ナラティブ教材を用いた 精神看護学授業における 統合失調症のイメージの向上: テキストマイニングの評判分析 小平朋江(聖隷クリストファー大学) tomoe-k@seirei.ac.jp いとうたけひこ(和光大学) 第32回日本看護科学学会学術集会 東京国際フォーラム ホールB7(2) P11-C-16.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
情報科指導法Ⅰ 第 15 回 模擬授業と総括. 自由利用マーク 文化庁 2003 年~ プライバシーマーク.
Advertisements

学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
性に関する正しい知識や技術を 同世代の仲間 (peer :ピア ) で一緒に考え る ピアカウンセリング活動 くまぴあ.
つくば市立 竹園東中学校 大山 喜裕 社会認識育成めざす 社会科学習指導における ICT 活用の在り方 -座席表評価におけるタブレット学習 システムの活用を通して-
日本精神保健看護学会第20回総会・学術集会 聖路加看護大学 2010年6月19日-20日 口頭発表資料(10020)
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
ナラティブ教材を用いた 精神看護学授業での 統合失調症のイメージの変化の テキストマイニング分析 小平朋江(聖隷クリストファー大学) いとうたけひこ(和光大学) 第31回日本看護科学学会学術集会 高知市文化プラザかるぽーと 第15会場 第2展示室(7F) P1-6ー289 2011年12月3日 11時00分から11時50分.
教育心理学 学習と認知プロセス 伊藤 崇 北海道大学大学院教育学研究院.
執筆者:市川伸一 授業者:寺尾 敦 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
三重大学教育学部 附属教育実践総合センター 須曽野 仁志
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
ラーニング・ウェブ・プロジェクト(Learning Web Project) -自立・共愉的な学習ネットワークの形成に向けて-
プレゼン資料(進行者用・研修者用) 校内研修会 学級の人間関係づくり② ~ SSTとアサーショントレーニング ~
統合失調症の闘病記における回復の語りのテキストマイニング: ナラティブ教材としての教育的意義        小 平 朋 江   いとうたけひこ             日本看護学教育学会第24回学術集会 幕張メッセ国際会議場 P9-(3)(教授方略) -1   2014年8月27日(水)14:20-15:20.
病気と向き合う体験者のウェブサイト JPOP-VOICEの語りの特徴と看護学教育への活用可能性.
日本教育心理学会第52回総会 口頭発表 K078 社会心理学3 2010年8月27日(金) 13:00-15:30
精神看護の教育と 実践において 精神障害の闘病記を 活用する意義
東京大学保健社会学同窓会シンポジウム 「保健社会学の発想と方法」 2005年12月10日 聖路加看護大学 中山和弘
総合科目「学生による授業評価 アンケート」(マークシート方式)
女子大学生におけるHIV感染症のイメージと偏見の構造
社会福祉調査論 第15回_2 第5章 倫理と個人情報保護 第7章 社会科学としての社会福祉
「地域総活躍社会のための慢性疼痛医療者育成」コース
統合失調症の人についての ビデオ視聴による偏見低減の効果 AMD尺度とSDSJ社会的距離尺度による 患者談話条件と医師説明条件との比較
『当事者が語る精神障害とのつきあい方』の5人の統合失調症を持つ人たちの回復の語りのテキストマイニング  小 平 朋 江  いとうたけひこ   2014年11月29日(土)示説第3群14:30~15:10   第34回日本看護科学学会学術集会P   名古屋国際会議場1号館1Fイベントホール  
この授業のねらい 個人的問題から、社会的課題までを、 「行動分析学」(Behavior Analysis) の枠組みでとらえ、具体的な対策について発言提案・実践することができる。
ヘルスプロモーションのための ヘルスリテラシーと 聖路加看護大学『看護ネット』
患者とかかわる際に 行うこと・行わないことの指針
ナラティブ教材としての闘病記 -多様なメディアにおける精神障害者の語りの教育的活用- 小平朋江 ac
看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護
中山和弘(聖路加看護大学) 戸ヶ里泰典(東京大学大学院健康社会学)
Evidence-based Practice とは何か
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
当事者研究の可視化 テキストマイニングによる探求 小 平 朋 江   いとうたけひこ             第12回当事者研究全国交流集会 浦河大会 浦河町総合文化会館 文化ホール   2015年7月30日(木)10:00-17:30                           
ワークショップ型研修の進め方 .
学生の相互評価を用いた モデリング支援システムの開発
学びを促進する“インフォームドアセスメント” -学力評価の方向づけ機能に着目して-
社会シミュレーションのための モデル作成環境
当事者研究の記述の構造分析:向谷地・浦河べてるの家『安心して絶望できる人生』を対象として
初回授業オリエンテーション 理科(生物) 大野 智久.
「人生100年時代」に求められるスキル 【OS】 【アプリ】 人生100年時代の働き手は、【アプリ】と【OS】を
アウトカムとタスク.
言語XBRLで記述された 財務諸表の分析支援ツールの試作
回復のための資源 としての語り 精神障害者のナラティブ の教材的活用
大学生における援助要請行動の 調査研究.
心理科学・保健医療行動科学の視点に基づく
平成15・16・17年度 田辺市教育委員会指定研究校 『情報化社会を生きる児童の育成』
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
東日本大震災後の小中学生の作文におけるポジティブな語り ~テキストマイニングによる分析~   ○いとう たけひこ(和光大学)    西野 美佐子(東北福祉大学) 日本教育心理学会第58回総会 ポスター発表 PG 01 サンポートホール高松1階展示場 2016年10月10日(日)在席10-11時.
【研究題目】 視線不安からの脱却に 影響を与える要因について
第5回『Tsuku-場 フォーラム』アンケート集計結果
ナラティブ・アプローチの看護への有効性の検討
テキストマイニングによる看護専門領域別実習に関する研究動向の分析
第13回(通算29回) 福祉対象者への相談援助 合意形成
ビデオ視聴による統合失調症の人への偏見低減のための教育の効果 AMD尺度による患者談話条件と医師説明条件との効果の違い
べてるの家の当事者研究におけるアンカバリー(公開)・ディスカバリー(発見)・リカバリー(回復): 研究目的に焦点を当てたテキストマイニング 小平朋江 聖隷クリストファー大学 看護学部 いとうたけひこ 和光大学 心理教育学科 2018年6月23日(土)  一般演題ポスター発表(P-012)11:50-12:50.
精神障害をめぐる「家族のストーリー」におけるアンカバリー(公開)・ディスカバリー(発見)・リカバリー(回復): 連載記事のテキストマイニングからみた家族会などの活動の重要性 小平朋江 聖隷クリストファー大学 看護学部 いとうたけひこ 和光大学 心理教育学科 2018年3月24日(土)  ポスターP2-5-3「リカバリー・生活支援」13:30-14:10.
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
DI者の権利擁護にかかる相談窓口とソーシャルワーク・ポリシー
ウェブサイト 『JPOP-VOICE』 における統合失調症の当事者の 語りの特徴
ビデオレビューによる 外来教育 北海道家庭医療学センター 草場鉄周.
現在対応 将来展望 変動的 操作スキル プログラミング 情報モラル 探究スキル 普遍的 図13−1 情報活用能力の構成要素 (p.176)
日本精神保健看護学会第20回総会・学術集会 聖路加看護大学 2010年6月19日-20日 口頭発表資料(10056)
東日本大震災後の子どもの津波体験と原発体験の特徴 ―小中高校生の作文のテキストマイニングより―
マンガ教材『わが家の母は ビョーキです』(中村ユキ) 読了後の印象と感想の テキストマイニング いとうたけひこ(和光大学) 小平朋江(聖隷クリストファー大学) 日本看護学教育学会第20回学術集会 大阪国際会議場(グランキューブ大阪) 示説P-154 第4会議場(会議室1003) 2010年8月1日(日曜日)13:10-15:10.
平成20・21年度 国立教育政策研究所・教育課程研究センター指定
学習指導要領の改訂 全国連合小学校長会 会長 大橋 明.
一般演題⑭ 心理教育 家族教室ネットワーク第14回研究集会
Presentation transcript:

ナラティブ教材を用いた 精神看護学授業における 統合失調症のイメージの向上: テキストマイニングの評判分析 小平朋江(聖隷クリストファー大学) tomoe-k@seirei.ac.jp いとうたけひこ(和光大学) 第32回日本看護科学学会学術集会 東京国際フォーラム ホールB7(2) P11-C-16 2012年12月1日 15時00分から15時45分

研究の背景 研究成果を根拠に具体的で実際的なナラティブ イメージは? ⇒Allport(1954)の定義と一致 ●統合失調症(精神分裂病)の  イメージは?    「怖い」「近寄りがたい」  ⇒Allport(1954)の定義と一致 ●厚生労働省(2009)  ⇒精神障害者の経験・体験から学ぶ姿勢を重視  研究成果を根拠に具体的で実際的なナラティブ  教材を活用しての教育技法の確立が急務

研究の意義 ●「ナラティブ教材」の用語を用いているのは他には見当たらない ●ナラティブ教材から学ぶ効果 ・病いの理解、当事者の生き方 ・医学教育:斎藤(2001)インターネット・チュートリアルにおけるナラティブ教材  の利用とその有用性について,岐阜大学医学教育開発研究センター2001年度  共同研究報告書 ・企業教育:堀田他(2010)気づきを誘発する他者視点推薦手法ナラティブ教材  を使って,科学教育研究,(34)2, 154-166. ●ナラティブ教材から学ぶ効果  ・病いの理解、当事者の生き方  ・偏見低減効果と深い人間理解  ・看護独自の介入方法の在り方 ●伊藤(1998)の指摘に基づく教育技法の確立が必要    「本人の人間的自覚によって変えられるべき性質のもの」    「その達成には権力的ではなく、教育的・発達的な働きかけ」 自分の偏見に気づき、共感的に相手の人に向き合える学びの体験 が偏見克服と成長・発達のプロセス

研究の意義 経験を知に変換する「知識創造」モデル(中山,2004)における ナラティブ教材の位置づけ  研究の意義 経験を知に変換する「知識創造」モデル(中山,2004)における ナラティブ教材の位置づけ

目的 精神看護学教育において統合失調症に対する 偏見低減に効果的なナラティブ教材を実際に 活用した教育技法を確立することである

 倫理的配慮  大学倫理委員会の審査を経て実施した。研究趣旨、匿名性保護、自由意思による協力を文書と口頭で説明し同意した者を対象とした。

用語の定義 患者の病いの体験を患者や家族などが ナラティブ教材とは、 自ら自分のことばで語った物語りが表現された  用語の定義 ナラティブ教材とは、  患者の病いの体験を患者や家族などが  自ら自分のことばで語った物語りが表現された  作品であり、学習者にとってその体験の理解を  促進したり、助けになる目的で看護基礎教育など  に利用されうる形に教材化されたもの

研究デザイン トライアンギュレーション 西條(2009) 「複数の異なる視点からアプローチする複眼的な手法」  研究デザイン トライアンギュレーション 西條(2009) 「複数の異なる視点からアプローチする複眼的な手法」 【第1研究:闘病記や手記の探索研究】  分類とリスト化 【第2研究:偏見低減効果を検証する準実験的研究】  看護大学2年生、一般大学学生、AMD尺度(北岡(東口),2001)で  「イメージ」「社会的距離」の変化を確認  感想文はテキストマイニングで定量的に明らかにする 【第3研究:闘病記の構造の質的量的分析】  古川(2001)『心を病むってどういうこと?:精神病の体験者より』  テキストマイニングと伝記分析法(西平,1983)で構造の可視化 【第4研究:教育技法確立のための実践的研究】  看護大学生150名程度にナラティブ教材を活用し感想文・イメージな  どを自由記述、テキストマイニングで学生視点からの効果を分析

研究デザイン 本研究の概念図

結果 闘病記や手記の探索研究【第1研究】 小平朋江・いとうたけひこ(2012).統合失調症の闘病記のリスト:ナラティブ教材の可能性を展望する,心理科学, 33(2), 64-77.(印刷中) 217冊をリスト化 多様な表現形態 増加の要因は時代背景とも関連 症状・障害の特徴、精神医療の在り方、当事者  活動の方向性も示唆↓      偏見低減に効果的なナラティブ教材

(小平・いとう,2012)

結果 偏見低減効果を検証する準実験的研究【第2研究】     結果 偏見低減効果を検証する準実験的研究【第2研究】 ・5種類の教材 録画ビデオ、マンガ ・4つの実験でAMD尺度を用い偏見低減効果を確認 ・看護大学生220名、2大学文系大学生382名、計602名 ・実験4の結果は順序構造分析(戸田他, 2009)で下位尺度の  項目間の関係を可視化し連関構造も明らかに                     ↓       病いを生きる人の姿をアクチュアルに理解          偏見低減効果のある教材

実験1-実験4における偏見低減効果の比較

結果 闘病記の構造の質的量的分析【第3研究】 結果 闘病記の構造の質的量的分析【第3研究】 小平朋江・いとうたけひこ・大高庸平(2010).統合失調症の闘病記の分析:古川奈都子『心を病むってどういうこと?:精神病の体験者より』の構造のテキストマイニング,日本精神保健看護学会誌,19(2), 10-21. 古川(2001)を分析、各章の特徴が明らかに(図) ポジティブで具体的メッセージ 体験者の物語りと積極的意見が統合                   ↓  当事者の生きる姿と関わり方を知る                    ↓          偏見低減に効果的な教材

各章および項目と使用頻度単語(上位20件)の対応分析 ←過去     現在     未来→ ←ポジティブ       ネガティブ→ (小平・いとう,2010)

結果 教育技法確立のための実践的研究【第4研究】 結果 教育技法確立のための実践的研究【第4研究】 看護学部2年生  2010年度・2011年度 「精神看護援助論Ⅰ」 「統合失調症の看護」(2コマの単元)  統合失調症イメージ 自由記述    ・事前調査A(1回目)1コマ目講義開始時    ・事後調査B(2回目)2コマ目講義終了時    ・事後調査C(3回目)全ての講義終了間近時 延べ595名回答    ⇒テキストマイニング 評判分析

偏見克服と成長・発達の プロセスとして意味ある 学びの経験 調査Aより調査BCの方が 有意に好評語の割合が多い 回復した姿のイメージを持つこ 好評語と不評語を用いた人数の割合   ・調査A(事前) 248名   ・調査B(事後) 197名   ・調査C(事後) 150名 調査Aより調査BCの方が 有意に好評語の割合が多い           ↓ 回復した姿のイメージを持つこ とも可能、自らの偏見に気づ き共感的に当事者と向き合う                ↓  偏見克服と成長・発達の  プロセスとして意味ある  学びの経験

学生はナラティブ教材をどのように経験するのか? ~古川(2001)の病いの語りに沿って~   学生はナラティブ教材をどのように経験するのか?      ~古川(2001)の病いの語りに沿って~          <学生の感想文より> 精神症状がでている自分の記憶があることに驚いたしさらに、その行動に至る理由、その人なりの考え方まであることにとても衝撃を受けた。私は「精神病」というものに対して、ひどい偏見を持っていたことにも気づかされた。患者には考える力があり、心があり理由がある、ということをしっかり頭の中に記憶したいと思う。 病気が治る、治らないの2極ではなくて、あえて新しい立場の「寛解」という次元にいるという古川さんの文章は衝撃だった。人間の性質はもともとそんなに変わるものではないけれど、病気を発病することによってもともとの性質が少し変わるのかと思う。

学生は 統合失調症の症状や エピソードを 点で 見ている 発病前は良い子、根暗だった 幻聴もあって椅子を投げる 保護室に入る 寛解 ナラティブ教材 の 活用 学生は 統合失調症を病む 古川さんの体験を 連続性のあるストーリー として 見るようになる 発病前は良い子、根暗だった 幻聴もあって椅子を投げる 保護室に入る 寛解

成果と解釈 <ナラティブ教材と看護実践> Peplau(1952) 「看護とは有意義な、治療的な、対人的プロセス」 渡邉(2006) <ナラティブ教材と看護実践>  Peplau(1952)   「看護とは有意義な、治療的な、対人的プロセス」 渡邉(2006)   「治療となり得るための看護介入の技術開発が必要」 遠藤(2011)   「ナラティブを助ける技術」     病いの経験から得た知恵の共有     「リアリティ」と「アクチュアリティ」(木村,1994)                ↓     当事者視点で病む体験と回復の姿を学ぶ

成果と解釈 <4つの要素> 1 「発達の最近接領域」を準備し「生活的概念」 「科学的概念」を結合(ヴィゴツキー,1962・2001) 1 「発達の最近接領域」を準備し「生活的概念」   「科学的概念」を結合(ヴィゴツキー,1962・2001) 2 「知性的理解」「感性的理解」の共存(田中,2001) 3 具体的リアリティがあり実践的アクチュアリティに  移行(木村,1994) 4 経験の内容の洗練や拡大(Dewey教材論)

成果と解釈 <5つのメリット> 1 教材としての有効性・効果性 2 物語性・娯楽性 3 安全性・非侵襲性 4 入手可能性・経済性が大きい いとう(2012)「効楽安近短モデル」を参考に  1 教材としての有効性・効果性  2 物語性・娯楽性  3 安全性・非侵襲性  4 入手可能性・経済性が大きい  5 利便性

本研究の限界と課題 本研究の限界は、学生の思考を質的に変化させ、理解を促進させるナラティブ教材の特徴までは言及できていない。 今後の課題は、ナラティブ教材の長期的な効果を明らかにすることである。

結論 1 統合失調症の闘病記は、量的に豊富なためリスト化が可能で、多様な表現形態を持ち、その増加の要因は時代背景と関連している。 1 統合失調症の闘病記は、量的に豊富なためリスト化が可能で、多様な表現形態を持ち、その増加の要因は時代背景と関連している。 2 ナラティブ教材は、学生にとって偏見低減効果のある教材である。 3 ナラティブ教材は、学生にとって具体的な対象理解や実際の関わり方を知るきっかけが提供できるため、偏見低減に   効果的な教材である。 4 ナラティブ教材は、学生にとって統合失調症が回復した姿のポジティブなイメージを持つことが可能になるため、共感的理解が促進される。 5 ナラティブ教材の活用により、統合失調症のイメージの改善が学生目線で明らかになる。

本研究に関する主な業績 小平朋江・いとうたけひこ・大高庸平(2010).統合失調症の闘病記の分析:古川奈都子『心を病むってどういうこと?:精神病の体験者より』の構造のテキストマイニング,日本精神保健看護学会誌,19(2), 10-21. 小平朋江・いとうたけひこ(2011).順序構造分析による精神障害に対する態度測定尺度(AMD尺度)の項目間構造の検討,応用心理学研究,37(1), 42-43. 小平朋江・いとうたけひこ(2012).『当事者が主人公』の実践の在り方を考える:統合失調症当事者によるナラティブを手がかりに,いとうたけひこ(編)『コミュニティ援助への展望』角川学芸出版. pp. 70-94. 小平朋江・いとうたけひこ(2012).統合失調症の闘病記のリスト:ナラティブ教材の可能性を展望する,心理科学, 33(2), 64-77.(印刷中)

◎平成23年度~平成25年度科研費基盤研究C(23593195)の助成を受けた。