政府及び農林水産省における 知的財産戦略について

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政府及び農林水産省における 知的財産戦略について 平成19年7月 農林水産省大臣官房企画評価課 知的財産戦略チーム

政府としての「知的財産」推進の取組  2002年(平成14年)2月、小泉首相の施政方針演説において、「研究活動や創造活動の成果を、知的財産として、戦略的に保護・活用し、我が国産業の国際競争力を強化することを国家の目標とする。」と表明。  2002年3月、総理を本部長として民間有識者を加えた「知的財産戦略会議」を設置。同年7月に「知的財産戦略大綱」をとりまとめ。これを受け、同年12月に「知的財産基本法」を制定。  改革の第1期(2003年~2005年)は、商標法、種苗法の改正など基本的な制度改革と、産学官の協力体制の整備を中心に実施。2006年からの第2期は、「世界最先端の知財立国を目指す」との目標の下、改革の実効を上げ、国際競争力強化につなげる施策を行うこととしている。 知財対策推進体制の整備 主な施策 2002年2月 小泉首相の施政方針演説 2002年3月 知的財産戦略会議の設置 2002年7月 知的財産戦略大綱の策定 2002年12月 「知的財産基本法」の制定 2003年3月 知的財産戦略推進本部(本部長:内閣          総理大臣)を設置          内閣官房に知的財産戦略推進事務局          を設置  2003年~2007年 毎年、知財推進計画を策定  ○ 基本的な制度改革     2003年3月 関税定率法の一部改正     2003年6月 種苗法の一部改正     2004年6月 知的財産高等裁判所設置法の制定     2005年6月 商標法の一部改正     2005年6月 種苗法の一部改正  ○ 産学官の協力体制の整備    2003年7月 43の大学に知財本部を設置     2006年3月末現在 TLO(技術移転機関)を全国                   47箇所に設置   ○ 知的財産立国の実効を上げる。  ○ 知的財産を活用した国際競争力強化  ○ 新たな課題に対応した制度整備 第一期 (2003 ~2005) 第二期 (2006 ~2008)

知的財産推進計画2007  「知的財産推進計画2007」においては、グローバルな大競争時代の中で、技術のみならず、アニメ、音楽、食文化などをてこに、日本の成長への貢献と日本のよさ・日本らしさの世界への発信を図るため、第2期の重点項目の一つである「国際的な展開」をこれまで以上に意識し、我が国が世界に開かれた最先端の知財立国となることを目指すこととしている。  また、「知財人材の確保・育成」を促進するための施策の一つとして、普及指導員の知的財産に関する資質の向上を図ることとしている。 知的財産推進計画2007(抜粋) 第5章 人材の育成と国民意識の向上  4.各分野の知的財産人材を育成する  (2)知的財産創出・マネジメント人材を育成する   ③普及指導員の知的財産に関する資質の向上を図る  農業技術・経営に関する支援活動において直接農業者に接する機会の多い普及指導員の知財に関する資質の向上を図るため、普及指導員資格試験の内容に育成者権、商標権を中心とした知財権に関する項目を導入することについて、2007年度中に検討し、結論を得る。また、2007年度から、研修の実施に当たり知財権に関する権利侵害の未然防止等を図るため、普及指導員が品種保護Gメン、国、関係機関と連絡・連携して対応できるよう、実務的な観点も含めるなど、その内容を充実させる。

農林水産省のこれまでの取組  知的財産の積極的・戦略的な活用は、国際競争力の強化や収益性の向上等、「攻め の農林水産業」の展開に向けた重要な政策課題との認識の下、平成18年2月、農林 水産省内に「農林水産省知的財産戦略本部」を設置。  平成18年6月の第2回本部において、今後重点的に取り組むべき事項を取りまとめ た「農林水産省における知的財産戦略の対応方向」を策定。  平成18年7月には、大臣官房企画評価課に「知的財産戦略チーム」を設置し、農林 水産省内の統一的な推進体制を強化。  平成19年3月の第5回本部において、農林水産省としての総合的な対策をまとめた 「農林水産省知的財産戦略」を策定。

知的財産で農林水産業に付加価値を! 農林水産業・食品産業をめぐる状況 ~農林水産省知的財産戦略の考え方~ 農林水産業・食品産業をめぐる状況 。 ○ 経済のグローバル化と競争の激化 ○ 我が国の農林水産業の担い手の減少 ○ 地球温暖化、気候変動、人口増加による食料難など、新たな課題 「知的財産」は、 ① 付加価値の創造 ② 産業の高度化 ③ 新しい課題への対応 を可能とするものであり、 今後ますます重要に。 ・植物新品種 ・動物等の遺伝資源 ・農林水産業の技術・ノウハウ ・機能性食品の製造技術 ・農産物、地域食品等の商標、ブランド                       等                      農林水産分野の「知的財産」  農林水産業・食品産業の競争力強化と地域活性化のためには、「知的財産」を継続的に生み出し(創造)、それを経済的価値につなげていく(活用)ことが必要。 戦略のポイント 概ね3年間で実施すべき施策をとりまとめ ◆ 研究、生産現場、海外の各分野で知的財産(新しい価値)の創造と活用を戦略的に実施。          ⇒ 付加価値のあるもの、新たな産業分野の開拓 ◆ 価値の創造・活用を進めるために必要な以下の施策についても推進。   ・ 適切な保護の制度や体制の整備   ・ 農林水産分野の知的ストックを「知的財産」と認識する意識改革 5

農林水産省知的財産戦略における主な施策 Ⅰ 創造・活用 研究・技術開発分野 生産現場・農山漁村 海 外 Ⅱ 保護 Ⅲ 普及啓発・人材育成 ●研究開発を活用した新需要・新産業創出  機能性食品やバイオマス燃料等新食品・新素材の新たな需要創造につながる研究成果を、企業との共同の実用化研究、事業化に必要な施設整備等への支援により、実用化・事業化を推進 ●遺伝子特許の取得と新品種創出や育種改良の促進  新品種の保護制度のない家畜については、遺伝子特許の取得を促進し、これを活かした育種改良で価値の高い食用種を育成  また、イネ、ダイズ、野菜等について、有用遺伝子の機能解明・特許化を活用して減農薬栽培用品種、高バイオマス品種等を育成 ●研究ニーズの発掘と研究成果の実用化促進 (1)農林水産知財ネットワーク(仮称)の構築  大学、中央・地方の農林水産分野の試験研究機関等約8割の参画を目指したネットワークを構築し、各々の特許・研究成果の情報を一元化して相互活用による実用化を促進 (2)新分野開拓に向けた連携強化  医療や工業等他分野を含めた需要開拓のため、研究機関に外部専門家を活用した「リエゾンオフィス」を設置し、共同研究や実用化・商品化を促進 ●生産者や現場の指導者のための知財取扱指針作成   現場の農林水産業者や指導者が現場の技術・ノウハウ等の知財を発掘・創出・実用化・保護のための指針を作成し普及 ●地域資源の発掘、再認識によるブランド化・事業化の促進 (1)身近な景観や食文化等地域資源の再発見・活用    企業等の地域活動への参画支援、郷土料理百選の実施等  (2)地域ブランド化への支援    成功事例の収集・分析、アドバイザー派遣等 目標:①新たな需要開発による市場規模を22年度までに700億円程度に     ②ゲノム情報を活用した新品種を22年度までに50件程度創出  目標:生産現場における技術・ノウハウを活かした生産、地域ブランド形成の促進  海 外 ●日本ブランド対策  和牛、日本産果実の統一マークを策定、貼付し、輸出を促進。 目標:輸出拡大に向けた日本ブランドの醸成  Ⅱ 保護 育成者権 ●権利侵害への対応強化  ・DNA識別鑑定能力の向上  ・侵害対応に備えた全登録植物品種の保存体制構築 ●海外での育成者権保護強化   東アジアでの植物品種保護制度の共通の基盤の構築のため、制度調和、技術協力、人材育成を推進する「東アジア植物品種保護フォーラム(仮称)」の設置を提唱 ●海外での侵害に関する相談窓口の設置    海外の市場や知的財産保護制度に係る情報提供支援、商標権侵害等の相談窓口設置  等 目標:品種・商標等知財保護の強化  Ⅲ 普及啓発・人材育成 目標:知財関係支援・相談に対応できる指導的人材を3年間で1000人程度育成  ●農林水産業者・研究所・普及指導員等における意識啓発、知識の普及 6

農林水産省ホームページ 「知的財産・地域ブランド情報」 http://www.maff.go.jp/www/counsil/counsil_cont/seisan/titekizaisan/index.html