銀河風による矮小銀河からの質量流出とダークマターハロー中心質量密度分布 筑波大学 宇宙理論研究室 M1 扇谷 豪 共同研究者:森 正夫
CDMシナリオに沿ったPure DM (ダークマターのみ) Core-Cusp problem CDMシナリオに沿ったPure DM (ダークマターのみ) 宇宙論的シミュレーションの結果 [10-10M☉ kpc-3] log(ρ) log(r) [kpc] Navarro et al. (1997) (Inner region ρ∝r-1) Jing & Suto (2000) (Inner region ρ∝r-1.5) Inner region で密度が発散するようなCusp 構造
HI や Hα 輝線から求められる回転曲線を説明する Core-Cusp problem HI や Hα 輝線から求められる回転曲線を説明する 矮小銀河の密度分布 [10-3 M☉ pc-3] log(ρ) [ M☉ pc-3] log(ρ) -1 0 1 log(r) [kpc] -2 - 1 0 1 log(r) [kpc] Swaters et al. (2003) van Eymeren et al. (2009) Inner region で密度が一定となるようなCore 構造 または、シミュレーション結果より弱いr 依存性
矮小銀河 質量放出と銀河進化の関係・質量放出とBH成長の関係 かつて 矮小銀河からバリオンを逃がすような 現象があったのでは? Local group の多くの 矮小銀河では MHI / Mtot ~ 0.001-0.1 Mateo (1998) 一方、WMAP のデータから Mbaryon / MDM + baryon~(0.04 / 0.24) ~0.16 Spergel et al. (2007) ↓ かつて 矮小銀河からバリオンを逃がすような 現象があったのでは? (Galactic wind? Tidal Stripping? ・・・) 質量放出と銀河進化の関係・質量放出とBH成長の関係
先行研究 (Mass eject のメカニズムとしてはSupernovaによる加熱を仮定) Navarro et al. (1996) DM と Baryon の質量比や分布範囲をパラメータとして行われたN体シミュレーション (Mass eject のメカニズムとしてはSupernovaによる加熱を仮定) Navarro et al. (1996) -DM (particle) : Hernquist profile (inner region : ρ∝r-1) -Baryon (fixed potential): Exponential disk -Mass eject : Baryon potential を一瞬で取り去る Read & Gilmore (2005) -DM (particle) : Hernquist or truncated isothermal sphere (inner region : ρ~const.) -Baryon (particle): Exponential disk or Hernquist -Mass eject : Baryon particle に速度を与える (この操作にかける時間は一定) 両研究ともCuspをCoreにすることができている
本研究 仮定:矮小銀河の元となった天体(DM+Baryon)が NFW profile または Moore profileに従った分布 をしていたとする。 超新星爆発による矮小銀河からの質量放出(銀河風)を ある条件で選んだ粒子の質量をm→0として表現。 ↓ 重力場の変動が矮小銀河の密度分布に 与える影響をN体シミュレーションによって調べる。
矮小銀河ごとにStar formation history は大きく異なる 本研究 先行研究では質量放出の起こるタイムスケールに ついては重視されていない。 →パラメータの1つに 矮小銀河ごとにStar formation history は大きく異なる Mateo (1998)
モデル 1. Cusp構造をもったハローモデルを作る。 2.パラメータとして次の3つを設定 -NFW (ρ∝r-1 @ inner region) -Moore (ρ∝r-1.5 @ inner region) 2.パラメータとして次の3つを設定 ① Meject : eject されるバリオン質量 ② teject : mass eject の起こるタイムスケール ③ Reject : mass eject の起こる範囲 3.Mass loss rate に従い、Reject内の中から 粒子を選んでm→0とする この操作を受ける粒子はtotal energy E = K + φの小さな粒子 (強く束縛された粒子) Mass loss rate → Meject / teject
モデル DMハロー baryon領域 eject領域 ビリアル質量の16%が含まれる範囲
結果 (Moore, N=128*1024) Mass loss のタイムスケールが短いほどCore構造が 顕著になる tdyn: Eject regionで 計算した力学時間 tgal:銀河全体の 力学時間 tgal ~ 50tdyn 結果 (Moore, N=128*1024) log(ρ) [/0.125 M☉pc-3] Mass loss のタイムスケールが短いほどCore構造が 顕著になる log(r) [/2kpc]
結果 (Moore; N=1024*1024) log(ρ) [M☉pc-3] log(r) [kpc]
まとめ 矮小銀河からの質量放出(銀河風)によって生じる重力場変動が密度分布に与える影響を調べた。 (質量放出の起こるタイムスケールを変化させた場合) 放出される質量が同じでも、それが起こるタイムスケールが短いほど系(Cusp)に与える影響は大きい。 重力ポテンシャルの変化に残された物質が対応しながら進化できないため、Cuspが生き残れなかったためと考えられる。
(Meject, Reject, さらに短い・長い teject) 今後 他のパラメータについても計算を行う (Meject, Reject, さらに短い・長い teject) 観測との比較 Gas mass loss とBHの成長の関係 - gas mass loss と銀河の密度分布の関係 - ガス放出が起こることで、BH成長への影響が生じる 銀河風とBH成長 Mass loss の影響を線形解析を用いて考察