高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について 高齢者看護・ケアシステム開発学 有田 秀子
問題の焦点は何か 慢性血液透析の現状 ・糖尿病性腎症の増加 ・導入年齢の上昇 ・糖尿病性腎症の増加 ・導入年齢の上昇 平成12年12月現在、血液透析患者は、約21万人である。近年の特徴は、糖尿病性腎症の増加、導入年齢の上昇である。糖尿病性腎症の増加は、糖尿病が基礎疾患としてあるため、網膜症、抹消・自律神経障害の合併もほぼ必須と考えなければならない。また、導入年齢の上昇では、食事・水分制限や週3回の透析のための通院など、老年期に入ってからのライフスタイルの変更を余儀なくされる。 文字を出す ここから、良好な疾病管理とともに、残された人生をより高い満足感をもって生活しているか?という点に関心をもった。 良好な疾病管理とともに、残された人生をより高い満足感を持って生活しているか?
文献検索キーワードおよび文献選択の基準 ・「血液透析」「セルフケア」 水分・食事管理、糖尿病性腎症に関する文献 ・「血液透析」「セルフケア」 水分・食事管理、糖尿病性腎症に関する文献 ・「主観的幸福感」 PGCモラールスケールおよびLSIAを使用し、要因分析をしている文献 キーワードは、良好な疾病管理は、「血液透析」「セルフケア」とした。文献検索は、医中誌web版を使用し、1998年~2003年で、検索した。この際、会議録は、除外した。文献数は、92件で、このうち、原著52件を、文献を内容ごとに分類した。そして、水分・食事管理、糖尿病性腎症に関する文献を対象にした。 文字を入れる。 満足した生活については、QOLの概念が含まれる測定可能な下位概念である、主観的幸福感をキーワードといた。文献検索の結果、原著は40件であった。このうち、PGCモラールスケールおよびLSIAを使用し、要因分析をしている文献を対象とした。 腎不全患者に関する研究が掲載されている、AANA Journalを対象に、高齢血液透析患者に関する文献を選択した。 ・「AANA Journal」 高齢血液透析患者を対象にした文献
研究のまとめ 1 「血液透析」「セルフケア」 「主観的幸福感」 研究のまとめ 1 「血液透析」「セルフケア」 自己効力感の高い群の特徴は、男性、高年齢、透析歴が5年未満もしくは10年以上、水分管理が良好である、セルフケア支援の認知が高いことであった。 糖尿病群は、透析群よりも自己効力感が高かった。 「血液透析」「セルフケア」では、水分管理や自己管理行動と自己効力感との関係について述べた論文が多かった。これらの結果をまとめると、自己効力感の高い群は、男性~ また、糖尿病で外来通院している患者と、糖尿病性腎症を有する血液透析患者の自己効力感を比較した結果、糖尿病群は、透析群よりも自己効力感が高いという結果を得た。 文字を入れる 主観的幸福感では、在宅高齢者、脳血管障害、慢性呼吸不全を対象にしたものであった。主観的幸福感に関連する要因は、性別、身体的に健康~ であった。 「主観的幸福感」 主観的幸福感に関連する要因は、性別、身体的に健康で歩行能力がある、経済的ゆとり、配偶者の存在、独居年数、ADL、健康意識であった。
研究のまとめ 2 「AANA Journal」 高齢慢性血液透析患者のセルフケアに関する知識の不足のある対象は、血液透析導入当初、低教育、認識力の低下がみられた。 MMSEの結果、対象の37%に認識力の低下が見られた。 AANA Journalでは、高齢慢性血液透析を対象にした文献は、「高齢血液透析患者の適切なセルフケア知識」で、セルフケア知識に関する質問、身体の状態と機能の査定、インフォームドコンセント、治療に対する意思選択、MMSEを調査したものであった。この結果、患者の75%は、十分なセルフケア知識があると認識している反面、セルフケア知識に関する質問で正確に答えられたものは、約1割程度であった。知識が少ない患者は、最近透析を始めた患者、高年齢、低教育、認識力の低下があるものであった。MMSEの結果、約4割に認識力の低下が見られた。
看護職としてのアクションプラン ・透析歴5年以上10年未満の透析患者には、起こりやすい合併症に関する知識の再教育や、合併症が起きた場合の治療や対処方法について患者の同意を得、治療をすすめていくことが必要である。 ・主観的幸福感を高める因子は、入院、職業、白内障の合併、身体症状、ADL、家族・友人関係である。これらは、今までの生活に大きく影響するので、透析治療を生活に取り入れられるように援助していく必要がある。 ・認識力の低下している患者を発見するためにMMSEを使うことは、患者の個々の認識力に合わせた教育が行えると共に、患者のセルフケアを向上させるために重要である。