会社法資料 千葉大学2015.

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会社法資料 千葉大学2015

会社法総論 第1回

取締役会設置会社の統治機構 監査役設置会社 委員会設置会社 監査等委員会設置会社 代表取締役 執行役 取締役会 代表取締役 取締役会 監査等委員でない取締役 監査等委員である取締役 株主総会 株主総会 株主総会

株式会社の機関構成(主要なもの) 取締役会 非設置 取締役 +監査役 +会計監査人 +監査役会 監査等委員会 設置 指名委員会等 総会の権限 万能 限定 業務執行の 意思決定機関 取締役会/ 執行役 業務執行機関 代表取締役 (代表)執行役 業務監査 取締役/ 監査役 監査役会 (監査等委員会) (監査委員会) 会計監査 なし 会計監査人 オプション 会計参与 選択可能 非公開 ○ 非公開(大) × △ (会計監査人) 公開 公開(大)

設立(1) 第2回

機関構成の分化 所有と経営の分離 株主の経営への無関心 重要な経営事項決定は経営陣 株主総会権限は限定 監督機関必置 公開会社 取締役会制度 法定 株式譲渡制限 なし 所有と経営の一致 株主の経営参加 重要な経営事項決定は株主総会 株主総会権限 は限定なし 監督機関不要 あり 非公開会社 取締役会制度 は不要 ※□は本則(原則)

設立手続き 発起設立 募集設立 定款の作成 社員の確定 機関の具備 発起人引受株式数決定 出資履行 設立時役員等選任 設立手続調査 設立時発行可能株式数決定 定款作成・署名 定款認証 設立登記 発起人引受株式数決定 設立時募集株式発行 出資履行 創立総会 募集設立 発行事項決定 募集 申込み 割当て(引受)け 招集 設立事項報告 設立時役員等選任 設立手続調査 設立時発行可能株式数決定

設立行為の性質と発起人の権限 学説 論者 設立中の会社 の性質 発起人の地位 発起人の権限の根拠 開業準備行為 同一性説 形式説 江頭 説明の道具 の機関 設立中の会社の機関 行えない 実質説 弥永 実体ある社団 行える 個人法説 宮島 認めない 法定の地位 法定の権限 学説 財産引受(=開業準備行為) 会社不成立の場合 法的性質 定款規定を 欠く場合 理由付け 法律関係 同一性説 形式説 権限の創設 絶対無効 権利能力の範囲外 発起人個人 の法律関係 設立中の会社は法律関係移行 の説明の道具 実質説 特別な制限 無権代理無効 発起人の代理権 の範囲外 設立中の会社 の清算 実体を有する社団の目的遂行 不能による解散 個人法説 法定の権限外 そもそも発起人意外に権利義務の 主体は存在しない

仮装の払込と株式発行 預合いと見せ金 預合い 払込取扱銀行 貸付 返還請求 通 謀 出資払い込み 発起人

見せ金 払込取扱銀行 貸付等で返金 貸付 預金払出し 出資払い込み 発起人

改正会社法の対応 払込みの効力(会52の2,213の2) 預合い・見せ金いずれについても払込みが「仮装」であれば払込みとしては無効 仮装の払込みを行った引受人は仮装部分について引続き払込義務を負う(無過失責任)。また、株式発行に関与した取締役等も、引受人と連帯して払込み義務を負う(会213の3。過失責任)。引受人の払込義務は総株主の同意がなければ免除できない(会55,213の2Ⅱ。設立時は取締役等についても総株主の同意が必要)

株式発行の効力 払込みが仮装であっても株式発行は有効。 株式は引受人が取得するが、払込み、給付完了までは一切の権利行使不可(会52の2Ⅳ,209Ⅱ) 当該株式が譲渡された場合、譲受人が善意・無重過失で取得すれば、株主権行使は可能になる(会52の2Ⅴ,209Ⅲ)(善意取得に類似するが株券の有無を問わない)

設立2 第3回

設立関与者の責任 責任(責任を負う者) 条文 法的性質 過失の要否 免除の要件 差額支払責任 発起人 (現物出資者・財産引受の譲渡人) 52Ⅰ 法定責任 (瑕疵担保類似) 無過失責任 総株主の同意 他の発起人 52Ⅱ,103Ⅰ (任務懈怠類似) 過失責任 (募集設立は 無過失責任) 設立時取締役 ????? 証明者 52Ⅲ 債務不履行責任類似 自由 仮装払込 仮装した発起人・ 設立時募集株式引受人 52の2Ⅰ, 102の2Ⅰ (債務不履行類似) 52の2Ⅱ,103Ⅱ 発起人、設立時取締役、設立時監査役の 会社に対する責任 53Ⅰ (会423類似) 第三者に対する責任 53Ⅱ (会429類似) N/A 会社不成立時の 発起人の責任 56 個人責任/法定責任

会社不成立 株式引受人 設立債権者 発起人

会社法56条の意義 設立中の 会社の存否 法律関係の帰属 学説 債権者と引受人の優劣 56条の趣旨* 設立債権者 引受人 払込金 発起人個人財産 個人法説 存在しない 発起人 宮島等 債権者・引受人同順位 当然の規定** 同一性説 擬制説 遡って消滅 田中耕 江頭 引受人保護規定 実在説 存在する (清算) 会社 弥永 加藤雅 債権者優先、引受人劣後 当然の規定 * 56条の意義として、①設立費用等について引受人が責任を負わないことを明らかにする(個人法説及び擬制説からすれば当然、実在説からすれば政策的規定)、②発起人間の連帯責任を定める、という意義があるという点については各見解共通 **個人法説・擬制説の場合、債権者・発起人間の法律関係は会社法の射程外(個人間の取引)であるため、56条はもっぱら引受人・発起人間を規律する規定と位置づけられる(一種の原状回復義務)

組合と社団 組合 社団 E E 社員契約 組合契約 A D A D 社団 B C B C

持分の意義 社員契約 持分=社員たる地位 =社員契約の(社団側ではない)当事者としての地位 =契約当事者として有する権利義務の総体 社員

会社における持分 社員契約 出資の義務 自益権・共益権付与 元本の償還を保証しない代わりに、利益の分配請求権と経営参加権を付与 社員 会社 ⇒この点が出資(持分・株式)と貸付(債権)との理念的な差異だが、契約自由から両者の境界は曖昧になっている(例:無議決権累積型非参加型優先株、利益参加型永久劣後債)

株式会社における社員契約(株主契約) 出資の義務 自益権・共益権付与 株主の出資が契約の成立要件(34等) (34,63,208等) 自益権・共益権付与 (105) 株主 株式会社 株主の出資が契約の成立要件(34等) 上記①から、社員契約成立時点では株主の義務は履行済みで株主は権利しか有していない ⇒株主としての地位=株主権 ※仮装払込について、改正会社法は履行義務を課す予定 自益権として少なくとも配当請求権と残余財産分配請求権のどちらかを与えなければならない。共益権は与えなくても良い(105Ⅱ)