疫学初級者研修  ~2×2表~ 平成12年2月14日(月) 13:00~ 岡山理科大学情報処理センター.

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疫学初級者研修  ~2×2表~ 平成12年2月14日(月) 13:00~ 岡山理科大学情報処理センター

食中毒発生時… 収集した情報 どのように情報を分析し、 評価するか? 分析 評価

①分析に使用する指標 ②推定と検定

2×2表 (疾病の有無) 有症 食べない 食べた 健康 a c b d (曝露の有無)

①分析に使用する指標

分析に使用する指標の例 1 相対危険度(Relative Risk) 2 オッズ比(Odds Ratio) 3 リスク差 4 寄与割合

1 相対危険度(Relative Risk:リスク比) 「食べた人」たちと「食べない人」たちが それぞれ どのくらい発症しているか(発症割合)を比べたもの 「食べた人」の 発症割合 a/a+b RR= 「食べない人」の 発症割合 c/c+d

相対危険度(Relative Risk:リスク比) ◆RR=1の場合   食べた人と食べない人の発症割合は同じ   →両群に差はない ◆RR>1の場合   食べた人の発症割合の方が大きい   →食べた人の方がより発症している ◆RR<1の場合   食べない人の発症割合の方が大きい   →食べない人の方がより発症している

2 オッズ比(Odds Ratio) 食べた人の発症オッズ 食べない人の発症オッズ a/a+b b/a+b c/c+d d/c+d 有症 健康 a c b d 食べた人の発症オッズ a/a+b b/a+b 食べない人の発症オッズ c/c+d d/c+d

オッズ比とは… 喫食群の発症オッズと 非喫食群の発症オッズの比 a/a+b ad 発症 オッズ比= b/a+b c/c+d = bc d/c+d = ad bc

a c b d 有症群の暴露オッズ a/a+c c/a+c 有症 食べ ない 食べた 健康 b/b+d d/b+d 健康群の暴露オッズ ※暴露オッズ比 有症 食べ ない 食べた 健康 a c b d b/b+d d/b+d 健康群の暴露オッズ 暴露 オッズ比= a/a+c c/a+c b/b+d d/b+d = ad bc

オッズ比(Odds Ratio) ◆OR=1の場合 食べた人と食べない人の発症割合は同じ   食べた人と食べない人の発症割合は同じ   →両群に差はない ◆OR>1の場合             食べた人の発症割合の方が大きい  →食べた人の方がより発症している ◆OR<1の場合             食べない人の発症割合の方が大きい  →食べない人の方がより発症している

オッズ比の「点推定」と「区間推定」 点推定 区間推定 (信頼区間)

95%信頼区間とは… ln(95%C.I)= ln(OR)±1.96√(1/a+1/b+1/c+1/d) 「信頼区間の中に真の値が入っていることが 95%信頼できる」という意味 ln(95%C.I)= ln(OR)±1.96√(1/a+1/b+1/c+1/d) ln:自然対数

数値の見方(オッズ比と信頼区間)

3 χ2値 喫食の有無 と 発症の有無 が互いに関連があるか どうかを判定するもの 3 χ2値 喫食の有無 と 発症の有無 が互いに関連があるか どうかを判定するもの ◆食中毒の場合は、通常「食品と発症に関連がある」という結 論を導くために、まず「食品と発症には関連がない」という帰  無仮説 を設定する。 ◆得られたデータからχ2値を計算し、有意水準αの棄却点c と比べ、χ2値が大きければ帰無仮説が捨てられ、対立仮説 「食品と発症に関連がある」を採択する。

3 χ2値 χ2= χ2= (ad-bc)2n (a+b)(c+d)(a+c)(b+d) 3 χ2値 (ad-bc)2n χ2= (a+b)(c+d)(a+c)(b+d) ※a,b,c,d の帰無仮説のもとでの期待値   のいずれかが5以下の値を取るとき (|ad-bc|-n/2)2n χ2= (a+b)(c+d)(a+c)(b+d) (Yatesの補正値) (n=a+b+c+d)

3 χ2値における注意点 ●仮説を検証する方法である ●関連性の有無の判定しかできない ●a,b,c,dの数値が大きくなればなるほど 3 χ2値における注意点 ●仮説を検証する方法である ●関連性の有無の判定しかできない ●a,b,c,dの数値が大きくなればなるほど   関連性の度合いに関わらずχ2値は大きくなる

※χ2検定の考え方 検定のルール : χ2>C → 関連がある P < α → 関連がある χ2 χ2 検定において誤りを犯す確率が「α」 検定のルール :  χ2>C → 関連がある              P < α → 関連がある 検定において誤りを犯す確率が「α」 このときにχ2がとり得る限界値が「c」 この面積が有意水準α (例) α=0.05のとき C=3.84 χ2=4.0なら5%有意 χ2 χ2 C

4  P値 (例) χ2=4.0のとき P=0.0455 このとき5%有意 この面積がP値 χ2 χ2 C

②推定と検定

推定と検定 推定:ある指標を定量的に     推測すること 検定:ある仮説の正しさを     検証すること

「Aさんの先週の晩酌は (1合,2合,2合,1合,3合,1合,0合) であった.」 このデータから最近の平均酒量を知りたい. 推定 1年前は 平均1.5合/日 であった.最近は酒量が増えたかこのデータで判定したい. 検定

推定の例:   オッズ比を求める 検定の例:   χ2  検定 , t 検定

推定・検定の違い ・推定では、信頼区間によって 影響の大きさと、その推定に 固有のばらつきを評価できる。 ・検定では、データと帰無仮説の  影響の大きさと、その推定に  固有のばらつきを評価できる。 ・検定では、データと帰無仮説の  整合性をチェックする。

※オッズ比とχ2値の違い オッズ比=10.5 χ2=3.26(P=0.07) オッズ比=10.5 χ2=19.55(P=0.0000098)

95%信頼区間:     1.82<OR<8.54 オッズ比=3.93 オッズ比=4.00 χ2値=4.00 P値=0.045 95%信頼区間:     0.79<OR<20.73 χ2値=15.41 P値=0.00008

データ数 が多い が少ない 信頼区間の幅 オッズ比 ほぼ 変わらない 広い 狭い

データ数 が多い が少ない    P値 大きい 小さい χ2 値

オッズ比 信頼区間 χ2 値 P値 データ  多 狭い 大きい 小さい ほぼ 変わら ない データ  少 広い 小さい 大きい

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