勤務間インターバル制度の導入状況等について

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「働き方」に関する詳細・お悩みは【相談窓口】へ 改正法の詳細は厚生労働省HP『「働き方改革」の実現に向けて』をご覧ください。
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勤務間インターバル制度の導入状況等について

話の流れ 1 情報労連とは? 2 勤務間インターバル制度とは? 3 情報労連の取り組み 4 C労働組合の取り組み

1.情報労連とは?

情報労連の組織構成 組合員数20万4000人 NTT労組 KDDI労組 通建連合 NTTグループ企業の労組 KDDIグループ企業の労組 情報労連の組織構成  組合員数20万4000人 NTT労組 NTTグループ企業の労組 KDDIグループ企業の労組 KDDI労組 通建連合 協和エクシオ労組 ミライト労組 日本コムシス労組 主に通信建設部門を中心とした労働組合の集合体 主にNTTを取り巻く福祉・保険・建設・ビルメンテナンス部門を中心とした労働組合の集合体 NTT関連サービス労協 ひびや労組 協立建設労組 きらら労組 主に電話帳の販売・印刷部門を中心とした労働組合の集合体 電話帳関連労協 NTTクオリス労組 NTT東京電話帳労組 NTTロジスコ労組 全統一労組 セメダイン労組 ヨシケイ東京労組 上原ネームプレート労組 宮沢模型労組 様々な業種の中小企業が集まった労働組合 情報サービス業のアイネス社の労組 アイネス労組 県 協 加盟組合 様々な業種 171組合

2.勤務間インターバル制度とは? そもそも、なぜ、勤務間インターバルなのか? 心身の疲労回復や健康のためには、休息時間が大切という共通認識はあるものの・・・ 組合員の意見は、、、 ・業務が回らなくなる ・お客様に迷惑がかかる ・他部門との連携に支障をきたす →長時間労働の是正に向けた対処だけでは、「休息時間」に対する意識が芽生えない。  →なので休息時間がなぜ必要なのか、という点も掘り下げる必要がある。

勤務間インターバル制度とは? 『勤務間インターバル制度』 とは、「就労日における労働の終了から次の労働の開始までの間に、一定の休息時間を確保する制度」。 勤務間インターバルの時間を11時間とした場合 (情報労連ガイドラインより引用)  18:00 24:00 09:00 18:00 24:00 09:00 11:00 終業時刻              終了                                  始業 終業時刻              終了                                             始業 時間外労働 勤 務 インターバルとして 11時間を確保 休 息 時 間 勤務免除 例① :9時始業で18時から24時まで時間外労働をした場合 18:00     02:00 09:00 18:00       02:00 09:00       13:00  始業                      終了                            始業 終業時刻               終了                                              始業 勤 務 インターバルとして 11時間を確保        休 息 時 間 始業時刻を 遅らせる 例② :夜間工事等で18時から深夜2時までのシフト勤務をした場合 通建:2h分は「労働時間としてみなす」 KDDI:2h分は「労働時間としてみなさない」→「2h分を変形労働として別の日に組み込む」(工夫)  →インターバル規制の効果を下げずに、総実労働時間として見る。

労働者の健康と安全の保護の観点 1日の労働は13時間まで 1週48時間までの労働時間規制 EU労働時間指令(1993年制定・2000年改正) 労働者の健康と安全の保護の観点 EC条約第137号 EU諸国に共通する労働基準 1.24時間につき、最低連続11時間の休息を付与する 2.7日毎に最低連続24時間の休息を付与する そもそも、脳には休息が必要です。 東京医科歯科大名誉教授・井上先生の言葉を借りれば「睡眠は脳をつくる、脳は睡眠をつくる、睡眠は脳を守り、修復し、賢くする」としており、 休息時間は脳を整理し成長させるために必要な時間と言われています。 インターバル規制は、そのような基本的な行動を確保するものと言えます。(労基法36条を破棄してしまえば良いのですが) 関連してトラック・バス・タクシー運転者の労働時間等については、直接的に他者の生命に関わる業務でもあり、厚労省より改善基準告示が出されています。 具体的には、13時間以内の拘束時間とし実質的に11時間の休息を確保することが示されています。 時間数で見れば、インターバル規制と同程度あり、休息することの必要性はここからも読み取れます。 1日の労働は13時間まで 1週48時間までの労働時間規制

⇒労働時間の上限は青天井に 日本の労働規制 1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて労働させてはならない。 【労働基準法第32条】 1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて労働させてはならない。 第36条 労使合意に基づく届け出があれば、これを超えてさらに労働させることもできる。さらに特別条項でその上限さえも解除できる仕組みとなっている。 ⇒労働時間の上限は青天井に

⇒長時間労働そのものを安全衛生上の リスクと捉え、それを防止する 長時間労働がもたらす弊害 ①労働者の健康(脳・心臓疾患や精神疾患などへの影響) ②仕事と生活の調和(ワークライフバランスの欠如) 「労働者の健康確保」は『安全無くして労働なし』を運動の原則とする労働組合にとって、最優先かつ喫緊の課題。 ⇒長時間労働そのものを安全衛生上の リスクと捉え、それを防止する あくまで労基法32条に定める範囲で、所定内労働時間の中で、成果を出すことが、 使用者目線として成果最大化・生産性向上、労働者目線としてWLBにもつながる。 そして、その結果、表示のリスク回避にもつながる。やはり労使責任をもって取り組む必要がある。 ・・・32条の範囲で運用できていれば、そもそもインターバル規制という制約を設ける必要もなかった。 いずれにしても、使用者・労働者、双方の個々人の意識改革も必要。

3.情報労連の取り組み

2009春闘 2010春闘 情報労連の取り組み経過① <労使間の見解の違い> ○休息時間が所定の労働時間帯におよんだ場合の扱い 「可能な組合は、インターバル規制の導入に向けた労使間論議を促進する」方針を掲げ取り組み ⇒ 通建連合加盟組合(通信建設業)を中心に、13交渉単位で労使協定締結。 2010春闘 「全ての加盟組合は、インターバル規制の導入について労使間交渉を行い、可能な組合は協定化を目指す」として取り組み強化。 ⇒ 新たに2交渉単位で協定を締結。 しかし、2011春闘以降はなかなか新たな協定締結に至っていない。 <労使間の見解の違い> ○休息時間が所定の労働時間帯におよんだ場合の扱い ○休息時間の具体的設定等 このような状況を打開し、更なる協定締結につなげるため、「勤務間インターバル規制」の「ガイドライン」を策定(2012.11) 

2013春闘・2014春闘 情報労連の取り組み経過② さらなる導入拡大をめざす 「勤務間インターバル規制」要求が広がる ◆要求組合数が増加  ◆要求組合数が増加  ◆通信建設業以外にも広がり     ◇情報サービス業     ◇生活協同組合  など    2013年秋に情報サービス企業で協定締結の実績         2015年1月、ガイドラインを改定。        さらなる導入拡大をめざす 連合も「勤務間インターバル規制」の導入促進を方針化。 他の産業別組合でも取り組みが広がっている。 ガイドライン→情報労連HPに掲載しております

計50社に対し、「勤務間インターバル制度」を要求。 情報労連の取り組み経過③ 2015春闘  情報労連 2015春闘方針 ①長時間労働に伴う健康被害の防止およびワーク・ライフ・バランスの観点から、各加盟組合は、勤務間インターバル制度の導入に向けて取り組むこととします。 ②取り組みにあたっては、改定したガイドラインに基づき、休息時間確保の必要性について労使の認識を合わせた上で、先行導入事例等を参考に、労使間論議を促進することとします。 勤務間インターバル制度 要 求 妥 結 要求件数 制度導入 継続論議 50 2 25 計50社に対し、「勤務間インターバル制度」を要求。 2社で制度導入、25社で継続論議に。 (2015.4.17現在)

2017春闘 情報労連の取り組み経過④ 情報労連 2017春闘方針 ①「労働時間の適正化」⇒最重点課題 2017春闘  情報労連 2017春闘方針 ①「労働時間の適正化」⇒最重点課題  ・長時間労働を起因とした過労による自殺  ・大手企業が労働基準監督署から長時間労働の是正勧告 ⇒長時間労働が社会問題として大きく浮上 ②具体的取り組み  ・36 協定「特別条項」による延長時間の設定  (情報労連ミニマム750時間⇒2017年度からは720時間に変更)  ・「勤務間インターバル制度(原則 11 時間)」の導入 勤務間インターバル制度 (休息時間の確保含む) 要 求 妥 結 要求件数 制度導入 継続論議 164 8(トライアル含む) 136

情報労連の取り組み経過④ 春闘での主な取り組み状況(全国単組) 全国単組 要求方針 妥結内容 A労組 「ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、健康と安全確保の観点から、休息時間を確保するための仕組み等を導入すること」(グループ主要8社等・計25交渉単位に要求)  休息時間の確保について「ワーク・ライフ・バランスの取り組みの一環として取り組む」ことを確認。  具体的には春闘以降、実施に向け継続論議。 B労組 未導入の組織に対し、勤務間インターバル制度の導入。(計20交渉単位で要求) C労組 <2015春闘>全社員を対象に、11時間の勤務間インターバルの導入(計2交渉単位で要求) <2017春闘> 8時間の勤務間インターバルを11時間に見直し <2015春闘>2社で就業規則に 8時間の勤務間インターバルを設定するとともに、安全衛生管理規定において、勤務間インターバル11時間を新たな健康管理上の指標(月11回以上)として設置 勤務間インターバル11時間を新たな健康管理上の指標(月5回以上)として設置 D労組 勤務間インターバルの導入等の促進 E労組 勤務間インターバルの導入(計3交渉単位で要求) B労組→通建 東北・九州

情報労連の取り組み経過⑤ 春闘での主な取り組み状況 年 導 入 交 渉 単 位 数 2009春闘 13 2010春闘 2 2011春闘 0 導 入 交 渉 単 位 数 2009春闘 13 2010春闘 2 2011春闘 0  2012春闘 2013春闘 1 2014春闘 2015春闘 2016春闘 2017春闘 6 計 25

4.KDDI労組の取り組み

KDDI労組の概要 組合員数は、12,952名(2015年12月1日現在) 大手通信キャリアグループ 各社とユニオン・ショップ協定を締結

当該労使における導入経緯 時 期 内 容 発足当初 交替勤務(24時間)の社員は、勤務シフト表を作成する時点で 時 期  内 容 発足当初 交替勤務(24時間)の社員は、勤務シフト表を作成する時点で 勤務終了から次の勤務開始まで『7時間以上』空けることを制度化 2009年~ 情報労連にて「労働者の健康確保とワーク・ライフ・バランスの実現」に向けた取り組みとして、勤務間インターバルの導入について方針化(2009春闘~) 2012年10月~ 裁量労働制の導入と併せて、裁量労働者に『8時間以上』の勤務間インターバルを制度化 2015年7月~ 2015春闘交渉によって、就業規則に『8時間以上』を制度化、 安全衛生規程に健康管理上の指標として『11時間』を設定   就業規則 → 組合員のみ(非管理職のみ)   安全衛生規程   → 全ての社員(管理職含む) 2017年3月 2017春闘交渉によって上記の取り組みを強化 また、実際に11hの休息時間を設けた際の影響度合いについて、事前にシミュレートしている。 使用者側の理解を得るには、これが全てでは無いが一つの手段と言える。 →職場毎に見ても良い。 表中・2015年7月では、安全衛生規定として「全ての社員」を対象にした。 また、2017年の論議を経て、年間ミニマムを540時間とした。この時間数はインターバル規制を導入した際に結果として当てはまる数値。

KDDI社の勤務間インターバル制度について K社では、『勤務間インターバル』を二つの規程でルール化しています 規程類 時間 適用対象 内 容 就業規則 8時間 組合員のみ (非管理職) 最低ラインの勤務間インターバルとして、 必ず確保しなければならない休息時間 (最低8時間の義務づけ) 安全衛生規程 11時間 全社員 (管理職含む) 社員の健康管理上の指標として、「11時間」の勤務間インターバルを設定 毎月、全社員の状況を確認し、11時間未満が月に5日以上となった社員には、個別に健康指導※や問診、産業医面談等を実施する ※本人の働き方改善や休暇取得の促進、   必要に応じて業務変更、人事異動の対応 等 先ほどの表に示すとりい、2015年より11時間を安全衛生規定として全社員対象として導入。 この中で、歯止めとして「休息時間が11時間未満が5日/月」となった社員については、個別に健康指導等を実施。 具体的にはPCのログ管理等をふまえ、管理している。日々の服務管理について、個々人の意識も向上してきている。

勤務間インターバル制度の必要性 長時間労働防止のパラドックス 長時間労働の防止・抑制は、労使の責務 『36協定』の遵守 事前協議の徹底対応 職場巡回 等々 「長時間労働」を前提とする対処 職場では時間外労働が当り前となっている(意識) ← 労基法の原則に違反 『36協定』は、あくまでも例外的措置 長時間労働防止のパラドックス パラドックス:矛盾・逆説・ジレンマ等 「一見して正しく見えるがそうでない」 長時間労働の防止・抑制は労使の責務である中で、36協定はあくまで例外的措置であることを改めて確認が必要。(前述のP7のとおり) →労基法的には、32条の規制があり、その上での例外的措置が36条。  ① 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1 週間について40 時間を超えて、労働させてはならない。  ② 使用者は、1 週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を越えて、労働させてはならない。 上述の取り組みだけでは、 『休息時間を確保する』と言った視点に、意識が向かない 組合員も使用者側(会社)も『勤務間インターバル制度』を必要としない

なぜ?『勤務間インターバル』なのか C労組執行部の意識転換 『休息時間の確保』を前提とする対応 が必要 『時間主権の確立』に向けては、 「長時間労働」を前提とする対処だけではなく、 『休息時間の確保』を前提とする対応 が必要 【会社に対して】  休息の確保、労働時間の上限規制  働き方の改革、女性参画、  労働力確保、社会的評価 等々 【組合員に対して】  休息の重要性、ワークライフバランス、  働き方の意識改革、互いの休息確保を  尊重する職場醸成 等々 インターバル規制は「休息時間の確保」が目的であり、その結果として長時間労働是正にもつながる場合もある。 余談:「互いの休息確保を尊重する職場の意識醸成」 個々人の休息時間を重視し、生産性・成果を追い求めれば、結果としてチームとしての和が崩れることも懸念される。 例)Aさんが休むので、Bさんに偏る。不協和音。 例)年休が逆にとりにくくなった。 あくまで、チームとしての支えあいが必要。 『労働時間上限規制』の導入実現を目指す

導入後の効果と今後の課題 項 目 内 容 導入後の効果 確実な休息時間の確保が可能となった 全社員の休息時間の実態把握が可能となった 項 目 内 容 導入後の効果 確実な休息時間の確保が可能となった 全社員の休息時間の実態把握が可能となった 組合員の意識改革    (十分な休息確保と生産性を意識した働き方への意識転換) 法律に基づく各事業場の「安全衛生委員会」において、調査審議事項として扱うことによって、労使双方が一体となって休息時間確保に向けた対処が可能となった 今後の課題 制度主旨や内容の継続的な周知展開と理解促進 組合員の更なる意識改革    (互いの休息確保を尊重する職場環境や雰囲気の醸成) 総労働時間の短縮(長時間労働の抑制) 年次有給休暇の取得向上 勤務間インターバルの確保困難な状況への対応 「確実な休息時間の確保が可能になった」→95%の方が取得できている。 一方で、5%については、業務上の支障や職場混乱を回避する対応が必要。  →11時間未満が5日/月以上の社員は、個別に健康指導・問診、産業医面談を実施。  →働き方改善、休暇取得の促進、必要に応じて業務変更、人事異動等にも対処。 生産性の指標としては、結果として ・時間外手当が減少していることから、収支にも若干の良い影響は出ている ・組合員にヒアリングしたところ体感的に能率があがった  --等 安全衛生委員会議題としても浮上させており、労使双方が高く意識して取り組むようになった。

ご静聴、ありがとうございました。 <想定される質問等> Q.交代勤務として服務を設定している場合、通常勤務時間に配意した労働時間となっている。インターバル規制が必要なのか。 A.導入の判断は職場毎の働き方を見た上での判断となる。一方で交代勤務の職場実態を見つつ、実際に11時間の休息時間となっているのかチェックが必要。   また、職場毎で見れば前述のとおりですが、全体的な歯止めとして、インターバル規制を大枠として導入しておくことも視野に入れた方が良い。

【参考】勤務間インターバル制度 一日の勤務終了後の「休息時間」の確保を義務づけ、労働者の健康確保とワーク・ライフ・バランスを実現するためのインターバル制度導入にむけたガイドライン。最新の導入事例を追記した第2版。 情報労連のHPからダウンロード可能です。