【第六講義】 局所分岐.

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【第六講義】 局所分岐

【前回の復習】 【質問】2次元差分力学系のコンパクトな不変集合Λがアトラクタであるとき, 満たされるべき条件を2つ述べよ.  満たされるべき条件を2つ述べよ. 【回答】Lの開近傍Tが存在し,① f cl(T)  T ② i=0 fi cl(T) = L を満足する. 【質問】2次元差分力学系におけるアトラクタの名称およびリアプノフスペクトル  を答えよ.

〔6.0〕質問 【質問】微分方程式において平衡点が漸近安定となる必要十分条件を答えよ. 【質問】微分方程式において周期軌道が漸近安定となる必要十分条件を答えよ. 【質問】差分力学系のアトラクタの定義を述べよ. 【質問】3自由度の微分方程式において,  (1)安定平衡点  (2)安定周期軌道  (3)安定トーラス  (4)カオス的アトラクタ  のリアプノフスペクトルをそれぞれ答えよ. 【質問】4自由度の微分方程式において, (1) (-,-,-,-) (2) (-,-,-,0) (3) (-,-,0,0) (4) (-,0,0,0) (5) (-,-,0,+) (6) (-,0,0,+) (7) (-,0,+,+)  のリアプノフスペクトルを持つアトラクタの名称をそれぞれ答えよ.

〔6.1〕不動点の分類 ●2次元差分力学系において複素共役固有値s + i wの場合 安定フォーカス 〔 s2 +w2 < 1 〕 不安定フォーカス 〔 s2 +w2 > 1 〕 センター 〔 s2 +w2=1 〕 ●2次元差分力学系において実固有値a, bの場合 安定ノード 〔 |a| < |b| < 1 〕 サドルノード 〔 |a| < 1 < |b| 〕 不安定ノード 〔 1< |a| < |b| 〕

●2次元差分力学系において実固有値a, bの場合 〔6.2〕不動点の分類2 ●2次元差分力学系において実固有値a, bの場合 方向反転安定固有空間 〔 -1< a< 0 〕 方向反転中立固有空間 〔退化: a = -1 〕 方向保存安定固有空間 〔 0< a < 1 〕 方向反転不安定固有空間 〔 a< -1 〕 方向保存中立固有空間 〔 退化:a=1 〕 方向保存不安定固有空間 〔 1< a 〕

〔6.3〕分岐現象とは 【定義:係数族】係数pRMによってパラメタづけされた力学系 dx/dt=F(p,x), xRN xn = f(p,xn-1) , xRN ・特に,係数pに関する微分が非零(F/p 0, f/p 0)を仮定する. 【定義:分岐現象】係数の摂動に関して不安定な(退化した)構造が 崩壊し, 不変集合の生成・消滅・安定性の変化が生じる現象であり,退化と非退化条件  によって分類される 【定義: 分岐集合】係数空間上で特定の分岐が発生する係数値の集合 【定義:余次元】係数空間と分岐集合の位相次元の差 p2 1次元,余次元 (2-1=1) p = (p1,p2) 0次元,余次元 (1-0=1) p = (p1) p1 ※係数空間の次元によらず,分岐によって余次元は一定.

〔6.4〕接線分岐 【質問】lに応じて差分力学系 xn = x2n-1+lの不動点の数を分類せよ l > 1/4 l = 1/4 l = 0 【質問】個々の不動点の安定性を論議せよ.

【注】分岐直前の通常点付近(チャネル)は,極度に移動速度が遅い. 〔 6.5〕サドルノード分岐 【質問】lに応じて (xn,yn) = (x2n-1+l,,0.5 yn)の不動点の数を分類せよ 【回答】xn= x2n-1+lの場合と同じである. 【定義:サドルノード分岐】  通常点 ⇒ 方向保存n周期アトラクタ + 方向保存サドル型n周期軌道  非退化条件:2次項 退化条件 :方向保存中立ノード 〔中立: ap = 1, 1 > |bp| 〕 ap > 1, a’p > 1 【注】分岐直前の通常点付近(チャネル)は,極度に移動速度が遅い.

〔注〕安定多様体は,メビウスバンドになっている. 〔 6.6〕周期倍分岐 【定義:周期倍分岐】  方向反転n周期アトラクタ⇒方向反転2n周期アトラクタ+方向反転サドル型n周期軌道  非退化条件:2次項 退化条件:方向反転中立ノード 〔安定: 0> ap >-1, 1 > |bp| 〕 〔中立: ap = -1 〕 〔サドル: ap > -1, a’p < -1 〕 〔注〕安定多様体は,メビウスバンドになっている.

〔6.7〕単峰写像における局所分岐

〔 6.7〕 Hopf分岐 【定義:ベクトル場のHopf分岐】安定平衡点 ⇒ 不安定平衡点 + 周期アトラクタ  非退化条件:ベクトル場(極座標系)の動径方向が3次,退化条件:センター 〔安定: 0> sp 〕 〔中立:sp = 0 〕 〔不安定: sp > 0 〕 【定義:写像のHopf分岐】周期アトラクタ⇒周期リペラ+準周期アトラクタ  非退化条件:写像(局座標系)の動径方向が3次,退化条件:センター 〔注〕Naimark-Sacker分岐ともいう. 〔安定: 1> s2+w2 〕 〔中立: s2+w2 = 1 〕 〔不安定: s2+w2 > 1 〕