10MeV近傍の2H(p,pp)n反応におけるQFS断面積異常探索

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10MeV近傍の2H(p,pp)n反応におけるQFS断面積異常探索 江口 祐一郎A, 相良 建至A, 黒板 翔A, 八嶋 恵介A, 下田 広己A, 末田 雄大A, 宍戸 拓郎A, 矢部 達也A, 石川 壮一B 九大院理A 法政大B

Quasi-free Scattering (QFS) 動機(Star anomaly) 九大グループでは、Off-plane Star anomalyのα依存性の系統的測定を行っている。(八嶋の講演) 今回、E= 13 MeV/Aのα前方での不一致に注目した。 α前方ではQFSの効果が顕著に表れる。 A. Deltuva氏の理論計算との比較 Quasi-free Scattering (QFS) ~QFS QFS断面積にも異常があるのではないか!? Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

動機(nn-QFS anomaly) pp-QFS にも nn-QFS と同程度の不一致が存在するのか!? Bonn 大学(2002) En= 26 MeV CIAE(2007) En= 25 MeV θ1= θ2= 42 deg θ1= θ2= 42.2 deg ~18% ~16% A. Siepe et al., Phys. Rev. C 65, 034010 (2002) X. C. Ruan et al., Phys. Rev. C 75, 057001 (2007) pp-QFS にも nn-QFS と同程度の不一致が存在するのか!? Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

本測定の運動学的条件 p + d → p1 + p2 + n Ep= 9.5 MeV Ep= 13 MeV QFS条件 θ1 = θ2 α=0 QFS条件 θ1 = θ2 QFS条件 θ1 = θ2 Φ12はすべての測定点で180(deg)である Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

K. Sagara et al., Phys. Rev. C 50, 576 (1994) pp-QFS 実験(セットアップ) ビーム: Ep= 9.5, 13 MeV(~250 nA) @九大タンデム ターゲット: CD2膜(厚さ: 0.3, 0.5 mg/cm2) 検出器: Si-SSD(立体角: ~0.4 msr) 観測量: 微分断面積 pp-QFSの微分断面積の絶対値は、   分解反応の収量とモニターにおける   pd 弾性散乱の収量を比較することで   決定する。 Si-SSD p-beam F.C. CD2膜 M モニター K. Sagara et al., Phys. Rev. C 50, 576 (1994) CD2膜(回転標的) Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

データ解析 pd分解反応から生じる2つの陽子を検出した。 検出した陽子のエネルギー E1, E2と 飛行時間(TOF) T1, T2を測定 TOF gate E2 raw data TOFスペクトル E1 E2 T(E2)-T(E1) E2 E1 T2-T1 background TOF gate E1 Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

preliminary 結果(Ep= 9.5 MeV) 理論計算は石川氏(法政大)によるもの Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

結果(Ep= 9.5 MeV) preliminary preliminary preliminary QFS ① ② ③ ① ② ③ Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

結果(Ep= 9.5 MeV) preliminary preliminary preliminary preliminary θ1 = θ2 preliminary preliminary preliminary preliminary Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

結果(Ep= 13 MeV) preliminary preliminary preliminary preliminary QFS ④ 結果(Ep= 13 MeV) ⑤ QFS θ1 = θ2 ④ preliminary preliminary ⑤ preliminary preliminary Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

実験値と理論計算値の比 実験値を石川氏の理論計算値と比較した。(断面積のピークの5点) Ep= 9.5 MeV Ep= 13 MeV ① ② ③ QFS θ1 = θ2 ① ② ③ Ep= 13 MeV ④ ⑤ QFS θ1 = θ2 ④ ⑤ Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

理論計算の比較 Off-plane Star(α= 0 deg)@Ep= 13 MeVでの実験結果を、石川氏とDeltuva氏の理論計算とそれぞれ比較する。 θ1= θ2= 33.3 deg AV18 CD-Bonn 石川氏 Deltuva氏 Ep= 13 MeV ~7% θ1 = θ2 Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望

まとめ Ep= 9.5, 13 MeV において pp-QFS とその近傍の微分断面積を測定した。 測定結果を石川氏による理論計算と比較した。 誤差の範囲内でほぼ一致している測定点が2点(Ep= 9.5 MeV)。 それ以外の測定点では、理論計算値の方が4%~16%程度過大評価している。 しかし、石川氏とDeltuva氏の理論計算には違いがあり、実験値との不一致の程度を定量的に議論することはできない。 理論の不定性を取り除くためにも、今後も精密な pp-QFS断面積測定を続けていく。 Ep= 13 MeV ④ ⑤ ④ ⑤ Christmas Eve ✰2008 少数粒子系物理の現状と今後の展望