グラフェンのランダウ準位構造 (+最近の進展)

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2005/5/25,6/1 メゾスコピック系の物理 (物理総合) 大槻東巳 (協力 : 吉田順司, 2003 年 3 月上智大学理学博士 )  目次 1 )メゾスコピック系とは 2 )舞台となる 2 次元電子系 3 )バリスティック系の物理 コンダクタンスの量子化 クーロン・ブロッケード 4 )拡散系の物理.
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顕微発光分光法による n 型ドープ量子細線の研 究 秋山研究室 D3 井原 章之 ’ 07 11/20 物性研究所 1次元電子ガスを内包し、 状態密度の発散や 強いクーロン相互作用の 発現が期待される。 しかし試料成長や測定が難しいた め、 バンド端エネルギー領域の 吸収スペクトルに現れる特徴を.
Localized hole on Carbon acceptors in an n-type doped quantum wire. Toshiyuki Ihara ’05 11/29 For Akiyama Group members 11/29 this second version (latest)
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グラフェンのランダウ準位構造 (+最近の進展) 超強磁場下での磁気光学測定により調べた グラフェンのランダウ準位構造 (+最近の進展) 東大物性研 中村大輔 Collaborators 東大物性研 齋藤宏晃, 沼田拓也, 嶽山正二郎 富士通研究所 八木克典, 林賢二郎, 佐藤信太郎 NTT研究所 日比野浩樹

グラフェンのランダウ準位構造 Energy (eV) Transmission ランダウ準位 サイクロトロン共鳴 k-space Magnetic Field (T) Transmission 20 40 60 80 100 120 E kx,y ディラックコーン M Orlita et al., Semicond. Sci. Technol. 25, 063001 (2010). ランダウ準位 “Non linear” magnetic field dependence サイクロトロン共鳴 : cyclotron frequency 量子極限状態での物性

物性研強磁場施設で利用可能なマグネット 物性実験が可能なレベルの破壊 マグネット Bmax(T) IMGSL@ISSP >600 T 一巻きコイル法 パルスマグネット >600 T 電磁濃縮法 200 T 85 T 40 T 物性実験が可能なレベルの破壊 us ms s 磁場発生時間 マグネット 試料が破壊 電気, 光, 熱測定など 多様な実験手法が可能 マグネットが破壊 ユーザー利用申請 : 物性研HPからどうぞ

グラフェンの超強磁場ランダウ準位構造 vF = 0.9*106 m/s vF = 0.9*106 m/s γ1 = 420 meV Monolayer vF = 0.9*106 m/s Bilayer vF = 0.9*106 m/s γ1 = 420 meV ランダウ準位の磁場依存性は 600 Tまでロバストなふるまいを示す

CVD成長単層グラフェン (富士通研究所佐藤グループより提供) SiO2 catalyst graphene substrate CH4 transfer hole-doped graphene sample 典型的なラマンスペクトル ドープ量の異なる単層グラフェン試料を準備 CaF2-A CaF2-B ZnSe-A ZnSe-B CaF2 基板 ZnSe 基板 高ドープ試料 CaF2-A ZnSe-A 低ドープ試料 CaF2-B ZnSe-B dielectric constant :  ϵ0 = 6.7(CaF2), 8.66(ZnSe) graphene substrate φ 2.6mm ~0.5mm 測定用試料 直径2.6 mm に加工

測定系 Laser ガスレーザー Control CO2: 117- 132 meV board CO: 218- 225 meV before after 磁気光学測定 近赤外領域での透過光強度を測定 試料へのヒーティング効果を減らすために、パルス磁場(~10マイクロ秒)の間だけ試料にレーザー照射 室温測定 一巻きコイル法 ガスレーザー CO2: 117- 132 meV CO: 218- 225 meV He-Ne:366 meV HgCdTe Detector Pick-up coil Graphene chopper Control board OscilloScope Laser D. Nakamura et al., AIP Conf. Proc. 1566, 169 (2013).

典型的な測定データ n = -3 n = -2 n = -1 n = 0 ランダウ準位間の遷移による 吸収ピーク (n = -1 → 0) CO2 CO HeNe ランダウ準位間の遷移による 吸収ピーク (n = -1 → 0)

small n causes larger vF キャリア密度とフェルミ速度の相関 final state is occupied T = 300K n (cm-2 ) vF (m/s) CaF2-A 1.47 – 4.28×1012 0.94×106 CaF2-B 0 – 0.90×1012 1.06×106 small n causes larger vF D. C. Elias, et al., Nat. Phys. 7, 701 (2011). Hartree-Fock correction for E(k) large vF at the vertex of Dirac cone

最近の進展: 遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の磁気光学測定 monolayer TX2 (T = Mo,W, etc.; X = S, Se, etc.) collaboration with band gap in visible light region National Taiwan Normal University Prof. Hsiang-Lin Liu Candidate for opto-electronics material A. Ramasubramaniam, Phys. Rev. B 86, 115409 (2012) Transmittance spectra A B WSe2/sapphire 300 K A励起子 B励起子

G. Aivazian et al., Nat. Phys. 11, 148 (2015). 円偏光二色性とバレー分極 反転対称性の破れ → 円偏光によるバレー選択性 B=0 Theory: W. Yao et al., PRB 77, 235406 (2008). Exp: H. Zeng et al., Nat. Nano. 7, 490 (2012). B>0 spin valley atomic orbital G. Aivazian et al., Nat. Phys. 11, 148 (2015). valley と atomic orbital の寄与によって 左右円偏光の吸収ピークの磁場変化が等価でなくなる

過去の強磁場下でのTMD研究 t=400 nm MoS2 結晶 A励起子吸収ピークの磁場依存性が 入射円偏光の向きにより変化 Xe lamp streak camera fiber magnet t=400 nm MoS2 結晶 A励起子吸収ピークの磁場依存性が 入射円偏光の向きにより変化 g-factor: 4.6 diamagnetic shift: 1.8 × 10−4 meV /T2 T. Goto et al., J. Phys.: Condens. Matter 12, 6719 (2000).

Exciton peaks in magnetic fields (preliminary) Excitation and detection: unporalized このページは未発表データですので、取り扱いご留意ください blue shift non-monotonous evolution of spectral width