n型熱電変換材料Nd2-xCexCuO4の結晶構造と熱電特性 横浜国立大学大学院工学府 ○水谷周平 隈部正智 中津川博 E-mail kinoko1104@yahoo.co.jp
研究目的 Nd2-xCexCuO4(NCCO)はn型熱電変換材料の候補であるが性能指数Zの値は実用レベルではない。 Nd2-xCexCuO4(NCCO)におけるxの変化(x=0.0~0.15)によって結晶構造及び熱電特性がどのように変化するかを解明し、性能指数の向上を検討する。
Nd2-xCexCuO4の結晶構造 Nd,Ce O Cu 正方晶 空間群 I4/mmm(139) T’-Phase 伝導層となるCuO2面 伝導層を隔てるブロック層 正方晶 空間群 I4/mmm(139) T’-Phase
試料作製方法 原料粉末 仮焼 焼結 N2雰囲気中でアニ-リング 乾燥及びCO2除去 Nd2O3 ,CeO2 ,CuO 900℃で2時間 900℃で16時間 焼結 1100℃で24時間 アニーリング前 粉末X線解析 酸化ネオジウム、酸化第2セリウム、酸化銅。 O2を抜いてエレクトロンドープすることによりキャリアの濃度が上がる、 これにより抵抗値が下がることを目的としている。 N2雰囲気中でアニ-リング 900℃で14時間 アニーリング後 粉末X線解析
Nd2CuO4のX-ray回折パターン アニ-リング前 アニ-リング後 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 109 303 310 305 314 1110 217 208 Rwp= 15.07 RI= 7.80 S= 1.19 a= 3.974(7) c= 12.26 (6) アニ-リング前 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 109 303 310 305 314 1110 217 208 Rwp= 14.74 RI= 7.55 S= 1.18 a= 3.946(4) c= 12.17(8) アニ-リング後
Nd2-xCexCuO4(x=0.10)のX-ray回折パターン 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 109 303 310 305 314 1110 217 208 Rwp= 15.88 RI= 5.94 S= 1.26 a= 3.947(5) c= 12.13(9) アニ-リング前 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 303 310 305 314 1110 217 208 109 Rwp= 14.90 RI= 6.06 S= 1.19 a= 3.959(6) c= 12.17(3) アニ-リング後
Nd2-xCexCuO4(x=0. 05、0.15)のX-ray回折パターン 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 109 303 310 305 314 1110 217 208 Rwp= 18.58 RI= 10.50 S= 1.37 a= 3.925(0) c=12.09(4) x=0.05 101 004 103 110 105 200 211 213 204 006 114 107 008 220 116 206 109 303 310 305 314 1110 217 208 Rwp= 16.17 RI= 7.76 S= 1.28 a= 3.943(5) c= 12.08(7) x=0.15
電荷密度解析結果 Cu site O site Nd Ce site equi-contur surface 0.8e/Å3
x=0.0 x=0.05
x=0.10 x=0.15 Ceのドープ量すなわちxの値が増加すると・・・ 伝導層であるCuO2面でCu-O結合が強くなる。
xの増加による抵抗率の減少は、NdのCe置換によるキャリア発生に起因している。 抵抗測定結果 M.YASUKAWA,N.MURAYAMA, JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE 32 (1997) 6489-6494 xの増加による抵抗率の減少は、NdのCe置換によるキャリア発生に起因している。
SQUID測定結果 磁気的パラメータ H=0.5T H=0.5T x=0.0 x=0.15 C(emu・K/mol) 3.68 3.15 μeff(μB) 5.43 5.02 S(-) 2.26 2.06 δ 0.0605 0.0348
300Kにおける性能指数 今回測定した試料の抵抗率で性能指数を考えた場合 x=0.05(1) x=0.05(2) x=0.10(1) ρ (10-4Ωm) 0.621 1.5 0.071 1.0 Z (10-5K-1) 4.23 1.75 3.52 0.25 xの変化に伴った連続的な変化は得られなかったが、過去の研究よりも高い性能指数が得られた。(ただし熱伝導率と熱起電力は他の文献.YASUKAWA,N.MURAYAMA, JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE 32 (1997) 6489-6494を参考にした。)
結論 過去の研究で見られた格子定数a、cのxの変化に伴った傾向は見られなかった。 Ceドープ量に伴う抵抗率の低下はNdのCe置換によるキャリア発生に起因している。 抵抗率の低下とMEMによる電荷密度解析の結果におけるCuO2層の変化の傾向との間で関連性が見られた。 SQUID測定の結果から酸素欠損量を推定することで、酸素欠損によりキャリア濃度が上がり抵抗率が下がったと考えられる。。