演習1 英語ノートを使った ICTによる授業
小学校外国語活動のねらい コミュニケーション能力の素地を養う 外国語を通じて 言語や文化について体験的に理解を深める 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る 外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませる コミュニケーション能力の素地を養う 小学校外国語活動のねらいは、外国語を通じて①言語や文化について体験的に理解を深め、②積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、③外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながらコミュニケーション能力の素地を養うことです。
聞く 話す 英語ノートを使ってコミュニケーション能力の素地を養う手順 繰り返す 覚える コミュニケーションを行うには、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」の4つの技能があります。小学校外国語活動では、「聞く」、「話す」技能を中心に行います。昨年度の本研修でもお伝えしましたが、聞いたことをすぐ声に出して言うというのは、児童にとって負荷が大きすぎます。そこで、「聞く」「話す」の間に「繰り返す」「覚える」という活動が必要となります。英語ノートには、これらをゲーム的な活動を通して知らないうちに体験していくことができる題材が多くあります。 「聞きなさい」と言わなくても、おもわず聞きたくなるような活動、 「繰り返して言いなさい」と言わなくても、楽しく繰り返し発音してしまうような活動、 「覚えなさい」と言わなくても、一生懸命覚えようと思ってしまうような活動、を十分体験させていきたいものです。 また、ICT機器を使うとこれらの活動をより効果的に行うことができます。 3
ICT活用の利点 言語が使われる文脈、場面を提示できる ICTを活用すると次のような利点があります。 言語が使われている文脈、場面を提示できる 言語が使われている文脈、場面の提示は、児童の言語や文化についての理解を深めます。 具体的に英語ノート1のLesso5「CDを聞いて、お店にあるものを○で囲もう」 を使ってやってみましょう。 ここでは、Do you have ~ ?という表現が、買い物の場面で使用できることを口頭で説明しなくても児童は、絵と音声を繰り返し聞いて理解できます。 また、ここには、「売っているものをまるで囲みましょう」というゲームがあるので、児童は、集中して繰り返し聞こうという意欲を持っています。 ICTは、言語を繰り返して維持するのに優れています。 では、実際にやってみましょう。
ICT活用の利点 母語話者の言語を繰り返し提示できる ICT活用の利点の2点目は、先ほども触れましたが、 母語話者の言語を繰り返し提示できる ことです。 この機能をうまく活用して、「児童が思わず聞きたくなるような活動」を工夫してみましょう。 ここでは、英語ノート1のLesson3の「いろいろな言葉で「じゃんけん」をしてみよう」を使ってみます。 隣の方と例に倣って英語でじゃんけんをしてみましょう。 次は、中国語でしてみましょう。 中国語のグー、チョキ、パーの言い方をよく聞いてください。 中国語の1,2,3は、こう言います。 では、じゃんけんをしてみましょう。 このように、ICTを活用すると母語話者の言語を繰り返して提示することができ、英語ノートのゲーム的活動と組み合わせると児童に負荷を少なくしながら母語話者の言語に十分触れさせることができます。
ICT活用の利点 児童の関心を高めたり、集中させたりできる ICT活用の利点の3点目は、 児童の関心を高めたり、集中させたりできることです 英語ノート1Lesson1「世界の「こんにちは」を知ろう」を例としてみましょう。 いろいろな言語の「こんにちは」を聞き、写真で代表的な建築物を見、世界地図で位置を確認します。 児童は、これらの情報から国名を答えようと集中して取り組む中で、世界の言語や文化、地理などに対する関心を高めるでしょう
ICT活用の利点 話者の表情やジェスチャーなどの視覚情報を提示できる ICT活用の利点の4点目は、 話者の表情やジェスチャーなどの視覚情報を提示することができることです。 英語ノート1Lesson2を見てみましょう。 確かにジェスチャーや表情がI’m fine.などの表現のもつ意味をうまく伝えています。 しかし、ここで気をつけていただきたいことがあります。 それは、これらの表情やジェスチャーなどは、担任の先生がモデルとなってより豊かな表情やジェスチャーなどを示すほうが効果があるということです。 ICTを活用する場合は、母語話者の言語をモデルとして提示したいときです。 学級担任の先生が、外国語を学ぶよきモデルであることは、常に心に置いておきたいことです。
ICT活用の利点 双方向性のある教材ソフトなどを使うとゲーム形式で児童のペースで学習できる ICTを活用する利点の5つ目は、 双方向性のある教材ソフトなどを使うとゲーム形式で児童のペースで学習できることです。 これは、コンピュータ教室などで、児童が自分で操作できるコンピュータがある場合などに活用できることです。 英語ノート1のLet’s Enjoy2「かくれている動物をさがしてみよう。」を見てみましょう。 この活動は、自分で見つけて、コンピュータの操作しながら答えを確認しながら、自分のペースで学習することができます。 これまでは、英語ノートにある活動を題材としてICTを活用した授業のあり方を紹介してきました。 ここでは、英語ノートを用いて自作のICT用教材を作成し、活用しようという例を紹介します。 英語ノート1Lesson6「外来語を知ろう」のページを用いてミッシングゲームを作りました。 では、実際にやってみましょう。 このように工夫すると児童を主体記に活動させることのできるICT用教材を英語ノートのデータをもとに作成することができます。
ICT活用の利点 言語が使われる文脈、場面を提示できる 母語話者の言語を繰り返し提示できる 児童の関心を高めたり、集中させたりできる 話者の表情やジェスチャーなどの視覚情報を提示できる 双方向性のある教材ソフトなどを使うとゲーム形式で児童のペースで学習できる さて、これまで述べてきたICT活用の利点をまとめるとこのようになります。
ICT活用の留意点 言語が使われている状況が分かりやすい 場面に合った表現が繰り返し出てくる 理解を妨げるような不必要な情報がない 身近な題材で、必然性・必要性がある ICT機器の操作に慣れておく 授業の場面や目的に応じてタイムリーに活用する 次にICT活用の留意点について述べます。 留意点は、6点あります。 英語ノートについては、1から4は、とてもよくできていると思います。 5については、慣れればなれるほどよいと思います。 6については、先ほどの話者の表情やジェスチャーのところでも触れましたが、ICTではなく、担任の先生のモデルのほうがよい場合や実際に友達とコミュニケーション活動をしたほうがよい場合などがありますので、ICTを活用する目的を明確にして活用してください。 ここで、「英語ノートを使ったICTによる授業」から少し離れて、ICTを活用した教師の自己研修について述べます。 「学級担任が、外国語を学ぶよきモデルでありたい」と先ほども触れましたが、外国語活動の授業で使うクラスルームイングリッシュなどは、自己研修をしながら少しずつ身に付けていきたいものです。 そこで、紹介するのが、愛知県総合教育センター研究指導主事犬塚章夫先生がお作りなった、英語発音クリニック音声練習です。 実際にやってみましょう。 このようにクラスルームイングリッシュなどをコンピュータを用いて自己研修することができます。 英語発音クリニック音声練習のデータは、昨年度の本研修で各市町に配布させていただいておりますのでご活用ください。
魅力ある外国語活動の授業を + 題材 英語ノートなど 教具 ICT機器など 支援者 ALT、ボランティアなど 指導者の創意工夫 題材 英語ノートなど 教具 ICT機器など 支援者 ALT、ボランティアなど + 指導者の創意工夫 最後になりましたが、先生方が、英語ノート、ICT、ALT、ボランティアなど、小学校外国語活動を推進していくための様々な環境を十分に活用され、児童にコミュニケーション能力の素地を養っていただきますことをご期待申し上げ、本講座を終了させていただきます。