【第四講義】接空間と接写像
0 x 1 1 y W 【質問】剛体回転において, ●有理比回転の場合, 〔 〕個の〔 〕が存在する. ●無理比回転の場合, 〔 〕個の〔 〕が存在する. ●無理比回転の場合, 軌道は〔 〕である. という性質が成り立つ.
【前回の復習】 【質問】不変集合が,カオス的であるための3条件を述べよ. 【回答】コンパクト性,分解不可能性,不安定性. 【質問】分解不可能性の定義を一つ挙げよ. 【回答】位相推移性あるいは位相混合性. 【質問】コンパクトな不変集合が,位相推移的であるとき,いかなる軌道が存在するか. 【回答】稠密な軌道. 【質問】カオス的不変集合が,満たすと期待される4つの様相を述べよ. 【回答】乱雑な軌道.可算個の周期軌道が存在し,その全体は稠密. 非可算個の非周期軌道,稠密な軌道 【質問】右の写像の不変集合は,カオス的であることを説明せよ. 【質問】有理回転と無理回転のそれぞれで,右の写像は, カオス的ではないことを説明せよ. 【質問】周期点が漸近安定であるための必要十分条件を述べよ.
【不動点定理と漸近安定性】 【定義:縮小写像】完備な距離空間(U,d)上の写像F : U→Uが,任意の元x,yに対して d(Fx,Fy) ≦ s d(x,y) < d(x,y) を満足するならば,Fを縮小写像という. 【定理:不動点定理】距離空間(U,d)上の縮小写像F : U→Uは, ・唯一の不動点pを持つ ・任意のxに対して, limn→∞ xn→p なる大域的漸近安定性を満足する. 【証明の手順】 ・軌道{xn}は,コーシー列である. ・コーシー列であるならば,完備性より不動点へ収束する. ・不動点が存在するならば,1つである. 【質問】縮小写像の不動点は唯一である理由を述べよ. 【質問】線形写像F : x |→ Axが,縮小写像である場合,作用素Aが満たす条件を述べよ. 【回答】||Ax-Ay||= ||A(x-y)|| ≦ s ||x-y|| において,リプシッツ定数sは,s = sup||e||=1 ||Ae|| を満足する.右辺は,行列Aのスペクトルノルム||A||である.よって,||A|| < 1.
【解析学の復習】 【質問】(x,y,z) = (a,b,f(a,b)) における陰関数表現された曲面0= f(x,y) - z の接平面を求めよ. 【回答】(x,y,z) = (a,b,f(a,b)) における曲面0 = f(x,y) - z の法線ベクトルは? n = grad(f(x,y) – z)](x,y,z)=(a,b,f(a,b)) = (fx(a,b),fy(a,b),-1). よって,接平面は, 0 = n・(x-a,y-b,z-f(a,b)) = fx(a,b)(x-a) + fy(a,b)(y-b) - (z-f(a,b)) . 【質問】可微分写像F(x,y)=(f(x,y),g(x,y))の(x,y) = (a,b) における線形近似を求めよ. 【回答】 ヤコビ行列
【接空間と接写像】 TaU TFaU Fa F a U 【定義:接空間と接写像】2次元可微分同相写像 F : U → Uにおいて, x=aで定義される線形空間TaUを接空間といい,線形写像 を接写像という. F*a TaU TFaU U Fa a F 【定義:n周期点の特性乗数】2次元可微分同相写像 F : U → Uにおいて, 周期点{p0,p1,..,pn-1}に関する合成接写像 の固有値を特性乗数という.
A,BおよびCの各々の固有空間ではなく,ABC, BCA, CABの固有空間である. 【周期点の接空間】 B=DF] x=p1 Tp1R2 Tp2R2 ABCua = aua ua ub R2 P1 P2 P0 F va vb A=DF] x=p0 C=DF] x=p2 Tp0R2 wa wb A,BおよびCの各々の固有空間ではなく,ABC, BCA, CABの固有空間である.
【周期点の安定性分類】 Im サドルノード:|a|<1<|b| 安定ノード:|a|<|b|<1 Re 安定フォーカス:s2+w2<1 【質問】不安定ノードおよび不安定フォーカスの極配置を示せ.