プロジェクト演習III,V <インタラクティブ・ゲーム制作> プログラミングコース

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プロジェクト演習III,V <インタラクティブ・ゲーム制作> プログラミングコース 第6回 マテリアルとライティング

今日のメニュー マテリアルとライティング トランジションエフェクト これまで話したことがなかったので2,3年生両対応のネタとして取りあげます 画面切り替えエフェクトのこと マテリアルの応用で実現できるので解説

3DCGにおける色は色々あります シーンの環境や、物体の質感に応じて 異なる色味や輝度を設定する 拡散反射光(Diffuse) 環境反射光(Ambient) 鏡面反射光(Specular) 鏡面反射ハイライト(Shininess) 放射光(Emission) 透明度(Alpha)

拡散反射光とは 光が当たって見える色のこと いわゆる「物の色」 光の射す角度と、 面の向きで明るさが変化する 真っ正面から当たると一番明るく、真横に近づくにつれて暗くなる cosθでうまく表せる

環境反射光とは 拡散反射光だけだと、光源と反対方向を向いている面が本気で真っ暗になる 実際の空間では直接光が当たらずとも、反射や回折によってもたらされる光で「なんとなく明るくなっている」 面の向きにかかわらず、ある程度付与される明るさ(色)をここで設定 本来ならレイトレーシング法などでガチなシミュレーションをするところを、リアルタイムで処理するために簡略化している

鏡面反射光とは つるつるな物体のハイライト、てかりを表現するための成分 ↑要はこれの表現 ハイライト係数で、てかりの鋭さを設定 光が面に当たり、視線方向にまっすぐ跳ね返ってきた時が一番眩しい ハイライト係数で、てかりの鋭さを設定 材質に応じたてかりが表現可能  ↑要はこれの表現

放射光とは 光源や面の向きによらず、その物体自身から発光している成分 他に影響されずに一定の色を発色させたいときに設定 光源として他の物体に作用するわけではない 他に影響されずに一定の色を発色させたいときに設定 特にスプライトでは、光源や視点の変化に応じて明るさが変動するとまずいので、Emissionを最大値(1.0, 1.0, 1.0)に設定するのが定石

光源の種類 主に以下の3種に分類できる 平行光源 点光源 面光源 太陽光のように、どの位置にいても同じ方向から 当たる光源を表すのに用いる 電球、ローソクの炎など定点に設置された光源 光源と物体の位置関係に応じて減衰したりする 範囲と方向を限定したものがスポットライト 面光源 蛍光灯や窓から差し込む光を表現可能 点光源の計算式に積分を導入して実現する (FKデフォルトでは未対応、シェーダによる処理が必要)

光源にもマテリアルがある 物体のマテリアルを明るく設定しても、光源自体の光量が低いと暗くなる FKデフォルトのマテリアルは暗めのものが多いため、自分でカスタムしないと シーン全体が暗くなる グラフィッカーに文句を言われないようにきちんと調整しましょう

これで分かる! (一般的な)3DCGでの色決定計算式 color = { (N・L)*d_o*d_l + a_o*a_l + (N・H)^sh_o*sp_o*sp_l } + e_o finalColor = color*texture テクスチャを使っていない場合はそのまま テクスチャなしは真っ白な画像を貼っているのと同じ テクスチャをFK_TEX_REPLACEで使用している場合はマテリアルを一切無視する finalColor = textureとなるので注意

前スライド中の変数 d_o a_o e_o sp_o sh_o N・L d_l a_l sp_l texture N・H 物体の拡散反射光 物体の環境反射光 e_o 物体の放射光 sp_o 物体の鏡面反射光 sh_o 物体のハイライト係数 N・L 拡散反射係数 法線と光源方向の内積 d_l 光源の拡散反射光 a_l 光源の環境反射光 sp_l 光源の鏡面反射光 texture テクスチャの色 N・H 鏡面反射係数 法線とハーフベクトル(視線と光源方向の中間)の内積

これで分かれ! マテリアルパラメータ一覧表 名称 面との影響 視線との影響 光源との影響 光源数の影響 Diffuse する(N・L) しない する(乗算) する(加算) Ambient Emission Specular する(N・H) する(H=(N+L)/2) Shininess 補助パラメータ Alpha 色の加算結果は1.0(255)で飽和する 各成分を高く設定したり、光源を増やすと 白飛びするので調整が必要 *alphaについては後述

光源による演出 物体のマテリアルは同一でも、光源の マテリアルを変更するだけでシーンの 雰囲気を大きく変えることができる 例:夜のシーンの場合 Diffuseを大幅にカット Ambientを(0.1, 0.2, 0.5)などにして、 青成分を残しつつ他の成分は絞る

シェーディングタイプ フラットシェーディング グローシェーディング FKのデフォルト 面全体が一様に同じ明るさになる ポリポリする fk_Model::setSmoothMode(true)で有効 面の頂点から頂点に滑らかな グラデーションがかかる 多くの場合こちらの方が好まれる

透明度とは 今更感が漂いますが 0.0で完全透明、1.0で完全不透明 マテリアルで設定する透明度と、テクスチャ画像によるピクセル単位の透明度も反映可能 dstCol = srcCol*mat.alpha*tex.alpha + dstCol*(1.0-mat.alpha*tex.alpha) ただし、FK_TEX_REPALCEを使っている場合はマテリアルの透明度は無視される

半透明物体は エントリー順に気を付けろ 半透明で大きな物を手前に描く その陰に物を描こうとする 「さっき大きい物を手前に描いたから そこにはもう描けませ~ん」 陰に描こうとした物は消えるか欠けてしまって涙目

対策 半透明な物体は、不透明な物体を全て描いた後に回し、カメラから遠い順にエントリーする シーンへのエントリーは処理が軽いので、 毎ループやっても負担にならない entryOverlayModel()を使って強制的に上書きさせる 描画時の前後関係を無視して、ひたすらエントリー順に描画させるモード