6.3.3 わなの選定 対象動物をしっかりと拘束できる機構や強度を持っ たわなを選ぶ 安全に操作や管理ができるものを選ぶ

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6.3.3 わなの選定 対象動物をしっかりと拘束できる機構や強度を持っ たわなを選ぶ 安全に操作や管理ができるものを選ぶ テキスト 98ページ 6.3.3 わなの選定 対象動物をしっかりと拘束できる機構や強度を持っ たわなを選ぶ 安全に操作や管理ができるものを選ぶ 現時点では、わなの強度や仕様について、対象動 物ごとに明示できる基準はない →経験則に基づいて判断することと、各事業者の報 告に基づき客観的な情報を蓄積することが重要 先ほど、捕獲後の鳥獣を確実に拘束し、周囲の人や従事者の安全や止めさし時の安全を確保するには、わなの種類の選定や設置場所の選定、設置の方法など、準備段階からの注意が重要だという話をしました。 そこで、わなの選定について見ていきましょう。 わなの選定で重要なことは、対象鳥獣をしっかりと拘束できるわなを選ぶことです。 わなの強度には明確な基準がない、というのが現状です。わなを購入する際には、メーカーに対象鳥獣を伝えるなどして、強度や使用実績についての確認してください。 また、わなごとに特徴などが異なる場合も多いので、マニュアルの有無などについても確認しておくと良いでしょう。 重い扉を使用した箱わなや囲いわななどでは、足や体が挟まった場合に大きな事故につながる危険性がありますので、足詰め防止機能や人が扉の下にいる時にはわなが作動しない安全装置が備わっているものを選んでください。 ここでも対象鳥獣によって、どのわななら大丈夫という確固とした基準はありません。 したがって客観的なデータを蓄積し、こうした基準をつくっていくことも認定鳥獣捕獲等事業者の重要な役割です。 また、わなに用いる材料は、野外での設置や使用により強度が劣化していくことにも注意が必要です。 例えば、くくりわなで一度使ったワイヤーは強度が落ちますので、新しいものに交換するなど、常に損傷や劣化の程度を点検したり、正常に動作することを確認して、安全の確保に努めてください。 このようにわなには明確な基準が少ないのが現状ですが、安全確保のために十分注意してわなを選定してください。

6.3.4 わなの設置場所の選定 (運用面) 捕獲しやすい場所 見回りのしやすい場所 処分、搬出がしやすい場所 テキスト 98ページ 6.3.4 わなの設置場所の選定 (運用面) 捕獲しやすい場所 見回りのしやすい場所 処分、搬出がしやすい場所 土地占有者の承諾が得られる場所 (安全面) 一般の人があまり出入りしない場所 標識等により設置がわかりやすい場所 見通しが良い場所 など ここでは、準備段階に注意が必要な項目のうち、わなの設置場所の選定について見ていきましょう。 わなは、対象鳥獣がよく出没する、捕獲しやすい場所に仕掛けるのが基本です。 ただし、毎日見回りする必要があるので、見回りのしやすさも考慮する必要があります。 また、安全面では、一般の人があまり出入りしない場所や近づきにくい場所、人が近づく場所であっても標識等によりわなが設置してあることがわかりやすい場所を選定してください。 わなの設置場所は、わなの種類の選定とも関連します。 鳥獣は人が近づくと興奮し暴れることがあるため、人が近づきやすい場所では、捕獲された鳥獣が動くことのできるくくりわなは避けるべきです。 箱わなや囲いわなの場合でも、人が近づきやすい場所では強度に注意しましょう。 見回りの際には、捕獲従事者が安全な場所から捕獲の有無を容易に確認でき、不用意に捕獲された獲物に近づくことがないよう、見通しがよいところに設置することも重要です。 また、捕獲された際には、殺処分や搬出をする必要があります。安全に殺処分の作業ができる足場やスペース、殺処分した個体を搬出するルートが確保できる場所を選んでください。 わなを設置する場合は、土地の占有者に、十分な説明した上で、承諾を取ることも重要です。 わなに近づく可能性の高い人への注意喚起や説明も、必要に応じて適切な方法を選んで行いましょう。

見通しの悪い場所にわなを設置すると 危険が増す 見通しの悪い場所にわなを設置すると 危険が増す これは見通しの悪い場所にわなを設置した場合の危険性をあらわしたイラストです。 クマなど対象外の鳥獣が生息している場所では注意が必要です。子グマがわなの近くにいて、周囲に親グマがいる場合などは、見通しが利かないことで大きな危険につながることがあります。 わなの設置場所によっては一般の人に危害が加わる可能性もありますので、安全を確保するためにもわなの設置場所の選定には十分な配慮しましょう。

6.3.5 わなの設置方法 箱わなや囲いわなは適切に組立て動作確認をする テキスト 99ページ 6.3.5 わなの設置方法 箱わなや囲いわなは適切に組立て動作確認をする イノシシのような土を掘る対象に対しては、床面と 壁面の接続部を補強する くくりわなはワイヤーの端をしっかりと固定する 事業者の名称を書いた標識を、見やすい場所に設 置してください。 ここでは、準備段階に注意が必要な項目のうち、わなの設置方法についてみていきましょう。 適切なわなを選び、適切な場所に仕掛けたとしても、設置の仕方が適切でなければ捕獲した鳥獣の拘束が外れてしまうことがあります。 箱わなや囲いわなにおいては、マニュアルに従い、しっかりと組み立てること、扉の動作確認などをきちんと行うことが必要です。 イノシシなど地面を掘って逃走しようとする鳥獣を捕獲する場合には、床面と壁面の接続部を補強するなど、あらかじめ対策を講じておきましょう。 くくりわなにおいては、ワイヤーの端を丈夫な立木や構造物に固定してください(根付け)。 捕獲等しやすい場所でも、しっかりと固定するものがない場合は、捕獲できません。強度が弱いものに固定してしまうと、捕獲した鳥獣に逃亡されたり、事故の危険が高くなります。 このように、鳥獣をしっかりと捕獲し、安全を確保するためにもわなの設置方法には注意してください。

6.3.6 毎日の見回りの徹底 捕獲個体を早期に発見し、適切に処理することで安 全性を確保する 捕獲効率の向上のためにも、見回りは必要 テキスト 100ページ 6.3.6 毎日の見回りの徹底 捕獲個体を早期に発見し、適切に処理することで安 全性を確保する 捕獲効率の向上のためにも、見回りは必要 わなに近づく際は、捕獲された鳥獣に注意が必要 錯誤捕獲の防止のためにも、見回りを徹底する。 わなを適切に設置したら、わなの見回りを毎日することも安全確保のためには必要なことです。 鳥獣が捕獲された場合にも、長く放置しておくと暴れて周辺に害を及ぼしたり、逃亡の危険が高まりますし、捕獲した鳥獣を放置しておくことは、いたずらに鳥獣に苦痛を与えることになります。捕獲後できるだけ速やかに処理するためにも、毎日の見回りを確実に行うことが重要です。 また、餌を使うわなでは、捕獲の効率を上げるために、毎日新鮮な餌を補充して誘引することや、わなへの誘引の状況を、餌の減り具合や足跡などで確認することが重要です。 餌を使わないくくりわなでも、足跡などの痕跡を確認しながら設置場所の変更を検討したり、風雨等で露出したわなを埋め戻すなどの作業をきちんと行うことが捕獲効率の向上につながります。  

見回りで改善が必要 ← 露出したわな 作動しないわな ↓ 左の写真を見てください。    ↓ 左の写真を見てください。 赤い点線が囲まれた部分をよく見ると、わなが風雨などで露出した状態になっています。 また、右の写真を見てください。 黄色の矢印のところにわながありますが、風雨などでわなの中の土が固まっています。 これではわなは正常に稼働しません。 このような状態にならないためにも、毎日の見回りが必要です。

6.3.7 止めさしの方法 止めさしの際は、危険性が高い 止めさしは必ず2人以上で作業する 状況に合った適切な止めさし方法を選択する テキスト 100ページ 6.3.7 止めさしの方法 止めさしの際は、危険性が高い 止めさしは必ず2人以上で作業する 状況に合った適切な止めさし方法を選択する くくりわなでは必ず斜面の上方から近づく 捕獲個体の動きを、確実に保定して行う 相手の動きをよく見極めて対処する 初心者は、経験者の処置を十分に 見学してから実施する。 わなによる捕獲で最も注意が必要なのは、わなが作動するときと、捕獲された後の鳥獣による危害、殺処分のときだという話をしました。 そこで、殺処分、止めさしの方法について見ていきましょう。 捕獲された鳥獣は、人間を見ると逃げようとして暴れることがあるので、止めさしのために近づくときには、最も注意が必要です。 まずは離れた安全な場所から、捕獲個体が十分に拘束されているか、わなが壊れたり、鳥獣を拘束しているワイヤーや足が切れそうでないか、鳥獣が過剰に興奮していないかなどを確認して、状況に合った適切な止めさし方法を選択するようにしてください。 とくに、くくりわなで鳥獣を捕獲した場合は、万が一わなによる拘束が外れた時の危険性を考えて、必ず斜面の上方から近づくようにしてください。 そして捕獲個体の止めさしを行う場合は、必ず2人以上で作業をするようにします。 銃器によって止めさしを行う場合は、銃器を発砲する場合の基準を満たすことが必要です。 特に、止めさしの際は、至近距離で射撃することが多いので、背後や周辺に人や施設がないことを確認し、跳弾や貫通弾には十分注意してください。 刃物など、銃器以外での止めさしは、対象鳥獣を動けなくしてから、行うことで安全を確保します。 わなでは動きを止めるための方法がいろいろありますが、その際には危険性が高いので、捕獲個体の動きをよく見て対応する必要があります。

6.3.8 錯誤捕獲の危険性への対応 錯誤捕獲を防ぐ方法 ・わなの形状や作動条件等を工夫する ・餌を使う場合は、餌の種類を工夫する テキスト 101ページ 6.3.8 錯誤捕獲の危険性への対応 錯誤捕獲を防ぐ方法  ・わなの形状や作動条件等を工夫する  ・餌を使う場合は、餌の種類を工夫する  ・日々の見回りで対象外種の接近を事前に察知する 万一、錯誤捕獲が起こった時の対応  ・対応方法を、あらかじめ発注者と取り決めて置く 対象鳥獣の捕獲効率を高める上でも、他の鳥獣への負荷や事故発生の危険性を最小限に抑える上でも、錯誤捕獲を防ぐことは重要です。 錯誤捕獲を防ぐ方法のひとつに、対象鳥獣の身体的な特徴に応じて、わなの形状、作動条件を工夫する方法があります。 餌を使って捕獲するわなでは、餌の種類を工夫することで錯誤捕獲を防止できることがあります。対象鳥獣の食性や嗜好性を学ぶことで、より効率的に対象鳥獣だけを捕獲できるようになります。 また、上述した「毎日の見回りの徹底」も錯誤捕獲の予防には効果的ですので、見回りは徹底してください。 しかし、これらの工夫によっても、完全に錯誤捕獲を防ぐことは難しいです。 したがって錯誤捕獲があった場合の準備や体制をあらかじめ整えておくことが重要です。 安全を確保するために、錯誤捕獲が起こらない工夫と、万が一起こった場合の対応を事前に準備しておきましょう。

6.3.9 捕獲期間終了後や捕獲しない期間 のわなの取扱い テキスト 102ページ 6.3.9 捕獲期間終了後や捕獲しない期間 のわなの取扱い 捕獲を終了するときは、わなを確実に撤去する。 捕獲を中断する場合で、設置しておくことが可能な 場合も、確実に動作しないように固定し、関係者以外 が操作できないようにする 最後に、捕獲事業終了後や捕獲をしない期間にわなをそのままにしておくことは、危険が伴いますので、安全の確保を行ってください。 使用しないわなは撤去するのが基本ですが、囲いわなや箱わななどについては、移動が困難であったり、再稼動の予定があるため、設置したままにする場合があります。その際は、わなが作動しないように扉を閉めてください。 人の出入りのある場所では、南京錠などで扉を固定したり、扉をはずして持ち帰るなど、関係者以外に操作されないようにしてください。 以上のように、わなによる捕獲を行う際に必要となる安全の確保には様々なものがあります。 これらをしっかりと守り、各自安全の確保に努めてください。

テキスト 103ページ 最後に巻末の事故事例を確認し、 安全確保に努めてください

2日目終了 写真・イラスト・動画 提供 兵庫県森林動物研究センター・香川県