高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発

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高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発 目次 ・基本原理 ・デザイン ・期待できる性能 ・ビームテスト(今年冬) ・まとめ 東北大理    岡本大典 本田洋介(KEK) 佐貫智行(東北大理)

モチベーション ΔX ΔX‘ 一点における軌道傾きのデータ ILCでは、ナノレベルのビーム制御が必要 強い最終収束の過程において、軌道傾きの情報は有用 通常 ΔX ΔX‘ BPM BPM 傾きモニターはビーム軌道の傾きを一台にて測定する 一点における軌道傾きのデータ

基本原理 空洞型ビームモニターは、空洞内に起きる共振モードを利用する。 モノポールモードはビームの傾きに依存して励起される 電場 磁場 ビームパイプ 空洞 weak strong  モノポールモードはビームの傾きに依存して励起される 傾き0ビーム 傾きを持つビーム no excited excited モノポールモードエネルギー∝ θ2

信号取り出し モノポールモードの磁場を取り出す スリット 導波管 フィードスルー 振幅∝θ モノポールモードの磁場が“滲みだす” 電場 磁場 モノポールモードの磁場が“滲みだす” スリット 他のモードの混入を空間的に抑制 導波管 TEモードにて取り出された磁場を伝搬 フィードスルー 同軸ケーブルへ取り出す 振幅∝θ

V0 信号について 取り出された信号の振幅V0が傾きに比例する 信号の生波形 V0対傾き角θ V0[volt] 3e-6 2e-6 1e-6 -1e-6 -2e-6 -3e-6 4e-7 8e-7 1.2e-6 V[volt] Time [s] 100nrad 1.2e-4 8e-5 4e-5 -4 -2 2 4 V0[volt] 傾き角θ[urad] V0 ただし、傾き角の正、負が判断できない 位相から判断する

位相測定 GHzの信号をミキサーを用いて周波数変換、位相を測定する 50MHz 正の傾き 負の傾き 3e-6 2e-6 1e-6 -1e-6 -2e-6 -3e-6 4e-7 8e-7 1.2e-6 [volt] Time [s] 3e-6 2e-6 1e-6 -1e-6 -2e-6 4e-7 8e-7 1.2e-6 -3e-6 [volt] 正の傾き 負の傾き Time [s] 正と負で、振動の位相が90度変化するため、識別可能

デザインコンセプト センサー空洞 導波管 スリット フィードスルー 周波数は、S-band BPMに合わせて2.856GHzを選択 励起エネルギー 大 センサー空洞 共振周波数2.856GHz カットオフ周波数 2.2GHz 導波管 共振モードが干渉しないようにサイズ調整 他のモードの混入を抑制 エネルギー取り出し効率を決める スリット フィードスルー TEモードシグナルを完全に取り出す 周波数は、S-band BPMに合わせて2.856GHzを選択 周波数チューナーを取り付ける

プロトタイプデザイン 本体(銅) 周波数チューナー フィードスルー センサー空洞 導波管 フランジ RFパラメータ 周波数(モノポール) 2.856GHz Q0(空洞壁) 10000 Qext(フィードスルー) 3500 Loaded Q(全体) 2700 RFパラメータ

期待できる性能 熱ノイズ 空洞型のビームモニターの感度は熱ノイズによって制限される PTN = KBTΔf 出力電圧[W]∝θ2 温度(T) 帯域幅(Δf)から決定 PTN = KBTΔf 熱ノイズ 室温 300[K] 帯域幅 ~3MHz PTN =1.24×10-14 [W] 軌道傾き[nrad] 期待できる性能: 35 nrad

設計図 発注済み  9月末に機械加工が終了予定 本体部サイズ 100×169×60 [mm] 高富俊和@KEK

~ タイムスケジュール ろう付け インストール プロトタイプは10月に完成予定 9月 10月 11月 12月 機械加工 ビームテスト コールドテスト 機械加工 ビームテスト プロトタイプは10月に完成予定 1ポートRF測定ー周波数やQ値の測定 周波数チューナー コールドテスト ビームテスト ATF2ビームラインー原理と性能のテスト

QL 1ポートRF測定のシミュレーション 基本パラメータの確認 =2536 周波数2.856GHz S11 RF(高周波)に対するS11(反射振幅)をみる S11(反射振幅比) QL    =2536 周波数2.856GHz 周波数(GHz) 実機ではネットワークアナライザーを用いて同様のテストを行う

製作誤差と周波数チューナー 製作誤差・・・ 10um以下(各面) →周波数への影響・・・最大で±2MHz 20mm 空洞壁の1部分を変形して 詳細な周波数の調整 チューナの差し込み長を変化させることで、微小な周波数調整が可能

ビームテスト ATF2のビームライン上流にて Extraction line 原理の確認 オフセットやフィードスルーの調整 IP-BPM Extraction line 原理の確認 オフセットやフィードスルーの調整 キャリブレーション(性能の評価) Q-BPMからのデータと比べて、軌道傾きに対する応答を見る

まとめ 1つのモニターにてビーム軌道傾きを測定する傾きモニターを設計した プロトタイプの期待性能は35nradであり、10月に完成する コールドテストにおいて、基本パラメータの測定と調整を行う ATF2のビームラインにて、原理の確認と性能評価をする PLAN フライトシミュレータにて、測定値に対するビーム軌道制御の研究

BACKUP ωU P= Q QL 1 Qwall 1 Qext 1 = + Q値 共振モードの1振動消費エネルギーを表す特性係数 全体 ω:周波数 P= Q フィードスルーを通して、取り出されるエネルギー以外にも、空洞壁でもエネルギーは消費される QL 1 Qwall 1 Qext 1 = + 全体 QL のデザイン値: 2700 300nsec を振幅の時定数に ILCバンチ間隔

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