山形大学研究プロジェクト戦略室 マネージング・プロフェッサー 「外部資金獲得のための講演会」 競争的研究資金の概要について ~科研費獲得の第1ステップ~ 機関指定と応募のポイント 平成18年10月19日(木) 山形大学研究プロジェクト戦略室 マネージング・プロフェッサー 山﨑 淳一郎
目 次 Ⅰ.公的研究資金 Ⅱ.科学研究費補助金(科研費)の概要 Ⅲ.科研費研究機関指定制度 Ⅳ.科研費応募のポイント Ⅴ.まとめ
Ⅰ.公的研究資金
公的研究資金の分類 イ ニ シ ア テ ィ ブ 研 究 内 容 ・ 研 究 者 ・ 研 究 組 織 等 政府による主導 イ ニ シ ア テ ィ ブ 政府による主導 【mission-oriented research】 研究者の自由な発想 【学術研究 (curiosity-driven research)】 研 究 内 容 ・ 研 究 者 ・ 研 究 組 織 等 あらかじめ設定 政府主導の国家プロ ジェクトの実施 大学共同利用機関、大学附 置研究所などにおける特定 目的の研究の推進 (約2兆円) 【競争的研究資金】 公募・審査 各省がそれぞれ定める 目的のための公募型 研究の実施 科学研究費補助金 による研究の推進 研究者の自由 基盤的経費 による研究の推進 (矢印は、研究が拡大・発展していく一般的なプロセスを示す。) 資料:文部科学省作成
公的研究資金ー競争的資金① 文部科学省で13制度、政府全体で36制度 文部科学省(13) 〔文部科学省・独法 日本学術振興会(JSPS)〕 1.科学研究費補助金 〔独法 科学技術振興機構(JST)〕 2.戦略的創造研究推進事業 3.先端計測分析技術・機器開発事業 4.独創的シーズ展開事業 5.重点地域研究開発推進プログラム 6.地域結集型研究開発プログラム等 〔文部科学省・JST〕 7.革新技術開発研究事業
公的研究資金ー競争的資金② 〔文部科学省〕 8.科学技術振興調整費 9. 研究拠点形成費等補助金(21世紀COEプログラム) 10. 地球観測システム構築推進プラン 11. 原子力システム研究開発事業 12. キーテクノロジー研究開発の推進 (ナノテク融合、社会のニーズを踏まえたライフサイエンス、 次世代IT) 13. 産学協同シーズイノベーション化事業
公的研究資金ー競争的資金③ 内閣府(2) 総務省(4) 〔内閣府〕 14.食品健康影響評価技術研究 〔財団法人 沖縄県産業振興公社〕 15.沖縄産学官共同研究の推進 総務省(4) 〔総務省〕 16.戦略的情報通信研究開発推進制度 〔情報通信研究機構〕 17.先進技術型研究開発助成金制度 18.民間基盤技術研究促進制度 〔消防庁〕 19.消防防災科学技術研究推進制度
公的研究資金ー競争的資金④ 厚生労働省(2) 農林水産省(4) 〔厚生労働省〕 20.厚生労働科学研究費補助金 〔医薬基盤研究所〕 21.保健医療分野における基礎研究推進事業 農林水産省(4) 〔独法・農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)〕 22.新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業 23.生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業 〔農林水産省〕 24.先端技術を活用した農林水産研究高度化事業 25.産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業
公的研究資金ー競争的資金⑤ 経済産業省(5) 〔独法 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)〕 26.産業技術研究助成事業 27.大学発事業創出実用化研究開発事業 〔独法 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)〕 28.石油・天然ガス開発・利用促進型事業 〔経済産業省〕 29.地域新生コンソーシアム研究開発事業 30.革新的実用原子力技術開発事業
公的研究資金ー競争的資金⑥ 国土交通省(2) 環境省(4) 〔独法 鉄道建設・運輸施設整備支援機構〕 31.運輸分野における基礎的研究推進制度 〔国土交通省〕 32.建設技術研究開発助成制度 環境省(4) 〔環境省〕 33.環境技術開発等推進費 34.廃棄物処理等科学研究費補助金 35.地球環境研究総合推進費 36.地球温暖化対策技術開発事業
Ⅱ.科学研究費補助金(科研費)制度
◇ 「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を対象とした 競争的研究資金。 ◆制度の概要◆ 科 学 研 究 費 補 助 金 と は ◇ 「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を対象とした 競争的研究資金。 ◇ 人文・社会科学から自然科学まですべての分野をカバー、基礎 から応用までのあらゆる段階の研究活動をサポート。 ◇ 審査は、延べ5,400人に及ぶ審査員(ピアレビュー)による。 ◇ 予算規模は1895億円(平成18年度)。政府全体の科学技術 関係経費(約3.6兆円)の約5%、競争的研究資金全体(約4700 億円)の約40%を占める。 資料:文部科学省作成
「30年後の重点分野」を育ててきた科学研究費補助金 「半導体多層薄膜構造による光集積回路用レーザの研究」 末松安晴(国立情報学研究所長) 光 通 信 の 実 現 (超高速ブロードバンド時代の実現) 昭和41年度~ 電気を通すプラスチックの実用化 (携帯電話の電池などさまざまな電子部品に利用)ノーベル化学賞(平成12年) 「ポリアセチレンフィルムの半導体としての応用に関する研究」 白川英樹(筑波大学名誉教授) 昭和44年度~ 昭和47年度~ 化学物質の画期的な合成法実現 (副作用のない薬品の製造に幅広く応用)ノーベル化学賞(平成13年) 「遷移金属錯体を用いる新規合成反応」 野依良治(理化学研究所理事長) 資料:文部科学省作成
科学研究費補助金の拡充 第2期科学技術基本計画の競争的資金倍増の方針により、予算は年々増加。第3期科学技術基本計画においても引き続き拡充の方向。 資料:文部科学省作成 億円 平成19年度概算要求額 2,106億円 (対前年度予算211億円増) 2,500 2,000 1,500 平成8年度 1,018億円 (1,000億円突破) 1,000 平成元年度 526億円 (500億円突破) 昭和47年度 100億円 (100億円突破) 500 S40 S42 S44 S47 S50 S55 S60 H元 H5 H8 H10 H13 H18
研究者の自由な発想に基づく学術研究を幅広く推進 科学研究費補助金の拡充・改革 資料:文部科学省作成 研究者の自由な発想に基づく学術研究を幅広く推進 平成18年度予算額 189,500百万円 (17年度予算額 188,000百万円) 「経済財政運営と構造改革に関する 基本方針2005 」 (閣議決定) 「科学研究費補助金の在り方 について」(中間まとめ) (科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会) ・競争的研究資金の拡充 ・若手研究者の育成 ・間接経費の拡充 ・年複数回応募の実施 ・独立した配分機関体制の構築 ・審査体制の充実・強化 ○「科学技術基本政策策定の基本方針」 ○「平成18年度の科学技術に関する予算、 人材等の資源配分の方針」 ○「競争的研究資金制度改革について (意見)」 (総合科学技術会議) ◎ 独創的・先駆的な研究の 重点的推進 ◎ 年複数回応募の試行 ◎ 日本学術振興会への更なる 研究種目の移管 ◎ 若手研究者育成の充実 -スタートアップ支援- ◎ 間接経費の拡充 ◎ 審査・評価体制の充実
近年の主な制度・運用上の改善点 年 度 事 項 資料:文部科学省作成 11 ■外国旅費等への使用制限を大幅緩和。 近年の主な制度・運用上の改善点 資料:文部科学省作成 年 度 事 項 11 ■外国旅費等への使用制限を大幅緩和。 ■日本学術振興会へ基盤研究等の種目を移管。 13 ■「基盤研究(S)」、「学術創成研究費」を新設。 ■一部種目に「間接経費」を導入。 ■指定する研究機関の大幅拡大(国の設置する研究機関その他を対象とする) ■直接経費による研究支援者の雇用を可能に。 14 ■「若手研究(A)(B)」、「萌芽研究」を新設。 ■基盤研究等について、不採択の場合の審査結果の開示内容を充実。 ■境界領域の研究の推進等に適切に対応するため「分科細目表」を抜本改正。 15 ■文部科学省において学術調査官大幅増員、日本学術振興会において「学術システム研究センター」を設置し、プログラムオフィサーを配置。 ■応募対象者を企業研究者にも拡大。 ■年度を越えて使用可能に(繰越明許費として登録)。 ■育児休業により研究を中断した場合には、研究を廃止せず再開を可能に。 ■不正に使用した研究者及び共同研究者について、一定期間の資格停止措置を導入。 16~ ■科研費のルールを明確化するとともに、研究機関との契約によりその責任を明確化。 ■研究費目を大括り化し、執行を弾力化。 ■平成17年度公募分より、応募資格を「常勤の研究者」から抜本改正。 ■不正に関与した共謀研究者についても、一定期間の資格停止措置を導入。 ■文科省所管の競争的資金について、資格停止措置ルールの一斉適用 ■「若手研究(スタートアップ)」を新設。年複数回応募を試行。
【平成18年度研究機関別の応募件数・採択件数】 科学研究費補助金配分状況〔設置者別〕 【平成18年度研究機関別の応募件数・採択件数】 「その他」の内訳 ・国公立試験研究機関 (応募)1.5% (採択)1.6% ・短大・高専 (応募)2.8% (採択)1.7% ・大学共同利用機関 (応募)1.3% (採択)1.7% ・特殊法人・独立行政法人 (応募)4.4% (採択)4.4% ・企業等の研究所 (応募)0.2% (採択)0.2% 資料:文部科学省報道発表資料より作成
科学研究費補助金配分状況〔研究分野別〕 【平成18年度研究分野別採択件数】 資料:文部科学省報道発表資料
科学研究費補助金に関するルール① ①応募ルール <研究者要件> ①研究機関に、研究活動を職務に含む者として所属する者 科研費のルールには、「応募ルール」、「評価ルール」、「使用ルール」の3つがある。 ①応募ルール 応募・申請に関するルール 科研費への応募・申請に関するルール。「公募要領」の内容。 応募資格 <研究者要件> ①研究機関に、研究活動を職務に含む者として所属する者 ②研究機関の研究活動に実際に従事 <研究機関要件> 補助金が交付された場合、 ①研究活動を当該研究機関の活動として行わせること。 ②機関として補助金の管理を行うこと。
科学研究費補助金に関するルール② ②評価ルール ピア・レビューの具体的方法について定めたルール 事前評価(審査)、中間評価、事後評価に関するルール ピア・レビューの具体的方法について定めたルール 「科学研究費補助金における評価に関する規程」等の内容 研究期間が長期の課題→「中間評価」、「事後評価」も ③使用ルール 交付された科研費の使用に関するルール <研究者使用ルール>交付決定時の「補助条件」の内容 ・ 研究者による科研費の使い方に関するルール。 <研究機関使用ルール> 交付内定時の「科学研究費補助金の使用について各研究機 関が行うべき事務等」の内容 ・ 研究機関が科研費の管理等を行うことに関するルール。
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 科学研究費補助金の研究種目① ◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 特別研究員奨励費 *日本学術振興会の特別研究員が行う研究助成。 <研究者として採用> 若手研究(スタートアップ) 2年。年間150万円以下。 *研究機関に採用されたばかりの研究者が一人で行う研究 B 2~4年。応募総額500万円以下。 若手研究 2~4年。応募総額500~3,000万円以下。 A *37歳以下。一人で行う 研究 萌芽研究 1~3年。1課題500万円以下。 *独創的な発想、特に意外性のある着想に基づく芽生え期の研究
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 科学研究費補助金の研究種目② ◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 基盤研究 C 2~4年。500万円以下。 2~4年。500~2,000万円以下。 *一人又は複数の研究者 が共同して行う独創的・ 先駆的な研究 B A 2~4年。2,000~5,000万円以下。 *一人又は比較的少人数 の研究者が行う独創的・ 先駆的な研究 S 5年。1課題5,000万~1億円以下。 特別推進研究 3~5年。1課題5億円程度を目安。 *国際的に高い評価を得ている研究で、格段に優れた研究成果を もたらす可能性のある研究
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 科学研究費補助金の研究種目③ ◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 特定領域研究 3~6年。単年度当たり(目安)2000万~6億円。 *我が国の学術研究分野の水準向上・強化につながる研究領域、 地球規模での取組が必要な研究領域、社会的要請の特に強い 研究領域を特定して機動的かつ効果的に研究の推進を図るもの 学術創成研究費 推薦制。5年。 *特に優れた研究分野に着目し、当該研究分野の研究を推進する 上で、特に重要な研究課題を選定し、創造性豊かな学術研究の 一層の推進を図るもの
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 科学研究費補助金の研究種目④ ◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目 特別研究促進費 *緊急かつ重要な研究課題の助成 □2006年5月 インドネシア・ジャワ島中部地震による被害に関する調査研究 □2005-2006年 冬期豪雪による広域雪氷災害に関する調査研究 □ハリケーン「カトリーナ」を契機として発生した広域災害に対する社会の対応に関する 総合的検討 *研究助成に関する実験的試行 □年複数回応募の試行→2006年度から実施 ー前年11月の公募受付後、応募資格を得た者及び前年度産前産後の休暇又は 育児休業を取得していたため、前年11月に応募できなかった者が対象。
科学研究費補助金の研究種目⑤ 研究成果公開促進費 研究成果公開発表 A B C ◇研究成果の発表のための研究種目 研究者グループ等による学術的価値が高い研究成果の社会への公開や国際発信への助成 研究成果公開発表 <シンポジウム開催> 応募総額の制限なし 科学研究費補助金による相当規模の研究で一般国民の関心が高いもの、又は民間等との共同研究、受託研究等による相当規模の研究に関する成果をわかりやすく発表しようとするもの <講演収録集刊行> 300万円以内 公開シンポジウムの講演収録集を発刊し普及啓発を図るもの 学会、民間学術研究機関等が主催するシンポジウム・学術講演会等で、青少年、一般社会人の関心が高い分野の研究動向・内容をわかりやすく普及啓発しようとするもの 150万円以内 我が国の学会が主催する国際シンポジウム・国際会議等で、主催にかかる運営体制が確保されているもの 応募総額の制限なし A B C
科学研究費補助金の研究種目⑥ 学術定期刊行物 学術図書 データベース ◇研究成果の発表のための研究種目 *学会又は複数の学会の協力体制による団体等が学術の国際交流に資す るため定期的に刊行する学術誌の助成 学術図書 *個人又は研究者グループ等が、学術研究の成果を公開するために刊行 する学術図書の助成 データベース *個人又は研究者グループ等が作成するデータベースで、公開利用を目 的とするものの助成
Ⅲ.科研費研究機関の指定
□ 「科学技術創造立国」を国家戦略として打 ち立て、2期にわたる「科学技術基本計画」に 基づく施策展開が10年を経過。 □ その間、世界をリードする論文・研究成果 の出現、先端的な研究成果が画期的な産業 化に結びつく例も現出。 □ さらに、第3期においても、「基礎研究の推 進」や、「地域イノベーション・システムの構築 と活力ある地域づくり」等の施策を推進。
□ 山形県において、「やまがた科学技術政策 大綱」を策定。今後10年間(平成27年度まで) の科学技術振興策を推進。 □ この中で、「県試験研究機関の機能強化」 推進策を提言。 予算等の研究資源の一元的・重点的配分システムの充実 □ 「基礎研究の推進」は、新産業を生み出す 科学技術創出のための「先行投資」。 □ 外部資金獲得と共に、基盤的研究費を確 保することが、研究資金のダブル・サポートシ ステムの充実への鍵。指定要件の一つ。
<研究機関要件> 補助金が交付された場合、 科学研究費補助金の応募資格 <研究者要件> ① 研究機関に、研究活動を職務に含む者として 所属する者 ② 研究機関の研究活動に実際に従事 <研究機関要件> 補助金が交付された場合、 ① 研究活動を当該研究機関の活動として行わ せること。 ② 機関として補助金の管理を行うこと。
科学研究費補助金上の研究機関 (1,712) 大学 1,202 大学共同利用機関 18 文部科学省の施設等機関(学術研究を行うもの) 2 科学研究費補助金上の研究機関 (1,712) 大学 1,202 大学共同利用機関 18 文部科学省の施設等機関(学術研究を行うもの) 2 高等専門学校 62 国公立試験研究機関 99 特殊法人・独立行政法人 87 民法34条法人(社団法人・財団法人) 184 企業等の研究所 58 5~8の研究機関は、文科省への指定申請の手続きを行い、指定を受ける必要がある。
指定研究機関 (428) 公立試験研究機関 (81) □宮城県立がんセンター(研究所) □秋田県農林水産技術センター総合食品研究所 指定研究機関 (428) 公立試験研究機関 (81) □宮城県立がんセンター(研究所) □秋田県農林水産技術センター総合食品研究所 □秋田県立脳血管研究センター(研究局) □秋田県農林水産技術センター農業試験場 □秋田県産業技術総合研究センター □秋田県農林水産技術センター森林技術センター □福島県ハイテクプラザ
民法34条法人(社団法人・財団法人) (184) ◇山形県関係は… (財)山形県産業技術振興機構
科研費獲得に見る自治体の研究力 ◎公立試験研究所・民法34条法人の科研費配分状況 〔東北〕 <採択件数> <配分額> 〔東北〕 <採択件数> <配分額> ①秋田県(3機関) 14件 31,800,000円 ②岩手県(1機関) 5件 21,200,000円 ③宮城県(1機関) 6件 15,400,000円 ④山形県(1機関) 2件 6,200,000円 ⑤福島県(1機関) 2件 1,500,000円 <参考> 北海道(3機関) 18件 25,800,000円 資料:2006.10.6 「平成18年度科学研究費補助金の配分について」(文部科学省)より作成
研究機関指定の基準 研究を目的とする研究機関であること。 以下のことが研究機関で決定した文書に明記。 ① 研究者が自発的に研究計画を立案・実施できる② 研究者が科研費による研究を研究機関の活動 として行うことができること。 ③ その研究成果を自らの判断で公表できること。 ④ 職務として自発的に学会等に参加できること。 申請時、1/5以上の研究者が原著論文を過去1年間に学会誌(紀要を除く)に掲載されていること。 研究機関全体の一人当たりの研究費(除外部資金)が年間36万円以上。 科研費の管理等の事務が研究機関の事務組織の所掌事務に位置付けられていること。
研究機関指定申請記載事項 研究機関の名称・所在地・代表者氏名 研究機関の設置の目的・業務内容、内部組織等を定めた法令・条例・寄附行為ほか規約に関すること 研究計画の立案、研究の実施方法、研究成果の公表、学会等への参加に関すること 研究者の採用基準に関すること 研究組織・研究者の数 最近1年間の学会誌等への原著論文の発表の状況 研究者一人当たりの研究費(除人件費・施設整備費等) 研究機関の事務組織・事務職員の数 科研費の事務処理を行う担当部局
研究機関指定申請添付書類 研究機関の設置目的・業務内容・内部組織等(含研究者の職名等)を定めた法令・条例・寄附行為ほか規約の写。 研究計画の立案、研究の実施方法、研究成果の公表、学会等への参加に関する規程等の写。 研究者の採用に関する規程等の写。 研究者氏名・略歴の写。 研究者に関する職務規程。 最近1年間に発表した原著論文・掲載学術誌等の一覧表。 研究費の内訳を記載した書類。
研究機関指定申請に当たって 申請し指定を受けなければ、研究者は科研費応募ができないことに留意。 申請は随時受付。 申請を行う場合は、事前相談。 申請から指定までは概ね1~2ヶ月。ただし、申請書提出前の相談には半年~1年かかることも。 秋の応募時期前や年度末の申請は早めに相談することがベター。
1.設置目的には、必ず「研究」を業務として入れる 教育訓練施設や研修施設などで設置規程等で「研究」を業務との規定がなければ指定されない。 《指定されたケース》 (独法)水産大学校 ○独立行政法人水産大学校法 第11条 大学校は、第3条の目的を達するため、次の業務を 行う。 1 水産に関する学理及び技術の教授及び研究を行うこと。 《指定されないケース》 海上保安大学校 ○海上保安庁法 第5条 海上保安庁は、第2条第1項の任務を達成するため、 次に掲げる事務をつかさどる。 25 政令で定める文教研修施設(=海上保安大学校)にお いて所掌事務に関する研修を行うこと。
3.科研費の管理等の事務を研究機関の事務とする 2.研究機関で「基盤的科学研究費」を配分する ダブル・サポートシステムによる研究の推進の観点から、研究機関で「基盤研究費」に相当する財源は準備しておくことが求められている。 3.科研費の管理等の事務を研究機関の事務とする 研究機関の組織図や内部規則で、研究機関の事務組織で科研費の管理等の事務を行うことを明記すること。 相当の事務量を担うスタッフが必要となることに留意
機 関 管 理 ◆研究機関による事務支援と管理◆ 機 関 管 理 ◆研究機関による事務支援と管理◆ ○「機関管理」とする趣旨 ■研究者の負担の軽減 ■意図せぬルール違反の防止 ○各研究機関が行う事務 ■科研費の応募資格を有する研究者の登録 ■文部科学省・日本学術振興会への応募・交付 申請などの手続き ■交付された研究費にかかる管理・諸手続きを、 研究者に代わって行うこと ■研修会・説明会の実施 ■内部監査の実施 ■不正使用等の調査 ・「公募要領」、「交付内定書」等に具体的に記載 ・更に「科研費ハンドブック(研究機関用)」にまと めて一括記載 ○各研究機関の「事務局」の役割 ■適正な管理のために積極的役割を果たす ■適正な管理と、柔軟な運用との調和を目指す 研 究 機 関 日本学術振興会 文部科学省・ 管理する義務 「契約」 管理を委託する義務 研究者 補助条件 資料:文部科学省作成資料を加筆
Ⅳ.科研費応募のポイント
応募に当たって留意すること 応募する研究課題は、これまでの研究の延長線上にある研究であること。 応募書類は、プレゼンの一環として捉える。 研究計画は、審査員の目線に立って作成してみる。 応募ルール(公募要領)を熟読するほか、評価ルールを理解し、審査の観点に沿って研究計画調書を作成する。 審査員は半分以上は専門分野外であることに留意する。
第2・3種科研費〔基盤研究・若手研究・萌芽研究等〕 評価ルールは、公表されている 第2・3種科研費〔基盤研究・若手研究・萌芽研究等〕 【審査規程】 ○科学研究費補助金(基盤研究等)における審査及 び評価に関する規程(2006.9.22改正) 【審査の手引】 ○第1段審査の手引 ○第2段審査の手引
審査の実施体制 ■日本学術振興会科学研究費委員会で実施 ■研究種目により部会・小委員会ごとに実施 ・基盤研究(S) 〔審査第一部会〕運営小委・15小委 ・基盤研究(A・B)(一般) 〔審査第1部会〕15小委 ・基盤研究(C) 〔審査第二部会〕運営小委・15小委 萌芽研究 〃 若手研究(A・B) 〃
15の小委員会 ①総合領域小委員会 ②複合新領域小委員会 ③哲学小委員会 ④文学小委員会 ⑤史学小委員会 ⑥法学小委員会 ⑦経済学小委員会 ⑧社会学・心理学・教育学小委員会 ⑨数物系科学小委員会 ⑩化学小委員会 ⑪工学小委員会 ⑫生物学小委員会 ⑬農学小委員会 ⑭医歯薬学小委員会 ⑮医歯薬学小委員会
審査の方法 第1段審査 第2段審査 個々の研究課題の研究計画調書について専門的見地から審査 ■「評定要素」ごとに4段階評価〔絶対評価〕 ■「評定要素」ごとに4段階評価〔絶対評価〕 ■「総合評点」は5段階評価〔相対的評価〕 第2段審査 第1段審査の審査結果を基に、広い立場から総合的に必要な調整を行うことを主眼とした合議審査
「評定要素」ごとの評定基準 【評点区分】 【評定基準】 4 優れている 3 良好である 2 やや劣っている 1 劣っている
「総合評価」の評定基準 【評点区分】 【評 定 基 準】 【評点分布の目安】 5 非常に優れた研究課題であり、 10% 最優先で採択すべき 【評点区分】 【評 定 基 準】 【評点分布の目安】 5 非常に優れた研究課題であり、 10% 最優先で採択すべき 4 優れた研究課題であり、積極的 20% に採択すべき 3 優れた研究課題であり、採択し 40% てもよい 2 採択するには研究内容等に不十 20% 分な点があり、採択を見送るべき 1 研究内容等に問題があり、採択 10% に値しない
「評定要素」 1.研究課題の学術的重要性・妥当性 2.研究計画・方法の妥当性 3.研究課題の独創性及び革新性 「研究経費」、「研究目的」欄など 2.研究計画・方法の妥当性 「研究計画・方法」、「研究経費の妥当性・必要性」欄など 3.研究課題の独創性及び革新性 「研究目的」、「研究計画・方法」欄 4.研究課題の波及効果及び普遍性 「研究目的」、「研究計画・方法」欄 5.研究遂行能力及び研究環境の適切性 「研究組織」、「研究計画・方法」、「研究業績」、 「これまでに受けた研究費とその成果等」、 「今回の研究計画を実施するに当たっての準備状況」欄など
1.研究課題の学術的重要性・妥当性 □学術的に見て、推進すべき研究課題であるか。 □研究構想や研究目的が具体的かつ明確に示されて いるか。 いるか。 □応募額の規模に見合った研究上の意義が認められ るか。
2.研究計画・方法の妥当性 □研究目的を達成するため、研究計画は十分練られ たものになっているか。 たものになっているか。 □研究計画を遂行する上で、当初計画通りに進まな いときの対応など、多方面からの検討状況は考慮さ れているか。 □研究期間や経費配分は妥当なものか。 □研究代表者が職務として行う研究、または別に行う 研究がある場合には、その研究内容との関連性及 び相違点が示されているか。
□公募対象としていない以下のような研究計画に該当 しないか。 ①単に既製の研究機器の購入を目的とした研究計画 ②他の経費で措置されるのがふさわしい大型研究装 置等の製作を目的とする研究計画 ③商品・役務の開発・販売等を直接の目的とする研究 計画(商品・役務の開発・販売等に係る市場動向調 査を含む) ④業として行う受託研究
3.研究課題の独創性及び革新性 4.研究課題の波及効果及び普遍性 □研究対象、研究手法やもたらされる研究成果等に ついて、独創性や革新性が認められるか。 4.研究課題の波及効果及び普遍性 □当該研究分野もしくは関連研究分野の進展に対す る大きな貢献、新しい学問分野の開拓等、学術的 な波及効果が期待できるか。 □科学技術、産業、文化など、幅広い意味で社会に 与えるインパクト・貢献が期待できるか。
5.研究遂行能力及び研究環境の適切性 □これまでに受けた研究費とその研究成果を評価す るとともに、これまでの研究業績等から見て、研究 るとともに、これまでの研究業績等から見て、研究 課題に対する高い遂行能力を有していると判断で きるか。 □複数の研究者で研究組織を構成する研究課題に あっては、組織全体としての研究遂行能力は十分 に高いか、また各研究分担者は十分大きな役割を 果たすと期待されるか。 □研究課題の遂行に必要な研究施設・設備・研究資 料等、研究環境は整っているか。 □研究課題の成果を社会・国民に発信する方法等は 考慮されているか。
①人権の保護及び法令等の遵守を必要とする研究課題の適切性 その他の評価項目 1.適切性 ①人権の保護及び法令等の遵守を必要とする研究課題の適切性 □相手方の同意・協力や社会的コンセンサスを必 要とする研究計画又は法令等に基づく手続きが 必要な研究計画については、所要の手続き、対 策が講じられているか。 □ヒト遺伝子解析研究等の研究課題にあっては、 法令等に従い、所定の手続き・対策が講じられて いるか。 「法令遵守等の手続き、対策に疑問な点がある」→「×」
□分担金を配分しないと研究遂行上大きな支障があるか。 ②分担金配分の適切性 □分担金を配分しないと研究遂行上大きな支障があるか。 分担金を配分しなければならない理由が不明確 であり、問題がある →「×」 2.研究経費の妥当性 □研究経費の内容は妥当であり、有効に使用されることが見込 まれるか。 □購入を計画している設備備品等は研究計画上真に必要なも のであるか。 □研究設備の購入経費、旅費又は謝金等のいずれかの経費 が90%を超えて計上されている場合には、研究計画遂行上 有効に使用されることが見込まれるか。 □単に既製の研究機器の購入を目的とする研究や、他の経費 で措置されるのがふさわしい大型研究装置等の製作ではな いか。
3.その他:「エフォート」欄 【評点区分】 「○」 他の研究課題より更に充足率を高めるべきである 「○」 他の研究課題より更に充足率を高めるべきである 「△」 他の研究課題より更に減額が可能である又は 減額すべきである (充足率を低くすることが望まれる) 「×」 研究計画と京急経費との整合性を欠く 3.その他:「エフォート」欄 □第2段審査で、「研究資金の不合理な重複や過度の集中に ならず、研究課題が十分遂行し得るかどうか」を判断する際 の参考とする。
科研費の配分方式 ○各専門分野毎の研究費の配分枠 × 2 当該専門分野 当該専門分野の本年度新規応募研究費のシェア の本年度新規 応募課題数のシェア + 当該研究種目の本年度新規 配分予定額 × 2
Ⅴ.まとめ
科研費獲得に見る自治体の研究力 ◎公立試験研究所・民法34条法人の科研費配分状況 〔東北〕 <採択件数> <配分額> 〔東北〕 <採択件数> <配分額> ①秋田県(3機関) 14件 31,800,000円 ②岩手県(1機関) 5件 21,200,000円 ③宮城県(1機関) 6件 15,400,000円 ④山形県(1機関) 2件 6,200,000円 ⑤福島県(1機関) 2件 1,500,000円 <参考> 北海道(3機関) 18件 25,800,000円 資料:2006.10.6 「平成18年度科学研究費補助金の配分について」(文部科学省)より作成
研究機関(あるいは県)全体としての取組を期待。 科研費同様、他の競争的資金でも事前の獲得戦略立案がキー。 応募へのアクションを自ら意欲を持って起こしチャレンジしなければ研究資金は獲得できない。
ご静聴いただき感謝にたえません。 Fine.