銀河物理学特論 I: 講義1-3:銀河性質と環境依存性 Park et al. 2007, ApJ, 658, 898

Slides:



Advertisements
Similar presentations
09S1-051 若佐菜摘 1. 銀河 巨大銀河 (B バンドの絶対等級で約 -18 等より明るい ) 矮小銀河 (B バンドの絶対等級で約 -18 等より暗い ) ※ B バンドとは … 観測に用いる波長帯 ( バンド ) に固有の名前がつけられており B バンドは可視光の波長 0.445μ mが中心のバンドである。
Advertisements

硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
銀河物理学特論 I: 講義1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 遠方宇宙の銀河の理解のベースライン。 SDSS のデータベースによって近傍宇宙の 可視波長域での統計的性質の理解は飛躍的 に高精度になった。 2009/04/13.
宇宙大規模構造の最近の話題 計60分 松原隆彦 (名古屋大学) 東北大学 21COE研究会
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
宇宙年齢10億年以前におけるSMBHの存在 遠方宇宙の観測で宇宙10億歳(z~6)未満で10億M⦿程度以上の活動銀河核中のSMBHの存在を確認 赤方偏移 z SMBH質量 [M⦿] URAS J ~2×109 M⦿ 宇宙7.5億歳(z~7)
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの熱的安定性 星間ガスの力学的・熱的な不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
Cosmic web 交差点の X 線探索: 衝突銀河群 Suzaku J の発見
DECIGOのサイエンス ~ダークエネルギー関連~ 高橋龍一 (国立天文台PD).
Non-Spherical Mass Models for Dwarf Satellites
銀河物理学特論 I: 講義3-3:光度関数の進化 分光探査サンプルによる Lilly et al. 1995, ApJ, 455, 108
Report from Tsukuba Group (From Galaxies to LSS)
電離領域の遠赤外輻射 (物理的取り扱い)      Hiroyuki Hirashita    (Nagoya University, Japan)
Observational Properties of Elliptical Galaxies
WISHによる超遠方クエーサー探査 WISH Science Meeting (19 July 三鷹
榎 基宏 東京経済大学(4月より) 国立天文台天文データセンター(3月まで)
大規模数値計算による原始銀河団領域に関する研究
銀河物理学特論 I: 講義1-1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 Kauffmann et al
銀河物理学特論 I: 講義1-2:銀河の輝線診断 Tremonti et al. 2004, ApJ, 613, 898
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義3 近傍宇宙の銀河の統計的性質 1) 銀河の星の系の統計的性質 2) 銀河の力学構造 3) 銀河の活動性、中心の巨大ブラックホール 4) 銀河の大規模構造、環境効果 2010/09/14.
104K以下のガスを考慮したTree+GRAPE SPH法による 銀河形成シミュレーション ~Globular Cluster Formation in the Hierarchical Clustering Universe~ 斎藤貴之(北大) 幸田仁(NAOJ) 岡本崇(ダーラム大) 和田桂一(NAOJ)
銀河物理学特論 I: 講義2-2:銀河バルジと巨大ブラックホールの相関関係 Magorrian et al
銀河物理学特論 I: 講義1-4:銀河の力学構造 銀河の速度構造、サイズ、明るさの間の関係。 Spiral – Tully-Fisher 関係 Elliptical – Fundamental Plane 2009/06/08.
WISHで探る星質量集積史 鍛治澤 賢(東北大学).
21世紀 COE 出張報告会  宇宙物理学教室 D1 成本 拓朗.
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの力学的安定性 星間ガスの力学的な安定性・不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
Cosmic strings and early structure formation
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義5 銀河の形成と進化 1. 銀河の金属量の進化 2. 銀河の構造の進化 3. 環境と銀河の進化
銀河物理学特論 I: 講義3-4:銀河の化学進化 Erb et al. 2006, ApJ, 644, 813
銀河物理学特論 I: 講義3-1:遠方銀河の探査 どのようにしてサンプルを作成するか。
銀河風による矮小銀河からの質量流出とダークマターハロー中心質量密度分布
第13回 銀河の形成と進化 東京大学教養学部前期課程 2016年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
すばる望遠鏡 次期観測装置の検討会 (銀河・銀河形成分野) 観測提案のまとめ
巨大電波銀河 3C 35 の「すざく」による観測 磯部直樹 (京都大学, kyoto-u. ac
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
X-ray Study of Gravitational Lensing Clusters of Galaxies
Globular Clusters in Elliptical Galaxies
X-ray Study of Gravitational Lensing Clusters of Galaxies
銀河・銀河系天文学 星間物理学 鹿児島大学宇宙コース 祖父江義明 .
アーカイブデータを用いた超新星の再調査 ―精測位置と天体の真偽― 九州大学大学院 理学府物理学専攻宇宙物理理論
棒渦巻銀河の分子ガス観測 45m+干渉計の成果から 久野成夫(NRO).
Chandra が明らかにした 電波銀河 3C 438 を 取り囲む高温銀河団
Environmental Effect on Gaseous Disks of the Virgo Spirals
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
第13回 銀河の形成と進化 東京大学教養学部前期課程 2014年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
星間物理学 講義2: 星間空間の物理状態 星間空間のガスの典型的パラメータ どうしてそうなっているのか
星間物理学 講義4資料: 星間ダストによる散乱・吸収と放射 2 銀河スケールのダスト、ダストの温度、PAH ほか
銀河 galaxy 現在までの認識.
銀河物理学特論 I: 講義2-1:銀河中心の巨大ブラックホールと活動銀河中心核
塵に埋もれたAGN/銀河との相互作用 今西昌俊(国立天文台) Subaru AKARI Spitzer SPICA.
小さな銀河の外縁部の観測 (ハロー) 07553032 真鍋 未来.
銀河物理学特論 I: 講義3-5:銀河の力学構造の進化 Vogt et al
セイファート銀河中心核におけるAGNとスターバーストの結び付き
大井渚(総合研究大学院大学) 今西昌俊(国立天文台)
バリオン音響振動で探る ダークエネルギー ~非線形成長と赤方偏移歪みの影響~
Spiral銀河における星形成史について
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
COE外国出張報告会 C0167 宇宙物理学教室 D2 木内 学 ascps
The Baryonic Tully-Fisher Relation
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
MOIRCSサイエンスゼミ 銀河団銀河のMorphology-Density Relation
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
銀河物理学特論 I: 講義3-6:銀河とブラックホールの共進化 Alexander et al
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
2009/4/8 WISH 三鷹 小山佑世(東京大学) クアラルンプールの夜景.
COSMOS天域における 高赤方偏移低光度クェーサー探査
星間物理学 講義7資料: 物質の輪廻と銀河の進化 銀河の化学進化についての定式化
形成期の楕円銀河 (サブミリ銀河) Arp220.
Presentation transcript:

銀河物理学特論 I: 講義1-3:銀河性質と環境依存性 Park et al. 2007, ApJ, 658, 898 2009/05/11

環境による銀河の形態別の光度関数の違い(古典的)。 SDSS前: 環境による銀河の形態別の光度関数の違い(古典的)。 Binggeli et al. 1988, ARAA, 26, 509

環境毎の銀河の形態の割合。Concentration parameter (C) などを用いて銀河を形態分類。 SDSS初期: 環境毎の銀河の形態の割合。Concentration parameter (C) などを用いて銀河を形態分類。 Goto et al. 2003, MNRAS, 346, 601

密度が高い、宇宙初期に銀河が形成される、領域では選択的に楕円銀河が形成される? 環境依存性: 生まれ (nature) か? 密度が高い、宇宙初期に銀河が形成される、領域では選択的に楕円銀河が形成される? 育ち (nurture) か? 密度が高い領域では形成された後で楕円銀河になりやすい?  銀河相互作用?  合体・衝突? 高速のすれ違い?  銀河団内のホットガスによる銀河内ガスのはぎとり?(S0=anemic spiral ?) ローカルな密度場の影響からグローバルな密度場の影響。

SDSS: Park et al. で用いた銀河の「形態」分類(赤 E/S0, 青 S, 緑 Irr)。カラー、カラー勾配(ディスク銀河では外側が青い、楕円銀河では少しだけ青い)の情報も用いていることに注意は必要。 Park & Choi, 2005, ApJ, 635, L29

SDSS: Park et al. で用いられたサンプル。 Choi et al., 2007, ApJ, 658, 884

Spline kernel ?:

銀河団の中での銀河の進化: Butcher-Oemler 効果? 銀河団の中の「青い」銀河の割合を調べると、赤方偏移が大きい銀河団では青い銀河の割合が高いようだ。 Van Dokkum, 2000, ApJ, 541, 95 Buther & Oemler , 1984, ApJ, 285, 426

銀河団の中での銀河の進化: Butcher-Oemler 効果? ただし銀河団の性質にもよるので注意が必要である。 Smail et al. 1998, MNRAS, 293, 124

銀河団の中での銀河の進化: Butcher-Oemler 効果? HST のデータを用いて形態別に調べると、早期型銀河の割合も赤方偏移に依存して小さくなっている。 Van Dokkum, 2000, ApJ, 541, 95

銀河の相関関数 : SDSSのデータから求められた銀河の相関関数(空間方向につぶした)。ダークマターハロー同士の相関だけでなくハロー内の小さいスケールの銀河の相関も検出した。ダークハロー(モデル)と銀河(観測)の理解をつなげる上で重要。 One-halo term: Correlation between galaxies inside same halo Two-halo term: Correlation between dark-matter halos Zehavi et al. 2004, ApJ, 608, 16