St. Marianna University, School of Medicine Department of Urology 薄場 渉 Journal Club 2014/9/2 St. Marianna University, School of Medicine Department of Urology 薄場 渉
背景 病院外の心停止は世界的にも多く、それに対して早期のchain of survivalが生存率を上げる事が知られている。2010年に改訂されたガイドラインでは心拍再開後のケアが新しく追加された。 低体温療法、PCIはガイドラインで早期介入が生存率を改善すると示している。 しかし、短期予後に関しては研究されているが、実際のところ長期予後に関して調べた研究はほとんどない。
Methods 対象:18歳以上、非外傷性院外心停止 期間:January 1,2001〜December 31,2009 施設:心カテが可能で、ICUを所有している13病院 都市部のEMSのデータベースから以下の情報を収集 ウツタイン様式,TH,PCI,ICD,神経学的評価,来院時の心電図でSTEMI Primary outcome:退院後のvital status
登録:病院退院時 フォローアップ期間:死亡もしくはDecember 31,2010まで 解析 PCIと生存率は全患者 低体温療法は入院時に昏睡状態で施行した全患者
16.8%(1001/5998) 平均入院期間:8日間 CPC score 1 or 2が85% 384人(38.4%)がPCI 941人のTHの適応があり、その内245人(24.5%)にTHを施行 TH+PCIを行ったのは86人TH内の23.7%
観察期間中の全体の死亡数:384人 6ヶ月後の生存率:86.9% 1年後の生存率:82.2% 5年後の生存率:64.1%
Model 1:年齢、性別 Model 2:年齢、性別、初期波形、原因疾患、心停止した場所、目撃あり、bystander CPR、時間経過 Model 3:model 2+冠動脈リスクファクター Model 4:model 3+退院時のCPC score Model 5:model 4+エントリーした年 Model 6:model 4+フォローアップ5年区切りでの結果
Limitation 個々の病院でのPCI、THがどのようになされているか詳細が分からない 特に薬の使用に関しては、予後に影響するはずだが、情報自体がなかった PCIに関して言えば、どのように行ったか分かれば更に有効なサブ解析が出来たかも知れない。
Limitation 今回は都市部で大学病院、市中病院の混在した結果で、他の地域での一般病院で同じ結果になるかは確証はない。 ほとんどの患者はCPC score1、2で退院しているが、退院後の全身状態、QOLまで情報を得る事は出来なかった。
私的limitation TH+PCI群は少し数が少なく、Kaplan-Meier曲線が他に比べて滑らかではない。もう少し人数が欲しかったところ。 今後の方針としてPCI、THの予後改善は実際の臨床で置いても、乖離はない。 ただし、全例ルーチンで行う事が必要かは、今回のstudyでは示されておらず、適応に関してはまだ検討する余地がある。 今で通りの方針で、現状のpracticeを継続する。
非外傷性の院外心停止患者が来たら、、、 ①BLS ACLSにて蘇生を図る ②心拍再開したなら迅速な診断を ③急性冠症候群であるなら、循環器内科を呼びPCIを ④脳低温療法の適応があれば、速やかに行う 以上にて患者の長期予後が良くなる可能性がある。