Discharge in N2-O2 mixture

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Discharge in N2-O2 mixture Effects of background-gas composition on phenol decomposition with pulsed-discharge plasma  パルス放電によるフェノール分解におけるバックグラウンドガスの影響 Yasushi Miyazaki, Kohki Satoh, and Hidenori Itoh  宮崎泰至, 佐藤孝紀, 伊藤秀範 Department of Electrical and Electronic Engineering, Muroran Institute of Technology, 27-1 Mizumoto, Muroran 050-8585, Japan 室蘭工業大学大学院工学研究科, 〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1 1. INTRODUCTION Background 微量であっても有害な難分解性化学物質(ダイオキシン類,PCB etc…)で汚染された水を促進酸化法(O3酸化,光触媒酸化,湿式酸化,パルス放電 etc…)で浄化する方法が注目されている パルス放電は,蓄積されたエネルギーを時間的に圧縮し高エネルギー密度で出力できるとともに,パルス立ち上がり時間が短いため高エネルギー電子を効率よく生成できる 高エネルギー電子による難分解性化学物質の直接分解反応 高エネルギー電子によって生成される酸化ポテンシャルの高い酸化剤(OH, O, O3 etc…)によって難分解性化学物質の分解が可能となる Recent works フェノール水溶液中でパルス放電を発生させた場合 Sunらは,O2またはArを水中にバブリングさせた場合のフェノール分解特性を調査 (J.Phys. D, 32 (1999) 1908) Liらは,O2またはArを水中にバブリングさせた場合のフェノール分解特性を調査するとともに,フェノール水溶液の導電率,pHがフェノール分解に与える影響を調査 (Thin Solid Films, 515 (2007) 4283) フェノール水溶液上でパルス放電を発生させた場合 Hoebenらは,水上のパルス放電により生成されるO3が水に溶け込みOHを生成することを報告 (J.Phys.D, 32 (1999) L133) Kurokiらは,フェノール水溶液中にガス(空気,Ar,H2O2)をバブリングすることで,それぞれのガスが放電中で引き起こす反応について報告 (Jap. J. Appl. Phys., 45 (2006) 4296) 水上でパルス放電を発生させた場合 Lukesらは,大気中において水上でパルス放電を発生させると,OH,O3,O,H2O2等の酸化剤が生成されることを報告 (J.Phys.D, 38 (2005) 409) Objective 水上でパルス放電を発生させ,バックグラウンドガスの組成を変化させて放電中で生成される酸化剤およびその他の生成物がフェノール分解に与える影響を調査する Scavenging法を用いて,OHラジカルがフェノール分解に及ぼす影響を調査する 3. RESULTS & DISCUSSION (1) バックグラウンドガスの組成がフェノール分解に与える影響 フェノール分解率は3通りの傾向を示す 放電照射60分後のフェノール分解率は以下の通り > 52% in pure O2 38% in pure N2 33% in N2-O2 mixture Phenol decomposition rate & O3 concentration in Ar-O2 mixture バックグラウンドガス中のAr混合割合を上昇させると,それに伴いフェノール分解率は増加するが,O3濃度は減少 減少したO3に代わり,フェノールを分解する種が生成 Arは不活性 気相中の放電で生成されて水面あるいはその近傍まで輸送された種が分解反応に寄与する 様々な効果による難分解性化学物質の分解処理が期待できる Discharge in N2-O2 mixture O + O2 + M → O3 + M O2 + e → 2O + e NO2 + O → NO + O2 NO + O → NO2 O3 + NO → NO2 + O2 H2O + e → OH + H + e …… (2) …… (3) …… (4) …… (5) …… (6) …… (1) N2,O2を含むガス中において,水上で放電を発生させると,次のような反応が起こる (M.A.Malik et al : Plasma Source Sci.Technol, 10 (2001) 82,Lukes et al : J.Phys.D, 38 (2005) 409) ① 準安定励起状態のAr原子(Ar(43P2),Ar(43P0):以後Arm*と記す)がベンゼン環を分解 Arm* + C6H5OH → CxHy(OH)z + Ar +products (D.L.McCorkle et al : J.Phys.D, 32 (1999) 46) ② Arm*とH2Oの反応により生成されるOHがフェノール分解に寄与 in pure O2 O3濃度とフェノール分解率は最も高い (3)および(2)式の反応により生成される,O3およびOがフェノール分解に寄与 O3は生成されていないが,フェノール分解率はN2-O2混合よりも高い   in pure N2 準安定励起状態の窒素分子N2(A3Su+) (Lukes et al:J.Phys.D, 38 (2005) 409)とH2Oが反応することで生成されるOHがフェノール分解に寄与 …… (7) N2(A3Su+) + H2O → OH + N2 + H フェノール分解率は低下し,NOxが生成された   in N2-O2 mixture 放電中で生成されたO3は(6)式の反応で分解され,フェノール分解に寄与できない 2. APPARATUS & CONDITIONS (4)および(5)式のNOおよびNO2生成反応でOは消費され,またそれと同時にO3生成も抑制される Electrode : A multi-needle electrode and a water bath A multi-needle electrode : ステンレス製平板にステンレス釘を4本配置 A water bath : 内径f119mm×深さ12mmのステンレス製容器を 針電極の直下に配置(接地電極) Gap length : 4mm (針電極の先端から水面までの距離). Discharge chamber アクリル製円筒型放電チェンバ(内径f140mm×高さ 106mm) H.V. pulse generator : Blumlein 高周波同軸ケーブルを2本用いたBlumlein回路により 発生させた高電圧パルスを針電極に印加 同軸ケーブルの充電電圧 : +14.14kV パルス繰り返し周波数 : 20pps (pulse per second) Background gas : N2(99.99%), O2(99.5%) and Ar(99.99%) ガス流量 : 6L/min バックグラウンドガスの組成 N2:O2 = 100:0, 80:20, 50:50, 20:80 and 0:100 Ar:O2 = 100:0, 80:20, 50:50, 20:80 and 0:100 (2) OHラジカルがフェノール分解に与える影響 in N2 in Ar in O2 Scavenger添加により,フェノール分解効率は大きく低下 Scavenger添加により,フェノール分解効率はわずかに低下 Scavenger添加により,フェノール分解効率は低下 N2中のフェノール分解ではOHラジカルの寄与が大きい Ar中のフェノール分解はOHラジカルの寄与だけではない O(1D)とH2Oの反応で生成されるOHラジカルもフェノール分解に寄与(Lukes et al:J.Phys.D, 38 (2005) 409) Arm*+C6H5OH → CxHy(OH)z + Ar + products N2(A3Su+) + H2O → OH + N2 + H O(1D) + H2O → OH + OH H2O + e → OH + H + e Arm*+H2O → OH + H + Ar O + O2 + M → O3 + M H2O + e → OH + H + e O2 + e → 2O + e H2O + e → OH + H + e 4. CONCLUSIONS バックグラウンドガスの組成を変化させ,パルス放電によるフェノール分解特性を調査した Substitution of Polluted water : 300ppmフェノール水溶液, 300ppmフェノール水溶液と120,240および360ppmギ酸(scavenger)の混合水溶液 Volume : 70mL Concentration measurements of phenol : Gas chromatography ガスクロマトグラフ(SHIMADZU, GC-14A)を用いて,放電15分後のサンプル中に含まれるフェノールの濃度を測定し,これを4回行なった(合計放電照射時間:60分) Measurement of voltage & current 放電電圧および放電電流の測定は高圧プローブ(Tektronix, P6015A)およびディジタルオシロスコープ(Yokogawwa,DL1620)を使用 放電チェンバ中に含まれるO3およびNOx濃度の測定にはガス検知管(GASTEC, No.18M, No.18L, No.10)を使用 バックグラウンドガスをO2とした場合,O3,Oによりフェノール分解率が上昇し,N2とした場合はN2(A3Su+)から生成されるOHによってフェノール分解率が上昇したと考えられる。また,バックグラウンドガスをN2-O2混合ガスとした場合は,NOx生成によってO3が減少したため,バックグラウンドガスをO2あるいはN2とした場合よりもフェノール分解率が低下したと考えられる バックグラウンドガスをAr-O2混合とした場合,Ar混合割合が高いほどフェノール分解率が上昇していることから,準安定励起状態のAr原子がフェノール分解に寄与していると考えられる Scavenger添加によるフェノール分解効率の低下は,N2中で顕著であり,Ar中でわずかであったため,N2中におけるフェノール分解ではOHラジカルの寄与が大きく,Ar中におけるフェノール分解では,準安定励起状態のAr原子がフェノールのベンゼン環を分解していると考えられる バックグラウンドガスをO2としてscavengerを添加した場合においてもフェノール分解効率は低下したため,O2中におけるフェノール分解はO3,Oの寄与の他にO(1D)から生成されるOHの寄与も考えられる