未承認薬等の人道的見地から実施される治験(拡大治験)の実施について 日本QA研究会特別プロジェクト3
本資料は、「人道的見地から実施される治験(拡大治験)」の実施に関連する通知等より主要点を抜粋・要約したものです。
関連する通知等 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知 人道的見地から実施される治験の実施に関する質疑応答(Q&A)の改正について 平成28年11月30日 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡 人道的見地から実施される治験と患者申出療養との関係について 平成28年3月4日付 薬生審査発0304第3号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知
関連する通知等 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知 人道的見地から実施される治験の実施に関する質疑応答(Q&A)の改正について 平成28年11月30日 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡 人道的見地から実施される治験と患者申出療養との関係について 平成28年3月4日付 薬生審査発0304第3号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知
拡大治験実施の全体的な流れ 厚生労働省:拡大治験についてHP
拡大治験の背景 欧米においては、代替治療薬の存在しない致死的な疾患等の治療のために人道的見地から未承認薬の提供を行う制度が整備されており、日本においても同様の趣旨の制度が検討されてきた。 「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)において、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬について、開発・承認を進める一方で、治験の参加基準に満たない患者に対する治験へのアクセスを充実させる仕組み(日本版コンパッショネートユース)の導入に向けた検討が進められ、拡大治験として運用を平成28年1月25日より開始することとなった。 厚生労働省:制度に関する参考資料
拡大治験の対象範囲 未承認薬等の投与により、患者が享受できると期待されるベネフィットの蓋然性が比較的高いと考えられる主たる治験*の実施後あるいは実施中(組入れ終了後)の治験薬が対象 主たる治験に影響を及ぼさないことが前提 原則として、当該医薬品の承認申請、承認及び保険適用の期間を待つことができない、生命に重大な影響がある疾患であって、既存の治療法に有効なものが存在しない疾患の治験薬が対象 *:国内開発の最終段階である治験 参)拡大治験実施に関するQ&A Q1,2,3 参)拡大治験実施に関するQ&A Q5,6
拡大治験の位置づけ GCP省令が適用される治験の枠組みの中で実施する。 【ポイント】 拡大治験の治験計画届書を事前に提出する必要がある。 参)拡大治験実施に関するQ&A Q7,8,12,14 参)拡大治験実施に関するQ&A Q7,9,11,12
拡大治験の実施の可否の決定 主治医からの実施の要望に基づいて、治験実施者(治験依頼者)が実施の可否を判断する。人道的見地から可能な限り要望に応えることが期待されるが、以下の理由等により実施できない場合は、主治医に対し理由を回答する。 制度該当性事由:既存の治療法に有効なものが存在 する、生命に重大な影響がある重篤な疾患ではない。 (ただし、主治医等が納得できない場合、当局に実施の検討依頼ができる。) 絶対事由:治験薬の供給に余裕がない。 時期的事由:主たる治験の実施に悪影響を与えるおそれがある。 個別事由:患者の病状より、安全性の観点から参加が勧められない。 。
治験実施計画書 主たる治験の治験実施計画書を基に作成されることを前提とし、安全性の確認に主眼を置いて変更を加えたものを基調とする。 有効性検証のための指標に係る検査項目等は、患者の安全性確保に支障がない範囲で簡略化あるいは省略できる。 社会的要請度が高いと想定される医薬品の主たる治験を実施する際には、主たる治験の治験実施計画書の作成段階から、拡大治験の実施の可否及び実施する場合の拡大治験の治験実施計画書の作成を検討することが望ましい。
社会的要請度が高いと想定される医薬品 先駆け審査指定制度に応募した医薬品 ※応募効能又は用法に限る 希少疾病用医薬品の指定を受けた医薬品 ※応募効能又は用法に限る 希少疾病用医薬品の指定を受けた医薬品 ※指定効能又は用法に限る 未承認薬等検討会議において、医療上の必要性が高いとして開発要請された医薬品 ※要請効能又は用法に限る 米国において実施されているExpanded Access Programのうち、Intermediate size IND又はTreatment INDが実施されている医薬品 ※実施予定を含む 【留意事項】既存の治療法に有効なものが存在する、あるいは生命に重大な影響がある重篤な疾患ではない場合は拡大治験の対象外 (拡大治験実施に関するQ&A Q.22より)
対象患者 実施済みあるいは実施中の主たる治験の実施計画書の組入れ基準の各項目に関して、組入れ基準を緩めても医学・薬学的に許容可能であると判断される範囲の患者 実施施設 主たる治験を実施したあるいは実施中の医療機関において、主たる治験の治験責任医師又は治験分担医師により実施されることが原則 【補足】 拡大治験の実施要望を受ける前に拡大治験の実施計画書を作成した場合であって、作成した実施計画では当該患者が参加できないと判断された場合は、当該実施計画書を作成した際に検討した根拠に基づき理由を主治医に回答する。 実施計画書の見直しが可能な場合は、その時点で実施計画書の見直しを行う。
拡大治験に係る費用 拡大治験における治験薬の製造、運搬、管理及び保存並びに同種同効薬(医療保険が適用されない場合)に係る費用について、拡大治験に参加する患者に応分の負担を求めることができる。 通常の治験で支払われる負担軽減費を支給する必要は必ずしも無い。
患者に負担を求める場合に満たすべき要件 説明文書に想定される患者負担額及びその積算に係る考え方等を事前に患者が理解しやすいように記載するとともに、十分な説明を行った上で、同意を取得すること。 薬価基準に収載されている医薬品を用いた治験薬及び同種同効薬に関する負担は、薬価を超えない額であること。 治験薬及び同種同効薬に関する負担がある場合、負担額とその積算に係る考え方について、当局に報告すること。
拡大治験の実施期間 以下に該当した時点で終了 当該医薬品の 承認 不承認 申請の取り下げ 開発中止 【留意事項】 承認後、製造販売を開始するまでの間、継続して治験薬を投与する必要がある場合、承認取得後自動的に製造販売後臨床試験に切り替えられるよう、治験計画届書及び治験実施計画書にその旨を記載する等の対応をする。
補償について GCP第14条に基づき適切な補償措置を講ずること。
拡大治験の申請資料としての取扱い 承認申請時の臨床データパッケージに含めることは一般には想定されていない。 承認審査中に、少なくとも1回はPMDAの審査部からの指示※に基づき、拡大治験の実施状況を集計し報告すること。 ※承認申請後の拡大治験の集計結果の提出時期及び提出方法については、適切な時期にPMDAに確認することが望ましい。(状況に応じて審査中に追加で集計を伴う照会を行うこともありうる) (拡大治験実施に関するQ&A Q.23より) 添付文書等に患者の安全性に関する情報等、必要な記載を求められることがある。
治験情報の公開等 主たる治験及び拡大治験に係る以下の情報を公開する 治験薬の情報(治験成分記号) 治験届者名及び連絡先 (連絡先は別途一覧を作成し、PMDAのHPにて公開) ※連絡方法は治験届者に一任。但し、必ず連絡が取れる手段とするとともに、電話による連絡でない場合は、営業日の一両日中に要望者に要望を受けた旨の回答を行うこと。 (拡大治験実施に関するQ&A Q.18より) 対象疾患 治験実施予定期間
関連する通知等 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知 人道的見地から実施される治験の実施に関する質疑応答(Q&A)の改正について 平成28年11月30日 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡 人道的見地から実施される治験と患者申出療養との関係について 平成28年3月4日付 薬生審査発0304第3号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知
主たる治験とは? Q&A Q.1,2,3 国内開発の最終段階である治験 (効能・効果及び用法・用量が一連の開発を通じて設定された後に実施される有効性及び安全性の検証を目的とした治験) 海外で実施された検証的な臨床試験を活用するために実施した国内ブリッジング試験 【ポイント】 適応疾患に関わらず、新医療用医薬品としての承認申請(効能追加等を含む)が見込まれる全ての治験薬が対象
主たる治験に該当しないもの Q&A Q.5,6 バイオ後続品やジェネリック医薬品の国内開発の最終段階である治験 検証目的の試験に参加した被験者への継続的な投与等を目的とする長期投与試験
Q&A Q.7,8,12,14 拡大治験の届出の要領 治験計画届書の表紙右肩に「拡」と朱書きし、備考欄に「拡大治験、主たる治験の受付番号〇〇-〇〇〇〇(半角英数字)」と記載する。 ※PDFファイルに反映させる必要はない。 ※予定被験者症例数、実施期間の終了年月日は届出時点で想定される範囲で記載する。 ※抗がん剤の治験のように、複数の未承認薬・適応外薬を併用する併用療法の場合は、(治験成分ごとに提出するため)それぞれの治験計画届書の表紙に記載する。
主たる治験の届出の要領 Q&A Q.7,9,11,12 治験計画届書の表紙右肩に「主」と朱書きし、備考欄に「主たる治験」と記載する。 ※抗がん剤の治験のように、複数の未承認薬・適応外薬を併用する 併用療法の場合は、(治験成分ごとに提出するため)それぞれの 治験計画届書の表紙に記載する。 治験届出時点では主たる治験と考えていなかったが、当該治験結果で承認申請を行う場合には、治験計画変更届書に「主」を朱書きする。 主たる治験である旨を記載して治験計画届出を行った場合、治験変更届書、治験終了届書、治験中止届書には「主」の記載は必要ない。
関連する通知等 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 人道的見地から実施される治験の実施について 平成28年1月22日付 薬生審査発0122第7号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知 人道的見地から実施される治験の実施に関する質疑応答(Q&A)の改正について 平成28年11月30日 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課事務連絡 人道的見地から実施される治験と患者申出療養との関係について 平成28年3月4日付 薬生審査発0304第3号 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知
患者申出療養とは? 国内未承認の医薬品等を迅速に保険外併用療養として使用したいという患者の思いに応えるため、患者からの申し出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組み 参)厚生労働省 患者申出療養の概要について
患者申出療養の流れ 参)厚生労働省 患者申出療養パンフレット
患者申出療養の対象とする医療の類型 ①既に実施されている先進医療を身近な医療機関で実施することを希望する患者に対する医療 ②先進医療の実施計画(適格基準)対象外の患者に対する医療(対象年齢外の患者や病期の進んだ患者、合併症を有する患者等) ③先進医療として実施されていない医療(一部の国内未承認・海外承認医薬品等の使用や、実施計画作成が進まなかった技術等) ④現在行われている治験の対象とならない患者に対する治験薬等の使用 →拡大治験の実施につなげることを検討する。 参)患者申出療養の制度設計について(中医協 総-4(改) 27.9.30)
拡大治験と患者申出療養との連携 既に治験において使用されている未承認薬を使用したいという相談があった場合には、まずは主たる治験又は拡大治験につなげることを検討することとする。 ※公開されている治験の情報を参考に、臨床研究中核病院等が主たる治験が実施中であるかどうかを確認する。 主たる治験を実施中でない場合又は拡大治験を実施中(準備中の場合を含む)でない場合には、患者申出療養として実施できるか否かについて、臨床研究中核病院が検討を行う。
拡大治験と患者申出療養制度との関係 参)H26.12.18薬事分科会資料 資料29-4