認知科学ワークショップ 第2回
今日のテーマ:反応時間から認知プロセスを測る 人の認知の大部分は意識に上らない 反応時間を使うことで無意識の認知プロセスを知ることができる
意味ネットワークをプライミング実験で測る 仮説:人の記憶の中で概念はネットワークになっている ネットワーク中のある概念が活性化するとその部分とつながりがある概念も同時に活性化する
語彙決定(lexical decision)課題 単語を次々に提示 単語か悲単語かをきめる 前の単語が概念の結びつきがある(意味ネットワークでつながっている)と当該の語が単語であるという判断が早くなる 看護婦⇒医師、注射⇒医師 消防士⇒医師、うさぎ⇒医師
意味記憶の階層性 Collins & Quillain(1969) 人の概念は階層的に構造化されている
この仮説をどうやって検証するか カテゴリーメンバーの判断において、近い階層のものほど判断が速く、階層が離れるほど、判断に要する時間がかかるはず カナリアはカナリアである。カナリアは黄色い。 カナリアは鳥である。カナリアは飛ぶ カナリアは動物である。カナリアには皮膚がある 反応に要する時間 3>2>1
コリンズとキリアンの実験結果
プライミング実験の応用 物体の絵の判断における上位概念概念の影響をみる (ネガティヴプライミング) 物体の絵の判断における上位概念概念の影響をみる (ネガティヴプライミング) 助数詞が意味ネットワークに影響を与えるかみる
概念的なつながりがある物体同士を否と答えるのは二つの物体に概念的なつながりが無い場合に比べ時間がかかる 物体認知における高次認知の影響 Yokosawa&Imai(1997)の研究 二つの物体の同異判断課題 概念的なつながりがある物体同士を否と答えるのは二つの物体に概念的なつながりが無い場合に比べ時間がかかる 概念的なつながり 上位概念のつながり 連想的なつながり
物体認知における高次認知の影響(2) Yokosawa &Imaiの研究から示唆されること →物体の知覚的な認識(例:ウサギを表す絵を「ウサギの絵」として同定すること)の際に概念知識が自動的に働く
助数詞の意味ネットワークへの影響 Yokosawa & Imaiの実験の応用 ターゲットの認識において、プライムがターゲットと意味的に関連している(意味ネットワークの中で同時に活性化される)と無関係の場合より反応が遅れる 同じ助数詞で数えられるモノは負のプライム効果を及ぼすか
デザイン 半分は正反応が正解の試行(分析しない) 残りの半分がNoが正解の試行(分析対象) 4種類のプライム 上位語を共有(にんじんとじゃがいも) 連想関係(にんじんとうさぎ) 助数詞共有(にんじんと鉛筆) 無関係(にんじんとコップ)
+ + Procedure of the priming for Object Picture recognition Cloud Mask until response Picture 200ms Fixation 500ms + Cue Word 1000ms Fixation 1500ms Cloud The object identification task was a reaction time study. The participants sat at a computer. They were first shown a cue for 1 second. The cue was presented in word. Then a target was presented in a picture image. The subject were asked to judge whether the word and the picture matches. If they match, they should answer yes, if the do not match, they should answer no. In the previous study done by Yokosawa & Biederman using the same paradigm, it was demonstrated that both American and Japanese subjects took longer took longer to judge No when the cue and the target were from the same taxonomic superordinate category than when they were not taxonomically related. Borrowing the logic, we could test whether the priming effect could also be obtained when the cue was thematically related to the target, and when the cue and target were from the same classifier category. If we see the delay, we could conclude that the thematic relation and or classifier category membership affects our thought even at this low level of cognition, that is, object identification. +
ストループ課題 色を表す文字は実際の色と干渉しあう ⇒感覚知覚と意味は直接結びついている
例えば 赤 青 黄 緑 青 黄 青 赤 緑 赤 青 黄 赤 黄 緑 青 赤 緑 赤 黄
ストループのバリエーション 犬の線画の中に「猫」と書かれていると犬と答える。 高い音(175Hz)で「low」あるいは低い音(110Hz)で「high」といい,その音の高さを答える 数字がいくつか書かれているものを提示し,数字の個数をこたえるもので,「7」という数字が5つ書かれていれば5と答える
メンタルローテーション Shepard & Melzer (1971) 心(脳)の中での図形の回転はアナログ的かデジタル的か 2つの図形が同一のものを回転させた図形か否かを判断させる もし人がアナログ操作をしているのなら回転の角度が大きくなるほど判断に時間がかかるはず
結果