ・チェインの上流にいくほど変動幅が広がること 工場 物流業者 生産リード時間 工場 物流業者 卸売業者 小売業者 :配送リード時間 :注文リード時間 外からの需要

(bullwhip effect)を管理する技術・手法を   サプライ・チェインの上の段階にいくほど顧客の需要量と各段階の業者の注文量との間に差が生じてくる サプライ・チェインにおける変動の増加 (bullwhip effect)を管理する技術・手法を 明確にすることが必要になる

変動増加を引き起こしている要素 各業者の需要予測の変化 リード時間の増加 価格変動 過剰な注文

Bullwhip effectの定量化 ・小売と製造業者からなる2段階のサプライ・チェインを考える ・小売はミニ-マックス在庫方策*をとるものとする *ミニ-マックス在庫方策:毎期在庫を補充目標点まで増やすように発注する方法 ・毎期、小売業者は平均需要、分散を直前の 期間における需要量を用いて予測するものとする   期の補充目標点  は以下の式によって表せる     :小売業者のリード時間      : 期の顧客需要      :安全在庫係数 リード時間の平均需要 安全在庫レベル

顧客需要の分散と小売業者の注文量の分散の比較 :小売業者が把握している顧客需要の分散 :小売業者から製造業者に対する注文量の分散   が大きく が小さいとき,予測の誤りによる bullwhip effectの影響は小さくなる

Bullwhip effectにおける情報集中化の影響 □どの業者の注文量も顧客の実需以上に変動している 各業者が需要予測をする際に、サプライ・チェイン上の 一つ下流の業者からの注文ではなく顧客の実需データ を使えば、需要予測精度があがるはず 需要情報が集中化された場合、 されていない場合を比較してみる

需要情報の集中化、非集中化における変動の検証① 需要情報が集中化されている場合 :サプライ・チェイン内の 番目の業者からの注文量の分散 :小売業者が把握している顧客需要の分散 :段階 と段階    との間のリード時間

需要情報の集中化、非集中化における変動の検証② 需要情報が集中化されていない場合 :サプライ・チェイン内の 番目の業者からの注文の分散 :小売業者が把握している顧客需要の分散 :段階 と段階    との間のリード時間

需要情報の集中化、非集中化における 変動の検証③ 結論 情報が集中化されていれば(顧客の需要情報が各業者に 提供されていれば)需要予想の変動幅は非集中化のとき に比べてはるかに小さなものになる 需要情報の集中化により、bullwhip effectは低減 させることが可能だが消滅させることは不可能である

Bullwhip effectの対処法 不確定要因の低減(需要情報の集中化、同じ予測メソッド) 変動の縮小(EDLP) リード時間の短縮(クロスドッキング、電子データ交換) 戦略的提携(ベンダー管理在庫、情報開示による奨励金制度)

Outline Barilla社のケース(問題編) Bullwhip Effectの説明 Barilla社のケース(解決編)

サプライ・チェインの導入 達成されること:在庫レベルの減少 小売店へのサービスレベルの向上 出荷動向の平準化           小売店へのサービスレベルの向上           出荷動向の平準化  小売業者が在庫によって顧客の需要を満たす能力 情報はより有効な予測を可能にする 将来の需要予測に関する要因を取り込めば取り込むほど、予測は正確なものに 具体例 1996年~ 消費財製造業者ワーナーランバートと量販店のウォルマート :協力型計画予測補充システム(CPFR) P&Gなども

サプライ・チェインの複雑性 製造、倉庫、輸送、小売・・・システム間のトレードオフが存在 システムはつながっている →1つのシステムの出力情報が、他のシステムの入力情報になる 複数のシステムを効率的に運用するには、調整が必要 Global Optimization を考えると・・・ <問題点> 各施設での仕事量に差が出る 局所的なマイナスが全体のプラスの場合もある ◎誰が最適化するのか? ◎費用削減効果をサプライチェイン内の施設間でどう配分するのか?

サプライ・チェインの統合 ・・・サプライ・チェインにおける各業者の目的 ≠ 互いに補い合うこと 実は、それぞれに相反する目的が存在する、しかし 入手可能な情報を注意深く利用することで、システム全体の費用を削減することが出来る サプライ・チェインはトレードオフの集まり?? ●ロットサイズと在庫のトレードオフ ●在庫と輸送費のトレードオフ ●リード時間と輸送費 ●製品の多種製と在庫 ●費用と顧客サービス

相反する目的 要求 プレイヤー 原材料の供給業者 材料の組み合わせに変動がないこと 数量も安定していること 出荷時期に制限が無いこと(まとめて配送できる) 需要量が大きいこと 製造業者 需要変動が少ないこと (製造の切り替え時、品質が落ちる  生産の効率化、製造費の低減  高い生産性が達成できる) 倉庫(物流) 量的割合の恩恵、輸送費用の削減 在庫レベルを最小化 在庫の早急な補充 小売 リード時間が短いこと 効率的、正確に注文を配送してもらうこと 顧客 商品在庫、種類の多さ、低価格

●ロットサイズと在庫のトレードオフ 製造:大きなロットを望む 大きなロット:単位あたりの段取り費が低減 個々の製品への専門知識増加         個々の製品への専門知識増加         工程の管理が容易 しかし 注文は大きな単位で来ない 大きな製品単位で製造した結果、在庫が増加する 解決法 製造革命(80年代) いかに小さなロットサイズに 対応する製造方式に転換するか 在庫削減、製造システムの対応能力の改善 Ex.段取り時間の短縮   カンバン方式   

●在庫と輸送費のトレードオフ ●リード時間と輸送費のトレードオフ 自社トラック有りの場合 固定費:減価償却費、運転手の人件費 変動費:燃料費 トラックが満載であれば、商品は増加、商品ひとつあたりが分担する 費用は少なくなる ートラックをいつも満載にすれば、輸送費を最小化できる 持っていない場合(配送の外注) しかし 多くの場合、需要量はトラック1台よりも少ない 輸送会社は通常、量的割引を提供する 同様に、トラック満載の方が安く上がる 商品がはけるまでの在庫費用がかさむ ●リード時間と輸送費のトレードオフ 満載に出来るように十分に在庫を蓄積すること リード時間を短縮するためにすぐ出荷すること 解決法 トラックが満載になるように、製品の製造を遅らせる トラックへの混載

●製品の多種製と在庫のトレードオフ 製品多種→サプライ・チェインの管理は複雑に 小さなロットで多品種製造→製造費上昇、製造効率の低下 少ない品種と同様のリード時間では、より少ない量で倉庫に出荷                         より多くの種類の製品を保持しなければいけない 製品の種類の増加⇔輸送費と在庫費がかさむ <内在する問題> 各製品の需要を正確に予測することは難しい 製品同士が顧客に向けて競合 多品種の製品を供給する会社が解決しなければいけない課題 ・・・需要と供給のバランスを効果的に適合させるか? 解決法 多品種生産の効率化 商品の遅延差別化 仕様が分かれる直前の商品が、出来るだけ下流まで流れるようにする

●費用と顧客サービスのトレードオフ JITDの未解決問題 在庫費用、製造費用、輸送費を削減すると・・・顧客サービスが犠牲になる 解決法 輸送方法の変更 ・・・倉庫から顧客の自宅に直送する →中抜き? JITDの未解決問題 予測は短期システムには反映されるが 長期の生産計画の決定は、いまだに製造部門によって行われている。

まとめ 鞭効果(Bullwhip)とは、サプライ・チェインの上流に おいて、需要の変動幅が広がることに伴って、 業務処理の効率が著しく低下すること サプライ・チェインを運営することは異なる段階内、 段階間の一連のトレードオフを調整すること 情報こそが、サプライ・チェインの異なる段階の 統合を可能とする鍵