第10回 GISで地域構造を捉える 地理的空間構造 空間構造の捉え方 都市と都市システム GISによる都市システムの解析
地域構造とは 地域空間におけるさまざまな要素が空間的に相互作用した結果,要素同士がまとまって何らかの関係を持つことになり,その関係の全体的構成は空間構造となる. 代表的な地域構造 同心円構造 中心地構造 ネットワーク構造
同心円構造 農業経営のチューネン圏(大友篤,地域分析入門) 同士円構造の形成メカニズム
都市内部の構造
都市内部の地域構造(藤沢周辺)
都市内部の地域構造(横浜周辺)
都市間相互作用 人・物・情報の移動
都市間相互作用のメカニズム(重力モデル) 都市i 人口Pi 都市j 人口Pj 距離D 都市i,都市jの間の相互作用力 都市iが都市jから受ける影響力 都市iのまわりに,n個の都市があるとすると,都市iが受ける影響の全体は
空間相互作用の結果:中心地構造 クリスタラー,1933年 中心地 市場規模 350万人 100万人 35万人 11万人 3.5万人 中心地 市場規模 3.5万人 11万人 35万人 100万人 350万人 木内信蔵,都市地理学原理,古今書院,1979
中心地の階層体系が形成される原理 市場原理 交通原理 行政原理 中心地から消費者までの距離が最小となるように 中心地とその低次元の中心地との間の距離が最小となるように交通路でつなげる. 行政原理 同レベルの中心地ができるだけ同一の面積と同一の人口が持つように,管理・支配する. 低次元の市場を3分の1に分配 低次元の中心地の市場を2分の1に分配 隣接する6つの中心地の市場地域を分断しないように
GISによる地域構造の解析 ・ バッファ(Buffer) 点 線 面 ・ ・ 入力 一重バッファ 多重バッファ バッファ距離 距離r 同 バッファ距離 距離r 面 同
バッファウイザード
駅周辺500mバッファ(同心円)
駅から距離別土地利用構造
駅の勢力圏とアクセシビリティ 湘南台はSFCに一番近い駅なのか?
多重バッファ
駅へのアクセシビリティ 寒川町へと,湘南台へと,距離的にほとんど変わらない.この地域はもっとも鉄道が不便
都市座としての都市システム 一般の都市情報 都市名・ID 属性
地理空間的都市情報 位置 a0 属性j 属性j+1 都市i
関係行列 一般に捉える都市・地域の関係R 関東における都道府県間人口移動(属性j=人口) 人口という統計事象について,地域(都市)iと地域(都市)jの関係を表している.
空間的都市システム Y X
都市と都市の空間関係R0 都市間の距離行列 都市システムはこのような都市間の空間関係に強く依存する. 都市ID→ 都市間の距離行列 都市ID → もっとも近いもの 都市システムはこのような都市間の空間関係に強く依存する. 地域の構造,国土の構造はこの上に形成されている.
システムとしての都市 DID人口(2003)が1万人以上の都市とそれにもっとも近い都市との距離が50km以内ならば,線でつなぐ.それによって日本の都市とシステムが浮かび上がってくる.
都市システムと交通システム 鉄道線路を付け加えると,都市システムに交通が影響していることが読み取れる.
都市座としての都市システム それは今日の国土空間の構造でもある. 都市システムは夜空に輝く星座のようなので,都市座と呼ばれた(高橋潤二郎,2001). それは今日の国土空間の構造でもある.
地域構造にかかわる現実の意義 ー地域構造の再構築へー 地域構造の形成または発展に潜む自然原理 環境負荷の小さい物質循環 水・大気・エネルギーの流れ 道州制の議論,市町村合併の問題 流域共生圏の構築,都市農村共生圏 大都市集中の解消,コンパクトシティ構想 都市化→都市一極集中→都市問題の顕在化 クラスター化:(中核都市→衛星都市) 勢力圏,商圏,エリアマーケッティング 大型店の郊外進出,地元商店街の衰退 エコシステムの原理
まとめ 地域,都市の構造は,人間の経済社会活動が空間への投影である. 地域,都市の構造は,開発と発展の結果であり,人間の経済社会活動の空間における組織化である. GISは地域,都市の構造の実態を捉え,組織化の過程を分析する重要なツールである.そこにある駆動力,メカニズムが解明されれば,将来の動向を予測することができる. 問題: 情報化,高齢化,環境問題などで代表される現代社会において,地域構造はどのように変容しているか,あるいは変容していくかについて,考えよ.(この課題を提出する必要はない.ただし,最終課題と関連ある).
GIS操作の実演 今回の授業で扱ったデータ・操作方法・結果は,http://ecogis.sfc.keio.ac.jp/gis/2004/study2/index.htm
お知らせ 第2回演習 参考資料 時間:12月12日2限 各自のノートPCにArcGISをインストールし、サービスパックも適用してください。 最終課題に関連する補足資料 http://eocgis.sfc.keio.ac.jp/gis/2004/refer.htm