硬X線偏光検出器PHENEXの開発VI: かに星雲の偏光観測実験概要

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硬X線偏光検出器PHENEXの開発VI: かに星雲の偏光観測実験概要 林田清、森本真史、穴吹直久、常深博(阪大)、 郡司修一、門叶冬樹、岸本祐二、石垣保博、 菅野誠、村山裕章、伊藤智加、櫻井敬久(山形大)、 三原建弘、小浜光洋(理研)、 斉藤芳隆、山上隆正(ISAS/JAXA)

PHENEX実験の目的 これまでに有意なX線偏光が検出されたのは、軟X線領域におけるかに星雲のみ 19.2±1.0%@2.6keV, 19.5±2.8%@5.2keV OSO8衛星 (Weisskopf et al., 1978) 偏光が期待されるプロセスは、シンクロトロン放射、コンプトン散乱など非熱的過程。多くの天体で非熱的放射が卓越する硬X線領域での観測が重要。 硬X線領域は気球搭載検出器によって観測可能。 硬X線領域(40-200keV)でのX線偏光検出を世界に先駆けて行う気球実験プロジェクト= Polarimetry for High ENErgy X-rays (PHENEX) 1回目の気球実験(2006年6月13日)は、かに星雲が観測対象

偏光検出器ユニット 基本性能 幾何学面積 10.9cm2/ユニット M~0.53* 検出効率 h=20%* Polarimeter for High ENErgy X-ray PHENEX 偏光検出器ユニット 上から見ると コリメータ 4.8°(FWHM) シンチレータ群 (5.5x5.5x40mm) CsI 28本,Plastic 36本 CsI Plastic パッシブシールド MAPMT FOP1mm 基本性能 幾何学面積 10.9cm2/ユニット M~0.53* 検出効率 h=20%* 専用読み 出し回路 CsIヒットチャンネルで何keV以上、プラスチックヒットチャンネルで何keV以上 164msecで 64chの読み出しが可能 *) 80keVでの値;KEK-PF実験の結果より

PHENEXシステム概要 電池箱 データ処理気密箱 検出器気密箱 PHENEX偏光検出器 4ユニット VME-CPU GPS USBメモリ モニターカウンター VME-DPボード アンタイカウンター 姿勢系 Arm-CPU HV装置 USBメモリ CCD太陽センサー PC/104 カード (HK用ADC&DI等) PSD太陽センサー 視線方向まわり回転機構 エレベーション制御機構 GAセンサー DC-DCコンバータ 気球システム GPS 送信機 受信機 モーメンタムホイール 姿勢系Arm-CPU 地上系 テレメトリー装置 QLシステム コマンドシステム

データ処理系気密箱 検出器気密箱 視線方向周り往復回転 (系統誤差削減に重要) モニターカウンタ モーメンタムホィール 偏光検出器ユニット データ処理系気密箱 PC/104 検出器気密箱 GAセンサ CCD太陽センサ VME PSD太陽センサ 視線方向周り往復回転 (系統誤差削減に重要) モニターカウンタ モーメンタムホィール PHENEXゴンドラ@三陸

PHENEX2006 B150気球(150,000m3) 総重量 840kg うち観測系311kg 総浮力 914kg 放球 2006/6/13 5:33(JST) 三陸大気球観測所 PHENEX2006 B150気球(150,000m3) 総重量 840kg うち観測系311kg 総浮力 914kg

6/13フライト概要 4:16 観測器ON 5:33 放球 6時間を越えるレベルフライトを確保 ~350km 16:40 観測器OFF 5:33 放球 6時間を越えるレベルフライトを確保 16:40 観測器OFF 17:21 着水 同日回収 ~350km 37.5〜38km 6時間15分の レベルフライト USB memory OK!

モニターカウンタのカウントレート モニターカウンタのイベントセレクション条件 ・30~140keVのエネルギーデポジットが生じている ポッツァ極大 バックグラウンドを差し 引いた値がかに星雲の イベントレート 期待値は約0.3Hz   :レベルフライト   :かに星雲の追尾   観測を試みた時間   :バックグラウンド   観測時間  レベルフライトでの バックグラウンドレート

Transmissionとモニターカウンタレートとの比較    : モニターカウンタ     レート   :かに星雲の追尾   観測を試みた時間   :バックグラウンド   観測時間  バックグラウンドレート → 0.65Hzと仮定 Transmissionとモニターカウンタレートに相関関係が見える ⇒ 1時間強、かに星雲を視野に捉えていた 

まとめ 6/13に、かに星雲の硬X線偏光観測を目指したPHENEX2006気球実験を行った。 レベルフライト6時間を確保。 検出器は正常に動作し、回収も無事終了。 かに星雲を視野にとらえた。 7割以上の透過率でとらえた時間は約80分。 モニターカウンターのカウントの増加と姿勢系データは矛盾なし。 詳細はシステムとHK(穴吹)、姿勢系(三原)、偏光検出器(菅野)の発表で。 偏光検出器のmodulation解析は現在進行中。 有効観測時間が1時間強であるため、MDP(3s)はおよそ30%程度になる見込み。 GPSを参照しているため、1msよりはるかに高い精度の時間情報を利用可能。パルサー解析も現在進行中。