大学生における援助要請行動の 調査研究
テーマ変更理由 と新テーマ 心理教育的介入については、倫理的問題と自分の力量を考慮した上で、断念。 心理教育的介入については、倫理的問題と自分の力量を考慮した上で、断念。 サービス(介入)の効果を検討するのではなく、サービスにたどり着くまでの過程に注目することにした。
問題 サービスを受ける側に焦点を当てた研究を援助要請行動(help-seeking behavior)研究という。 大学生の援助要請行動を研究することで、学生相談サービスを利用したいがたどり着けない、潜在的な援助ニーズに対するアプローチの示唆を与えることができると考える。
日本での援助要請行動を検討した研究が少なく、包括的なデータを得るために面接を用いた質的な研究を計画した。修論では、得られた知見を基に「介入」を行いたい。 レビュー論文(高野,2002; 野村・五十嵐,2004)に挙げられている類似研究や国外の研究知見を基にこれからリサーチ・クエスチョンを決定する。
リサーチ・クエスチョン 利用者との面接を通して援助要請行動の抑制要因を分析するとともに、援助要請プロセスを検討することを目的とする。
(a)(過去の経験ではなく)「~の問題」が起きた(と仮定したとき)誰に援助を求めるか (b)(問題ではなく学生相談サービスに焦点を当て)なぜ学生相談サービスは選択されなかったのか (c)どうすれば学生相談サービスにアクセスしやすくなると考えているか (d)この集団の心理的ニーズは何か
方法 対象者 ATSC尺度(久田・山口,1986; 山口・久 田,1986)の得点が高く、学生相談サービスを利用したいと思ったことがあるが、利用したことのないR大学大学生約10名。 ※ATSC(Attitudes Toward Seeking Counseling)尺度とは、カウンセリングを受けることに対する態度尺度の日本の大学生版である。
データ収集 半構造化面接法を用い、あらかじめ決めておいた質問項目を中心に面接を進める。事前に質問項目を対象者に伝えておくかどうかは検討中。 データは対象者の許可を得た上で録音し、文字起こしをし、分析の対象とする。
データ分析 先行研究はグラウンディッド・セオリー法を用いているが(Timlin-Scalera et al., 2003)、どんな質的研究法を用いるかは検討中 。
Timlin-Scaleraらの援助要請モデル(2003)
参考文献 久田満・山口登志子 1986 大学生のカウンセリングを受けることに対する態度について-態度尺度作成 日本教育心理学会第28回総会発表論文集 956-957 野村照幸・五十嵐透子 2004 我が国のメンタルヘルス・サービス領域 上越教育大学心理教育相談研究 3,53-65 高野明 2004 援助要請行動-利用者からみた臨床心理サービス 下山晴彦(編) 臨床心理学の新しいかたち Pp.205-218 高野明・宇留田麗 2002 援助要請行動から見たサービスとしての学生相談 教育心理学研究 50,113-125
Timlin-Scalera, R. M. , Ponterotto, J. G. , Blumberg, F. C Timlin-Scalera, R.M., Ponterotto, J.G., Blumberg, F.C., & Jackson, M.A. 2003 A grounded theory study of help-seeking behaviors among white male high school students. Journal of Counseling Psychology 50(3),339-350 山口登志子・久田満 1986 大学生のカウンセリングを受けることに対する態度について-カウンセリングに対する期待、ソーシャルサポート、locus of controlおよび抑うつとの関係 日本教育心理学会第28回総会発表論文集 958-959