2012年11月1日 CCJPシンポジウム 出版社の新しい著作隣接権 を考えるシンポジウム

Slides:



Advertisements
Similar presentations
インターネット社会を生きるための 情報倫理 情報教育学研究会(IEC) 情報倫理教育研究グループ.
Advertisements

検索エンジンが 日本にないのはなぜか  なんで検索エンジン? 2006 年 10 月 9 日、「 Google 」が「 YouTube 」を買収した。 16 億 5 千万ドル相当の株式交換で買収、という形になって いる。  そもそもなんでそんな疑問が? 政府の知的財産戦略本部は 2008 年 6.
情報社会における心がまえ (教科書100ページ). 1.情報の公開と信ぴょう性 (1)信ぴょう性の確認 ①発信者の素性をみる ②複数の情報源で比較する ☆最終的判断は受信者に任される 実習:「情報の信憑性体験ページ」
資料1 情報関連政策体系の推移と現状分析 ・戦後 60 年の我が国情報関連政策・制度の推移一覧 ・戦後 60 年の我が国情報関連政策・制度の推移の概要 ・政府報告書の政策マップ ・ e-Japan 戦略 /e-Japan Ⅱ(コンテンツ関連)の政策マップ ・知的財産大網 / 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の政策マップ.
情報リテラシ 2003 野村松信・須藤秀紹 情報リテラシー(3) 著作権. 情報リテラシ 2003 野村松信・須藤秀紹 著作権とは(1) 憲法が保証する人権のひとつ – 規制ではない – クリエイターの権利を守る – 人権を侵害しない,侵害されないた めに,著作権について知る必要あり.
オープンソースと知的財産権 2005年10月 弁護士 椙山敬士. 目次 1.知的財産の概略・・・著作権と特許 権 2.プログラムに関する知財政策の歴史 3.オープンソースの法律関係 著作権法と契約法(民法) 4.オープンソースと特許法の関係.
計算機リテラシーM 第 7 回( 2 ) 著作権 伊藤 高廣
著作権 2002.11.5. 著作権1 著作物 – 第 2 条「思想又は感情を創作的に表現した ものであって、文芸、学術、美術又は音楽 の範囲に属するものをいう」 – 事実情報、データはここには入らない(編 集したデータは「編集著作権」がある – 「高度」という条件はない、コピーでなけ ればいい(余りにも短い情報には創作性な.
経営学部 市場戦略学科 MR9001 よーへい (佐藤 洋平). 目 次目 次 電子書籍とは 電子書籍を読んでみる( 1 ) 電子書籍を読んでみる( 2 ) 普及のための課題 考察 出典・参考資料.
情報モラルと著作権 道徳・特別活動・総合的な学習の時間. 目次  情報モラル 情報モラル  著作権 著作権  関連する Web ページの紹介 関連する Web ページの紹介.
愛媛大学法文学部法学特講 「現代社会と著作権」 前文化庁長官官房審議官 吉田 大輔
知的財産権を考えよう! 社会と情報 ⑪.
著作権について.
リッピング違法化と 違法ダウンロード厳罰化について
知 的 財 産 権 教科書 P74,75,126,127 資料 P146,147 埼玉県立大宮武蔵野高等学校・情報科.
商標の国際登録 ~海外で権利を得る方法~.
知 的 財 産 権 情報社会とコンピュータ 第13回.
サイバーセキュリティ基礎論 ― IT社会を生き抜くために ―
流通と営業.
第4回 商事関係法.
著 作 権(2) 情報社会と情報倫理 第6回.
情報技術と著作権.
2016年度 民事訴訟法講義 1 関西大学法学部教授 栗田 隆
現代の金融入門 第5章 3節 企業統治の変質と再生
論文紹介 表現の自由から見た著作権の論点(1): アメリカの判例に見るパロディ表現の取扱い
「インターネット時代の法常識」 伊藤 博文 平成13年度 市民大学「トラム」 豊橋創造大学短期大学部連携講座 講師: 豊橋創造大学短期大学部
著作権.
08ba036z  入江 洋志 現代の金融入門 第五章 1~2節.
著作権 実習を通して著作権を考えよう.
知的財産権について ~身の回りにある知的財産権って どんなものがあるの?~.
第6章 インターネットと法律(前編) [近代科学社刊]
   著 作 権(1) 情報社会と情報倫理 第5回.
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政裁量その2 裁量に対する司法審査.
情報システムと社会.
安心してネット上でコンテンツを流通できる環境の形成
日本における電子書籍の普及とその展望 08A2175C 芳川大輝.
三重大学教育学部 附属教育実践総合センター 須曽野 仁志
4.2 著作権の適用範囲と制限.
法学特講 現代社会と著作権 第5講 著作権保護の展開
著作権について グループ名:左後ろ.
著作権入門セミナー 第2回 著作権を利用する契約と著作権制度
中級日本語 第 14 課  吉林華橋外国語学院 日本語学部 製作.
データ流通促進のためのビジネススキーム構築の必要性について
ご提案資料 xxxxx株式会社 作成日:2016.xx.xx.
情報モラル学習(教職員) これだけは知っておいてほしい情報モラル.
中国での事業展開の成功を考える 知財戦略 =現地での知財対策のあり方=
P2P概説 P2P概説 第2回 /
知的財産権について ~身の回りにある知的財産権って どんなものがあるの?~.
著作権入門セミナー 第1回 著作権制度の基礎 用賀法律事務所 弁護士  村瀬 拓男.
2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人
第13回 法律行為の主体②-b(無権代理、表見代理)
目次 知的所有権 国際条約 知的所有権の種類 データベースとプログラム 引用と私的利用 インターネットへの適用 ソフトウエアの配布
総合講義B:インターネット社会の安全性 第12回 権利の保護
デジタルアーカイブ専攻 コア・カリキュラム構成の設定と学習内容・行動目標 デジタル・アーキビスト の養成 育成する人物像 入学前課題
最近の音楽配信動向について ~どうなるDRM?!~
知的財産高等裁判所 の設立経緯と意義 大阪高等裁判所判事       塩 月 秀 平.
平成28年度 著作権法改正の動向について 2017年4月20日.
ご提案資料 xxxxx株式会社 作成日:2016.xx.xx.
「投資」の新たな展開 -株式会社以外に…-
情報社会における 法と個人の責任  辻本 遼二郎.
2017年度 民事訴訟法講義 1 関西大学法学部教授 栗田 隆
転機を迎えたソフトウェア特許 中央大学理工学部 今野 浩 2005年10月.
2008年度 JASRAC寄附科目 「現代社会と著作権」
著作権について チーム名:TEAM TJ.
SMIPS 2009年度 法律実務(Law & Practice)分科会
情報社会における法と      個人の責任 ~インターネットの活用と著作権~.
著作権とライセンス.
資料 1 コンテンツの 取引市場形成について ~データベース議論の概観と、議論の進め方について ~
マーケティング・チャンネル戦略.
Presentation transcript:

2012年11月1日 CCJPシンポジウム 出版社の新しい著作隣接権 を考えるシンポジウム 元・知的財産高等裁判所判事 弁護士   三 村 量 一 長島・大野・常松法律事務所

第1 既存の著作隣接権 権利主体(著作権法89条1項~4項) ② レコード制作者 ③ 放送事業者 ④ 有線放送事業者 権利保護の根拠 第1 既存の著作隣接権   権利主体(著作権法89条1項~4項) ① 実演家   ② レコード制作者   ③ 放送事業者   ④ 有線放送事業者   権利保護の根拠   実演の創作性、実演家への利益分配   著作物の伝達行為の準創作性(?)   投下資本の回収

第2 中川勉強会の考え 1/2 出版社に著作隣接権を付与する理由 第2 中川勉強会の考え  1/2  出版社に著作隣接権を付与する理由   著作隣接権保護の根拠としては、①準創作性の保護及び②公衆に伝達する役割を担う者の保護という点にあるところ、   出版者は、 (ア)著作者と協力して創作に係る補助的な編集作業を行っていること、 (イ)書籍等の制作コストを負担し、書籍等を流通させるための媒介となって収益を上げて著作者に報酬を配分していることが挙げられている。 (平成24年9月4日付け「出版物に係る権利(仮称)」の法制化について 論点4より)

第2 中川勉強会の考え 2/2 出版物に係る権利を著作隣接権として構成することのメリットとして挙げられている理由 第2 中川勉強会の考え  2/2     出版物に係る権利を著作隣接権として構成することのメリットとして挙げられている理由 ○ 出版者が自ら海賊版に対する法的手続をとることができる。 ○ 当初出版の後であっても、著作権者において、自ら電子書籍化して出版することや、異なる出版者を通じた出版ができるため、自由な競争が阻害されない(出版権の拡張という法制との比較において)。 (平成24年9月4日付け「出版物に係る権利(仮称)」の法制化について 論点5より)

第3 著作権者と出版者の関係 1/2 著作物創作の際における編集者の寄与 二次的利用(アニメ化・映画化)の際における出版社の関与 第3 著作権者と出版者の関係 1/2   著作物創作の際における編集者の寄与 二次的利用(アニメ化・映画化)の際における出版社の関与  著作物の題名・キャラクターについての商標登録の際における出版社の関与

第3 著作権者と出版者間の事例 2/2 出版社による著作権の管理 東京地判平成16年3月11日、東京高判平成17年3月3日 第3 著作権者と出版者間の事例 2/2     出版社による著作権の管理 「罪に濡れたふたり」事件(2チャンネル事件)  東京地判平成16年3月11日、東京高判平成17年3月3日   編集者による権利行使の代理(抗議行動) 「やわらかい生活」事件(脚本事件)  東京地判平成22年9月10日、知財高判平成23年3月23日  出版社による事実上の著作権管理と権利行使の代理

第4 著作権ビジネスと出版者隣接権 デジタル時代における著作権ビジネスの発展 権利処理の対象を増やすことの是非 第4 著作権ビジネスと出版者隣接権   デジタル時代における著作権ビジネスの発展 権利処理の対象を増やすことの是非 出版者隣接権の行使と著作権者の意思との関係 出版者隣接権の権利範囲の明確化が必要 既存の著作物との関係(立法技術上の常識としては、法改正後の出版物に限られるはずである)

E-mail: ryoichi_mimura@noandt.com ご清聴ありがとうございました。 元知財高裁判事・弁護士   三 村 量 一 長島・大野・常松法律事務所 Tel: 03-3511-6175(直通) Fax: 03-5213-2275(直通) E-mail: ryoichi_mimura@noandt.com