太陽フレアにおける Plasmoid-Induced-Reconnection の MHD シミュレーション

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Presentation transcript:

太陽フレアにおける Plasmoid-Induced-Reconnection の MHD シミュレーション 西田 圭佑

Introduction 近年の観測により、太陽フレア中で磁気リコネクションの証拠が発見され、フレアの統一モデルが提唱された (Shibata 1996, 1999) しかし、磁気リコネクションの詳細な物理はまだ確立していない 特に リコネクションの速度(リコネクションレート)の決定要因はまだ明らかになっていない

Plasmoid-Induced-Reconnection Model (Shibata et al., 1995, 1999) Plasmoid ejection によりリコネクション領域に強いインフローが引き起こされる (plasmoidにより噴出された質量を補うため) インフローの速度は質量保存則から次のように見積もることができる; : The inflow speed, : The plasmoid speed, : Typical width of plasmoid, : Typical width of inflow.

本研究の目的 本研究では、この研究ではリコネクションレート (インフローの速度) と plasmoid の速度の関係を太陽フレアのMHDシミュレーションにより調べた Reconnection Plasmoid ejection Strong inflow

Numerical Method 次の2.5次元 MHD 方程式を解くため multistep implicit scheme (Hu 1989) を用いて数値計算を行った:

初期条件 磁力線 Plasmoid (Flux rope)

結果 (典型的な例) vc =0.1, Fy=0 Color: ガス圧 Contour: 磁力線

タイムスライス (圧力) Plasmoid x=0での圧力の時間発展 X-point

y方向の速度分布 x=0でのy方向の速度(vy)分布の時間発展 Plasmoid x=0でのy方向の速度(vy)分布の時間発展 最初、リコネクションジェットによりplasmoidが加速されるが、t=400以降になると加速は起こらない リコネクションジェットが直接plasmoidを加速している リコネクションジェットはもはやplasmoidを加速しない

Plasmoid の速度 vs. リコネクションレート

2つの Case Case A Case B 抵抗を変化させた (vc を変化させた) Plasmoid の速度を変化させた (plasmoid内部のみに作用する外力を加えた).

リコネクションレート vs. Plasmoid の速度 (1) Case A、Bともに正の相関があるように見えるが… 時刻: リコネクションレートのピーク、リコネクションレートは dΨ/dt = E =ηj

リコネクションレート vs. Plasmoid の速度 (2) リコネクションレートをノーマライズした Case Aについては正の相関がある Case Bについては負の相関がある 時刻: リコネクションレートのピーク、リコネクションレートは vin / vA = E / (Bin vA)

インフローの速度 vs. Plasmoid の速度 Case Aについては正の相関がある Case Bはインフロー速度の変化量は小さいが、正の相関 時刻: plasmoidの高さがy=14.5 を越えた時

インフローの速度 vs. リコネクションレート Case Aは正の相関がある しかし、Case Bはたいして変わっていない (負の相関) 時刻: plasmoidの高さがy=14.5 を越えた時

インフローの磁場 vs. Plasmoid の速度 Case Aは負の相関 Case Bは正の相関 時刻: plasmoidの高さがy=14.5 を越えた時

インフローの磁場 vs. リコネクションレート Case A、Bともに負の相関 時刻: plasmoidの高さがy=14.5 を越えた時

Case A vc dΨ/dt vin / vA カレント シートの 厚さ |j| |vd| 0.01 0.00201 0.156 (時刻: リコネクションレートのピーク、η0=0.02) vc dΨ/dt vin / vA カレント シートの 厚さ |j| |vd| 0.01 0.00201 0.156 2.075 0.094 0.217 0.02 0.00218 0.196 1.305 0.153 0.295 0.05 0.00181 0.180 0.913 0.230 0.438 0.1 0.00161 0.146 0.694 0.320 0.610 0.2 0.00143 0.119 0.582 0.457 0.861 0.5 0.00110 0.072 0.442 0.775 1.345 抵抗の上限値なしの場合、 vcを小さくする→抵抗が働きやすくなる→リコネクションレートが大きくなる →plasmoid上昇速度が大きくなる

Case A: 抵抗の上限値ありの場合 η0=0.02のとき η0=2のとき インフローとリコネクションレートのvc 依存性は非常に弱くなる (X-pointでの抵抗がη0にはりつくため) η0が小さくても、vc がvd を常に上回る程度に大きければ、インフローとリコネクションレートはvc に依存するはず (計算中) η0=2のとき 抵抗が大きすぎて振動が起こるためつぶつぶ状リコネクション インフローとリコネクションレートのvc 依存性は強い (X-pointでの抵抗がη0にはりつかない)

Case A: 抵抗の上限値ありの場合

ηj (η0=2のとき)

Case B 外力で強制的に plasmoid の速度を変化させても、インフローの速度やリコネクションレートは“あまり”変わらない それでは、plasmoid ejectionにより引き起こされるはずのインフローはどこに消えたのか?

インフローはどこに消えた? 外力無し 外力上向きg Plasmoidの上昇によりinduceされるインフローは、大半がX-pointより上のslow shockに流れ込み、X-pointにはほとんど流れ込まない。このため、外力によりplasmoidの上昇速度を変化させても、X-pointで定義されるリコネクションレートの変化は小さい。

まとめ Case A 抵抗の上限値無しの場合、リコネクションレート、plasmoidの上昇速度、インフロー速度はvcに強く依存する 抵抗の上限値有りの場合、この依存性があるかどうかは、η0 とvcの値による η0が大きいとき(>1.0)、数値的な振動によりつぶつぶ状リコネクションになる Case B 今回用いた磁場構造では、外力によりplasmoidの上昇速度を変化させてもX-pointで定義されるリコネクションレートの変化は小さい

Role of Plasmoid plasmoid-induced-reconnection (Shibata et al

Model of Impulsive Flare Previous models are suitable for long lived reconnection (i.e. LDE flares) because many field lines can reconnect so that reconnection continues long Initial configuration (Chen & Shibata, 2000) Potential field Condition suitable for short lived reconnection (i.e., Impulsive flare) Initial configuration

Case A: Resistivity is changed Reconnection Rate In the case in which reconnection occurs easily, reconnection rate becomes larger and consequently plasmoid velocity becomes larger.

Case A: Plasmoid の速度 vs. リコネクションレート Plasmoid Velocity Rise velocity of flare loop (i.e. Reconnection rate)

Upward external force (=g) Case B: Result No external force Upward external force (=g) t = 100 t = 200

Case B: Plasmoid velocity is changed Reconnection Rate In the case in which plasmoids are accelerated by an external force, i.e. in larger plasmoid velocity case, larger inflows are induced by mass conservation, and consequently reconnection rate also becomes lager.

Case B: Plasmoid Velocity vs. Reconnection Rate g = 0.271 ρL/Cs

Case A – 抵抗モデルを変えたときの結果 vc(つまり抵抗がはたらき始める閾値)を変化させることで、リコネクションレートが変化した , 異常抵抗モデル

Case A – リコネクションレートとフラックスロープの速度 計算開始 ↓ リコネクションレートのピーク ◇:始点 △:終点 リコネクションレートとフラックスロープの上昇速度には相関がある

Case A – リコネクションレートとフラックスロープの速度 リコネクションレートのピーク ↓ リコネクションレートのピーク時間の2倍 ◇:始点 △:終点 リコネクションレートとフラックスロープの上昇速度には相関がある

Case B – フラックスロープの上昇速度 力の単位は 0.271 ρL/Cs フラックスロープに上向きの外力を加えると、当然上昇速度は速くなる 下向きの外力を加えると、上昇は鈍り、加えすぎると上昇しない 2次曲線的に加速していかないのはなぜ?下向きの力が働いているため?背景磁場との相互作用? U2.0などで、t=300あたりで下がり、t=400~500あたりで上がっているのはなぜ?

Case B – リコネクションレート 上向きの外力を加えるとリコネクションレートは大きくなり、下向きの外力を加えるとリコネクションレートは小さくなる リコネクションが始まるのは、計算開始後しばらくたってから これはカレントシートが引き延ばされている段階?

Case B – リコネクションレートとフラックスロープの速度 計算開始 ↓ リコネクションレートのピーク ◇:始点 △:終点 リコネクションレートとフラックスロープの上昇速度には相関がある

Case B – リコネクションレートとフラックスロープの速度 リコネクションレートのピーク ↓ リコネクションレートのピーク時間の2倍 ◇:始点 △:終点 リコネクションレートとフラックスロープの上昇速度には相関がある

観測 Plasmoid Velocity Rise velocity of flare loop (i.e. Reconnection rate) Shimizu et al. (2006?, in preparation)

Two Cases Case A Resistivity (vc) is changed. Case B Plasmoid velocity is changed (due to external force which acts only inside plasmoid). In either case, reconnection rate is larger when plasmoid velocity is larger, consistent with observations and plasmoid-induced reconnection model.

Anomalous resistivity y-axis: Anomalous resistivity at reconnection site x-axis: time (Alfven time) フラックスロープの上昇速度が変化することで、リコネクションレートが変化すると、異常抵抗も変化している 異常抵抗が変化することにより、さらにリコネクションレートに影響を与えるが、その効果は小さいと思われる

Dependent of parameters Jet Reconnection rate Velocity of plasmoid External force Inflow Anomalous resistivity

Summary MHD simulation showed that reconnection rate is larger when plasmoid velocity is larger either when resistivity is increased or plasmoid velocity is increased by external force. These results are consistent with observations (Shimizu et al. 2005, in preparation) and support plasmoid-induced-reconnection model strongly. Not only resistivity but plasmoid velocity plays an important role to determine the reconnection rate.